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五章前編 "5人目の怪物"編
プロローグ 抽選会にて
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「久瀬?篠月?町田?で、久島?未来のモンスター4って言われてますけど、皆分かってないんスよね……あの3人は、俺に負けるのが怖いからプロ契約して、2人はシード権放棄したんっすよ」
東京都内、あるホテルのパーティー会場……ここに僕は招かれて、そして壇上の席の一つに座っていた。
今年9月に行われる、キックボクシング団体『BOF』の興業『BOF.35 世界スーパーライト級ファイナル4』の、抽選会が行われていた。
BOFユースは、高校生のアマチュアキックボクシング大会であり、BOFのプロ興業における『オープンファイト』所謂『前座試合』として組まれる。
新たな時代の才能発掘、そしてメディアへのプッシュも兼ねて、アマチュアでもありながら、さながらプロと同じ抽選会、記者会見まで行う。
そのトーナメントの抽選を終えてからすぐ、記者会見の質問に……僕の対戦相手が放った言葉がそれだった。
「9月の試合で久島くん倒して、優勝して、で契約取ったらすぐ、そこで見てる久瀬くん倒して?俺が唯一のモンスターって証明してやりますよ」
自信満々、マイクにヘラついて語る横に座った彼も、ここに来る実力者なのは確か。
二ヶ月後……僕はこの、今年秋ができた『推薦枠』にBOFが招待した、高校生のプロキックボクサー……獅子元博之と、リングで激突する事が決まったのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「去年もですけど……遠征組にはきついですよね」
「まぁ、それが地方のさだめっちゅうヤツやな、けど昔よりは、だいぶマシやで?LCCとかあらへんから、交通費がなあ……」
ちょっと時間を巻き戻して、会見前。僕は学校を休み……東京まで来ていた。セコンドである姫原オーナーはスーツ、僕は制服で、神戸空港から飛行機を使い羽田空港へ、そこからBOFの手配したタクシーで移動し、抽選会場へ到着となった。
昔はLCC、ローコストキャリアという、格安の飛行機会社なんて無くて、地方勢は新幹線、夜行バス、下手したら自力で車を走らせていたのだと、かつてプロとして活躍していた姫原オーナーは当時の交通事情を語り、楽な方だと笑う。
会場にはすでに、BOFのプロ選手……海外から来日したトップクラスファイターから、同じユースで戦う、今年の関東と関西大会を勝ち抜いた高校生の姿があった。
たまに僕の方を見て驚く者も居たが、松原くんも見かけて先に来ていたらしい、こちらを見つけて嫌そうな顔を見せてからそっぽを向いた。
「会場入りはまだですかね……」
「あー、後20分後みたいやな……」
むしろ僕らはギリギリの到着だったのかもしれない……スマホで時間を確認しながら、抽選会場のパーティー会場への案内を待つ最中……背後から気配を感じて僕は振り返った。
時として、様々な分野のトップや、カリスマというのは……その姿、出立ち、立ち振る舞いだけで自分の存在を周囲に報せるらしい。最初は僕も、まさかそんなと話半分だった。
けど、去年の抽選会で、彼と出会ってそれが事実だと知った。まだエレベーターは開いてないのに……その中に『居る』と感覚で分かってしまう存在感。
アナウンスと共に開いたエレベーターのドアから、現れた彼を見て僕は笑って迎えた。
「久瀬くん!」
黒髪の、普通に見たら何処にでも居そうな、少年。飾り気なく、顔たちも穏やか……しかしその瞳に宿る闘志は見れば凍えそうな眼差し、制服の下からでもわかる鍛え上げられた肉体……。
現、日本最強のキックボクサー……久瀬秀一郎。僕の目指す憧れであり、倒したい相手……彼もまた僕の声に気付いて笑みを浮かべて近づいてきた。
「久しぶりだな、久島……災難に巻き込まれたようだが、元気で何よりだ」
東京都内、あるホテルのパーティー会場……ここに僕は招かれて、そして壇上の席の一つに座っていた。
今年9月に行われる、キックボクシング団体『BOF』の興業『BOF.35 世界スーパーライト級ファイナル4』の、抽選会が行われていた。
BOFユースは、高校生のアマチュアキックボクシング大会であり、BOFのプロ興業における『オープンファイト』所謂『前座試合』として組まれる。
新たな時代の才能発掘、そしてメディアへのプッシュも兼ねて、アマチュアでもありながら、さながらプロと同じ抽選会、記者会見まで行う。
そのトーナメントの抽選を終えてからすぐ、記者会見の質問に……僕の対戦相手が放った言葉がそれだった。
「9月の試合で久島くん倒して、優勝して、で契約取ったらすぐ、そこで見てる久瀬くん倒して?俺が唯一のモンスターって証明してやりますよ」
自信満々、マイクにヘラついて語る横に座った彼も、ここに来る実力者なのは確か。
二ヶ月後……僕はこの、今年秋ができた『推薦枠』にBOFが招待した、高校生のプロキックボクサー……獅子元博之と、リングで激突する事が決まったのだ。
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「去年もですけど……遠征組にはきついですよね」
「まぁ、それが地方のさだめっちゅうヤツやな、けど昔よりは、だいぶマシやで?LCCとかあらへんから、交通費がなあ……」
ちょっと時間を巻き戻して、会見前。僕は学校を休み……東京まで来ていた。セコンドである姫原オーナーはスーツ、僕は制服で、神戸空港から飛行機を使い羽田空港へ、そこからBOFの手配したタクシーで移動し、抽選会場へ到着となった。
昔はLCC、ローコストキャリアという、格安の飛行機会社なんて無くて、地方勢は新幹線、夜行バス、下手したら自力で車を走らせていたのだと、かつてプロとして活躍していた姫原オーナーは当時の交通事情を語り、楽な方だと笑う。
会場にはすでに、BOFのプロ選手……海外から来日したトップクラスファイターから、同じユースで戦う、今年の関東と関西大会を勝ち抜いた高校生の姿があった。
たまに僕の方を見て驚く者も居たが、松原くんも見かけて先に来ていたらしい、こちらを見つけて嫌そうな顔を見せてからそっぽを向いた。
「会場入りはまだですかね……」
「あー、後20分後みたいやな……」
むしろ僕らはギリギリの到着だったのかもしれない……スマホで時間を確認しながら、抽選会場のパーティー会場への案内を待つ最中……背後から気配を感じて僕は振り返った。
時として、様々な分野のトップや、カリスマというのは……その姿、出立ち、立ち振る舞いだけで自分の存在を周囲に報せるらしい。最初は僕も、まさかそんなと話半分だった。
けど、去年の抽選会で、彼と出会ってそれが事実だと知った。まだエレベーターは開いてないのに……その中に『居る』と感覚で分かってしまう存在感。
アナウンスと共に開いたエレベーターのドアから、現れた彼を見て僕は笑って迎えた。
「久瀬くん!」
黒髪の、普通に見たら何処にでも居そうな、少年。飾り気なく、顔たちも穏やか……しかしその瞳に宿る闘志は見れば凍えそうな眼差し、制服の下からでもわかる鍛え上げられた肉体……。
現、日本最強のキックボクサー……久瀬秀一郎。僕の目指す憧れであり、倒したい相手……彼もまた僕の声に気付いて笑みを浮かべて近づいてきた。
「久しぶりだな、久島……災難に巻き込まれたようだが、元気で何よりだ」
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