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閑古鳥の目覚め
閑古鳥が十六羽
「いない。リドはどこに行ったんだ……」
落ち込んだ物言いで外出から戻ったクランはノロノロと上着を脱ぐ。それを背後で見ていたティガは同じように上着を脱ぎながら口を開く。
「街を出たのでは? だいたいは探しましたし、いないとなれば街の外しかありません」
「外……それだともう探しようがなくなる」
ああ、と頭を抱えて蹲るクランをティガはじっと見下ろす。かれこれ、数日はリドを探しては落ち込むという同じことを繰り返しているクランへかける言葉は尽きていた。
しかし、永遠と唸りながら蹲りそうな様子のクランへティガは「ふむ」と零す。
「しかし、あの大型犬は半魔ですから怪我をした場合、終わりです。マスターのような光魔力持ちがいる街にでもいるんじゃないですか?」
蹲っていたクランは信じられないことを言ったティガの方を振り向く。
「ティガさん、どうしてそれを?」
「それとは?」
「リドが半魔ってことです。それに僕のことも」
一度も言ったことはない。むしろ隠していた事を知るティガを少し警戒するがそのティガは少し首を傾げ、「ああ、それですか」といつもと変わらない態度で言う。
「私も半魔なんですよ。不思議としか言いようがないですが同族はすぐにわかるんです」
「えっ、半魔だったんですかっ?」
衝撃的な事実を語る本人はいたって普通に「はい」と頷く。
半魔は忌み嫌われることから大抵の半魔は隠しているはずだが、ティガは平然とクランへ話すようだ。
クランは信用してもらえているのかと思ったがこちらのリドも半魔で自分の光魔力まで知っているならば当然かと思い直す。
「マスターの光魔力持ちは勘と推測にすぎませんでしたが、他人の回復魔法が効かない所を見て、光魔力持ちだと確信しました」
光魔力持ちの傷を治すには同じ光魔力持ちの者しか出来ないのは有名な話ですし、と言いながら未だに癒えないクランの手の傷をティガは見る。
「確かに僕は光魔力持ちです。でも、この事は秘密でお願いします、王国への献上は嫌なので」
「もちろんです。マスターが王国で飼われ、このギルドが存続不可能になるのは避けたいです」
ギルドへの強い思いをティガから受け、クランは苦笑するが自分のことを黙っていてくれることはありがたい。
しかし、クランにはひとつ気になることがあった。
「けれどティガさんも半魔だと回復はどうしてるんですか?」
半魔は人よりも身体的に優れ、攻撃力が高く戦闘面に秀でた存在だが、治癒に関わる魔法が扱えず、他者から施される回復すらも効果がないというデメリットを持っている。
そのために短命であるが、唯一光魔力持ちだけが半魔を治癒出来た。
治癒出来る存在は半魔にとっては重要となるが光魔力持ちは少ないという現実がある。
「知り合い? 他人? に光魔力持ちの魔法師がいるのでご心配無用ですよ」
それに半魔は回復できないのを考慮して極力傷を負わないよう戦いますし、とティガは言う。
確かに、同じ半魔であるリドもあまり無理をした戦い方はしない。それでも無傷とはいかないことが多々にある。
クランは怪我を負ってしまうリドが脳内に浮かんだ。
「リド、大丈夫かな……」
「自暴自棄に走ってそうですけど」
「そんな……! 出会った時みたいに傷だらけになってたらどうしようっ」
出会った時は服によって、すぐには気付かなかったがリドはそれはそれは多くの傷を負っていたのだ。今思い出しても肝が冷えるとクランは自身を抱きしめるが次の瞬間ハッとする。
「そうじゃん、あの森! あそこにリドのボロ家があったはずっ」
もしかしてそこにいるのかもしれない、とクランは漠然と思った。きっとこれは勘に近いだろう。
落ち込んだ物言いで外出から戻ったクランはノロノロと上着を脱ぐ。それを背後で見ていたティガは同じように上着を脱ぎながら口を開く。
「街を出たのでは? だいたいは探しましたし、いないとなれば街の外しかありません」
「外……それだともう探しようがなくなる」
ああ、と頭を抱えて蹲るクランをティガはじっと見下ろす。かれこれ、数日はリドを探しては落ち込むという同じことを繰り返しているクランへかける言葉は尽きていた。
しかし、永遠と唸りながら蹲りそうな様子のクランへティガは「ふむ」と零す。
「しかし、あの大型犬は半魔ですから怪我をした場合、終わりです。マスターのような光魔力持ちがいる街にでもいるんじゃないですか?」
蹲っていたクランは信じられないことを言ったティガの方を振り向く。
「ティガさん、どうしてそれを?」
「それとは?」
「リドが半魔ってことです。それに僕のことも」
一度も言ったことはない。むしろ隠していた事を知るティガを少し警戒するがそのティガは少し首を傾げ、「ああ、それですか」といつもと変わらない態度で言う。
「私も半魔なんですよ。不思議としか言いようがないですが同族はすぐにわかるんです」
「えっ、半魔だったんですかっ?」
衝撃的な事実を語る本人はいたって普通に「はい」と頷く。
半魔は忌み嫌われることから大抵の半魔は隠しているはずだが、ティガは平然とクランへ話すようだ。
クランは信用してもらえているのかと思ったがこちらのリドも半魔で自分の光魔力まで知っているならば当然かと思い直す。
「マスターの光魔力持ちは勘と推測にすぎませんでしたが、他人の回復魔法が効かない所を見て、光魔力持ちだと確信しました」
光魔力持ちの傷を治すには同じ光魔力持ちの者しか出来ないのは有名な話ですし、と言いながら未だに癒えないクランの手の傷をティガは見る。
「確かに僕は光魔力持ちです。でも、この事は秘密でお願いします、王国への献上は嫌なので」
「もちろんです。マスターが王国で飼われ、このギルドが存続不可能になるのは避けたいです」
ギルドへの強い思いをティガから受け、クランは苦笑するが自分のことを黙っていてくれることはありがたい。
しかし、クランにはひとつ気になることがあった。
「けれどティガさんも半魔だと回復はどうしてるんですか?」
半魔は人よりも身体的に優れ、攻撃力が高く戦闘面に秀でた存在だが、治癒に関わる魔法が扱えず、他者から施される回復すらも効果がないというデメリットを持っている。
そのために短命であるが、唯一光魔力持ちだけが半魔を治癒出来た。
治癒出来る存在は半魔にとっては重要となるが光魔力持ちは少ないという現実がある。
「知り合い? 他人? に光魔力持ちの魔法師がいるのでご心配無用ですよ」
それに半魔は回復できないのを考慮して極力傷を負わないよう戦いますし、とティガは言う。
確かに、同じ半魔であるリドもあまり無理をした戦い方はしない。それでも無傷とはいかないことが多々にある。
クランは怪我を負ってしまうリドが脳内に浮かんだ。
「リド、大丈夫かな……」
「自暴自棄に走ってそうですけど」
「そんな……! 出会った時みたいに傷だらけになってたらどうしようっ」
出会った時は服によって、すぐには気付かなかったがリドはそれはそれは多くの傷を負っていたのだ。今思い出しても肝が冷えるとクランは自身を抱きしめるが次の瞬間ハッとする。
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