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第一部 幸せな日々、そして旅立ち
第七章 第十一話
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村は騒然としていた。
村に向かってとてつもない火球が落ちてこようとしているのだ。
最初の1人が気づき、騒ぎだし、大騒ぎになるのはあっという間だった。
家財を纏め、逃げようとする村人がたくさんいる中、旅芸人一座の座長、イルサーダは慌てることなく静かに空を見上げていた。
「あれだけの火球をけしかけて、しかも村の周りには結界ですか。えげつないですね。ここにいる者をみな、焼き殺すつもりですか」
静かな怒りを込めてそう呟きながら、目を閉じる。
「んー、雷砂は村の外みたいですね。気配が遠い。何だか、イヤな気配が側にいるから早く行ってあげないと。ん?セイラが戻って来ましたか。なるほど。雷砂の大切な者をことごとく奪うつもりですか。まったく、なめたまねをしてくれますね・・・・・・」
ぶつぶつ呟きながら、イルサーダは周囲を見回した。宿屋の前の道はそれなりに広く、家も密集していない。
「うーん。これくらい余裕があればなんとかなるでしょうか・・・・・・ま、何軒かは潰してしまうかもしれませんけど、全てが燃やし尽くされてしまうよりは大分ましでしょう」
「おーい、座長」
うんうんと頷きながら独り言を言っていると、宿の方からジェドが走ってきた。
「なんかやべー感じだよな?俺らも逃げる準備するか?」
「村から出られないように結界を張られてますから、逃げようとするだけ無駄ですよ」
「げ、なんだそれ。やべーじゃん」
青くなる青年に、イルサーダはにっこり笑いかけ、
「それより、ジェド。良いところに来ました。うちの子達みんなに声をかけて、この辺り一体を封鎖して下さい。関係ない人が入ってこないように」
そんな指示を出す。
「は?この辺り一体を封鎖?なんで?」
「まあまあ、理由は後で説明しますから。とにかく急いで。あなたも、このまま消し炭になりたくはないでしょう?」
そう言いながら青年を追い立てる。彼は首を傾げながら宿へと駆け戻っていった。座長の指示を、みんなに伝えるために。
「さあて。どこの誰が仕掛けてきたのかは分かりませんが、ここに私が居たのが運の尽きでしたね」
イルサーダは大分近づいてきた火の固まりを見上げ、ニヤリと不敵に笑った。
雷砂の見つめる目の前で、村が大きな炎の固まりに飲み込まれようとしていた。
目を見開いたまま、声もなく涙を流す雷砂の体を弄びながら男が笑う。
「さあ、もうすぐフィナーレだよ、雷砂」
その瞬間にあわせて君を貫いてあげるからねーそんなふざけた事を言いながら、雷砂の首筋をいやらしく舐めた男が顔を上げた瞬間、それは起こった。
村の真ん中辺りから、水の奔流が火球に向かって放たれた。
その清らかな流れは火球を押しとどめ、包み込む。水に包まれた火球は次第にその勢いを失い、最後には消えてなくなってしまった。
「き、えた?」
目の前の光景が信じられないというように雷砂が呟く。雷砂の上の男は大きく舌打ちをした。
「くそっ。水龍のブレスか、あれは。なんだよ、水龍がいるなんて聞いてないぞ」
時間をかけて準備した魔術を台無しにされた男は吐き捨てるようにそう言った。
「結構魔力を使ったから、成体の水龍を相手にするのは出来れば避けたいな。こうなったら、雷砂だけでもなんとか・・・・・・」
呟いた男の体が吹き飛んだ。
「な、なんだ!?」
驚いたように声を上げた男の前に銀色の獣が立っていた。低いうなり声をあげ、男を威嚇するようにしながら。
自由になった雷砂は起き上がり、
「ロウ・・・・・・」
その名を呟きながら、頼もしい相棒を見上げた。
ロウは雷砂の声にふわりと尾を振ることで答えて、その目は目の前の敵から一時も離さずに睨みつけている。
雷砂は微笑み立ち上がると、ゆっくりと歩いて銀色の狼の傍らに立った。
(雷砂、剣になれと、ロウに命じて)
不意に、そんな声が脳裏に響いた。聞き覚えのある声だ。
(イルサーダ?)
心の中で問いかけると、即座に頷く気配が返ってくる。
(そうです。いいですか、雷砂。ロウは獣の形態では本来の力を発揮しきれません。ロウを剣に変えるんです。そうすれば、ロウの力も、君の中の力も、今よりましな程度には発揮できるはずですから)
(ロウを剣にって・・・・・・なにをいってるんだよ、イルサーダ)
(今は詳しく説明している時間がないんですよ。目の前に敵がいるんでしょう?今は私を信じて。さあ、早く)
その言葉を受けて、雷砂は少し離れた場所でこちらを伺っている男を見た。
自分だけの力ではかなわないという事は、痛いくらいに思い知らされていた。
(そうすれば、あいつにオレの攻撃は届くのか?)
(必ず!)
(なら、試してみよう)
雷砂はロウの毛皮を優しく撫で、見上げてきた黄金の瞳を見つめた。
「ロウ。剣になって、オレに力を貸してくれ」
イルサーダの言葉の全てを信じたわけではない。だが、藁にもすがる気持ちでその言葉を唇に乗せる。
変化は一瞬だった。
獣の姿が揺らぎ、次の瞬間には銀色の刀身の美しい剣が雷砂の手の中に収まっていた。
瞬きを一つ。
だが、のんびり驚いている暇は無いことをすぐに思い出し、雷砂はぐっと剣を握った。
すると、不思議なことに、体の奥の方から力が湧いてくるのが分かった。
剣を肩に担ぐように構え、ぐっと足を踏みしめて跳躍する。
驚くほど軽々と体が跳び、目の前に男の驚いたような顔が迫った。
剣を、振る。
まるで重さがないように軽々と剣は走り、避けようとした男の右腕を半ば切り落としていた。
「ぐっ・・・・・・」
予想もしなかった雷砂の手痛い反撃に、男は低くうめいて飛び退いた。
「なんだそれ。反則だよ、雷砂。ひどいなぁ。腕が取れちゃったじゃないか」
「残念。頭からまっぷたつにしてやるつもりだったんだけどな。よくも、好き勝手やってくれたな」
「うわ、雷砂、怒ってる?」
「怒ってるに決まってるだろうが。あれだけやられて、怒らない方がおかしい」
「水龍に、守護聖龍の剣に、ちょっぴりだけど強くなった雷砂。うーん、ちょっと分が悪いなぁ」
「ぶつぶつうるさい奴だな。今度こそ、まっぷたつにしてやる」
言いながら、雷砂は駆けた。
だが、今度は彼も大人しくはしていない。
迫る雷砂に炎の刃を飛ばし、今度は空中に逃げた。
「うーん。予想以上に雷砂を怒らせちゃったし、今回は諦めて出直すかぁ」
「出直す?待て!逃がすか!!」
「そう言われて素直に待つ奴はいないよ。今日は連れて帰れなくて残念だけど、また近々迎えに来るよ」
にこりと青年が笑う。
逃がしてたまるかと、ぷかぷか浮かぶ青年に向かって飛び上がり、剣を振りかぶる雷砂。
しかし、振り下ろした先にはもう青年の姿はなく、剣は見事なまでに空を切った。
地面に降りてから周囲を見回したが、見える範囲に彼の姿は見えなかった。
「逃げられたか・・・・・・」
雷砂は怒りのさめやらないまま、小さくため息をついた。
(逃げられましたね。逃げ足の早い奴です。私のブレスで攻撃してやろうと急いで来たのに、口惜しい)
「イルサーダ?」
再び頭の中に響いた声に雷砂が村の方を振り向くと、大きな生き物が空から降りてくるところだった。
美しい蒼の鱗の生き物は、大きな翼をはためかせて地面へと降り立つ。
青い宝石の様な瞳が雷砂を認め、その生き物が笑ったように感じた。
(やれやれ。せっかくこの姿のまま来たのですが、ま、いいでしょう。話しにくいから、普段の姿に戻りますか)
