逆転の異世界生活~最強のチートスキルは『蠕動運動』でした。最高の逆転劇を見せてやる

先川(あくと)

文字の大きさ
61 / 97
三章 クジ引き国王とツンデレメイドゾンビの幽霊

61話 コフネさんの覚悟

しおりを挟む
 祭壇の上座に座っていたフリアーナ六世に、コフネさんが静かに近寄った。

 コフネさんはそれ以上言葉を続けなかった。
 フリアーナ六世は不機嫌そうな顔を一層不機嫌にした。

「結果が出た以上、彼女に関わるつもりはない。彼女の赤ん坊にもだ。もちろん臣下にも何も言わせん」

 コフネさんが首を振った。
 そして、泣きそうな顔になって絞り出すように言った。

「そうではありません。私は今回のことを言ってるのではないのです。これからも……こんな政治を続けるつもりですか? クジ引き国王と、あなたをあなどる臣下たちを前に、神の意向だと納得させながらこの国を動かしていく。そんなことを続けていくつもりですか?」

 あまりにも率直な物言いに会場が冷えていくのが分かった。コフネさん、そんなにはっきり言って大丈夫かよ……。

「確かに、真実を神の名のもとに明かしたとなれば、あなたの判断を否定するものはいなくなるでしょう。ですが、そんな」

 俺はフリアーナ六世の顔を見た。
 フリアーナ六世はコフネさんを睨んだ。

「身の程をわきまえろ!! 私にたてつくなど許された身か!!」
 フリアーナ六世の威圧感に、みなが委縮するのが分かった。その中でコフネさんだけがまっすぐ陛下を見つめていた。


「イヤです!! 今だけは、失礼を承知で言わせていただきます!! 陛下、どうか私を『左拾遺』に任命してください。もし、あなたが判断を誤れば、私があなたの失政を諫めましょう。あなたの判断が正しければ、私はあなたを指示し、周りの反発も私が沈めます。あなたをクジ引き国王だなんて言わせません!! 私は、別に自分の出世のために言ってるんではありません。私にあなたの政策を肯定できる官位を下さい!! 国中があなたを見くびっていても、私だけは、あなたの判断を尊重したいんです!!」

 コフネさんの声には強い覚悟がこもっていた。

 あとで聞いた話だが、『左拾遺』とは国王の通達する書類に事前に目を通すポジションだそうだ。国王の政策は、各省庁に下される前に一度『左拾遺』でチェックを受ける。

 『左拾遺』は政策の善悪を判断し、国王に意見する。悪政をあらかじめ防ぐことができ、さらに左拾遺が認めた政策と言えば、宰相や官僚を黙らせることができる。
 以前はかなり重大なポジションだったそうだが、いつの間にか「臣下の言うことを聞く民主的な王」というアピールのためだけに置かれ、形骸化していったという。
 フリアーナ六世はそれまで『左拾遺』を置いていなかったそうだ。
 なんでも周囲の臣下が『左拾遺』のポストが空いていることをひた隠しにしていたそうだ。先代の体制を維持するために。

 マツリゴトに疎かったフリアーナ六世は、コフネさんに言われるまで、そんな官位があることを知らなかったという。
 陛下は、コフネさんの訴えを黙って聞いていたが、長い沈黙ののちにふっと表情を緩めた。
「ふ、ふははは………………、やっぱり君は面白いな」

 フリアーナ六世が笑ったのを見て、コフネさんの目から涙があふれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

処理中です...