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第一部 幼年期
第十四話 カイゼル・ルバーノ
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長く連絡が途絶えていた弟から手紙が届いた。
剣の才に恵まれ、人付き合いの良い弟だったので、連絡がない間もそれほど心配はしていなかったが、それでも別れてから初めて届いた手紙は嬉しかった。
手紙によれば、結婚をして息子も生まれたらしい。
今年で1才になる息子を連れて、こちらに向かうと書いてあった。
今頃は、こちらに向かう馬車の中だろう。
再会するのが、楽しみだった。
弟が出奔してから、父も母も丸くなった。
今は楽隠居の身で、のんびり暮らしている。
孫息子と共に弟が戻ると知れば喜ぶだろうが、まだ知らせてはいない。
弟をいきなり連れて行って喜ばせてやろうと考えていた。
手紙が届いたのは2~3日前だから、もう旅程の半分は過ぎたのだろうか。
早く弟の顔が見たいと思いながら、アズベルグの領主・カイゼル・ルバーノは厳つい顔に笑みを浮かべるのだった。
その日は朝からやけに書類仕事が立て込んでいて、カイゼルは執務室に縛り付けだった。
逃げられないように、秘書のジュディスも張り付きっぱなしで息抜きすら出来ない。
ジュディスは良い女だし仕事は出来るし言うこと無しなのだが、兎に角融通が利かないのが欠点だと、カイゼルは常日頃思っていた。
ちなみに、ジュディスとカイゼルは清い関係を保っている。
女盛りのジュディスをカイゼルは憎からず思っており、嫁さんが妊娠中に何度か誘いをかけた事はあるが、見事なまでにスルーされて今に至る。
ジュディスは融通が利かない上に、鈍い女でもあった。
「……ジュディスよ」
「何でしょう、カイゼル様」
「わしはそろそろ帰宅して、弟を迎える準備をだな……」
「昨日も一昨日もそうおっしゃってお帰りになりました。今日は帰しません」
「だが、そうはいっても弟は後数日でアズベルグに着くんだ。早く準備をしないと……」
「ご安心下さい。その件に関しましては奥様とお嬢様方にお願いをしてあります。カイゼル様は必要ありません」
「いやいや、わしの弟だし!」
言い募ると、何だか深々とため息をつかれた。
クールな切れ長の目が、じっとりとこちらを見つめてくる。
負けるものかと、ちょっとびくびくしながら見つめ返すと、彼女は手近にあった書類の山を、更に彼の目の前に積み上げた。
「さ、お早く」
「さりげなく増やすなっ!」
そう言って新たに積み上げられた分だけ横に避けると、
「ちっ」
心底忌々しそうに舌打ちをされた。
っていうか、わし、お前の雇い主だよね!?ーと思いつつも、
「最初の分だけはちゃんと今日片づけるから、それで勘弁してくれ。その代わり、明日も頑張るから」
これ以上今日の仕事を増やされたらたまらんので、渋々妥協してそう告げると、最初からそう言えばいいんですよとばかりにドヤ顔をされた。
(くそう、腹の立つ……)
そう思いはしたものの、口では決して勝てないことは分かり切っているので、飛び出しそうな文句は無理矢理飲み込んで、書類の処理を再開する。
そうしてしばらく作業していると、執務室のドアが激しく叩かれた。
何事かと入室を促すと、入ってきたのはルバーノ家の兵士長兼アズベルグの警備隊長のジャンバルノだった。
まだ若いが剣の腕が良く、見目も良い。真面目で忠誠心と正義感に溢れた頼りになる男である。
その頼りになる、一般兵からは兄貴と慕われるジャンバルノが、珍しく血相を変えていた。
あまりの珍しさに一瞬目を見開いたが、それだけの事件が起きたのだろうと、カイゼルも表情を少し引き締めた。
「何事ですか、騒がしい」
だが、流石は鉄の女・ジュディスである。
ジャンバルノの様子を見ても顔色一つ変えずにそんな言葉が飛び出してくる。
「いや、すまん。だが、カイゼル様に緊急の報告があるんだ。いいか?」
常識人のジャンバルノは自分が騒々しかった自覚があったのだろう。
申し訳なさそうに、ジュディスに頭を下げ、許しを乞う。
そんな彼に対し、ジュディスははーっと大きくため息。
「緊急ですか。じゃあ、仕方ありませんね」
と、本当に仕方なさそうに言って、部屋の隅へと控えた。
ジャンバルノは彼女が控えるのを待って、それから流れるような仕草でカイゼルの前へ立ち片膝をつく。
