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三章 クジ引き国王とツンデレメイドゾンビの幽霊
54話 ミーノの手伝いと熱い牛糞
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「わぁっ! クサい!! お酒飲んでるんですか?」
「たまにはいいだろ。自分の金で飲んでるんだし」
「くさいくさい!! こんなところにいたら病気になっちゃいますよ」
ミーノはそう言いながら、部屋の窓を開けて回った。
「それくらいで病気になったりしないよ」
「それ以上は駄目です!!」
ミーノはグラスに残ったワインを飲み干すと、俺の手を引いて歩き出した。
「お酒に逃げても卑屈になるばっかりじゃないですか。もう、行きますよ」
「行くって、どこに!?」
「私の家です。村役の当番が回ってきたんです。明日から牛の世話をしなきゃいけないんですけど、ミーノ一人じゃ大変ですから、手伝ってもらいますよ」
「そりゃあ手伝うのは良いけど、明日からでも……」
「ダメです。朝早くからしないと終わらないんですから」
ミーノは俺の手を引いて、宿屋の階段を降りていく。
「ヤグラ君はできることをやったんでしょう? それならそれで、いいじゃないですか」
「だけど、ミタカさんを救えなかった。内戦を未然に防ぐといった正義とは別の次元で、俺だけがミタカさんを救えたんだ」
「でも、一生懸命やってできなかったんだから、仕方ないじゃないですか。できることをやって、それでもだめだったら、今できることを探すんです。今できることが牛の世話しかないなら、牛の世話をするんです。腐ってるヤグラ君を連れて帰って、まともなご飯を食べさせることしかできないなら、それを実行するんです」
ミーノの手は熱かった。そして、小さく細い指に確かな力がこもっていた。
彼女のたくましさはどこから生まれるんだろうか。どうすればミーノのようにいつでも前向きに行動できるんだろうか。
彼女の小さい手から確かな熱が伝わってくる。
もう手を引かれる必要はなかった。
俺は彼女の手を握りかえし、自分の意志で彼女について歩いた。
「気持ちよく酔ってるんだから、説教は勘弁してほしいな」
酔いに任せて憎まれ口をきいてみた。
翌日の朝、俺はミーノに起こされ、牛小屋の掃除を手伝った。彼女は寝ている人を情け容赦なく起こす。鉄なべの中でオタマをかき鳴らす。あれは人類が鍋とオタマを発明して以来、最も嫌がられる起こし方だという。
笛を使って牛を外に誘導したあと、牛舎に入り、牛フンや散らかった牧草をまとめた。
それらはただ捨てるわけではなく、村はずれにある肥溜めへと持っていく。
粗末な小屋に近づくと、五メートル手前からでもかぐわしい匂いがただよってくる。ミーノは平気そうな顔をして小屋の扉を開けた。全くたくましい子だ。
「あっつ……!!」
どういうわけか、肥溜めの中はサウナのように熱がこもっていた。
「少し熱いですよね。肥料小屋なんで仕方ないですけど」
「なんでこんなに熱いんだ?」
俺はミーノの指示に従って、牛糞を肥溜めに流しいれ、そこに藁や枯れ枝を敷いて踏み固めて言った。
「なんでって言われても……、肥料って熱いんですよ。触ってみますか?」
ミーノは山になった肥料をスコップでひと救いした。
「え……、これ触るの?」
「たまにはいいだろ。自分の金で飲んでるんだし」
「くさいくさい!! こんなところにいたら病気になっちゃいますよ」
ミーノはそう言いながら、部屋の窓を開けて回った。
「それくらいで病気になったりしないよ」
「それ以上は駄目です!!」
ミーノはグラスに残ったワインを飲み干すと、俺の手を引いて歩き出した。
「お酒に逃げても卑屈になるばっかりじゃないですか。もう、行きますよ」
「行くって、どこに!?」
「私の家です。村役の当番が回ってきたんです。明日から牛の世話をしなきゃいけないんですけど、ミーノ一人じゃ大変ですから、手伝ってもらいますよ」
「そりゃあ手伝うのは良いけど、明日からでも……」
「ダメです。朝早くからしないと終わらないんですから」
ミーノは俺の手を引いて、宿屋の階段を降りていく。
「ヤグラ君はできることをやったんでしょう? それならそれで、いいじゃないですか」
「だけど、ミタカさんを救えなかった。内戦を未然に防ぐといった正義とは別の次元で、俺だけがミタカさんを救えたんだ」
「でも、一生懸命やってできなかったんだから、仕方ないじゃないですか。できることをやって、それでもだめだったら、今できることを探すんです。今できることが牛の世話しかないなら、牛の世話をするんです。腐ってるヤグラ君を連れて帰って、まともなご飯を食べさせることしかできないなら、それを実行するんです」
ミーノの手は熱かった。そして、小さく細い指に確かな力がこもっていた。
彼女のたくましさはどこから生まれるんだろうか。どうすればミーノのようにいつでも前向きに行動できるんだろうか。
彼女の小さい手から確かな熱が伝わってくる。
もう手を引かれる必要はなかった。
俺は彼女の手を握りかえし、自分の意志で彼女について歩いた。
「気持ちよく酔ってるんだから、説教は勘弁してほしいな」
酔いに任せて憎まれ口をきいてみた。
翌日の朝、俺はミーノに起こされ、牛小屋の掃除を手伝った。彼女は寝ている人を情け容赦なく起こす。鉄なべの中でオタマをかき鳴らす。あれは人類が鍋とオタマを発明して以来、最も嫌がられる起こし方だという。
笛を使って牛を外に誘導したあと、牛舎に入り、牛フンや散らかった牧草をまとめた。
それらはただ捨てるわけではなく、村はずれにある肥溜めへと持っていく。
粗末な小屋に近づくと、五メートル手前からでもかぐわしい匂いがただよってくる。ミーノは平気そうな顔をして小屋の扉を開けた。全くたくましい子だ。
「あっつ……!!」
どういうわけか、肥溜めの中はサウナのように熱がこもっていた。
「少し熱いですよね。肥料小屋なんで仕方ないですけど」
「なんでこんなに熱いんだ?」
俺はミーノの指示に従って、牛糞を肥溜めに流しいれ、そこに藁や枯れ枝を敷いて踏み固めて言った。
「なんでって言われても……、肥料って熱いんですよ。触ってみますか?」
ミーノは山になった肥料をスコップでひと救いした。
「え……、これ触るの?」
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