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閑古鳥の夢
閑古鳥が十四羽
目を閉じて衝撃を待つも予想と違うガルバの悲痛な鳴き声と激しい物音が聞こえ、クランは恐る恐る目を開けた。
開けたと言っても薄らの薄目だが、その僅かな視界にはガルバの頭へ剣を突き刺さす青年がいた。
青年は念のためにかガルバの頭へ数回、剣を突き刺し直してから引き抜き、剣についた血を払う。
ビシャっと周りの草木に飛んだ赤い鮮血を視線で追うクランだったがより鮮やかなグリーンの瞳がじっとこちらを見たことに気付く。
青年はよく見ると薄汚れており、服装も貧相だ。ほんの少し開いた薄い唇もカサついている。しかし、そんなことは今のクランには気づけなかった。それよりも言いたいことがあったのだ。
青年が何か言おうとするも遮るようにクランは興奮した様子で口を開く。
「すっごい! 君、とっても強いね!」
クランの勢いにびくりとした青年は目を丸くするがお構いなしにクランは青年のそばに駆け寄り、「すごいすごい!」と褒めた。
心の底からの賞賛を贈るクランだったが青年の戸惑う顔を見て、我にかえる。普通は助けてくれたお礼が先だったと。
「そのっ、助けてくれてありがとう!」
諦めかけていたところを助けてくれた命の恩人へクランはにこにこと笑顔を見せる。
目の前の青年は相変わらず戸惑った表情でクランを見つめるもクランは笑顔で終わらず、こんな自分を助けてくれた心優しい青年の手を取り、「本当にありがとう!」と言いながらブンブンと揺らす。それだけ、嬉しかったのだ。
しかし、そんな時、手に取った青年の手に不自然な力がこもると同時に小さな呻きを青年は漏らす。明らかに痛みを訴える様子にクランは「ごめんっ」と慌てて揺らすのをやめた。
「どこか怪我してるの? ここ?」
クランはまずいまずいと急いで青年の腕辺りへ回復魔法を施し、顔色を窺う。
「どう? 僕、唯一回復だけはなんとか出来るんだけど治った?」
目を開き、驚いた表情をして手を握ったり開いたりした青年は「痛くない……」と掠れた小さな声を零す。
「それはよかったぁ。唯一の回復も駄目駄目な方だから治らなかったらどうしようかと思ったよ」
ギルドの息子とは思えない、剣も魔法も使えないクランは苦笑する。そんなクランを未だ、驚きがひかない様子の青年が視線を移してじっと見つめてくる。
強い視線に若干ドキリとしたがクランはわざとらしく小さく咳払いをして、「あ、あのさ」と青年へ話しかける。
「そ、その、よかったら僕のっ、僕のギルドに入らないっ?」
言った、言ったぞ、僕はと勇気を出して青年を自分のギルドへ勧誘したクランは返事を期待する目で青年を見つめるも青年はゆっくりと瞬いてから「ギルド……?」と少しだけ首を傾げた。
「う、うん、ギルド。もうどこかに所属しちゃってる?」
こんなに強いならしてるよね、とクランは続けた。
当たり前すぎたことを考えなしに聞いてしまったとズーンと落ち込み、つい俯いてしまうが青年から「してない」という言葉が降ってくる。
「えっ、本当に!? それならどうかな、僕のギルドに来ない? いや来て!」
そう言って、パッと元気になったクランはまた青年の手を取り、迫った。
「僕には君が必要なんだ!」
開けたと言っても薄らの薄目だが、その僅かな視界にはガルバの頭へ剣を突き刺さす青年がいた。
青年は念のためにかガルバの頭へ数回、剣を突き刺し直してから引き抜き、剣についた血を払う。
ビシャっと周りの草木に飛んだ赤い鮮血を視線で追うクランだったがより鮮やかなグリーンの瞳がじっとこちらを見たことに気付く。
青年はよく見ると薄汚れており、服装も貧相だ。ほんの少し開いた薄い唇もカサついている。しかし、そんなことは今のクランには気づけなかった。それよりも言いたいことがあったのだ。
青年が何か言おうとするも遮るようにクランは興奮した様子で口を開く。
「すっごい! 君、とっても強いね!」
クランの勢いにびくりとした青年は目を丸くするがお構いなしにクランは青年のそばに駆け寄り、「すごいすごい!」と褒めた。
心の底からの賞賛を贈るクランだったが青年の戸惑う顔を見て、我にかえる。普通は助けてくれたお礼が先だったと。
「そのっ、助けてくれてありがとう!」
諦めかけていたところを助けてくれた命の恩人へクランはにこにこと笑顔を見せる。
目の前の青年は相変わらず戸惑った表情でクランを見つめるもクランは笑顔で終わらず、こんな自分を助けてくれた心優しい青年の手を取り、「本当にありがとう!」と言いながらブンブンと揺らす。それだけ、嬉しかったのだ。
しかし、そんな時、手に取った青年の手に不自然な力がこもると同時に小さな呻きを青年は漏らす。明らかに痛みを訴える様子にクランは「ごめんっ」と慌てて揺らすのをやめた。
「どこか怪我してるの? ここ?」
クランはまずいまずいと急いで青年の腕辺りへ回復魔法を施し、顔色を窺う。
「どう? 僕、唯一回復だけはなんとか出来るんだけど治った?」
目を開き、驚いた表情をして手を握ったり開いたりした青年は「痛くない……」と掠れた小さな声を零す。
「それはよかったぁ。唯一の回復も駄目駄目な方だから治らなかったらどうしようかと思ったよ」
ギルドの息子とは思えない、剣も魔法も使えないクランは苦笑する。そんなクランを未だ、驚きがひかない様子の青年が視線を移してじっと見つめてくる。
強い視線に若干ドキリとしたがクランはわざとらしく小さく咳払いをして、「あ、あのさ」と青年へ話しかける。
「そ、その、よかったら僕のっ、僕のギルドに入らないっ?」
言った、言ったぞ、僕はと勇気を出して青年を自分のギルドへ勧誘したクランは返事を期待する目で青年を見つめるも青年はゆっくりと瞬いてから「ギルド……?」と少しだけ首を傾げた。
「う、うん、ギルド。もうどこかに所属しちゃってる?」
こんなに強いならしてるよね、とクランは続けた。
当たり前すぎたことを考えなしに聞いてしまったとズーンと落ち込み、つい俯いてしまうが青年から「してない」という言葉が降ってくる。
「えっ、本当に!? それならどうかな、僕のギルドに来ない? いや来て!」
そう言って、パッと元気になったクランはまた青年の手を取り、迫った。
「僕には君が必要なんだ!」
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