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1-1.妖精卿との出会いと平穏の崩壊編1
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転生した俺に魔法の才能はなかったが、保護施設に拾われて平穏に生きてきた。
けれど成人した途端に殺し合いと凌辱を命じられ、兄弟のように育ってきた少年から刃を突き付けられている。
はずだった。
「そのお友達、殺してしまうなら私にください。今度は大切にしますから」
まず目に入ったのはその人の風貌よりも、夜の施設内でも輝く薄透明の翅だった。
それを生やした青年は身なりが整っていて、悲鳴と嬌声が木霊する場所には不釣り合いに美しい。
(切り揃えられた髪と高級品の眼鏡、細かい意匠の服。有能な子供を買う貴族か)
慈善組織だと思っていた施設は、魔力の高い子供を売る為に営まれていた。
そして魔力を取り込むには他者の血を啜るか、性的接触を行う必要がある。
(だから生き残りをかけて子供たちに決闘させ、それすらも施設は見世物にした)
であれば彼はこの惨状を観覧しに来たか、引き取る子供を見定めに来たのか。
けれど翅を持つ青年を目の当たりにした瞬間、少年は刃を放り投げた。
「っダメ、グレイシスは渡さない! グレイシス、危ないから離れて!」
「なんで今更、手の平を返すの。ディーロ」
刃を手に迫ってきていた少年、ディーロは身を翻して俺と青年の間に立ち塞がる。
けれどそんな風に庇われたって、既に失われた信頼は取り戻せない。
「その魔道具で、俺を殺そうとしていたくせに」
施設長から殺し合いを命じられた時に、俺たちは施設からの逃走を選択した。
けれど施設を囲う壁に阻まれて、彼は隠していた刃を振り翳す道を選んだ。
(本気で命が掛かっている状況だから、責めたくはない。でもずっと一緒にいたから、裏切られたと感じてしまう)
異常な状況で保身を図るのは普通だし、それがディーロの本性とは思っていない。
それでも共に生きてきた仲間だから、刃を向けられた事実が心に圧し掛かる。
「グレイシスは分かってない、この人が誰か! ただの人間じゃないんだよ!?」
「で、グレイシスでしたっけ。貴方はどうしたいんですか? このままだと殺されるみたいですけど」」
裏切られて疑心暗鬼に陥る俺を、翅が生えた青年は興味深そうに見下ろしている。
けれどこの状況で俺の意思を問われても、すぐに解答できるはずもない。
「……アンタの目的が分かるまでは、簡単に返事できないよ。ディーロもアンタも、俺にとっては等しく信用できないんだから」
彼は施設の子供を買いに来た貴族だろうけど、その後の目的が俺には分からない。
なけなしの魔力目的か、愛玩目的か、暴力や人身販売される道だってあり得た。
しかし鋭い視線に晒された青年は不思議そうに瞬き、それから優しげに微笑んだ。
「私は同類になってくれる方を探してるんです、みんないなくなってしまったので」
「そりゃそうでしょ、だってアンタは追放された混血妖精だ。根本的に、人とは違」
目尻を緩めて近づく青年とは反対に、ディーロは両手を広げて立ち塞がっている。
しかし青年はディーロの行動など意にも介さず、大規模魔法を行使した。
(すごいな。脅かす為の魔法だったんだろうけど、施設の壁が一瞬で崩壊した)
脳を揺らすような轟音と魔力が迸って、施設を囲む壁が硝子のように砕け散った。
ディーロは吹き飛ばされ、規格外の魔法を目にした恐怖で動けなくなっている。
「私は人ですよ、混血であっても。だから最初から拒否されるのは心外ですね」
人外扱いされたことが納得いかなかったのか、青年の声音が低くなる。
しかし俺に振り向いた時には柔和な表情に戻っていて、その急激な変化が情緒の不安定さを匂わせていた。
(けれど俺だって魔法を使えるようになれば、誰かに脅かされずに済む。無慈悲な命令の前で、絶望しなくてよくなるんだ)
誰もがひれ伏す魔法が使えれば、施設長の言葉に影響されることもなかった。
だから俺は俯きかけていた顔を上げて、青年に交渉を持ち掛ける。
「いいよ、アンタのいう同類になってあげる。だから俺に魔法を教えて!」
「えぇ、もちろん。どうせなら私を殺せるくらい、強くなってくださいね!」
了承の言葉を聞き届けた青年は、軽々と俺を抱き上げて視線を合わせてきた。
翅と同じ虹彩の瞳は、彼と対照的にみすぼらしい俺の姿を映している。
