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おまけ
【短編】誕生の記2
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雪がエマの寝室を訪れると、窓から射し込む光に包まれたベッドの上で、エマが穏やかに微笑んでいた。
その隣では、セイルがまるで騎士のように静かに控えている。
「具合はどう? 痛みはある?」
雪が淡々と問いかけると、エマは苦笑しながら首を横に振った。
「それが……全く痛みがなくて」
雪は頷きつつ、エマの下半身に掛けられたシーツの中を覗き、慎重に状態を確認する。
「……まだそんなに開いてなさそうだね」
そう言いながら、雪はちらりと視線を横に移す。
不自然なまでに真剣な顔をしている父に、ふと問いかけた。
「まさかとは思うけど……治癒の力を使ったりしてないよね」
その瞬間、セイルの目がかすかに揺れた。
分かりやすい肯定だった。
雪は深くため息をつく。
「出産は怪我じゃないの。もし開きかけた子宮口が塞がったら、赤ちゃんが出られなくなるのよ」
「……確かに」
明らかに下手を打ったセイルは、たちまち青ざめた。
項垂れる父に、雪は医師として真剣な声を落とす。
「いい? これからお母さんがどんなに泣いて助けを求めても、何時間経っても、生まれるまでは治癒の力は禁止。絶対に」
その言葉に、エマもセイルも同時に息を呑んだ。
やがてセイルが、苦渋の決意をにじませて頷く。
「……分かった。雪、エマを頼みます」
エマは不安げに娘と夫の顔を交互に見やる。
雪はそんな二人を見つめ、力強く頷いた。
「それじゃあ、伯爵様は退室してください。これから処置を始めます」
「処置?」
怪訝に眉を寄せたセイルは、次の瞬間には雪にぐいぐいと押し出され、あっけなく部屋の外へ追い出された。
エマはきょとんとした顔のまま、雪を見上げる。
雪は落ち着いた手つきで医療用の手袋を嵌めながら、さらりと言った。
「陣痛が来るように、少しお手伝いするの」
「え……何を──」
言葉を終えるより早く、エマの身体に脳天を突き抜けるような衝撃が走った。
全身をかき乱されるような激痛に、思わず背をのけぞらせる。
「──っっっ!!!!」
呼吸も忘れるほどの苦痛。
だが雪が手を離すと同時に、嘘のように痛みは引いていった。
「まだ全然開いてないね。赤ちゃんも降りてきてないみたい」
平然と告げる雪に、エマは涙目で縋る。
「い、痛かったわ……」
それは今までの触診とはまるで違う、全身を突き刺すような痛みだった。
雪は手袋を外しながら、柔らかな微笑みを浮かべた。
「痛いよね。でも大丈夫。これから数時間ごとに繰り返せば、陣痛が起きやすくなるから」
「え……?」
愕然とするエマに、雪は明るく言葉を重ねる。
「さぁ、頑張ろうね」
医師としての揺るぎない笑みに、エマは先ほどの痛みを思い出して身を竦ませる。
再び訪れる恐怖と、迫り来る誕生の瞬間に、心臓が激しく高鳴っていた。
その隣では、セイルがまるで騎士のように静かに控えている。
「具合はどう? 痛みはある?」
雪が淡々と問いかけると、エマは苦笑しながら首を横に振った。
「それが……全く痛みがなくて」
雪は頷きつつ、エマの下半身に掛けられたシーツの中を覗き、慎重に状態を確認する。
「……まだそんなに開いてなさそうだね」
そう言いながら、雪はちらりと視線を横に移す。
不自然なまでに真剣な顔をしている父に、ふと問いかけた。
「まさかとは思うけど……治癒の力を使ったりしてないよね」
その瞬間、セイルの目がかすかに揺れた。
分かりやすい肯定だった。
雪は深くため息をつく。
「出産は怪我じゃないの。もし開きかけた子宮口が塞がったら、赤ちゃんが出られなくなるのよ」
「……確かに」
明らかに下手を打ったセイルは、たちまち青ざめた。
項垂れる父に、雪は医師として真剣な声を落とす。
「いい? これからお母さんがどんなに泣いて助けを求めても、何時間経っても、生まれるまでは治癒の力は禁止。絶対に」
その言葉に、エマもセイルも同時に息を呑んだ。
やがてセイルが、苦渋の決意をにじませて頷く。
「……分かった。雪、エマを頼みます」
エマは不安げに娘と夫の顔を交互に見やる。
雪はそんな二人を見つめ、力強く頷いた。
「それじゃあ、伯爵様は退室してください。これから処置を始めます」
「処置?」
怪訝に眉を寄せたセイルは、次の瞬間には雪にぐいぐいと押し出され、あっけなく部屋の外へ追い出された。
エマはきょとんとした顔のまま、雪を見上げる。
雪は落ち着いた手つきで医療用の手袋を嵌めながら、さらりと言った。
「陣痛が来るように、少しお手伝いするの」
「え……何を──」
言葉を終えるより早く、エマの身体に脳天を突き抜けるような衝撃が走った。
全身をかき乱されるような激痛に、思わず背をのけぞらせる。
「──っっっ!!!!」
呼吸も忘れるほどの苦痛。
だが雪が手を離すと同時に、嘘のように痛みは引いていった。
「まだ全然開いてないね。赤ちゃんも降りてきてないみたい」
平然と告げる雪に、エマは涙目で縋る。
「い、痛かったわ……」
それは今までの触診とはまるで違う、全身を突き刺すような痛みだった。
雪は手袋を外しながら、柔らかな微笑みを浮かべた。
「痛いよね。でも大丈夫。これから数時間ごとに繰り返せば、陣痛が起きやすくなるから」
「え……?」
愕然とするエマに、雪は明るく言葉を重ねる。
「さぁ、頑張ろうね」
医師としての揺るぎない笑みに、エマは先ほどの痛みを思い出して身を竦ませる。
再び訪れる恐怖と、迫り来る誕生の瞬間に、心臓が激しく高鳴っていた。
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