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エルフの拠点に潜入
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俺達は中立地ハマスにある獣人族が運営する冒険者ギルドへとやってきた。
ラミとの別れは悲しかったが俺の拠点に暮らしている訳だから、また会う日がいつかくるかもしれない。そう思うと元気が湧いてきた。
受付の女性からデビルオーク撃破の報酬として5億Gを受け取った。
ギルドの中にいた獣人族の冒険者からどよめきがおこった。
「何者だよ、アイツら?」
「あの金髪の男が人類の大統領にして獣人の都市サイオンの統治者らしい」
「す、すげぇー!」
受付の女性からエルフ族の生息地を聞いて、中立地から一番近いエルフ族の拠点を目指すことにした。
「エルフはオークと違って指揮系統がしっかりしています。ダークエルフを束ねているブラッドエルフを倒した人類や獣人はいまだかつて一人もいません」
「ご心配には及びません、僕達が人類の負の歴史を塗り替えてきます」
この日は中立地の宿に泊まることにした。
久しぶりにラミがいないお泊りだ。今日はなにかがおこるかもしれない。
俺は期待してベッドに入ったが二人共、疲れていたみたいで特に何もおこらなかった。
やはり俺から動くべきなのか、いやソラの誕生日までは待つことにしよう。
翌朝、俺達はエルフ族の拠点を目指して出発した。
丘陵を半日歩くと、日が暮れてきた。
「そろそろ飯にしようか?」
「賛成!」
俺達は焚火をしてフライパンでウインナーと野菜を炒めて食べた。
その後にメインディッシュとして、ソラの水魔法で冷凍保存しといた恐竜肉のステーキをこんがり焼いた。
すると香ばしい匂いにつられて俺のリュックから幻獣グリフォンがでてきた。基本的に飯の時しかリュックから出てこなくなった。なんだか育成に失敗している気がする……
ソラはナイフとフォークで優雅にステーキを食べていた。
ベルはかなりの大食いだが食事マナーはきちんとしている。
幻獣グリフォンは解凍した生肉に豪快にかじりついていた。
恐竜肉のステーキをみんなで食べながら、夕日が沈んでいく遠くの空を眺めていた。すると黒い大量の飛翔体がこちら目掛けて飛んできていた。
俺は急いで火を消すと〈学級閉鎖〉を発動してソラとベルの手を握り、恐竜肉を無我夢中で食べている幻獣グリフォンをリュックにしまった。
飛翔体が近くまでくると姿形がはっきりとわかった。それは大勢のダークエルフだった。
ダークエルフは俺達の近くに降り立った。
「ここに焚火の痕跡がある。ついさっきまでここに誰かがいたことは確かだ」
「よし、辺り一帯を捜すぞ」
ダークエルフ30体くらいが俺達の捜索を始めた。
俺達は息を潜めて岩陰でじっとしていた。
ダークエルフは、しばらく辺りをうろついていたが諦めて帰っていった。
「俺達はもうエルフ族の縄張りに入っているらしい」
「ここからは慎重に歩みを進めないといけないね」
ソラが静かに言った。
その日はソラの水魔法で造った氷の小屋で一晩過ごした。
翌朝、しばらく丘陵を進むとエルフ族が拠点にしている宮殿が遠くに見えた。宮殿の前にはジャングルが広がっている。かつては人類の王族が暮らしていた宮殿だがエルフ族に力で奪われたらしい。
俺達はジャングルに入り少し歩くと何者かが死角から攻撃してきた。
俺は魔法の発動音に気づき瞬時に振り返ると強烈な水鉄砲が飛んできた。
かなりの水圧の一撃だったが俺が黒剣でなんとか防いだ。
敵は人類であり40代くらいの男だった。
「私の感知能力は“要”で最強だ。そのような小手先の身を隠すスキルは通じない」
「なぜ、エルフ族に手を貸す?」
「ブラッドエルフ様の思想に共感したまでだ」
洗脳されているのか操作されているのか、いずれにしろ“要”がエルフ族に取り込まれているのは想定外だ。
「レオ、手加減は禁物だ、容赦なく戦うしかない」
「ああ、わかってるベル。“要”は三人一組だから残りの二人も近くに潜んでいるはずだ。俺がアイツを仕留めるから二人は周囲の警戒を頼む」
俺は臨戦態勢に入ると黒剣で接近戦をしかけた。
少々苦戦したが“要”の男は俺の黒剣での一撃により地面に這いつくばった。
「さて、いろいろと情報を聞かせてもらおうか?」
「エルフ様の情報は売らない、さっさと止めを刺せ」
結局、“要”の残り二人は現れなかった。
「なぜ人数不利な状態で俺達に攻撃してきた? 目的はなんだ?」
「……」
「レオ、なにか深い事情があるんだよ、見逃してあげようよ」
ソラが男を憐み情けをかけた。
「そうだな、人類同士で敵対すればエルフの思うつぼだからな」
ソラが“要”の男の治療を始めた。すると男の目から涙が溢れてきた。
「頼む、娘が人質にとられてるんだ、助けてやってくれ」
最期にそう言うと“要”の男は吐血して亡くなった。
「なるほど、娘と自らの命をエルフに握られていたか、余計なことを言ったから遠隔で消されたな」
ベルが冷静に現状を分析した。
「つまりエルフの目的は俺達の情報収集であり、この人は捨て石だったということか」
