35 / 97
二章 秘宝「ジェタクの果印」
35話 俺はひらめきつつあった
しおりを挟む
「近くにトイレは……ないもんな……」
「分からないけど……間に合わないよ……」
「海にしてきたら良いだろう。後ろ向いといてやるから、おしっこしてこいよ」
「う、うん……誰にも言わないでね?」
ミーノは俺が言うとも言わないとも言わないうちから、海に向かって走っていった。そして、もぞもぞとワンピースをたくし上げたのを見て、俺は後ろを向いた。
排泄は生理現象だから仕方がない。どんな子だって普通にやることだし、身体は場所や時を選ばないのだ。
俺はあまり考えないようにしながらミーノが帰ってくるのを待っていた。
「ヤグラ君!! ヤグラ君っ!!」
どういうわけかミーノは血相を変えて、小走りになって帰ってきた。
「どうしたんだ?」
「ダメだよ!! 海で釣りをしてる人がいたの!」
「釣り?」
前を見ると確かに蓑笠をかぶって、木船を浮かべた老人が優雅に釣りをしている。
「私がパンツを下げたら、その人がこっちを見るんだもん!!」
「そんなの、海に身体を沈めてやれば分からないだろう」
「あっ……」
ミーノは今気が付いたように言った。この子、やっぱりちょっと抜けてるなあ。
「もう一回行って来いよ」
「ダメ……もう漏れちゃうよ!! ど、どうしよう!!」
ミーノは泣きそうになっている。
「分かった、分かった。俺が前に立っててやるから、海に背を向けてここでしろよ。海に背を向けてたら釣り人からも見えないし、前に俺がいたら、陸からも見えないだろう。な?」
「う、うん……。ぜったい振り向かないでね……」
「おう、振り向かないから」
俺はミーノに背を向けて、ぼんやりと立っていた。
じょぼ……じょぼ……、じょろじょろじょろじょろ……。
ヤベえ……すげえ生々しい音だ。
幼女の放尿音……。
おい、ヤグラ!! お前は、こんなことで心を乱す人間じゃないはずだ!!
ここが正念場だぞ、と俺は思った。
振り向かないのは当然として、音も聞かなかったことにするんだ。鼻から息をするなんて男として最低だ。心を乱されるな、悪趣味な悦びに目覚めるな。
俺がうちなる葛藤と戦っている間に、やがて音が消えていった。
「ふ、振り向いたら駄目ですからね? もうこのまま帰るんですから」
ミーノが俺の前に立って言った。
「いや、別に振り向かないよ……」
「だって、ちょっと水たまりになってるんです。だから、お片付けは今日は良いとして……ね? もう帰りましょう」
ミーノが俺の身体をぐいぐいと引っ張る。
いや、見たいとは思わないけど、それだけ禁止されると、ちょっとだけ見たくなっちゃうじゃないか。
「良いですか? 絶対振りむいちゃ駄目です!!」
そう言われると見たい……。幼女のおしっこ……。
それがどうということはないのだが、俺は無性にその水たまりが見たくなった。いや、これは知的好奇心だ。決して、悪趣味な野次馬根性などではない。後学のために、ちょっとだけ……。な……?
俺は必死で手を引くミーノにバレないようにちらりと振り向いた。
はっ……。
そのとき、俺は自分の身体がピタリと止まるのを感じた。自分の意志とは無関係に、身体が動かなくなり、それと同時に頭が物凄い勢いで回転していく。
まるで脳の端から端までが一瞬にして繋がったようなのだ。
そう、俺は確実にひらめきつつあった。
「分からないけど……間に合わないよ……」
「海にしてきたら良いだろう。後ろ向いといてやるから、おしっこしてこいよ」
「う、うん……誰にも言わないでね?」
ミーノは俺が言うとも言わないとも言わないうちから、海に向かって走っていった。そして、もぞもぞとワンピースをたくし上げたのを見て、俺は後ろを向いた。
排泄は生理現象だから仕方がない。どんな子だって普通にやることだし、身体は場所や時を選ばないのだ。
俺はあまり考えないようにしながらミーノが帰ってくるのを待っていた。
「ヤグラ君!! ヤグラ君っ!!」
どういうわけかミーノは血相を変えて、小走りになって帰ってきた。
「どうしたんだ?」
「ダメだよ!! 海で釣りをしてる人がいたの!」
「釣り?」
前を見ると確かに蓑笠をかぶって、木船を浮かべた老人が優雅に釣りをしている。
「私がパンツを下げたら、その人がこっちを見るんだもん!!」
「そんなの、海に身体を沈めてやれば分からないだろう」
「あっ……」
ミーノは今気が付いたように言った。この子、やっぱりちょっと抜けてるなあ。
「もう一回行って来いよ」
「ダメ……もう漏れちゃうよ!! ど、どうしよう!!」
ミーノは泣きそうになっている。
「分かった、分かった。俺が前に立っててやるから、海に背を向けてここでしろよ。海に背を向けてたら釣り人からも見えないし、前に俺がいたら、陸からも見えないだろう。な?」
「う、うん……。ぜったい振り向かないでね……」
「おう、振り向かないから」
俺はミーノに背を向けて、ぼんやりと立っていた。
じょぼ……じょぼ……、じょろじょろじょろじょろ……。
ヤベえ……すげえ生々しい音だ。
幼女の放尿音……。
おい、ヤグラ!! お前は、こんなことで心を乱す人間じゃないはずだ!!
ここが正念場だぞ、と俺は思った。
振り向かないのは当然として、音も聞かなかったことにするんだ。鼻から息をするなんて男として最低だ。心を乱されるな、悪趣味な悦びに目覚めるな。
俺がうちなる葛藤と戦っている間に、やがて音が消えていった。
「ふ、振り向いたら駄目ですからね? もうこのまま帰るんですから」
ミーノが俺の前に立って言った。
「いや、別に振り向かないよ……」
「だって、ちょっと水たまりになってるんです。だから、お片付けは今日は良いとして……ね? もう帰りましょう」
ミーノが俺の身体をぐいぐいと引っ張る。
いや、見たいとは思わないけど、それだけ禁止されると、ちょっとだけ見たくなっちゃうじゃないか。
「良いですか? 絶対振りむいちゃ駄目です!!」
そう言われると見たい……。幼女のおしっこ……。
それがどうということはないのだが、俺は無性にその水たまりが見たくなった。いや、これは知的好奇心だ。決して、悪趣味な野次馬根性などではない。後学のために、ちょっとだけ……。な……?
俺は必死で手を引くミーノにバレないようにちらりと振り向いた。
はっ……。
そのとき、俺は自分の身体がピタリと止まるのを感じた。自分の意志とは無関係に、身体が動かなくなり、それと同時に頭が物凄い勢いで回転していく。
まるで脳の端から端までが一瞬にして繋がったようなのだ。
そう、俺は確実にひらめきつつあった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる