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最終章 最高の逆転劇
96話 俺はそれに賭けてみることにした
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「それは自殺行為だろ。滑るって言ってもすごい高さだぞ? 転がり落ちてるうちに、全身複雑骨折だ」
ミーノは答える代わりに麻袋を突き出した。
「それがどうしたんだ?」
「良いですか? この麻袋はミーノの畑の収穫箱に繋がっています」
「そういえば、そうだったな」
「この袋にどっちかが先に入って、もう一人が斜面を滑り出すと同時に、袋の中に入るんです。袋の中は収穫箱ですから、どこをどんなふうに転げ落ちても、衝撃を受けることはありません」
「そんな理屈ってありか?」
俺が首をかしげると、ミーノはハッキリした口調で言った。
「経験上、あってるとおもいますよ。今までにもこの袋をぶつけたり、振り回したりしたことはありましたけど、中の野菜が潰れてたことは一度もありませんから」
確かに、ミーノはその麻袋をかなり雑に扱っていた。ハエを追うときに振り回すこともあったし、地面に座るときに尻に敷くこともあった。中の野菜が潰れるなら、そんな風には扱わないはずだ。
他に選択肢があるわけでもない。
俺はそれに賭けてみることにした。
話し合った結果、ミーノが先に麻袋の中に入り、俺が崖を滑り落ちると同時に、あとから袋に入ることにした。後の人は、失敗したときに大けがを負うリスクがあるからな。
「じゃあ、また後でな」
「はい、袋の中で待ってますね」
ミーノは俺がめいいっぱいに開いた袋の口に頭から入って行った。ミーノが入ったあとも袋は前と変わらず、ただ底の方のみが小さく膨らんでいた。俺は山の斜面に足を投げ出すように座ると、両足を袋の中に突っ込んだ。あとは手で身体を押し出したあと、ふもとの村まで滑り落ちながら、身体を袋の中に突っ込むだけだ。
その後、機を見て、麻袋の外に出ればいい。
俺は呼吸を整えて、チラリと背後を見た。うねった山道の向こうから、村人の持つ松明の火が見え始めていた。
出来ても、出来なくてもやるしかない。とにかく、追手から逃げ出して、濡れ衣を晴らそう。それから真犯人を掴まえて、俺をこんな目に合わせてくれたお返しをたっぷりしてやらなくちゃいけない。
こんなところで、村人たちにリンチにされるのはごめんだ。
村人はもう背後まで迫っており、俺の手までもが松明の光で赤く染まっていた。
「よし」
俺は暗い闇の底に目をやると、村人の怒声を背に山道から身を投げ出した。
ミーノは答える代わりに麻袋を突き出した。
「それがどうしたんだ?」
「良いですか? この麻袋はミーノの畑の収穫箱に繋がっています」
「そういえば、そうだったな」
「この袋にどっちかが先に入って、もう一人が斜面を滑り出すと同時に、袋の中に入るんです。袋の中は収穫箱ですから、どこをどんなふうに転げ落ちても、衝撃を受けることはありません」
「そんな理屈ってありか?」
俺が首をかしげると、ミーノはハッキリした口調で言った。
「経験上、あってるとおもいますよ。今までにもこの袋をぶつけたり、振り回したりしたことはありましたけど、中の野菜が潰れてたことは一度もありませんから」
確かに、ミーノはその麻袋をかなり雑に扱っていた。ハエを追うときに振り回すこともあったし、地面に座るときに尻に敷くこともあった。中の野菜が潰れるなら、そんな風には扱わないはずだ。
他に選択肢があるわけでもない。
俺はそれに賭けてみることにした。
話し合った結果、ミーノが先に麻袋の中に入り、俺が崖を滑り落ちると同時に、あとから袋に入ることにした。後の人は、失敗したときに大けがを負うリスクがあるからな。
「じゃあ、また後でな」
「はい、袋の中で待ってますね」
ミーノは俺がめいいっぱいに開いた袋の口に頭から入って行った。ミーノが入ったあとも袋は前と変わらず、ただ底の方のみが小さく膨らんでいた。俺は山の斜面に足を投げ出すように座ると、両足を袋の中に突っ込んだ。あとは手で身体を押し出したあと、ふもとの村まで滑り落ちながら、身体を袋の中に突っ込むだけだ。
その後、機を見て、麻袋の外に出ればいい。
俺は呼吸を整えて、チラリと背後を見た。うねった山道の向こうから、村人の持つ松明の火が見え始めていた。
出来ても、出来なくてもやるしかない。とにかく、追手から逃げ出して、濡れ衣を晴らそう。それから真犯人を掴まえて、俺をこんな目に合わせてくれたお返しをたっぷりしてやらなくちゃいけない。
こんなところで、村人たちにリンチにされるのはごめんだ。
村人はもう背後まで迫っており、俺の手までもが松明の光で赤く染まっていた。
「よし」
俺は暗い闇の底に目をやると、村人の怒声を背に山道から身を投げ出した。
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