そして、発言の許可を待った。
「ジャンバルノ、報告を頼む。お前がそれ程取り乱すのだ。重要な事なのだろう?」
「はっ。実は南の街道で盗賊に襲われたらしい乗り合い馬車が放置されているとの報告があり……」
「乗り合い、馬車。距離は?」
乗り合い馬車というキーワードが嫌な予感を連想させた。
弟は確か、手紙で乗り合い馬車を利用すると言っていた。
「馬で1日程の距離との報告です。情報をあげてくれたのは旅の商人ですが、襲撃からまだそれ程時間はたっていなかったのではないかと言っていました。血が、まだ乾ききっていなかったそうです。馬車の中までは見なかったようですが、声をかけても返事は無かったと。ただ、正確な情報とは言えませんので、これから急ぎ現場に向かおうと思っております」
「うむ。許可する。商人が現場を確認したのはいつだと言っていた?」
「昨日の昼過ぎ、とのことです」
「そうか……」
カイゼルは顎髭をなでながら考えた。
犠牲になった馬車は、弟が乗ってくる予定のものより早く到着する予定だったようだ。
そう考えると、弟が乗っていない可能性は高いような気がする。
だが、乗り合い馬車の本数はそれ程無いはず。
弟が乗った馬車が予定より早く行程を進んだと言うことも考えられるのだ。
まさか、とは思うが不安だった。
「商人は、遺体を見たのか?」
「馬車の外で殺されている者もいたようなので、何人かは目にしているでしょうが……」
「そうか。わしと同じ様な、赤毛を見たような事も、言ってなかったであろうな」
「特にそのような報告はありませんでした」
「わかった。ジャンバルノ、現場へはわしも同道しよう。その馬車に、わしの弟と甥が乗っていた可能性があるのだ」
「な、なんと!?」
「早合点はするな。確実な情報ではない。だが、どうしても自分の目で確かめ安心したい。ジュディスも、仕事が中途半端になってすまんが」
「いえ、そういう事情であれば仕方ありません。奥様達へのご連絡もお任せ下さい」
「うむ。助かる。では、急ぎ参ろう、ジャンバルノ」
「はっ」
片づけていた書類もそのままに、早足で執務室を飛び出す。
外しておいた剣と剣帯をジュディスが差し出してきたので、それもしっかりと身につけて。
ジャンバルノを連れ、馬房へと急ぐ。
今はただ、弟が無事であることを祈りながら少しでも早く現場へ向かう事しか出来なかった。
剣の才に恵まれ、人付き合いの良い弟だったので、連絡がない間もそれほど心配はしていなかったが、それでも別れてから初めて届いた手紙は嬉しかった。
手紙によれば、結婚をして息子も生まれたらしい。
今年で1才になる息子を連れて、こちらに向かうと書いてあった。
今頃は、こちらに向かう馬車の中だろう。
再会するのが、楽しみだった。
弟が出奔してから、父も母も丸くなった。
今は楽隠居の身で、のんびり暮らしている。
孫息子と共に弟が戻ると知れば喜ぶだろうが、まだ知らせてはいない。
弟をいきなり連れて行って喜ばせてやろうと考えていた。
手紙が届いたのは2~3日前だから、もう旅程の半分は過ぎたのだろうか。
早く弟の顔が見たいと思いながら、アズベルグの領主・カイゼル・ルバーノは厳つい顔に笑みを浮かべるのだった。
その日は朝からやけに書類仕事が立て込んでいて、カイゼルは執務室に縛り付けだった。
逃げられないように、秘書のジュディスも張り付きっぱなしで息抜きすら出来ない。
ジュディスは良い女だし仕事は出来るし言うこと無しなのだが、兎に角融通が利かないのが欠点だと、カイゼルは常日頃思っていた。
ちなみに、ジュディスとカイゼルは清い関係を保っている。
女盛りのジュディスをカイゼルは憎からず思っており、嫁さんが妊娠中に何度か誘いをかけた事はあるが、見事なまでにスルーされて今に至る。
ジュディスは融通が利かない上に、鈍い女でもあった。
「……ジュディスよ」
「何でしょう、カイゼル様」
「わしはそろそろ帰宅して、弟を迎える準備をだな……」
「昨日も一昨日もそうおっしゃってお帰りになりました。今日は帰しません」
「だが、そうはいっても弟は後数日でアズベルグに着くんだ。早く準備をしないと……」
「ご安心下さい。その件に関しましては奥様とお嬢様方にお願いをしてあります。カイゼル様は必要ありません」
「いやいや、わしの弟だし!」
言い募ると、何だか深々とため息をつかれた。
クールな切れ長の目が、じっとりとこちらを見つめてくる。