(身長だけは伸びたけど、それだけだ。目の光も死んでるし)
伸びっぱなしの髪、丈の合わない誰かのお下がりの服、不健康な色の肌。
施設じゃ珍しくない外見だけど、この青年と並ぶと一層自分が惨めに思えた。
けれど青年は俺の容姿を気にすることもなく、足取り軽く歩き出した。
「だめ、だよグレイシス。その人に、ついて行っちゃ」
施設から遠ざかる俺たちの背中に、ディーロの泣きそうな声が追い縋ってくる。
けれどその音も広げられた翅で遮られて、表情を窺うことすらできなかった。
「ではそろそろ帰りましょうか、グレイシス。それと私の名前はヴァルネラです、ちゃんと覚えてくださいね」
そして翅が羽ばたくと体が浮き上がる感覚がして、思わず青年にしがみつく。
――気づいた時には施設からは既に離れ、見知らぬ屋敷の前に移動していた。
(でもなんだろう、この屋敷って違和感があるな。広いのに空虚というか)
大豪邸と言っても過言ではない建物だが、どこか作り物めいた雰囲気を感じる。
そして屋敷に入ると、ここが人が暮らす為の場所ではないことに気づいた。
「ここが今日から、貴方の家となる屋敷です。でも今の貴方には不自由でしょうから、不足があれば遠慮なく言ってくださいね」
見た目こそ人の家を真似ているが、玩具の家のように風呂や台所がない。
廊下から見える部屋にも生活感がなく、ただそこに存在しているだけだった。
「そっか。魔法を使えると、最低限の部屋で生活できるのか」
「えぇ。魔力があれば食事は不要ですし、身支度も魔法で済みますから」
そう言うヴァルネラは、自身の言動が人から離れているものだと気づいていない。
であれば他の違和感に言及して、機嫌を損ねるのも避けた方が良さそうだった。
(場所によっては、壁とかが破壊されてる。口には出さないけどさ)
内装は豪奢だが窓は粉砕され、鎖に似た魔法陣を抉るように壁が破壊されている。
これにはなにかを閉じ込めようとしていた意図を感じ、俺は背筋が寒くなった。
「あ、でも荒れ放題のまま屋敷に招くべきではありませんでしたね。今、直します」
そう呟くと、俺の来訪に気を遣ったヴァルネラが歩きながら修繕魔法を行使する。
崩れて原型のなくなった階段が形を取り戻し、俺たちを屋敷の奥へと導いていた。
「貴方が魔法使いになるまで、人向けの施設も作りますから。遠慮はいりませんよ」
「さすがだね、妖精卿は」
ぽつりと呟いた俺の言葉に、今まで流暢に動いていたヴァルネラの歩みが止まる。
彼は無言で俺を見下ろした後、抱き上げたままの俺に端正な顔を寄せてきた。
「ご存知でしたか。私の正体を知る人は、同類になってくれないと思っていたのに」
「噂に聞いてたってだけ。妖精の力を持ち、誰にも制御できず追放された魔法使い」
強大な魔法使いを輩出することに腐心する貴族は、子供を日夜弄り続けている。
しかし研究の果てに生まれた彼は、最高傑作にも関わらず放逐された。
(貴族は自分たちを超える魔法使いを、道具のように扱いたかっただけだ。だから手に余るとなれば処分を決める)
けれど極まった魔法使いを殺すことは、半端な魔法使いが束になっても叶わない。
最終的に適当な爵位を与え、領地と称した屋敷に封じるのが限界だったのだろう。
(でも封印を壊された屋敷を見るまでは、俺も半信半疑だった。というかここまでだとは思っていなかった)
施設で魔法を使える者は碌にいなくて、せいぜい悪戯や家事を手伝う程度だった。
だから彼が屋敷に張り巡らされた封印魔法を崩壊させ、詠唱もせず修繕してしまう存在だとは想像もできなかった。
「今更で悪いけど俺、多分アンタの期待には応えられないよ。異世界転生者なのに、魔法が全く使えないから」
助けておいてもらって申し訳ないが、多分俺は願いに応えられる器じゃない。
妖精卿が求める同類は恐らく特別な資質を持つ者で、きっと俺ではなかった。
けれどヴァルネラは俺を抱き直し、再び廊下を歩き始める。
「やり方が悪いだけですよ。体が魔力に慣れてないので、私が教えて差し上げます」
そして辿り着いた一室で俺は寝台に降ろされ、ヴァルネラも隣に乗り上げてくる。
改めて向き合うと彼の容貌は、同性でも見惚れる程に整っていることに気づいた。
「寝室で、魔法なんて教えられるの? 魔導書も杖も見当たらないのに」
「貴方には魔法の使い方より先に、体に魔力を馴染ませた方が良いでしょう」
美貌に気を取られているうちに肩を押されて、俺は仰向けに倒れ込んでしまった。