頭の中の声がそう言うが早いか、目の前の大きな生き物の姿が霞み、雷砂の知る人の姿へと変貌する。
青い瞳に栗色の髪。優しげな美貌の青年の姿に戻ったイルサーダはにこりと雷砂に笑いかけた。
「雷砂、ぶ・・・・・・生きていて何よりです」
無事で何よりと言いたかった様だが、無事とは言い難い雷砂の姿に、イルサーダは急遽言葉の内容を微修正した。
雷砂は首を傾げ、不思議そうにイルサーダを見ていた。
それも仕方ないだろうと、そんな雷砂を見つめ、鷹揚に微笑む。
先ほど腰が抜けるほど驚いていた一座の面々に比べれば、雷砂の驚き方などまだ可愛い方だ。
「イルサーダって・・・・・・」
「ええ」
「獣人だったの?」
「ちっ、違います。龍ですよ、龍!!」
雷砂の見当違いの言葉に、慌てて訂正するイルサーダ。
世間をあまり知らず、獣人族と長く暮らしていた雷砂は、龍身から人間へと姿を変える様子を見て、獣人だと勘違いしたらしい。
「龍・・・・・・」
ぽかんとした顔の雷砂を、イルサーダは微笑ましく見つめた。
「私は龍神族の末席に連なる者。水龍のイルサーダ。改めまして、よろしくお願いします、聖龍公・雷砂」
流れるような動きで片膝をつき、イルサーダは雷砂に臣下の礼を取った。
「聖龍公って・・・・・・オレは、ただの雷砂だよ。誰かと、間違えてない?」
「いえ、間違ってはいませんよ、雷砂。あなたの身に宿る力と、その剣が証拠です。あなたは我らが王、守護聖龍が守護をあたえし者。守護聖龍の行方が知れない今、あなたは我らの王に繋がる唯一の希望なのです」
「守護聖龍の守護って・・・・・・身に覚えがないんだけど?それに、守護聖龍ってのにも会ったことないし」
「恐らく、あなたが物心つく前の事なのではないですか。覚えてなくても仕方ないですよ。それに、雷砂。私と会ったことも、覚えてはいないでしょう?」
「あ、やっぱり会ったことあるの?」
「おや、覚えてましたか?」
「なんとなく、かな。でも、いつどこで会ったかはまるで覚えてないけど」
「あなたがまだこちらに来たばかりの頃、一度だけ会ったきりです。覚えてなくて当然ですよ」
「イルサーダは、なんでオレに会いに来たんだ?」
「我らが王、守護聖龍が聖龍宮から消え、それと時を同じくして聖龍の守護を与えられた存在がこの世界に突如現れたのです。確かめたくなるのも当然でしょう?あの時は大変でした。一族の誰もがあなたに会いに来ようとして。私が何とか説き伏せて、代表であなたの様子を見に行ったのです」
「そうだったのか。それで、あんた達の王様は見つかったのか?オレを守護してくれているっていう人は」
「いえ。今だに痕跡の一つすら見つかっていない状態です。死んではいない事は分かっていますから、恐らく何者かに捕らわれているのでしょう」
「なぜ、死んでないと?嫌な意見だとは思うけど、もう死んでる可能性だってあるだろう?」
雷砂がこちらに来た頃に行方不明になったのなら、いなくなってもう5年はたつのだろう。
それだけの期間探し続けてなんの痕跡も見あたらないのは、もう死んでいるからという可能性もあるのではないかと思ったのだ。
だが、イルサーダはきっぱりと首を横に振った。
「いえ、あなたの身に王の守護がある以上、それはあり得ません。あなたに残された王の守護は、彼の生きてる証なのですよ。ですから、どんな屈辱的な状況でいらっしゃるにしろ、我らの王は生きて我らの救助を待っているはずなのです」
「そう。早く、見つかるといいね?」
「ええ。何かあったら、助けて下さいね、雷砂」
