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番外編
お参り
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社につながる参道は、長い行列が続いていた。
まぁ、例年のことだ。
僕たちは後ろに並び、待つ間に、コノハと会話を交わった。
「コノハ、待ち時間が20分ぐらいだって」
「良かった! みんなの信仰で、あたしたちは生きて来られるんだ」
「えっ、神様は信仰とかそういったエネルギーをもらってるの?」
「うん。そだよ──!」
神様たちは、僕たちのお祈りで神の力が高まるそうだ。逆に言い換えれば、信仰されることが少ない神様は、神の力が衰えてしまうのだと。
これは、僕もちゃんとお祈りしないといけないね。
やっと社に辿り着いた。
平らな御影石が、おおうように一面に並べていた。少し歩くと、一本の大きな神木が立っている。付け札を読むと150年は生きている神木であった。その奥へ歩くと、歴史を感じさせる社が見えた。
僕たちの番がやっと来た。
一先ず、一礼した。次に、目の前にあるお賽銭に25円を投げ入れ、手をパンパンと二回叩いて、目をつむりながらお祈りした。
神様。この節はお世話になりました。
コノハと一緒に楽しく過ごせて幸せです。これからもコノハと仲良く過ごしたい。
と心から言って、二礼した。
「アキラっ! お祈りがあたしに届いたよ! 一緒に過ごせて楽しいって、とても嬉しいよ! あたしも一緒に過ごしたいっ!」
コノハに届いていたことに、僕は赤くなった。
えっ! は、恥ずかしい。コノハは神さまだから直接、お祈りが届くのか……。
僕は照れ隠ししたくなり、社の方に視線をそらした。そしたら、じっと僕たちを見つめる巫女の少女が顔と手だけ、襖から出ているのが見えた。
じぃーっと、僕たちを見つめていることに首を傾げた。
「コノハ、あの巫女さん、ずっと僕たちを見てるけど、誰だか分かる?」
「え?」
コノハが社の方に向けると、巫女の少女がさっと隠れた。
「あ──っ! なんで、ここにいるのっ!」
コノハが声を張り上げたことで、周りからの視線が集まった。
巫女の少女が呆れたのか、襖から出てきた。
そして、僕たちのところにスタスタと歩いてきた。
「神さま、大きな声を出さないでください。一人で騒いでると、こっちまで恥ずかしいですよ」
巫女さんは肩まで流れる黒髪に、目がキリっとしていた。白い衣装に赤い羽織ものを着ていて、どこから見ても巫女だとわかる。目立つ姿なのに、周りは気づいてない。
まさか、神様なのだろうか?
コノハは、頬を膨れたまま指をさした。
「あのさっ! あまり見られても困るよっ!」
「何をおっしゃいますか? 私は神さまのことを隠れながら観察してます。大丈夫ですよ。私の姿は誰も見えませんから」
小首をかしげる巫女さんが、コノハを安心するように言った。
隠れて忍びながらコノハを観察って、それはストーカーでは? 一般人は、見えないみたいだから、多分、神様だろう。
ストーカーの疑いを持った僕は、さりげなく手を挙げた。
「あの……。僕、見えますよ」
「えっ! 見えるのっ!」
巫女さんは、目を大きく開いた。ずさっと後ろへ飛んでいった!
そこまでひかなくても……と、ちょっとショック受けた。
そんな気持ちは表に出すと、色々とまずい。僕は大人だ! ビジネススマイルのつもりで、ニコッと微笑んで挨拶した。手だけはブルブルと堪えた!