負けるものかと、ちょっとびくびくしながら見つめ返すと、彼女は手近にあった書類の山を、更に彼の目の前に積み上げた。
「さ、お早く」
「さりげなく増やすなっ!」
そう言って新たに積み上げられた分だけ横に避けると、
「ちっ」
心底忌々しそうに舌打ちをされた。
っていうか、わし、お前の雇い主だよね!?ーと思いつつも、
「最初の分だけはちゃんと今日片づけるから、それで勘弁してくれ。その代わり、明日も頑張るから」
これ以上今日の仕事を増やされたらたまらんので、渋々妥協してそう告げると、最初からそう言えばいいんですよとばかりにドヤ顔をされた。
(くそう、腹の立つ……)
そう思いはしたものの、口では決して勝てないことは分かり切っているので、飛び出しそうな文句は無理矢理飲み込んで、書類の処理を再開する。
そうしてしばらく作業していると、執務室のドアが激しく叩かれた。
何事かと入室を促すと、入ってきたのはルバーノ家の兵士長兼アズベルグの警備隊長のジャンバルノだった。
まだ若いが剣の腕が良く、見目も良い。真面目で忠誠心と正義感に溢れた頼りになる男である。
その頼りになる、一般兵からは兄貴と慕われるジャンバルノが、珍しく血相を変えていた。
あまりの珍しさに一瞬目を見開いたが、それだけの事件が起きたのだろうと、カイゼルも表情を少し引き締めた。
「何事ですか、騒がしい」
だが、流石は鉄の女・ジュディスである。
ジャンバルノの様子を見ても顔色一つ変えずにそんな言葉が飛び出してくる。
「いや、すまん。だが、カイゼル様に緊急の報告があるんだ。いいか?」
常識人のジャンバルノは自分が騒々しかった自覚があったのだろう。
申し訳なさそうに、ジュディスに頭を下げ、許しを乞う。
そんな彼に対し、ジュディスははーっと大きくため息。
「緊急ですか。じゃあ、仕方ありませんね」
と、本当に仕方なさそうに言って、部屋の隅へと控えた。
ジャンバルノは彼女が控えるのを待って、それから流れるような仕草でカイゼルの前へ立ち片膝をつく。
そして、発言の許可を待った。
「ジャンバルノ、報告を頼む。お前がそれ程取り乱すのだ。重要な事なのだろう?」
「はっ。実は南の街道で盗賊に襲われたらしい乗り合い馬車が放置されているとの報告があり……」
「乗り合い、馬車。距離は?」
乗り合い馬車というキーワードが嫌な予感を連想させた。
弟は確か、手紙で乗り合い馬車を利用すると言っていた。
「馬で1日程の距離との報告です。情報をあげてくれたのは旅の商人ですが、襲撃からまだそれ程時間はたっていなかったのではないかと言っていました。血が、まだ乾ききっていなかったそうです。馬車の中までは見なかったようですが、声をかけても返事は無かったと。ただ、正確な情報とは言えませんので、これから急ぎ現場に向かおうと思っております」
「うむ。許可する。商人が現場を確認したのはいつだと言っていた?」
「昨日の昼過ぎ、とのことです」
「そうか……」
カイゼルは顎髭をなでながら考えた。
犠牲になった馬車は、弟が乗ってくる予定のものより早く到着する予定だったようだ。
そう考えると、弟が乗っていない可能性は高いような気がする。
だが、乗り合い馬車の本数はそれ程無いはず。
弟が乗った馬車が予定より早く行程を進んだと言うことも考えられるのだ。
まさか、とは思うが不安だった。
「商人は、遺体を見たのか?」
「馬車の外で殺されている者もいたようなので、何人かは目にしているでしょうが……」
「そうか。わしと同じ様な、赤毛を見たような事も、言ってなかったであろうな」
「特にそのような報告はありませんでした」
「わかった。ジャンバルノ、現場へはわしも同道しよう。その馬車に、わしの弟と甥が乗っていた可能性があるのだ」
「な、なんと!?」
「早合点はするな。確実な情報ではない。だが、どうしても自分の目で確かめ安心したい。ジュディスも、仕事が中途半端になってすまんが」
「いえ、そういう事情であれば仕方ありません。奥様達へのご連絡もお任せ下さい」
「うむ。助かる。では、急ぎ参ろう、ジャンバルノ」
「はっ」
片づけていた書類もそのままに、早足で執務室を飛び出す。
外しておいた剣と剣帯をジュディスが差し出してきたので、それもしっかりと身につけて。
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