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最終章 最高の逆転劇
74話 とにかくこの場を収めるんだ!
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「うっ!!」
ミーノは俺を見て戦慄していた。異形のものを見たように、顔を青ざめさせ、俺の顔の中央を直視している。いや、直視しているというより、目が離せないでいる。
「や、ヤグラ君!! なんなんですか、それは!!」
「いや、これはちょっと」
俺は慌てて口元を覆った。やってしまった!! 見られてしまった!! 一生誰にも見せるわけにはいかない、女神アオイの呪いを、最も見られたくない人に見られてしまった。
クソ、なんとかするんだ、ヤグラ、ケイスケ。ミーノは一瞬、俺の顔を見ただけだ。何かうまい言い訳を考えれば、勘違いが目の錯覚で済ませることができる。
俺は汗をダラダラ垂らしながら考えた。どうしよう。よりにもよってこのタイミングで入ってくるなんて……。
「いや……その……これはだな!」
「そ、それどうなってるんです? そのイソギンチャクみたいな口は!!」
「違うんだよ。これは、梅干しを食べたところなんだ!」
俺はとっさにそう言ってしまった。
「……え? 梅干し?」
「そうなんだよ。やっぱりそれだけで食うとめちゃくちゃ酸っぱくて、口をすぼめて耐えてたところだったんだよ」
「な、なるほど……すっぱくて口をすぼめていただけで、それは病気でも、悪魔のしるしでもないんですね?」
「全然!! 超酸っぱかっただけだから。俺、普通の人間だから。これからも仲良くしてくれないかな」
我ながら苦しい言い訳だと思った。確かにアニメなんかでは、梅干しを食べた後「*」の形になっている口を見たことがある。しかし、実際には口をいくらすぼめたところでケツの穴には見えない。
だが、幸いミーノは俺の口元を一瞬しか見ていない。一瞬なら、目の錯覚や、ちょっとした勘違いで言い逃れできるだろう。現に、ミーノは納得している。
ミーノは妖怪や怪物を見るような目をやめたが、それはすべてが解決したことを意味しなかった。ミーノは難しい顔をして、これまで起こったこととのつじつまを合わせようと頭を働かせていた。
「やっぱり……やっぱり、ヤグラ君が梅干し泥棒だったんですか?」
ミーノの表情がさらに険しくなる。
俺はしまったと思った。
今梅干しを食っていたとして、その梅を俺はどこでどうやって手に入れたというんだ? 王都でも梅干しは壺単位でしか売っていない。俺が梅干しの壺を持ち歩いてるなんてありえないことだ。そして、この村では今梅干し盗難事件が発生している。とすれば、辻褄の合う嘘をつくためには、俺は梅干し泥棒でなくてはいけない。
「そ、そうだったんだよ。ごめんな。俺、梅干しが大好きでさ。この村ではこんなに梅干しが大切だなんて知らなかったから、ちょっと食べちゃったんだよ」
「そ、そんな言い訳通用すると思ってるんですか!? 今朝だってブッフェさんちの台所から梅干しを盗ったくせに!! 私がどれだけ梅干しが大切か教えたじゃないですか」
「へ……?」
俺は調子はずれな声を出した。何? あの梅干し泥棒、今日もこの村から梅干しを盗ったのか? クソ、常習犯なのかよ!!
「どうしましたか? まだ言い訳があるんですか?」
「いや、えーっと、それはだな……」
俺はうろたえながら、次の言葉を探した。
「言い訳するんですか? ヤグラ君はこの期に及んで言い訳するような人なんですか?」
ミーノが眉を吊り上げて顔を寄せてくる。
駄目だ。言い訳のしようがない。俺は他にどうして良いか分からず、大変な勢いで跪いて、ミーノに向かって頭を下げた。
「すまん、ミーノ。俺、どうしても手癖が悪くて、つい、人の物を盗っちゃうくせがあるんだよ。俺も治そう、治そうと思ってるんだけど、病気みたいなもので、気が付いたら人の物を盗っちゃうんだよ」
なんで、他人の罪を進んでかぶろうとしてるんだよ!!
もっと他の言い訳を考えろ。それかいっそのことミーノに本当のことを話せ!!