そして俺の足の間にヴァルネラが体を滑り込ませ、どこにも逃げられなくなる。
「では服を全て脱いで。貴方の魔力を、体表に引き上げます」
けれど成人した途端に殺し合いと凌辱を命じられ、兄弟のように育ってきた少年から刃を突き付けられている。
はずだった。
「そのお友達、殺してしまうなら私にください。今度は大切にしますから」
まず目に入ったのはその人の風貌よりも、夜の施設内でも輝く薄透明の翅だった。
それを生やした青年は身なりが整っていて、悲鳴と嬌声が木霊する場所には不釣り合いに美しい。
(切り揃えられた髪と高級品の眼鏡、細かい意匠の服。有能な子供を買う貴族か)
慈善組織だと思っていた施設は、魔力の高い子供を売る為に営まれていた。
そして魔力を取り込むには他者の血を啜るか、性的接触を行う必要がある。
(だから生き残りをかけて子供たちに決闘させ、それすらも施設は見世物にした)
であれば彼はこの惨状を観覧しに来たか、引き取る子供を見定めに来たのか。
けれど翅を持つ青年を目の当たりにした瞬間、少年は刃を放り投げた。
「っダメ、グレイシスは渡さない! グレイシス、危ないから離れて!」
「なんで今更、手の平を返すの。ディーロ」
刃を手に迫ってきていた少年、ディーロは身を翻して俺と青年の間に立ち塞がる。
けれどそんな風に庇われたって、既に失われた信頼は取り戻せない。
「その魔道具で、俺を殺そうとしていたくせに」
施設長から殺し合いを命じられた時に、俺たちは施設からの逃走を選択した。
けれど施設を囲う壁に阻まれて、彼は隠していた刃を振り翳す道を選んだ。
(本気で命が掛かっている状況だから、責めたくはない。でもずっと一緒にいたから、裏切られたと感じてしまう)
異常な状況で保身を図るのは普通だし、それがディーロの本性とは思っていない。
それでも共に生きてきた仲間だから、刃を向けられた事実が心に圧し掛かる。
「グレイシスは分かってない、この人が誰か! ただの人間じゃないんだよ!?」
「で、グレイシスでしたっけ。貴方はどうしたいんですか? このままだと殺されるみたいですけど」」
裏切られて疑心暗鬼に陥る俺を、翅が生えた青年は興味深そうに見下ろしている。
けれどこの状況で俺の意思を問われても、すぐに解答できるはずもない。
「……アンタの目的が分かるまでは、簡単に返事できないよ。ディーロもアンタも、俺にとっては等しく信用できないんだから」
彼は施設の子供を買いに来た貴族だろうけど、その後の目的が俺には分からない。
なけなしの魔力目的か、愛玩目的か、暴力や人身販売される道だってあり得た。
しかし鋭い視線に晒された青年は不思議そうに瞬き、それから優しげに微笑んだ。
「私は同類になってくれる方を探してるんです、みんないなくなってしまったので」
「そりゃそうでしょ、だってアンタは追放された混血妖精だ。根本的に、人とは違」
目尻を緩めて近づく青年とは反対に、ディーロは両手を広げて立ち塞がっている。
しかし青年はディーロの行動など意にも介さず、大規模魔法を行使した。
(すごいな。脅かす為の魔法だったんだろうけど、施設の壁が一瞬で崩壊した)
脳を揺らすような轟音と魔力が迸って、施設を囲む壁が硝子のように砕け散った。
ディーロは吹き飛ばされ、規格外の魔法を目にした恐怖で動けなくなっている。
「私は人ですよ、混血であっても。だから最初から拒否されるのは心外ですね」
人外扱いされたことが納得いかなかったのか、青年の声音が低くなる。
しかし俺に振り向いた時には柔和な表情に戻っていて、その急激な変化が情緒の不安定さを匂わせていた。
(けれど俺だって魔法を使えるようになれば、誰かに脅かされずに済む。無慈悲な命令の前で、絶望しなくてよくなるんだ)
誰もがひれ伏す魔法が使えれば、施設長の言葉に影響されることもなかった。
だから俺は俯きかけていた顔を上げて、青年に交渉を持ち掛ける。
「いいよ、アンタのいう同類になってあげる。だから俺に魔法を教えて!」
「えぇ、もちろん。どうせなら私を殺せるくらい、強くなってくださいね!」
了承の言葉を聞き届けた青年は、軽々と俺を抱き上げて視線を合わせてきた。
翅と同じ虹彩の瞳は、彼と対照的にみすぼらしい俺の姿を映している。
(身長だけは伸びたけど、それだけだ。目の光も死んでるし)
伸びっぱなしの髪、丈の合わない誰かのお下がりの服、不健康な色の肌。
施設じゃ珍しくない外見だけど、この青年と並ぶと一層自分が惨めに思えた。
