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1章 魔王の転生

4話 お忍びの王家

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スラム街の人達は意外と優しく、協力しあって生活していた。玲もいろんなことを教えてもらったし、そのおかげで生きていることを実感していた。

玲も生活になれてきたころ、「王族と別の場所にあるスラム街から少年がやってくる」という噂が流れ始めた。王族が来るわけない、と信じていないものも多かったが、数時間後にそれは覆された。身なりの良い親子と、この辺りでは見たことないボロボロな見た目をした7歳程の少年がやってきたのだ。

(あれは…黒神の家で玲が兄さんと呼んでいた人物ではなかったか?)

王子と思われる同じく7歳程の少年は玲達が座っている通路を覗き込むと、兄(?)と話し始めた。一区切りついたかのタイミングで兄(?)も通路を覗き込んだ。すると嬉しそうな顔をして、王子に何か一言かけると玲の方に向かって走り寄って来た。

「玲!」
「…兄さん?」
「そうだよ!玲が生きててくれて良かった…」

周りの人間は皆驚く。

(まあ、当たり前の反応だな…
にしても玲の兄さんの称号は凄いな。8歳で神候補とは…)

どんな場所でも警戒(?)を怠らないレイであった。


玲が一筋の涙を流す。

「兄さん…」

感動の再開を果たす中、王子と国王が歩いてくる。

「君が黒神玲君であっているね?」
「そうです。この子が僕の弟です。」
「誰?」

空気を読まないこの声は勿論玲だ。

「玲!失礼だよ!」
「ハッハッハ。俺はニール=ルート。この国の国王をやっているよ。」
「ん。僕は玲。よろしく。」
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