不器用なカノジョ

高嶺 蒼

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友達と過ごす時間

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 朝。天気は晴れ。
 今日もソラは元気良く目を覚まし、制服に着替えて階下へ向かう。
 キッチンに向かえば美夜ママが朝ご飯の準備をしてくれていて、シュリは駆け寄っておはようの挨拶をした。


 「おはよう、美夜ママ」

 「おはよう、ソラ」


 ぎゅうっとハグをして、唇にキス。
 触れるだけの優しいキスをして美夜ママの顔を見上げると、ママはふふふと優しく笑って、そのまま顔の距離を詰めてきた。
 そしてキス。
 今度はもう少し深いキスだ。
 有希ママとのキスはいつもそうだけど、美夜ママとそういうキスをするのが初めてだったからちょっと驚いた。


 「ふふ。ごちそうさま」


 にっこり微笑むママの顔を目を丸くして見上げていると、


 「有希とはこういう挨拶、なんでしょ?これからは、私との挨拶もこんな感じに、ね?」


 そう言われた。
 まあ、美夜ママがこっちがいいって言うなら、それでもいいかと思い、コクンと頷く。
 それをみた美夜ママは、いい子ね、と優しく頭を撫でてくれた。
 ソラはくすぐったそうに微笑んで、それから人気のない食堂を見回す。


 「パパ達と、有希ママは??」

 「あの三人ならまだ寝てるわよ?昨日ちょっと夜更かししちゃったから。武史さんと透さんは仕事は午後からだっていうし、有希は一時間遅出にしてもらったらしいわ。まったく、みんな、軟弱なんだから」


 そう言ってふんっと鼻を鳴らす美夜ママの顔をよく見れば、彼女の目元にもうっすらクマが見える。
 他の三人と共に彼女も夜更かしをしたはずなのに、ソラのご飯を作って学校へ送り出すために、きちんと早起きをしてくれたのだ。
 そう思うと、なんだか嬉しいけれど申し訳ないような気持ちになって、ソラは手を伸ばして美夜ママの頬に触れた。


 「ママも、昨日遅かったのにごめんね?ありがとう、美夜ママ」


 自分を見上げてくる娘のあまりの可愛らしさに、美夜はだらしなくゆるみそうになる顔を何とかそのまま保ちつつ、頬に押し当てられた娘の手を上からそっと包み込むように握る。
 そして娘の手のひらにキスを落とすと、その手を握ったままテーブルまで一緒に歩いた。


 「いいのよ。ソラの為にご飯を作るのは私の幸せなんだから。さ、冷めないうちに食べて、食べて」


 娘をいすに座らせて、ご飯を食べるように促す。
 そして自分はキッチンへととって返し、娘のための愛母弁当の仕上げに取りかかるのだった。




 母の手作り弁当を受け取って元気良く家を出たソラは学校へ向かう。
 あえて家から少し離れた私立の学校を選んだソラの通学経路は、徒歩で最寄りの駅へ向かい、電車で学校の最寄りの駅へ。
 駅からは更にバスに乗って学校へ向かう。

 通学にかかる時間は長いのだが、ソラはその時間がキライでは無かった。
 電車の中は混んではいるが、運が良ければ座ることが出きるし、立つ場所によってはそれほど窮屈でなく過ごす事もできる。
 決して短くない電車の中での時間は、音楽を聴いたり本を読んだりするには最適だった。

 そして、最寄りの駅に着いてバスに乗り換えると、バスの中はほぼ同じ制服の生徒で埋め尽くされる。
 みんな友達を見つけて仲良さそうに談笑しながらバスでの時間を過ごしているが、ソラはいつも一人、音楽を聴いていた。
 昨日までは。

