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二章 秘宝「ジェタクの果印」
36話 聖占『ジェタクの果印』の正体
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あれ……。いや……。そうに違いない。
見間違いじゃあ、ないよな?
ゆっくりと動き出した俺の足は次第に速くなり、気が付くと俺は走っていた。
「ヤグラ君!! 見ちゃ駄目って言ったのに!!」
ミーノが声を震わせて叫んでいたが俺は気にしなかった。
俺は一目散に走ると、ミーノの水たまりにめがけてダイブした。
水が勢いよく跳ね、俺の顔を濡らした。
だが、俺は目を閉じなかった。
俺はどんな小さな変化も見逃さないように、水たまりの中でその物体を握っていた。
サザエだった。
さきほど俺が食べたサザエの貝殻が、少しずつ赤くなっていくのだ。徐々にではあるが、確かにサザエが赤くなっていく。
あの畑で見つけたサザエのように。
「ミーノ!! サザエを集めよう!!」
「もう!! ヤグラ君なんか知りません!!」
ミーノはおしっこにダイブした俺を見て、顔を真っ赤にしていた。
俺はへそを曲げるミーノをなだめすかして、海から大量のサザエを取ってきてもらった。そしてミーノに言った。
「ミーノ!! 頼む。もう一回だけおしっこをしてくれないか!!」
「お、おしっこ!? ヤグラ君ったら、なに考えてるんですか!!」
「確かめたいことがあるんだ。頼む!!」
俺のおしっこでもよかったが、なるべくならさっきと条件を合わせたかった。だから、ミーノのおしっこがよかった。
俺は必死に懇願してなんとかミーノの同情を得た。
「じゃ、じゃあ、また後ろを向いててください……」
俺は言われた通りに後ろを向き、彼女がおしっこをするのを待った。
じょぼ、じょぼ、じょぼぼぼぼ……。
さっきよりも控えめな音が終わったとき、ミーノもそれに気が付き始めていた。
「ヤグラ君……、これ……」
「ああ……。多分な……」
ミーノが集めた貝殻は、半分が青に、半分が赤に変色していた。
どういうわけか畑から取れる、見たこともないような赤と青のサザエの貝殻。ジェタク師が小便をしたと伝わり、その地は五百年間一度も乾いたことがないというシリンキ寺。ミーノが海から取ってきた貝殻は、ミーノのおしっこに反応して、半分がアオサザエ、半分がアカサザエになってしまった。
これが一体どう繋がるのだろう。
俺は後日、マスターランクの冒険者であり、王立魔法図書館の特別顧問である占い師コフネさんのもとを訪れた。酔いつぶれたヴァーギンを治した魔道士に頼んで、彼女を紹介してもらったのだ。
王立魔法図書館にある彼女の事務室で俺は彼女と会った。
コフネさんはメガネをかけて、長い黒髪を無造作にまとめていた。興味があるのは本だけですと言った様子で、黒いマントにはスパゲッティソースみたいなものが跳ねていた。
「君がヤグラ君か。噂は聞いているよ」
「良い噂じゃないんですよね?」
「良いか悪いかは知らないが、とっても愉快な噂だ。なんでも、ケツで酒を飲んだり、冒険者から大金をむしり取ったりするそうじゃないか」
俺の第一印象は最悪だ。
「いや、それはたまたま……」
「まあ、その話は良いとしよう。それで、この私に何の用だね? 私は、ブロンズランクの冒険者と雑談をするほど暇ではないのだが」
「ああ、すみません。お忙しいところ悪いんですけれど、これを見てくれませんか?」
俺はポケットから、ミーノから借りたアオサザエを渡した。
「なんだ、これは。見たこともない貝だな。ん……、殻になにか書いてあるぞ……」
「×××年……、カ・ツ・カ・? ジェ……タ……ク」
コフネさんの顔から笑みが消えたかと思うと、コフネさんが俺に詰め寄った。
「貴様!! これをどこで見つけた?」
「し……シリンキ山のふもとの畑です……」
「貴様にはこれが何か分かっているのか!?」
「『占聖』ジェタク師の果印ですよね?」
俺はコフネさんの勢いに圧されながら、おどおどと答えた。
見間違いじゃあ、ないよな?