俺達は“要”の男をしめやかに埋葬した。
「エルフ族め、非道極まりないやつらだ、俺達で必ず仇を討ち人質を解放しよう!」
ラミとの別れは悲しかったが俺の拠点に暮らしている訳だから、また会う日がいつかくるかもしれない。そう思うと元気が湧いてきた。
受付の女性からデビルオーク撃破の報酬として5億Gを受け取った。
ギルドの中にいた獣人族の冒険者からどよめきがおこった。
「何者だよ、アイツら?」
「あの金髪の男が人類の大統領にして獣人の都市サイオンの統治者らしい」
「す、すげぇー!」
受付の女性からエルフ族の生息地を聞いて、中立地から一番近いエルフ族の拠点を目指すことにした。
「エルフはオークと違って指揮系統がしっかりしています。ダークエルフを束ねているブラッドエルフを倒した人類や獣人はいまだかつて一人もいません」
「ご心配には及びません、僕達が人類の負の歴史を塗り替えてきます」
この日は中立地の宿に泊まることにした。
久しぶりにラミがいないお泊りだ。今日はなにかがおこるかもしれない。
俺は期待してベッドに入ったが二人共、疲れていたみたいで特に何もおこらなかった。
やはり俺から動くべきなのか、いやソラの誕生日までは待つことにしよう。
翌朝、俺達はエルフ族の拠点を目指して出発した。
丘陵を半日歩くと、日が暮れてきた。
「そろそろ飯にしようか?」
「賛成!」
俺達は焚火をしてフライパンでウインナーと野菜を炒めて食べた。
その後にメインディッシュとして、ソラの水魔法で冷凍保存しといた恐竜肉のステーキをこんがり焼いた。
すると香ばしい匂いにつられて俺のリュックから幻獣グリフォンがでてきた。基本的に飯の時しかリュックから出てこなくなった。なんだか育成に失敗している気がする……
ソラはナイフとフォークで優雅にステーキを食べていた。
ベルはかなりの大食いだが食事マナーはきちんとしている。
幻獣グリフォンは解凍した生肉に豪快にかじりついていた。
恐竜肉のステーキをみんなで食べながら、夕日が沈んでいく遠くの空を眺めていた。すると黒い大量の飛翔体がこちら目掛けて飛んできていた。
俺は急いで火を消すと〈学級閉鎖〉を発動してソラとベルの手を握り、恐竜肉を無我夢中で食べている幻獣グリフォンをリュックにしまった。
飛翔体が近くまでくると姿形がはっきりとわかった。それは大勢のダークエルフだった。
ダークエルフは俺達の近くに降り立った。
「ここに焚火の痕跡がある。ついさっきまでここに誰かがいたことは確かだ」
「よし、辺り一帯を捜すぞ」
ダークエルフ30体くらいが俺達の捜索を始めた。
俺達は息を潜めて岩陰でじっとしていた。
ダークエルフは、しばらく辺りをうろついていたが諦めて帰っていった。
「俺達はもうエルフ族の縄張りに入っているらしい」
「ここからは慎重に歩みを進めないといけないね」
ソラが静かに言った。
その日はソラの水魔法で造った氷の小屋で一晩過ごした。
翌朝、しばらく丘陵を進むとエルフ族が拠点にしている宮殿が遠くに見えた。宮殿の前にはジャングルが広がっている。かつては人類の王族が暮らしていた宮殿だがエルフ族に力で奪われたらしい。
俺達はジャングルに入り少し歩くと何者かが死角から攻撃してきた。
俺は魔法の発動音に気づき瞬時に振り返ると強烈な水鉄砲が飛んできた。
かなりの水圧の一撃だったが俺が黒剣でなんとか防いだ。
敵は人類であり40代くらいの男だった。
「私の感知能力は“要”で最強だ。そのような小手先の身を隠すスキルは通じない」
「なぜ、エルフ族に手を貸す?」
「ブラッドエルフ様の思想に共感したまでだ」
洗脳されているのか操作されているのか、いずれにしろ“要”がエルフ族に取り込まれているのは想定外だ。
「レオ、手加減は禁物だ、容赦なく戦うしかない」
「ああ、わかってるベル。“要”は三人一組だから残りの二人も近くに潜んでいるはずだ。俺がアイツを仕留めるから二人は周囲の警戒を頼む」
俺は臨戦態勢に入ると黒剣で接近戦をしかけた。
少々苦戦したが“要”の男は俺の黒剣での一撃により地面に這いつくばった。
「さて、いろいろと情報を聞かせてもらおうか?」
「エルフ様の情報は売らない、さっさと止めを刺せ」
結局、“要”の残り二人は現れなかった。
「なぜ人数不利な状態で俺達に攻撃してきた? 目的はなんだ?」
「……」
「レオ、なにか深い事情があるんだよ、見逃してあげようよ」
ソラが男を憐み情けをかけた。
「そうだな、人類同士で敵対すればエルフの思うつぼだからな」
ソラが“要”の男の治療を始めた。すると男の目から涙が溢れてきた。
「頼む、娘が人質にとられてるんだ、助けてやってくれ」
最期にそう言うと“要”の男は吐血して亡くなった。
「なるほど、娘と自らの命をエルフに握られていたか、余計なことを言ったから遠隔で消されたな」
ベルが冷静に現状を分析した。
「つまりエルフの目的は俺達の情報収集であり、この人は捨て石だったということか」
俺達は“要”の男をしめやかに埋葬した。
「エルフ族め、非道極まりないやつらだ、俺達で必ず仇を討ち人質を解放しよう!」
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