【完結】体を代償に魔法の才能を得る俺は、無邪気で嫉妬深い妖精卿に執着されている

秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)

文字の大きさ
28 / 40

9-5.妖精卿と舞踏会編5【R-18:媚薬プレイ】

しおりを挟む
 余裕のない俺に言い聞かせるように、ヴァルネラは何度も額に唇を落とす。
 優しい触れ方に胸が苦しくなり、気を紛らわせたくて俺は挿入を急かした。

「もういいから。俺の中に、早く挿れてよぉ……!」
「あと少しだけ。貴方も痛いのは嫌でしょう?」

 彼は丁寧に俺の体を解き解していくが、意識してしまった疼きは増す一方だった。
 後孔は貪欲に指先を咥え込んているのに、本当に欲しいものは与えられない。

(もう我慢できない。……そういえばこの間、店で媚薬を買ってたはず)

 俺は寝台に転がっていた媚薬の存在を思い出し、腕を伸ばして引き寄せる。
 そして一気に煽って口に含み、そのままヴァルネラにも唇を押し付けた。

「グレイシス、なにをしてるんですか。え、それって、っん」
「俺を焦らすのが悪い。これでヴァルネラも、我慢できないでしょ」

 媚薬を口移しで飲ませると、彼は驚いた後に大人しく嚥下してくれた。
 そして俺の唾液が混じった媚薬を飲み込んだ直後、ヴァルネラの目つきが変わる。

(後で後悔するかもしれないけど、これ以上は本当に待てない)

 俺は乱れていないヴァルネラの下履きに手を掛け、彼の陰茎を勝手に取り出す。
 それは既に硬く張り詰めていて、口の端が吊り上がるのを我慢できなかった。

「ね、今なら激しくしてもいいから。早く、俺をめちゃくちゃにしてよ」
「貴方って人は。……もう、どうなっても知りませんからね!」

 俺が煽るとヴァルネラは指を引き抜き、自身を乱暴に扱いて挿入に備え始める。
 その光景に釘付けになりながらも、俺は心臓が痛いくらいに高鳴っていた。

(ヴァルネラに覆い被さられて、興奮してるんだ俺。変わっちゃったな)

 再び先端が押し当てられると、重い熱量が体内をかき分けながら侵入してくる。
 俺は仰け反って喘ぎながら、奥に進んでいく陰茎の感触に感じ入っていた。

「んっ、ヴァルネラの、やっぱり大きいね。お腹に当たってるの、熱い……」
「う、上から撫でて煽らないでください! もう、動きますからね!」

 ヴァルネラがそう叫ぶと馴染ませるような動きから、一気に奥まで貫いてくる。
 俺は押し寄せる快楽にのまれて、濁った嬌声を上げた。

「んあああ゛っ! 奥、いきなり深いところまできてる……!」

 散々解されたとはいえ、大した抵抗もなく俺の体はヴァルネラを受け入れる。
 そして媚薬を使われた体は、すぐに絶頂へと上り詰めていった。

「もう何度も体を重ねていますからね、体も、私の形を覚えてるんでしょう」
「や、そんなこと言わないで! んあっ! やぁっ、そこ好きぃ……!」

 抽送のたびに前立腺を擦られて、俺はヴァルネラの体に縋りついて喘ぐ。
 彼はそんな俺の体を抱え込み、更に奥へと入り込もうとしてきた。

(いつもより深く挿さってて、快感に頭がおかしくなっていく。いつもより乱暴に抱かれてるのに、苦しくて気持ちいい)

 媚薬はヴァルネラにも強い影響を及ぼし、獣のように腰を動かして何度も果てる。
 俺の中は白濁で溢れ返り、収まりきらなかった分が太腿を濡らした。

「っ、ん。……あは、中から溢れてますね」
「だってヴァルネラが、ぁんっ! 中で動くから、……ひぁあっ!」

 腰を回すようにして陰茎で掻き混ぜられると、粘着質な音が部屋に響き渡る。
 その音すら俺には興奮材料になってしまい、彼を締め付けて悦んでしまう。

「っは、ぁ! んあ゛、あっ! また、いきそう……!」
「いいですよグレイシス、一緒にいきましょうか。くっ……!」

 ヴァルネラが息を詰めたと同時に、熱い飛沫が体内に放たれて思考が焼ける。
 けれど脈打つそれは未だ萎えておらず、また動き出そうとしていた。

「媚薬を盛ったのは貴方なんですから、最後まで付き合わせますよ。いいですね?」

 ヴァルネラの瞳にはもう仄暗さは残っておらず、代わりに情欲が渦巻いている。
 俺はその眼差しに魅入られるように、彼の首に腕をまわして抱きついた。

「うん、だからまだ抜かないでね。俺も、ヴァルネラのがもっと欲しい」
「貴方も逃がす気がないんですね、なら今日は一晩中しましょう」

 媚薬が切れる気配は見当たらず、お互いに限界まで求め続けることを察する。
 理性はとうに手放しているから、あとは二人で快楽に沈んでいくだけだ。



 行為に慣れたおかげで俺は意識を失わず、ひたすら情事に耽ることができた。
 水を飲む以外は狂ったようにお互いを求め、体位を変えて何度も交わる。

「そこ好き、好きだから、もっとして! ヴァルネラ、もっとちょうだい!」
「もちろん、私の魔力を全身に染み込ませてあげますよ」

 打ち付けられた腰や唇から媚薬混じりの魔力を受け取り、濃厚な行為に没頭する。
 けれど中で渦巻いていた熱が翅に集中し出して、俺は目を白黒させた。

「……あれ、なんか、いつもと違う……! やだ、なに……!?」
「グレイシス? ……行為を中断しましょう、体内で魔力が暴走してるのか、も」

 身を離したヴァルネラが俺をうつ伏せにして、楽な体制を取らせようとする。
 けれど翅に魔力が溜まり続け、少しも収まりがつかない。

(背中が熱い、燃えてるみたいだ。っていうかヴァルネラ、嬉しそうな顔をしてる)

 救いを求めてヴァルネラを見上げると、その目は俺の背中に釘付けになっていた。
 その表情は喜色に染まり、口元には興奮を抑えきれない笑みが浮かんでいる。

「よくやりましたね、グレイシス! 遂に翅が完成しましたよ!」

 ヴァルネラの瞳は危うい輝きに染め上げられ、もう俺を映していない。
 ……だが長年の願いが成就したことを考えれば、口を挟む気にもなれなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

氷の支配者と偽りのベータ。過労で倒れたら冷徹上司(銀狼)に拾われ、極上の溺愛生活が始まりました。

水凪しおん
BL
オメガであることを隠し、メガバンクで身を粉にして働く、水瀬湊。 ※この作品には、性的描写の表現が含まれています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。 過労と理不尽な扱いで、心身ともに限界を迎えた夜、彼を救ったのは、冷徹で知られる超エリートα、橘蓮だった。 「君はもう、頑張らなくていい」 ――それは、運命の番との出会い。 圧倒的な庇護と、独占欲に戸惑いながらも、湊の凍てついた心は、次第に溶かされていく。 理不尽な会社への華麗なる逆転劇と、極上に甘いオメガバース・オフィスラブ!

【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】

ゆらり
BL
 帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。  着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。  凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。  撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。  帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。  独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。  甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。  ※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。 ★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

処理中です...