「ああ。協力は惜しまないよ。今日はイルサーダに助けられたからね。ところで、この剣ってもうずっとこのまま?」
手に持った剣をイルサーダに見せながら訪ねる。
ロウが変化して出来た剣だ。
すごい剣だが、どんなに優秀だとしてもこのまま二度とロウに会えないのは嫌だと思った。
「いえ、雷砂が願えば形は思うままですよ。ただ、武器の形態が一番力を発揮しやすいのです。雷砂の能力のサポートもしてくれますし。だから、戦闘時はなるべく武器の形が良いでしょうけど、他の時は好きにしていいんじゃないですか」
「どうすればいいかな?」
「剣にしたときと同じです。声に出して命じるか、念じるかすればあなたの思うようになります」
「よし、わかった。えーと、ロウ?いつもの姿に戻って」
雷砂の言葉と共に、剣がまばゆい光を放つ。
それが収まると、そこにはいつもと何ら変わりない様子の銀色の獣がいて、雷砂に甘えるように頭をすり寄せてきた。
雷砂はふわふわの毛皮を思いっきり抱きしめ、
「お疲れさま。ありがとう、助かったよ。ロウ」
そう声をかけた。
そんな様子を、イルサーダが微笑ましそうに見守る。
ひとしきりそうしてじゃれ合ってから、雷砂はロウから体を離し、イルサーダを見上げた。
「じゃあ、ぼちぼち村に戻ろうか?セイラとか、すごく心配してるだろうし」
「そうですね。帰りましょう・・・・・・と、その前に」
そう言いながら、イルサーダは肩に掛けていたショールの様な布を差しだした。
不思議そうに首を傾げてから、はっと自分の今の姿を思い出す。よく考えれば、さっき服を破かれたままだ。
そんな色々むき出しのままで戦ってたのか、と恥ずかしいわけではないが何となく落ち込みながら布を受け取って体に巻き付けた。
「悪いな、イルサーダ」
「いえ。ズボンは破けていないので、貞操は無事と、信じていますよ」
「大丈夫。ちょっと色々舐められたくらいだから」
雷砂がなんでもない事の様に言った瞬間、イルサーダの額にぴきりと青筋が浮かんだ。
「そうですか。そんな不埒なまねを。次にあったらこてんぱんに殺ってしまいましょう」
ふふふふふ・・・・・・とイルサーダが笑う。物騒なことこの上ない。
「そうだな。また、会うことになりそうだしなぁ」
面倒なことだとため息をつき、雷砂はゆっくりと歩き出した。
その隣をロウが歩き、少し後ろをイルサーダがついてくる。
雷砂は微笑み、早くセイラの顔が見たいなぁとそんな事を考えながら、少しだけ歩くスピードを早くするのだった。
村に向かってとてつもない火球が落ちてこようとしているのだ。
最初の1人が気づき、騒ぎだし、大騒ぎになるのはあっという間だった。
家財を纏め、逃げようとする村人がたくさんいる中、旅芸人一座の座長、イルサーダは慌てることなく静かに空を見上げていた。
「あれだけの火球をけしかけて、しかも村の周りには結界ですか。えげつないですね。ここにいる者をみな、焼き殺すつもりですか」
静かな怒りを込めてそう呟きながら、目を閉じる。
「んー、雷砂は村の外みたいですね。気配が遠い。何だか、イヤな気配が側にいるから早く行ってあげないと。ん?セイラが戻って来ましたか。なるほど。雷砂の大切な者をことごとく奪うつもりですか。まったく、なめたまねをしてくれますね・・・・・・」
ぶつぶつ呟きながら、イルサーダは周囲を見回した。宿屋の前の道はそれなりに広く、家も密集していない。
「うーん。これくらい余裕があればなんとかなるでしょうか・・・・・・ま、何軒かは潰してしまうかもしれませんけど、全てが燃やし尽くされてしまうよりは大分ましでしょう」