けれど青年は俺の容姿を気にすることもなく、足取り軽く歩き出した。
「だめ、だよグレイシス。その人に、ついて行っちゃ」
施設から遠ざかる俺たちの背中に、ディーロの泣きそうな声が追い縋ってくる。
けれどその音も広げられた翅で遮られて、表情を窺うことすらできなかった。
「ではそろそろ帰りましょうか、グレイシス。それと私の名前はヴァルネラです、ちゃんと覚えてくださいね」
そして翅が羽ばたくと体が浮き上がる感覚がして、思わず青年にしがみつく。
――気づいた時には施設からは既に離れ、見知らぬ屋敷の前に移動していた。
(でもなんだろう、この屋敷って違和感があるな。広いのに空虚というか)
大豪邸と言っても過言ではない建物だが、どこか作り物めいた雰囲気を感じる。
そして屋敷に入ると、ここが人が暮らす為の場所ではないことに気づいた。
「ここが今日から、貴方の家となる屋敷です。でも今の貴方には不自由でしょうから、不足があれば遠慮なく言ってくださいね」
見た目こそ人の家を真似ているが、玩具の家のように風呂や台所がない。
廊下から見える部屋にも生活感がなく、ただそこに存在しているだけだった。
「そっか。魔法を使えると、最低限の部屋で生活できるのか」
「えぇ。魔力があれば食事は不要ですし、身支度も魔法で済みますから」
そう言うヴァルネラは、自身の言動が人から離れているものだと気づいていない。
であれば他の違和感に言及して、機嫌を損ねるのも避けた方が良さそうだった。
(場所によっては、壁とかが破壊されてる。口には出さないけどさ)
内装は豪奢だが窓は粉砕され、鎖に似た魔法陣を抉るように壁が破壊されている。
これにはなにかを閉じ込めようとしていた意図を感じ、俺は背筋が寒くなった。
「あ、でも荒れ放題のまま屋敷に招くべきではありませんでしたね。今、直します」
そう呟くと、俺の来訪に気を遣ったヴァルネラが歩きながら修繕魔法を行使する。
崩れて原型のなくなった階段が形を取り戻し、俺たちを屋敷の奥へと導いていた。
「貴方が魔法使いになるまで、人向けの施設も作りますから。遠慮はいりませんよ」
「さすがだね、妖精卿は」
ぽつりと呟いた俺の言葉に、今まで流暢に動いていたヴァルネラの歩みが止まる。
彼は無言で俺を見下ろした後、抱き上げたままの俺に端正な顔を寄せてきた。
「ご存知でしたか。私の正体を知る人は、同類になってくれないと思っていたのに」
「噂に聞いてたってだけ。妖精の力を持ち、誰にも制御できず追放された魔法使い」
強大な魔法使いを輩出することに腐心する貴族は、子供を日夜弄り続けている。
しかし研究の果てに生まれた彼は、最高傑作にも関わらず放逐された。
(貴族は自分たちを超える魔法使いを、道具のように扱いたかっただけだ。だから手に余るとなれば処分を決める)
けれど極まった魔法使いを殺すことは、半端な魔法使いが束になっても叶わない。
最終的に適当な爵位を与え、領地と称した屋敷に封じるのが限界だったのだろう。
(でも封印を壊された屋敷を見るまでは、俺も半信半疑だった。というかここまでだとは思っていなかった)
施設で魔法を使える者は碌にいなくて、せいぜい悪戯や家事を手伝う程度だった。
だから彼が屋敷に張り巡らされた封印魔法を崩壊させ、詠唱もせず修繕してしまう存在だとは想像もできなかった。
「今更で悪いけど俺、多分アンタの期待には応えられないよ。異世界転生者なのに、魔法が全く使えないから」
助けておいてもらって申し訳ないが、多分俺は願いに応えられる器じゃない。
妖精卿が求める同類は恐らく特別な資質を持つ者で、きっと俺ではなかった。
けれどヴァルネラは俺を抱き直し、再び廊下を歩き始める。
「やり方が悪いだけですよ。体が魔力に慣れてないので、私が教えて差し上げます」
そして辿り着いた一室で俺は寝台に降ろされ、ヴァルネラも隣に乗り上げてくる。
改めて向き合うと彼の容貌は、同性でも見惚れる程に整っていることに気づいた。
「寝室で、魔法なんて教えられるの? 魔導書も杖も見当たらないのに」
「貴方には魔法の使い方より先に、体に魔力を馴染ませた方が良いでしょう」
美貌に気を取られているうちに肩を押されて、俺は仰向けに倒れ込んでしまった。
そして俺の足の間にヴァルネラが体を滑り込ませ、どこにも逃げられなくなる。
「では服を全て脱いで。貴方の魔力を、体表に引き上げます」
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