逆転の異世界生活~最強のチートスキルは『蠕動運動』でした。最高の逆転劇を見せてやる

先川(あくと)

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三章 クジ引き国王とツンデレメイドゾンビの幽霊

56話 頭がおかしいだって? 冴えすぎているくらいだ!!

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 こんな鍋に手を突っ込むなんて考えるのも痛い。それを嫌がる女の子に無理やりさせるのだから、胸糞が悪くなる。

 そのとき、魚が尾ひれで水底を叩いたように、俺の頭の中を泥が舞った。

 なぜかモヤモヤとしていて、気持ちが悪かった。何かが引っかかっていた。絡まった糸をほぐしたくなるような、じれったさを覚えた。
 泥が沈めば、そこに何かが現れるような気がした。俺は辛抱強く、モヤモヤとした感覚と向き合っていた。
 ミーノが鍋に卵を入れる。

鍋……。塩……。気圧……。沸点……。

「あ!!!」
 俺は思わず叫び、ミーノはたまらず耳を塞いだ。
「うるさいなあ……。急に大声を出さない!!」
「悪い……。でも、それどころじゃないんだ。急がなきゃ……。ミーノ!! うどんは後だ!!」
 俺はミーノの手を引くと、肥溜めに向かった。
「ミーノ、この牛フンをできるだけ多く牛車に乗せるんだ」
「どうしてですか?」
「悪いが説明している時間はない。牛車はいくつある?」
「牛も牛車は村で管理しているので、私が勝手に使うわけにはいきませんけど……。たぶん、五個くらいだと」
「よし、なら荷台に山ほど牛フンを載せて、牛で王都まで引いて行こう」


「ヤグラ君、頭がおかしくなっちゃったんですか?」
 ミーノが怪訝な顔をする。

「頭がおかしいどころか、冴えすぎてるくらいだぜ!! とにかく、説明は後でするから。牛フンがいるんだよ!!」
 突然、牛フンを王都まで運ぼうと言い出せば、狂人とみなされるのも無理はない。だが、俺は気にしなかった。スコップを使って荷台に牛フンを載せると、俺たちは王都に向かった。

「どうしたんだ、息を切らして」
 コフネさんは走ってきた俺を見て、眉根を寄せた。
 王都で俺はミーノと別行動をとっていた。ミーノには教会の裏手に牛糞を運び込んでもらっている。その間に、俺は急いでコフネさんに会いに行ったのだ。

「コフネさん!! 頼みがあります!!」

「頼み? お前は何しでかすか分からんからなあ。面倒ごとはごめんだぞ?」
「コフネさんは今日の熱湯裁判の進行を指示できる立場にあるんですよね?」
「神判だから、進行は神官が務めるがな。口出しくらいはできると思うぞ」
「それなら、ちょっとやってほしいことがあるんです」
 俺はコフネさんにあることを頼んだ。

「は? そりゃあ、それくらいはできるだろうけど、そんなことしてなんか意味あるのか?」

「おまじないみたいなものですよ。とにかく、お願いしますね!!」
 俺はコフネさんに千リラを握らせた。
「おい、これどういうつもりなんだ?」
「賄賂は社会の潤滑油。ですよ」
「イヤな潤滑油だな。まあ、受け取ったからにはやらせてもらいますけどね」
「ありがとうございます!! じゃあ、また後で現場で会いましょう!!」

 俺は挨拶もそこそこに事務室を飛び出した。
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