「おーい、座長」
うんうんと頷きながら独り言を言っていると、宿の方からジェドが走ってきた。
「なんかやべー感じだよな?俺らも逃げる準備するか?」
「村から出られないように結界を張られてますから、逃げようとするだけ無駄ですよ」
「げ、なんだそれ。やべーじゃん」
青くなる青年に、イルサーダはにっこり笑いかけ、
「それより、ジェド。良いところに来ました。うちの子達みんなに声をかけて、この辺り一体を封鎖して下さい。関係ない人が入ってこないように」
そんな指示を出す。
「は?この辺り一体を封鎖?なんで?」
「まあまあ、理由は後で説明しますから。とにかく急いで。あなたも、このまま消し炭になりたくはないでしょう?」
そう言いながら青年を追い立てる。彼は首を傾げながら宿へと駆け戻っていった。座長の指示を、みんなに伝えるために。
「さあて。どこの誰が仕掛けてきたのかは分かりませんが、ここに私が居たのが運の尽きでしたね」
イルサーダは大分近づいてきた火の固まりを見上げ、ニヤリと不敵に笑った。
雷砂の見つめる目の前で、村が大きな炎の固まりに飲み込まれようとしていた。
目を見開いたまま、声もなく涙を流す雷砂の体を弄びながら男が笑う。
「さあ、もうすぐフィナーレだよ、雷砂」
その瞬間にあわせて君を貫いてあげるからねーそんなふざけた事を言いながら、雷砂の首筋をいやらしく舐めた男が顔を上げた瞬間、それは起こった。
村の真ん中辺りから、水の奔流が火球に向かって放たれた。
その清らかな流れは火球を押しとどめ、包み込む。水に包まれた火球は次第にその勢いを失い、最後には消えてなくなってしまった。
「き、えた?」
目の前の光景が信じられないというように雷砂が呟く。雷砂の上の男は大きく舌打ちをした。
「くそっ。水龍のブレスか、あれは。なんだよ、水龍がいるなんて聞いてないぞ」
時間をかけて準備した魔術を台無しにされた男は吐き捨てるようにそう言った。
「結構魔力を使ったから、成体の水龍を相手にするのは出来れば避けたいな。こうなったら、雷砂だけでもなんとか・・・・・・」
呟いた男の体が吹き飛んだ。
「な、なんだ!?」
驚いたように声を上げた男の前に銀色の獣が立っていた。低いうなり声をあげ、男を威嚇するようにしながら。
自由になった雷砂は起き上がり、
「ロウ・・・・・・」
その名を呟きながら、頼もしい相棒を見上げた。
ロウは雷砂の声にふわりと尾を振ることで答えて、その目は目の前の敵から一時も離さずに睨みつけている。
雷砂は微笑み立ち上がると、ゆっくりと歩いて銀色の狼の傍らに立った。
(雷砂、剣になれと、ロウに命じて)
不意に、そんな声が脳裏に響いた。聞き覚えのある声だ。
(イルサーダ?)
心の中で問いかけると、即座に頷く気配が返ってくる。
(そうです。いいですか、雷砂。ロウは獣の形態では本来の力を発揮しきれません。ロウを剣に変えるんです。そうすれば、ロウの力も、君の中の力も、今よりましな程度には発揮できるはずですから)
(ロウを剣にって・・・・・・なにをいってるんだよ、イルサーダ)
(今は詳しく説明している時間がないんですよ。目の前に敵がいるんでしょう?今は私を信じて。さあ、早く)
その言葉を受けて、雷砂は少し離れた場所でこちらを伺っている男を見た。
自分だけの力ではかなわないという事は、痛いくらいに思い知らされていた。
(そうすれば、あいつにオレの攻撃は届くのか?)
(必ず!)