 電車を降りて、いつものようにバスへ向かう。
 無事にいつものバスに乗り込み、歩いている間は外しておいたイヤホンを耳に差し込もうとした瞬間、


 「ソラちゃん、おはよう~」


 そんな声が聞こえてびっくりして顔を上げると、人をかき分けるようにしてソラの方へ向かってくる九条静ことしぃちゃんの姿。
 彼女はにこにこしながらソラの側に来て、そのままぴったりと寄り添うように場所どりをした。


 「お、おはよう。九条、さん」

 「ぶっぶぅ~~、はい、やりなおし~~」

 「???」

 「しぃちゃんでしょ?しぃちゃん。はい、どうぞ?」

 「えと、その、し、しぃちゃん?」


 これでいいのかなと、上目遣いで自分を見つめてくる小柄なソラのあまりの可愛らしさに、静はにこぉっと笑って、よくできましたとばかりにソラの頭を撫でてから、きゅっとソラの手を握った。


 「朝からソラちゃんに会えるなんてラッキーだなぁ。ソラちゃんは、いつもこの時間??」

 「うん。そう。その、しぃちゃん、は?」

 「私はいつもはもうちょっと遅いバスなんだ。でも、ソラちゃんがこの時間なら、私も頑張って早起きしようかなぁ」


 どうしようかなぁ、でも朝は弱いんだよなぁとぶつぶつ独り言をもらす静の横顔を見上げながら、


 「えっと、無理はしないでね?」


 そう声をかける。
 静はうーんうーんと唸りながらも、


 「無理、しときたいところだなぁ。ソラちゃんは、私とバスが一緒だと嬉しい??」


 そんな問いを返してきた。ソラは目を丸くして、一瞬考え込む。
 正直、知り合い同士だらけのバスで一人音楽を聴いているのは気楽だけど少し淋しかった。
 さっき、しぃちゃんに声をかけられたときは、ちょっとびっくりしたけど嬉しかった。
 そう、嬉しかったのだ。
 そして今も嬉しい。すぐ隣に笑顔で話が出きる相手がいてくれて。

 ソラはおずおずとしぃちゃんの顔を見上げた。
 しぃちゃんは小首を傾げてソラが答えを返すのを待っていてくれる。
 答えを急かさない、その態度が嬉しかった。


 「……うん。嬉しい、かも」

 「ほんと??」

 「うん。しぃちゃんと一緒だと、楽しいよ」


 そう答えたら、しぃちゃんは本当に嬉しそうに笑った。


 「そっかぁ。じゃあ、やっぱり明日から頑張っちゃお。そうしたらクラスは違うけど、毎朝ソラちゃんとおはようって挨拶できるしね」


 静は心を決めたように頷き、それから先は、二人で他愛のない話をした。
 バスが、学校の前に着くまで。

 学校に着いてからも、しぃちゃんはソラの手をしっかりと繋いだまま歩いた。
 しぃちゃんは友達が沢山いるみたいで、色々な人から声をかけられていた。
 しぃちゃんもにこにこと返事を返す。
 その度に、相手の視線がソラへと向けられた。なんだろう、この子というように。
 いたたまれなくなって、手を離してもらおうとするのだが、私と手を繋ぐのはイヤ?とまっすぐに問われると、イヤだと答えることも出来ず、結局学校の中に入るまで手を繋いだまま一緒に歩くことになった。
 靴をはきかえるときに手を離し、そしてそのままお互いのクラスへ向かうために別れ別れになるかと思いきや、なぜかしぃちゃんもソラの後に着いてくる。


 「しぃちゃん??」


 問うように名前を呼べば、彼女は小さく舌を出して、


 「ソラちゃんと離れるの寂しくて。教室まで一緒にいく~」

 「別々の方向なのに?」

 「うん。別々の方向なのに、だよ~」


 静はにこにこしながらそう答えた。
 ソラの教室に着くと、少し早い時間のせいか、教室の席はまばらに埋まっている程度だった。
 小さな声で朝の挨拶だけはちゃんとしてから、ソラはまっすぐ自分の席に向かう。
 ちらりと自分の後ろの席に目をむけるが、そこにはまだ誰も居なかった。
 ただ、荷物はもう置かれているので、恐らく弓道部の朝練に参加しているのだろう。
 そんなことを思いながら席に着くと、待ってましたとばかりにしぃちゃんが後ろからのしっと抱きついてきた。