ゆっくりと動き出した俺の足は次第に速くなり、気が付くと俺は走っていた。
「ヤグラ君!! 見ちゃ駄目って言ったのに!!」
ミーノが声を震わせて叫んでいたが俺は気にしなかった。
俺は一目散に走ると、ミーノの水たまりにめがけてダイブした。
水が勢いよく跳ね、俺の顔を濡らした。
だが、俺は目を閉じなかった。
俺はどんな小さな変化も見逃さないように、水たまりの中でその物体を握っていた。
サザエだった。
さきほど俺が食べたサザエの貝殻が、少しずつ赤くなっていくのだ。徐々にではあるが、確かにサザエが赤くなっていく。
あの畑で見つけたサザエのように。
「ミーノ!! サザエを集めよう!!」
「もう!! ヤグラ君なんか知りません!!」
ミーノはおしっこにダイブした俺を見て、顔を真っ赤にしていた。
俺はへそを曲げるミーノをなだめすかして、海から大量のサザエを取ってきてもらった。そしてミーノに言った。
「ミーノ!! 頼む。もう一回だけおしっこをしてくれないか!!」
「お、おしっこ!? ヤグラ君ったら、なに考えてるんですか!!」
「確かめたいことがあるんだ。頼む!!」
俺のおしっこでもよかったが、なるべくならさっきと条件を合わせたかった。だから、ミーノのおしっこがよかった。
俺は必死に懇願してなんとかミーノの同情を得た。
「じゃ、じゃあ、また後ろを向いててください……」
俺は言われた通りに後ろを向き、彼女がおしっこをするのを待った。
じょぼ、じょぼ、じょぼぼぼぼ……。
さっきよりも控えめな音が終わったとき、ミーノもそれに気が付き始めていた。
「ヤグラ君……、これ……」
「ああ……。多分な……」
ミーノが集めた貝殻は、半分が青に、半分が赤に変色していた。
どういうわけか畑から取れる、見たこともないような赤と青のサザエの貝殻。ジェタク師が小便をしたと伝わり、その地は五百年間一度も乾いたことがないというシリンキ寺。ミーノが海から取ってきた貝殻は、ミーノのおしっこに反応して、半分がアオサザエ、半分がアカサザエになってしまった。
これが一体どう繋がるのだろう。
俺は後日、マスターランクの冒険者であり、王立魔法図書館の特別顧問である占い師コフネさんのもとを訪れた。酔いつぶれたヴァーギンを治した魔道士に頼んで、彼女を紹介してもらったのだ。
王立魔法図書館にある彼女の事務室で俺は彼女と会った。
コフネさんはメガネをかけて、長い黒髪を無造作にまとめていた。興味があるのは本だけですと言った様子で、黒いマントにはスパゲッティソースみたいなものが跳ねていた。
「君がヤグラ君か。噂は聞いているよ」
「良い噂じゃないんですよね?」
「良いか悪いかは知らないが、とっても愉快な噂だ。なんでも、ケツで酒を飲んだり、冒険者から大金をむしり取ったりするそうじゃないか」
俺の第一印象は最悪だ。
「いや、それはたまたま……」
「まあ、その話は良いとしよう。それで、この私に何の用だね? 私は、ブロンズランクの冒険者と雑談をするほど暇ではないのだが」
「ああ、すみません。お忙しいところ悪いんですけれど、これを見てくれませんか?」
俺はポケットから、ミーノから借りたアオサザエを渡した。
「なんだ、これは。見たこともない貝だな。ん……、殻になにか書いてあるぞ……」
「×××年……、カ・ツ・カ・? ジェ……タ……ク」
コフネさんの顔から笑みが消えたかと思うと、コフネさんが俺に詰め寄った。
「貴様!! これをどこで見つけた?」
「し……シリンキ山のふもとの畑です……」
「貴様にはこれが何か分かっているのか!?」
「『占聖』ジェタク師の果印ですよね?」
俺はコフネさんの勢いに圧されながら、おどおどと答えた。
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