(なら、試してみよう)
雷砂はロウの毛皮を優しく撫で、見上げてきた黄金の瞳を見つめた。
「ロウ。剣になって、オレに力を貸してくれ」
イルサーダの言葉の全てを信じたわけではない。だが、藁にもすがる気持ちでその言葉を唇に乗せる。
変化は一瞬だった。
獣の姿が揺らぎ、次の瞬間には銀色の刀身の美しい剣が雷砂の手の中に収まっていた。
瞬きを一つ。
だが、のんびり驚いている暇は無いことをすぐに思い出し、雷砂はぐっと剣を握った。
すると、不思議なことに、体の奥の方から力が湧いてくるのが分かった。
剣を肩に担ぐように構え、ぐっと足を踏みしめて跳躍する。
驚くほど軽々と体が跳び、目の前に男の驚いたような顔が迫った。
剣を、振る。
まるで重さがないように軽々と剣は走り、避けようとした男の右腕を半ば切り落としていた。
「ぐっ・・・・・・」
予想もしなかった雷砂の手痛い反撃に、男は低くうめいて飛び退いた。
「なんだそれ。反則だよ、雷砂。ひどいなぁ。腕が取れちゃったじゃないか」
「残念。頭からまっぷたつにしてやるつもりだったんだけどな。よくも、好き勝手やってくれたな」
「うわ、雷砂、怒ってる?」
「怒ってるに決まってるだろうが。あれだけやられて、怒らない方がおかしい」
「水龍に、守護聖龍の剣に、ちょっぴりだけど強くなった雷砂。うーん、ちょっと分が悪いなぁ」
「ぶつぶつうるさい奴だな。今度こそ、まっぷたつにしてやる」
言いながら、雷砂は駆けた。
だが、今度は彼も大人しくはしていない。
迫る雷砂に炎の刃を飛ばし、今度は空中に逃げた。
「うーん。予想以上に雷砂を怒らせちゃったし、今回は諦めて出直すかぁ」
「出直す?待て!逃がすか!!」
「そう言われて素直に待つ奴はいないよ。今日は連れて帰れなくて残念だけど、また近々迎えに来るよ」
にこりと青年が笑う。
逃がしてたまるかと、ぷかぷか浮かぶ青年に向かって飛び上がり、剣を振りかぶる雷砂。
しかし、振り下ろした先にはもう青年の姿はなく、剣は見事なまでに空を切った。
地面に降りてから周囲を見回したが、見える範囲に彼の姿は見えなかった。
「逃げられたか・・・・・・」
雷砂は怒りのさめやらないまま、小さくため息をついた。
(逃げられましたね。逃げ足の早い奴です。私のブレスで攻撃してやろうと急いで来たのに、口惜しい)
「イルサーダ?」
再び頭の中に響いた声に雷砂が村の方を振り向くと、大きな生き物が空から降りてくるところだった。
美しい蒼の鱗の生き物は、大きな翼をはためかせて地面へと降り立つ。
青い宝石の様な瞳が雷砂を認め、その生き物が笑ったように感じた。
(やれやれ。せっかくこの姿のまま来たのですが、ま、いいでしょう。話しにくいから、普段の姿に戻りますか)
頭の中の声がそう言うが早いか、目の前の大きな生き物の姿が霞み、雷砂の知る人の姿へと変貌する。
青い瞳に栗色の髪。優しげな美貌の青年の姿に戻ったイルサーダはにこりと雷砂に笑いかけた。
「雷砂、ぶ・・・・・・生きていて何よりです」
無事で何よりと言いたかった様だが、無事とは言い難い雷砂の姿に、イルサーダは急遽言葉の内容を微修正した。
雷砂は首を傾げ、不思議そうにイルサーダを見ていた。
それも仕方ないだろうと、そんな雷砂を見つめ、鷹揚に微笑む。
先ほど腰が抜けるほど驚いていた一座の面々に比べれば、雷砂の驚き方などまだ可愛い方だ。
「イルサーダって・・・・・・」
「ええ」
「獣人だったの?」
「ちっ、違います。龍ですよ、龍!!」
雷砂の見当違いの言葉に、慌てて訂正するイルサーダ。
世間をあまり知らず、獣人族と長く暮らしていた雷砂は、龍身から人間へと姿を変える様子を見て、獣人だと勘違いしたらしい。
「龍・・・・・・」
ぽかんとした顔の雷砂を、イルサーダは微笑ましく見つめた。
「私は龍神族の末席に連なる者。水龍のイルサーダ。改めまして、よろしくお願いします、聖龍公・雷砂」
流れるような動きで片膝をつき、イルサーダは雷砂に臣下の礼を取った。
「聖龍公って・・・・・・オレは、ただの雷砂だよ。誰かと、間違えてない?」
「いえ、間違ってはいませんよ、雷砂。あなたの身に宿る力と、その剣が証拠です。あなたは我らが王、守護聖龍が守護をあたえし者。守護聖龍の行方が知れない今、あなたは我らの王に繋がる唯一の希望なのです」