 「えっと、クラスに行かなくて平気?」

 「へーき、へーき。まだホームルームまで時間があるし。朝早く来るものいいねぇ。こうやって、ソラちゃんとのんびり出来るし」


 いいながら、ソラの頭のてっぺんにほっぺたをぐりぐりと擦り付けてくる。


 「あー、いいなぁ……癒されるなぁ……もうずーっとこうしてたい」

 「いいよ。しぃちゃんがしたいだけ、そうしてて」


 かすかな微笑みを浮かべてそう答え、ソラはしぃちゃんを背中に張り付けたまま、バッグから荷物を取り出して机の中へしまっていく。


 「ソラちゃん、優し~。大好き~~」


 うっとりとソラを堪能している静と、何となくまったり時間を過ごしていると、不意に後ろから声がかかった。


 「ちょっと、静。邪魔なんだけど」


 ちょっとぶっきらぼうなそんな言葉。
 その聞き覚えのある声に、ソラは静を張り付けたままあわてて振り向いた。
 そこには弓道部の朝練を終えてきたのだろう佐治の姿があった。


 「邪魔って、相変わらず容赦ないなぁ~、さぁちゃんは」

 「うっさい。邪魔なものを邪魔って言ってなにが悪いのよ?悠木さんだって迷惑してるわよ」

 「ふーんだ、ソラちゃんはいいよって言ってくれたもん。ねっ!ソラちゃん」

 「う、うん。佐治さん、おはよう」


 しぃちゃんの問いかけに頷きながら、おずおずと佐治を見上げて朝の挨拶をする。
 佐治はそこでやっとソラの方へ目を向けて、


 「ん?ああ。おはよ。やっとあたしの顔、覚えたね」


 その口元に淡い微笑みを浮かべた。
 笑いかけて貰えたことが嬉しくて、ソラは思わずにっこり微笑む。
 それを真正面から見てしまった佐治が、うろたえたように目を泳がせて、ほんのりと頬を上気させる。
 その笑顔は反則だわ……とぼそりと呟きながら。
 ソラは、なにが反則なのか分からずにちょんと小首を傾げてから、