もう一人の俺がそう叫ぶが、怯え切った俺が言う。
黙れ!! とにかくこの場を収めて、あとで更生したことにすればいいじゃないかよ。人を殺したわけじゃないんだ。窃盗だって犯罪には違いないが、取り返しはつくはずだ。
ミーノは俺を見て戦慄していた。異形のものを見たように、顔を青ざめさせ、俺の顔の中央を直視している。いや、直視しているというより、目が離せないでいる。
「や、ヤグラ君!! なんなんですか、それは!!」
「いや、これはちょっと」
俺は慌てて口元を覆った。やってしまった!! 見られてしまった!! 一生誰にも見せるわけにはいかない、女神アオイの呪いを、最も見られたくない人に見られてしまった。
クソ、なんとかするんだ、ヤグラ、ケイスケ。ミーノは一瞬、俺の顔を見ただけだ。何かうまい言い訳を考えれば、勘違いが目の錯覚で済ませることができる。
俺は汗をダラダラ垂らしながら考えた。どうしよう。よりにもよってこのタイミングで入ってくるなんて……。
「いや……その……これはだな!」
「そ、それどうなってるんです? そのイソギンチャクみたいな口は!!」
「違うんだよ。これは、梅干しを食べたところなんだ!」
俺はとっさにそう言ってしまった。
「……え? 梅干し?」
「そうなんだよ。やっぱりそれだけで食うとめちゃくちゃ酸っぱくて、口をすぼめて耐えてたところだったんだよ」
「な、なるほど……すっぱくて口をすぼめていただけで、それは病気でも、悪魔のしるしでもないんですね?」
「全然!! 超酸っぱかっただけだから。俺、普通の人間だから。これからも仲良くしてくれないかな」
我ながら苦しい言い訳だと思った。確かにアニメなんかでは、梅干しを食べた後「*」の形になっている口を見たことがある。しかし、実際には口をいくらすぼめたところでケツの穴には見えない。
だが、幸いミーノは俺の口元を一瞬しか見ていない。一瞬なら、目の錯覚や、ちょっとした勘違いで言い逃れできるだろう。現に、ミーノは納得している。
ミーノは妖怪や怪物を見るような目をやめたが、それはすべてが解決したことを意味しなかった。ミーノは難しい顔をして、これまで起こったこととのつじつまを合わせようと頭を働かせていた。
「やっぱり……やっぱり、ヤグラ君が梅干し泥棒だったんですか?」
ミーノの表情がさらに険しくなる。
俺はしまったと思った。
今梅干しを食っていたとして、その梅を俺はどこでどうやって手に入れたというんだ? 王都でも梅干しは壺単位でしか売っていない。俺が梅干しの壺を持ち歩いてるなんてありえないことだ。そして、この村では今梅干し盗難事件が発生している。とすれば、辻褄の合う嘘をつくためには、俺は梅干し泥棒でなくてはいけない。
「そ、そうだったんだよ。ごめんな。俺、梅干しが大好きでさ。この村ではこんなに梅干しが大切だなんて知らなかったから、ちょっと食べちゃったんだよ」
「そ、そんな言い訳通用すると思ってるんですか!? 今朝だってブッフェさんちの台所から梅干しを盗ったくせに!! 私がどれだけ梅干しが大切か教えたじゃないですか」
「へ……?」
俺は調子はずれな声を出した。何? あの梅干し泥棒、今日もこの村から梅干しを盗ったのか? クソ、常習犯なのかよ!!
「どうしましたか? まだ言い訳があるんですか?」
「いや、えーっと、それはだな……」
俺はうろたえながら、次の言葉を探した。
「言い訳するんですか? ヤグラ君はこの期に及んで言い訳するような人なんですか?」
ミーノが眉を吊り上げて顔を寄せてくる。
駄目だ。言い訳のしようがない。俺は他にどうして良いか分からず、大変な勢いで跪いて、ミーノに向かって頭を下げた。
「すまん、ミーノ。俺、どうしても手癖が悪くて、つい、人の物を盗っちゃうくせがあるんだよ。俺も治そう、治そうと思ってるんだけど、病気みたいなもので、気が付いたら人の物を盗っちゃうんだよ」
なんで、他人の罪を進んでかぶろうとしてるんだよ!!
もっと他の言い訳を考えろ。それかいっそのことミーノに本当のことを話せ!!
もう一人の俺がそう叫ぶが、怯え切った俺が言う。
黙れ!! とにかくこの場を収めて、あとで更生したことにすればいいじゃないかよ。人を殺したわけじゃないんだ。窃盗だって犯罪には違いないが、取り返しはつくはずだ。
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