「僕は神さまの付き添いです。アキラと言います。この社の神様ですか?」
「あ! すみません。はたしないことを……」
続いて、巫女は、後ろへ飛んだ勢いで乱れた衣装を丁寧に整えてから、再び挨拶した。
「そうです。この社の神木がありますよね? その神木にまつわる巫女です」
巫女さんはそう言って、可愛らしくぺこりと頭を下げたのであった。
まぁ、例年のことだ。
僕たちは後ろに並び、待つ間に、コノハと会話を交わった。
「コノハ、待ち時間が20分ぐらいだって」
「良かった! みんなの信仰で、あたしたちは生きて来られるんだ」
「えっ、神様は信仰とかそういったエネルギーをもらってるの?」
「うん。そだよ──!」
神様たちは、僕たちのお祈りで神の力が高まるそうだ。逆に言い換えれば、信仰されることが少ない神様は、神の力が衰えてしまうのだと。
これは、僕もちゃんとお祈りしないといけないね。
やっと社に辿り着いた。
平らな御影石が、おおうように一面に並べていた。少し歩くと、一本の大きな神木が立っている。付け札を読むと150年は生きている神木であった。その奥へ歩くと、歴史を感じさせる社が見えた。
僕たちの番がやっと来た。
一先ず、一礼した。次に、目の前にあるお賽銭に25円を投げ入れ、手をパンパンと二回叩いて、目をつむりながらお祈りした。
神様。この節はお世話になりました。
コノハと一緒に楽しく過ごせて幸せです。これからもコノハと仲良く過ごしたい。
と心から言って、二礼した。
「アキラっ! お祈りがあたしに届いたよ! 一緒に過ごせて楽しいって、とても嬉しいよ! あたしも一緒に過ごしたいっ!」
コノハに届いていたことに、僕は赤くなった。
えっ! は、恥ずかしい。コノハは神さまだから直接、お祈りが届くのか……。
僕は照れ隠ししたくなり、社の方に視線をそらした。そしたら、じっと僕たちを見つめる巫女の少女が顔と手だけ、襖から出ているのが見えた。
じぃーっと、僕たちを見つめていることに首を傾げた。
「コノハ、あの巫女さん、ずっと僕たちを見てるけど、誰だか分かる?」
「え?」
コノハが社の方に向けると、巫女の少女がさっと隠れた。
「あ──っ! なんで、ここにいるのっ!」
コノハが声を張り上げたことで、周りからの視線が集まった。
巫女の少女が呆れたのか、襖から出てきた。
そして、僕たちのところにスタスタと歩いてきた。
「神さま、大きな声を出さないでください。一人で騒いでると、こっちまで恥ずかしいですよ」
巫女さんは肩まで流れる黒髪に、目がキリっとしていた。白い衣装に赤い羽織ものを着ていて、どこから見ても巫女だとわかる。目立つ姿なのに、周りは気づいてない。
まさか、神様なのだろうか?
コノハは、頬を膨れたまま指をさした。
「あのさっ! あまり見られても困るよっ!」
「何をおっしゃいますか? 私は神さまのことを隠れながら観察してます。大丈夫ですよ。私の姿は誰も見えませんから」
小首をかしげる巫女さんが、コノハを安心するように言った。
隠れて忍びながらコノハを観察って、それはストーカーでは? 一般人は、見えないみたいだから、多分、神様だろう。
ストーカーの疑いを持った僕は、さりげなく手を挙げた。
「あの……。僕、見えますよ」
「えっ! 見えるのっ!」
巫女さんは、目を大きく開いた。ずさっと後ろへ飛んでいった!
そこまでひかなくても……と、ちょっとショック受けた。
そんな気持ちは表に出すと、色々とまずい。僕は大人だ! ビジネススマイルのつもりで、ニコッと微笑んで挨拶した。手だけはブルブルと堪えた!
「僕は神さまの付き添いです。アキラと言います。この社の神様ですか?」
「あ! すみません。はたしないことを……」
続いて、巫女は、後ろへ飛んだ勢いで乱れた衣装を丁寧に整えてから、再び挨拶した。
「そうです。この社の神木がありますよね? その神木にまつわる巫女です」
巫女さんはそう言って、可愛らしくぺこりと頭を下げたのであった。
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