 「えっと、昨日はありがとう」


 まっすぐにお礼の言葉を伝えた。


 「ありがとう、って別に、私はなんにもしてないけどね」

 「ううん。してくれたよ。ありがとね」


 苦笑する佐治に向かってもう一度、お礼の言葉を告げれば、彼女は軽く肩をすくめて、その言葉を受け取ってくれた。


 「ま、悠木さんがそう思うならあえて否定はしないけど?それより背中のソレ」

 「それ??」


 それってなんのことだろうと首を傾げると、


 「そのくっつき虫のことよ。迷惑ならちゃんと迷惑だって言わないと調子に乗るから、嫌なときは嫌って言いなさいよ?我慢とかしないで」


 佐治はまじめな顔でそうアドバイスしてくれた。
 ソラを気にかけてくれてのその言葉は素直に嬉しかったが、頷いてしまうのは背中のしぃちゃんに申し訳が無く、


 「ありがとう。心配してくれて。でも、大丈夫。こうやってしぃちゃんに構ってもらうの、私、嫌じゃないんだ」


 ソラは素直に自分の思っていることを言葉にした。
 その言葉にしぃちゃんがぱっと顔を輝かせて、佐治さんは再び肩をすくめた。


 「そ?お人好しだね、悠木さんは」

 「そ、うかな?」

 「あたしからはそう見えるけど」

 「そっか。じゃあ、そうなのかもしれないね」


 ソラは佐治に微笑みかけ、それから背中にぴったりとくっつく静に、


 「しぃちゃん、背中にくっついてると、佐治さんの邪魔になっちゃうから……」


 また今度、ね?と控えめに要望を伝えると、しぃちゃんは渋々ソラの背中から離れる……かと思いきや、


 「うーん。じゃあ、ソラちゃん、一回立ってみて?」

 「ん??うん」


 そう言って一度ソラを立たせると、すかさずソラの席に自分が腰を下ろしてしまった。
 そして、両手を広げてソラを呼ぶ。


 「これならさぁちゃんの邪魔にならないでしょ?さ、ソラちゃん、お膝においで~」

 「え?でも、重いよ??」

 「大丈夫。ソラちゃんなら重くない。ほーら、早く早く!時間がなくなっちゃうから」


 静に急かされて、つい反射的に静の膝に座って我に返ったソラは、あわてて立ち上がろうとしたものの、後ろから伸びてきた静の腕に優しく拘束されてしまった。


 「え?あ、しぃちゃん??あの、立つから、手、離して??」

 「や~。せっかく捕まえたんだし、もうちょっとソラちゃんを堪能するんだもん」


 言いながら、静の手はソラのお腹の辺りをなで回す。
 ソレが何とも言えずにこそばゆくて、ソラは静の膝の上で身をよじった。


 「しぃちゃん、くすぐったいよ」

 「おお~?ソラちゃんのお腹、思ってたより引き締まってて固いね~?何か運動、してるの?」

 「え?えーっと、お父さんのお勧めのトレーニングを毎日してるだけ、だけど」

 「ふむふむ。お父さんお勧めのトレーニングねぇ」

 「悠木さんの腹筋、そんなに固いの?」

 「うん。固いよ~?割れててもおかしくない!」

 「わっ、割れてないよ!?」

 「割れてないの??」

 「・・・・・・まだ」

 「へえ~。まだってことは、これから割れるかもってくらいには鍛えられてんのね。ねえ、ちょっとあたしにも触らせてよ」

 「はえっ!?」

 「だめ~。触らせてあげないよ~だ」

 「どうして静が答えんのよ?あたしは悠木さんに聞いてるんだけど?」

 「今は私の番だからダメなの。さぁちゃんは後で触らせてもらえばいいじゃん。同じクラスなんだし」

 「けち。でも、まあ、いいか。今日は体育の授業があるし。悠木さん、更衣室、一緒に行こうね。隣同士で着替えよう」

 「え??えっと……」

 「体育……そう来たか。ほんと、私もソラちゃんと同じクラスが良かったなぁ。ソラちゃん、体育のお着替え、見学に来てもいい??」

 「ダメにきまってんでしょ?」

 「なによぅ。私はソラちゃんに聞いてるの!」

 「ダメったらダメ!悠木さんだけじゃなくて、私を含め他の女子も被害を被るでしょうが!?」

 「ちぇ~、さぁちゃんのケチ~……こうなったら、今のうちに確かめておくしかないわね!」

 「ふえっ?確かめるって、な、なにを???」

 「ふふふ~。お腹の次っていったら、やっぱりここ、でしょ~?」


 にやけた顔の静の手が向かう先は、お腹からまっすぐ上に上がった所にある二つの膨らみ。
 静は躊躇なくその膨らみを両の手のひらで包み込み、


 「ん~、C……いや、D?あ、でもでも、アンダーが細いからEっていう可能性も……」


 もみもみしながらそんな考察。
 ソラは困った顔で固まっている。
 周囲の生徒達……特に男子は二人の様子に目が釘付けだった。


 「あ、あの、しぃちゃん?さ、触ってもいいけど、指を動かすのはちょっと……」


 控えめに抗議をしてみるものの、静の耳には届いてないようで。
 熱心に、それは熱心にソラの胸を堪能していた。
 彼女の手の中で形を変える二つの膨らみの様子に、佐治もついつい目を奪われてしまう。


