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最終章 最高の逆転劇
65話 その中に一人妙な男がいた。
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おじさんはその辺りの事情を知らないから首をかしげている。
そういうわけで、俺が最も人の目を気にせず、水を飲むには水が汲んであるところにザブンと尻を突っ込むしかないわけで、そうなると馬の水飲み場に限る。
俺はこの世界に来てから何度もこうして水を飲んでいた。
「良いんですよ、なんせここずっと暑いでしょう? 尻を水につけると体の芯から冷えるって、偉い魔導士の先生に教えてもらったんですよ」
俺が口から出まかせを言うと、おじさんは大いに感心し始めた。
「そうなんだ、それは知らなかったよ。そんなによく冷えるなら僕も一つやってみよう」
おじさんはそう言って、水槽の縁に腰掛けると、ジャボンと尻を漬けた。
「確かにこれは気持ちいいぞ。おい、ドルジ、お前もやってみろ」
おじさんは道行く知り合いに声をかけると、見習い剣術士の気の弱そうな男の肩を掴んで、水槽にザブンとつける。
おじさんは顔が広いらしく、親切心から道行く人を呼び止めると、次々に水槽に尻を漬けていく。尻を水槽に漬けられた人は皆不思議そうにおじさんを見た後で、隣にいる俺を睨みつけていく。
おじさんに妙な知恵をつけたのはこの男かと、厳しい視線を送ってくるのだ。
「良いですよ!! すごく身体が冷えてます。これで昼間めいっぱい動けますよ」
俺は妙なお世辞を言って、非難の目をやり過ごした。成り行きとは恐ろしいもので、こうして水飲み場に居合わせただけで、俺とおじさんは通行人を水飲み場に漬ける作業に従事するハメになった。
根が親切なおじさんだから、落ちているお金を交番に届けた小学生のような満足げな顔をしている。
俺は去っていく人の尻が濡れて色濃くなっているのを見て閃いた。
これは絶対流行らせるべきだ。
というのも、俺はこうやって水飲み場に尻を漬けるから、いつもズボンが濡れている。すると、お漏らしをしたと疑われて子どもにからかわれたり、優しいおばあちゃんから替えのパンツを貰ったりする。そのたびに断ったり、言い返したりするのが面倒なのだ。この異世界の住民、全員が尻を濡らしていればそんな気遣いはない。俺はこの習慣を濡れ尻主義と名付けよう。
俺はがぜんやる気を出して、道行く人の尻を水飲み場に漬けては、お世辞を言って王都へと送り出した。
その中に一人妙な男がいた。
そういうわけで、俺が最も人の目を気にせず、水を飲むには水が汲んであるところにザブンと尻を突っ込むしかないわけで、そうなると馬の水飲み場に限る。
俺はこの世界に来てから何度もこうして水を飲んでいた。
「良いんですよ、なんせここずっと暑いでしょう? 尻を水につけると体の芯から冷えるって、偉い魔導士の先生に教えてもらったんですよ」
俺が口から出まかせを言うと、おじさんは大いに感心し始めた。
「そうなんだ、それは知らなかったよ。そんなによく冷えるなら僕も一つやってみよう」
おじさんはそう言って、水槽の縁に腰掛けると、ジャボンと尻を漬けた。
「確かにこれは気持ちいいぞ。おい、ドルジ、お前もやってみろ」
おじさんは道行く知り合いに声をかけると、見習い剣術士の気の弱そうな男の肩を掴んで、水槽にザブンとつける。
おじさんは顔が広いらしく、親切心から道行く人を呼び止めると、次々に水槽に尻を漬けていく。尻を水槽に漬けられた人は皆不思議そうにおじさんを見た後で、隣にいる俺を睨みつけていく。
おじさんに妙な知恵をつけたのはこの男かと、厳しい視線を送ってくるのだ。
「良いですよ!! すごく身体が冷えてます。これで昼間めいっぱい動けますよ」
俺は妙なお世辞を言って、非難の目をやり過ごした。成り行きとは恐ろしいもので、こうして水飲み場に居合わせただけで、俺とおじさんは通行人を水飲み場に漬ける作業に従事するハメになった。
根が親切なおじさんだから、落ちているお金を交番に届けた小学生のような満足げな顔をしている。
俺は去っていく人の尻が濡れて色濃くなっているのを見て閃いた。
これは絶対流行らせるべきだ。
というのも、俺はこうやって水飲み場に尻を漬けるから、いつもズボンが濡れている。すると、お漏らしをしたと疑われて子どもにからかわれたり、優しいおばあちゃんから替えのパンツを貰ったりする。そのたびに断ったり、言い返したりするのが面倒なのだ。この異世界の住民、全員が尻を濡らしていればそんな気遣いはない。俺はこの習慣を濡れ尻主義と名付けよう。
俺はがぜんやる気を出して、道行く人の尻を水飲み場に漬けては、お世辞を言って王都へと送り出した。
その中に一人妙な男がいた。
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