「守護聖龍の守護って・・・・・・身に覚えがないんだけど?それに、守護聖龍ってのにも会ったことないし」
「恐らく、あなたが物心つく前の事なのではないですか。覚えてなくても仕方ないですよ。それに、雷砂。私と会ったことも、覚えてはいないでしょう?」
「あ、やっぱり会ったことあるの?」
「おや、覚えてましたか?」
「なんとなく、かな。でも、いつどこで会ったかはまるで覚えてないけど」
「あなたがまだこちらに来たばかりの頃、一度だけ会ったきりです。覚えてなくて当然ですよ」
「イルサーダは、なんでオレに会いに来たんだ?」
「我らが王、守護聖龍が聖龍宮から消え、それと時を同じくして聖龍の守護を与えられた存在がこの世界に突如現れたのです。確かめたくなるのも当然でしょう?あの時は大変でした。一族の誰もがあなたに会いに来ようとして。私が何とか説き伏せて、代表であなたの様子を見に行ったのです」
「そうだったのか。それで、あんた達の王様は見つかったのか?オレを守護してくれているっていう人は」
「いえ。今だに痕跡の一つすら見つかっていない状態です。死んではいない事は分かっていますから、恐らく何者かに捕らわれているのでしょう」
「なぜ、死んでないと?嫌な意見だとは思うけど、もう死んでる可能性だってあるだろう?」
雷砂がこちらに来た頃に行方不明になったのなら、いなくなってもう5年はたつのだろう。
それだけの期間探し続けてなんの痕跡も見あたらないのは、もう死んでいるからという可能性もあるのではないかと思ったのだ。
だが、イルサーダはきっぱりと首を横に振った。
「いえ、あなたの身に王の守護がある以上、それはあり得ません。あなたに残された王の守護は、彼の生きてる証なのですよ。ですから、どんな屈辱的な状況でいらっしゃるにしろ、我らの王は生きて我らの救助を待っているはずなのです」
「そう。早く、見つかるといいね?」
「ええ。何かあったら、助けて下さいね、雷砂」
「ああ。協力は惜しまないよ。今日はイルサーダに助けられたからね。ところで、この剣ってもうずっとこのまま?」
手に持った剣をイルサーダに見せながら訪ねる。
ロウが変化して出来た剣だ。
すごい剣だが、どんなに優秀だとしてもこのまま二度とロウに会えないのは嫌だと思った。
「いえ、雷砂が願えば形は思うままですよ。ただ、武器の形態が一番力を発揮しやすいのです。雷砂の能力のサポートもしてくれますし。だから、戦闘時はなるべく武器の形が良いでしょうけど、他の時は好きにしていいんじゃないですか」
「どうすればいいかな?」
「剣にしたときと同じです。声に出して命じるか、念じるかすればあなたの思うようになります」
「よし、わかった。えーと、ロウ?いつもの姿に戻って」
雷砂の言葉と共に、剣がまばゆい光を放つ。
それが収まると、そこにはいつもと何ら変わりない様子の銀色の獣がいて、雷砂に甘えるように頭をすり寄せてきた。
雷砂はふわふわの毛皮を思いっきり抱きしめ、
「お疲れさま。ありがとう、助かったよ。ロウ」
そう声をかけた。
そんな様子を、イルサーダが微笑ましそうに見守る。
ひとしきりそうしてじゃれ合ってから、雷砂はロウから体を離し、イルサーダを見上げた。
「じゃあ、ぼちぼち村に戻ろうか?セイラとか、すごく心配してるだろうし」
「そうですね。帰りましょう・・・・・・と、その前に」
そう言いながら、イルサーダは肩に掛けていたショールの様な布を差しだした。
不思議そうに首を傾げてから、はっと自分の今の姿を思い出す。よく考えれば、さっき服を破かれたままだ。
そんな色々むき出しのままで戦ってたのか、と恥ずかしいわけではないが何となく落ち込みながら布を受け取って体に巻き付けた。
「悪いな、イルサーダ」
「いえ。ズボンは破けていないので、貞操は無事と、信じていますよ」
「大丈夫。ちょっと色々舐められたくらいだから」
雷砂がなんでもない事の様に言った瞬間、イルサーダの額にぴきりと青筋が浮かんだ。
「そうですか。そんな不埒なまねを。次にあったらこてんぱんに殺ってしまいましょう」
ふふふふふ・・・・・・とイルサーダが笑う。物騒なことこの上ない。
「そうだな。また、会うことになりそうだしなぁ」
面倒なことだとため息をつき、雷砂はゆっくりと歩き出した。
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