 「うわ、すごいわね……」

 「さ、佐治さんも……見てないで、止めて?」


 お願いもしてみたが、佐治の耳にもソラの声は届かなかったようで。
 仕方がない、諦めようと、時間が解決してくれるのを待とうと思ったとき、救いの手は現れた。


 「ちょ!しぃちゃん!?なにやってんのよ~!!!」


 そんな叫びと共に、ソラの体がひょいと静の膝の上から奪い取られる。
 奪い取ったのは、登校してきたばかりのこのクラスの委員長であり、ソラと昨日友達になったばかりの山根亜希だった。
 衝撃的な光景を見て慌てた亜希に抱え上げられたソラは、正面から亜希に抱きつくような形で彼女の腕の中に納まっていた。


 「あ~、亜希ちゃん、おはよ~ぅ」

 「あ、亜希。おはよ」

 「おはようじゃないわよ!朝っぱらからなにやってんのよ、この変態!!」

 「変態って、ひどいなぁ。これはねぇ、亜希ちゃん。知的好奇心の探求、だよ!」

 「賢げな言葉でごまかそうとすんな!バカしぃ!!まあ、このアホは仕方がないとしても、あんたが居たのに、どうしてこんな事になってんのよ、佐治!?」

 「あ~……面目ない。いやね?未知への遭遇に思わず」

 「ったく、どいつもこいつも!!……大丈夫?ソラ?」


 静と佐治、二人に向かってぷんぷん怒った後、亜希は心配そうに腕の中のソラの顔をのぞき込んだ。


 「えっと、うん。平気。ありがとう、亜希ちゃん」


 にこりとソラが微笑む。
 それを間近で見てしまった亜希は思わず頬を赤くした。
 それから落ち着かなげに目線をさまよわせつつ、抱き上げたままのソラをそっと床へ下ろして、コホンと咳払い。
 そうして自分の気持ちを落ち着かせてから、再びソラへと目線を戻すと、手を伸ばして柔らかな髪をそっと撫でた。


 「あ~、えっと、どういたしまして。だめだよ~?ソラ。しぃちゃんは大人しそうに見えてかなりのおっぱい星人なんだから。油断すると、すぐに揉まれちゃうからね?中学時代からそれはもう、被害者多数なんだから」

 「……おっぱい星人?」


 首を傾げ、静の方へ顔を向ければ、彼女はまるで悪びれず、


 「え~?それほどでも~」

 「つか、誉めてないし!ソラが優しいのにつけ込んで!!恥を知りなさい、恥を!!ソラに嫌われてもいいの??」

 「あ、それは困る~!!」

 「じゃあ、ほら、謝って?」

 「う~……ごめんねぇ?ソラちゃん」


 申し訳なさそうな静の様子に、ソラは首を振る。


 「大丈夫。怒ってないよ、しぃちゃん」


 と。そんなソラの言葉に、


 「ソラちゃんっ!優しい!!大好きぃ~!!」

 「……お人好し」


 静は感激の声を上げ、佐治は呆れたように吐息をもらす。
 あはは、とソラは困ったように笑い、そんなソラの頭にぽんと手のひらを乗せて、


 「しぃちゃんは注意しても治らないから、気をつけようね?ま、私も出来る限り守るから」

 亜希は静を軽く睨みながら宣言する。


 「え~?そんなこと言いながら、私を差し置いてソラちゃんといちゃいちゃする気でしょう?」

 「するか!あんたじゃあるまいし!!」


 しぃちゃんが唇を尖らせて、亜希がすかさず反論する。


 「……仲がいいのは結構だけど、あたしの席の周りであんまり騒ぐのはやめてよね」


 そんな風に冷めた口調でぼそっと呟くのは佐治だ。
 ソラは、三人とも仲がいいなぁと思いつつ、改めて、自分に友達が出来たんだなぁということを実感するのだった。
 
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