9 / 13
対等へ
しおりを挟む
あれから馬車で一足早く城へ戻った私は傷を詳しく見てもらったが失明していると言われた。回復も不可能な私の左目は二度と見えないということだ。自分の体であの痛みと男の魔法士の言葉に分かってはいたが少しだけ、本当に少しだけなんとかなってはいないかと祈っていた私は悲しかった。
しかしそんな私へ、突きつけられた騎士から他へ異動するようにという紙を渡され、ますます悲しく、こんな結果なった自分に今までの努力が否定された気がした。ただでさえ、突然の片目で感覚が掴めない中、その片目まで涙でぼやけながらも私は自室になんとか戻りベッドへ倒れた。しばらく泣いてしまった私だったがいつの間にか眠りについていたのだった。
それから、私は先延ばしにも出来ない異動先を悩んだ末に魔法士として頑張ろうと決めた。騎士は片目が見えないことはかなりの枷で相当な腕がなければ所属続行は無理な話だが魔法士は後方支援が多く片目でも問題ないだろう。別として城の文官でもよかったが私は片目になってから、あの対等でいようとしてくれたディアの顔がよく浮かんでいた。私にあの場を任してくれたはずがこんな失態をした自分とはもう対等でいてくれないかもしれないがそれなら、少しでも彼に近い距離にある魔法士として再び頑張り対等になれるよう努めようと考えたのだ。
希望の異動先を提出した私は周りが討伐関係で未だバタバタしている間に魔法士として決まり、部屋の移動や書類関係などもすぐに済んでしまった。ディアへ何も言わずに騎士をやめたことが気掛かりだったがこの間に一度も会うことはなく、もしかすると私ともう会うつもりはないのかと思った。そもそもバディにならなければ話すこともなかった地位のある彼だ、バディでもなければ騎士でもなくなった自分を気にかける理由がないのかもしれない。
気掛かりがなくなった私はひとまず彼へ話しかける程度は許してもらえるような人になろうかと城から募集していた優秀な魔法士が多い隣国の留学に応募した。数年、隣国にいなければいけないことからなかなか人が集まらなかったらしく感謝されながら私はすぐに隣国へ送られた。
自分の国から出たことはなかった私は異文化に触れながらも着実に魔法士として成長していく。あの習得の難しい回復魔法だって出来るようになったのだ、確実に一歩進んでいる。この国の知り合いもでき、とても充実した数年間過ごした。たびたび驚く出来事が私に起こったが今思うといい思い出だと振り返れる。
今日は留学の期間が終わり、国に帰る日だ。私を見送る者たちが数名、別れを惜しんでいる。特に先ほどから涙を大量に流す一名が目に入り笑ってしまう。
「そんなに泣かないで下さい、一生の別れではないんですから」
胸元からハンカチを出し、涙を流す彼へ渡す。
「僕からすれば一生の別れなんだよ、うぅ、だよね、王子?」
ハンカチを受け取った栗毛の髪の彼が隣の銀髪の彼へ問えば頷いた。そして私を見て「もうこちらの魔法士として過ごしてはどう? 書類完備しているのに」というここで過ごして彼と会えばいつも言うお決まりの言葉を言った。つい、この言葉も最後だと思うとまた笑ってしまうが一度首を横に振って「すみません、最後まで断ってしまって。でもそう言ってくれるのは嬉しかったんです、ありがとうございます」と伝える。
銀髪の彼は優しく微笑み「私はいつまでも歓迎しているから何かあった時はいつでもおいで」と言って私を抱きしめた。彼の優しさに目が潤む私は抱きしめ返し、続けて抱きついてきた栗毛の髪の彼も抱きしめる。
そうして彼らと他の者にも別れを告げた私は馬車に乗り込み、懐かしい母国へと帰るのだった。
しかしそんな私へ、突きつけられた騎士から他へ異動するようにという紙を渡され、ますます悲しく、こんな結果なった自分に今までの努力が否定された気がした。ただでさえ、突然の片目で感覚が掴めない中、その片目まで涙でぼやけながらも私は自室になんとか戻りベッドへ倒れた。しばらく泣いてしまった私だったがいつの間にか眠りについていたのだった。
それから、私は先延ばしにも出来ない異動先を悩んだ末に魔法士として頑張ろうと決めた。騎士は片目が見えないことはかなりの枷で相当な腕がなければ所属続行は無理な話だが魔法士は後方支援が多く片目でも問題ないだろう。別として城の文官でもよかったが私は片目になってから、あの対等でいようとしてくれたディアの顔がよく浮かんでいた。私にあの場を任してくれたはずがこんな失態をした自分とはもう対等でいてくれないかもしれないがそれなら、少しでも彼に近い距離にある魔法士として再び頑張り対等になれるよう努めようと考えたのだ。
希望の異動先を提出した私は周りが討伐関係で未だバタバタしている間に魔法士として決まり、部屋の移動や書類関係などもすぐに済んでしまった。ディアへ何も言わずに騎士をやめたことが気掛かりだったがこの間に一度も会うことはなく、もしかすると私ともう会うつもりはないのかと思った。そもそもバディにならなければ話すこともなかった地位のある彼だ、バディでもなければ騎士でもなくなった自分を気にかける理由がないのかもしれない。
気掛かりがなくなった私はひとまず彼へ話しかける程度は許してもらえるような人になろうかと城から募集していた優秀な魔法士が多い隣国の留学に応募した。数年、隣国にいなければいけないことからなかなか人が集まらなかったらしく感謝されながら私はすぐに隣国へ送られた。
自分の国から出たことはなかった私は異文化に触れながらも着実に魔法士として成長していく。あの習得の難しい回復魔法だって出来るようになったのだ、確実に一歩進んでいる。この国の知り合いもでき、とても充実した数年間過ごした。たびたび驚く出来事が私に起こったが今思うといい思い出だと振り返れる。
今日は留学の期間が終わり、国に帰る日だ。私を見送る者たちが数名、別れを惜しんでいる。特に先ほどから涙を大量に流す一名が目に入り笑ってしまう。
「そんなに泣かないで下さい、一生の別れではないんですから」
胸元からハンカチを出し、涙を流す彼へ渡す。
「僕からすれば一生の別れなんだよ、うぅ、だよね、王子?」
ハンカチを受け取った栗毛の髪の彼が隣の銀髪の彼へ問えば頷いた。そして私を見て「もうこちらの魔法士として過ごしてはどう? 書類完備しているのに」というここで過ごして彼と会えばいつも言うお決まりの言葉を言った。つい、この言葉も最後だと思うとまた笑ってしまうが一度首を横に振って「すみません、最後まで断ってしまって。でもそう言ってくれるのは嬉しかったんです、ありがとうございます」と伝える。
銀髪の彼は優しく微笑み「私はいつまでも歓迎しているから何かあった時はいつでもおいで」と言って私を抱きしめた。彼の優しさに目が潤む私は抱きしめ返し、続けて抱きついてきた栗毛の髪の彼も抱きしめる。
そうして彼らと他の者にも別れを告げた私は馬車に乗り込み、懐かしい母国へと帰るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる