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第1章 開拓村と死霊術師
第12話 拠点
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泣く子と何とかには勝てぬと古来より言われているが、それでも死霊術師倫理の方が大切なわけで。
さらに言えば、この手の弟子入りやお願いも死霊術師にとっては珍しくないのも事実だ。
「とりあえず、いったん保留で。
村の交通が再開して、王都にある魔導学校と教会に許可証が取れたら、教えてあげてもいい。
それでいいね?」
「ヴァイ……」
と言うわけで、善良な死霊術師お得意の【教会が許可したら許してやるよ!】という定型文で弟子入り志願の子供をなんとか誤魔化し。
彼女らを連れて村に戻るのであった。
「で、ストロング村の様子とそこにいる脅威がわかったけど、これからどうする?」
「無茶を承知で聞くが、お前ら3人……いや、村の守りを考えて、全員は無理か。
というわけで、お前らのうちだれか1人だけストロング村にいって、そこにいるだろう吸血鬼を被害なく無理なく倒せたりしないか?」
「ははは、無茶を言うな」
「まぁ、だよな」
村へ戻りすぐさまにシルグレットへと事の次第を報連相。
なお、連れてきた子供は村は安全のために、一端シルグレットの宿の個室にまとめて預け形となった。
「とりあえず、ストロング村の事だが……まぁ、いったん保留だな」
「ですよね」
『えぇぇ!そんなぁ、イオ姐御にシルグレットの旦那!
あそこには救助を待つ子供たちがいるんっすよ!?
どうにかならないっすか!?』
状況説明のために呼び出した元吸血鬼の一般浮遊霊が、抗議の声を上げる。
が、無理なものは無理だ。
そもそもがこの村には、現在まともな戦力が3人しかおらず。
その上、他の村と円滑に交流できているともいえず。
さらには、村長すらいない始末なのだ。
「でもまぁ、気休めになるかどうかはわからんが、一応ストロング村が壊滅したこと自体はほかの村に連絡済みみたいだからな。
おそらくは、この村に来たエドガーのように運よく今回の災害から逃げだせたストロング村の住人は何人かいるのだろう」
『あ、エドガー!アイツ生きてたんっすか!』
どうやら彼はエドガーと知り合いの様だ。
知り合いが生きていたことにほっと安堵の溜息をついた。
「だからこそ、今回の事件は、大都市のギルドに話が伝わるだろうし、そうなれば、ほかの村も今回の事件を無視できないはずだ。
多分、遠くない未来にどこかの冒険者ギルドから冒険者が派遣されて、ストロング村の子供の救出してくれるはずだ」
シルグレットはそのように話を締めくくった。
一瞬なぜシルグレットになぜそんなことまで知っているかと聞けば、今回の件で、この村にも他の都市からの連絡係がやってきたからとのことだ。
「あれ?つまり、他の村の連絡員がこの村に来たってことは……」
「ああ、そうだ、この村に続く街道の安全性がかなりの確率で証明されたってことだな。
だから、これからはようやくほかの村との交易も再開できそうでな。
俺も空いてる部屋の掃除をし直さなきゃならん」
その言葉に思わずこちらはガッツポーズをする。
これでようやく、村の中の物々交換と森の散策だけで、生活する原始時代みたいな生活も終わるのだ。
そのおかげで村人とは仲良くなれたが、それでもそんな冒険者や魔道士というよりは、地元の便利屋みたいな仕事を続けるのはちょっとね。
『う~~、さ、流石にそれはちょっと気が長すぎないっすか?
それに今この時間にも、あの子たちは……』
「まぁまぁ、そこは近々いい感じに、子供たちの様子だけでも見に行けるようにしてあげるから」
『さ、流石姐御!!
聞いたっすよ!!よ、よろしく頼むっす!』
なお、この一般浮遊霊を少しでも安心させるべく、簡単口約束をした。
浮遊霊はただでさえ闇堕ちしやすい死霊。
ましてやコイツは意志が強いから、下手に暴走すれば、めんどくさくなるのが眼に見えているからだ。
もっとも、危うくなったら強制成仏させる事もできる為、無視しても問題ないといえば問題もないのだが。
「が、それもこらも、あくまで私専用の工房があればすぐにできることなんだけどな~。
そこのところどう思う?シルグレットさん」
「まったく、いちいちわざとらしく言いやがって……」
シルグレットはやれやれという声とともに、こちらに1本の鍵束を投げ渡してきた。
「お前らにはたくさん世話になったからな。
とりあえずというやつだが、工房付きの一軒家。
きっちり用意してやったぜ」
こうして、私はようやく、自分専用の魔導工房を手に入れることができたのでした。
☆★☆★
なお、それから数刻後。
「おお~~!!なかなかに大きな部屋!
へ~、かまどと暖炉別にあるんだ!
かなり本格的じゃん」
「でもベットが2つしかないですね……
これはどうしましょうか?」
「あ、なら僕は自分のハンモックがあるから、ベットは君たちで使ってよ!
それとも、僕と一緒に寝てくれたりする?」
件の紹介された家は、別に新築ではない中古物件。
その上、一時的とはいえ、ヴァルターとベネちゃんと同居。
「と、いうわけで!
さっそく掃除させていただきますからね!
あと、洗濯物があったらこの籠に入れておいてください」
更には、クソめんどくさい子供メイド付きと言う条件であった。
「なんでここにいるの?」
「それは私が、あなた達の恩返しとこの村での冒険者活動をサポートするためです!
だから決して、決して死霊術を盗み見ておぼえようとか、そういう不純な理由じゃないですからね!」
かくして、先の弟子入り未遂の少女は非常に不本意ながら、この家に住み込み、これからしばらく顔を合わせることになるのでしたとさ。
「……めんどくさいから、お父さん霊強制成仏させようかなぁ」
「……!?!?」
さらに言えば、この手の弟子入りやお願いも死霊術師にとっては珍しくないのも事実だ。
「とりあえず、いったん保留で。
村の交通が再開して、王都にある魔導学校と教会に許可証が取れたら、教えてあげてもいい。
それでいいね?」
「ヴァイ……」
と言うわけで、善良な死霊術師お得意の【教会が許可したら許してやるよ!】という定型文で弟子入り志願の子供をなんとか誤魔化し。
彼女らを連れて村に戻るのであった。
「で、ストロング村の様子とそこにいる脅威がわかったけど、これからどうする?」
「無茶を承知で聞くが、お前ら3人……いや、村の守りを考えて、全員は無理か。
というわけで、お前らのうちだれか1人だけストロング村にいって、そこにいるだろう吸血鬼を被害なく無理なく倒せたりしないか?」
「ははは、無茶を言うな」
「まぁ、だよな」
村へ戻りすぐさまにシルグレットへと事の次第を報連相。
なお、連れてきた子供は村は安全のために、一端シルグレットの宿の個室にまとめて預け形となった。
「とりあえず、ストロング村の事だが……まぁ、いったん保留だな」
「ですよね」
『えぇぇ!そんなぁ、イオ姐御にシルグレットの旦那!
あそこには救助を待つ子供たちがいるんっすよ!?
どうにかならないっすか!?』
状況説明のために呼び出した元吸血鬼の一般浮遊霊が、抗議の声を上げる。
が、無理なものは無理だ。
そもそもがこの村には、現在まともな戦力が3人しかおらず。
その上、他の村と円滑に交流できているともいえず。
さらには、村長すらいない始末なのだ。
「でもまぁ、気休めになるかどうかはわからんが、一応ストロング村が壊滅したこと自体はほかの村に連絡済みみたいだからな。
おそらくは、この村に来たエドガーのように運よく今回の災害から逃げだせたストロング村の住人は何人かいるのだろう」
『あ、エドガー!アイツ生きてたんっすか!』
どうやら彼はエドガーと知り合いの様だ。
知り合いが生きていたことにほっと安堵の溜息をついた。
「だからこそ、今回の事件は、大都市のギルドに話が伝わるだろうし、そうなれば、ほかの村も今回の事件を無視できないはずだ。
多分、遠くない未来にどこかの冒険者ギルドから冒険者が派遣されて、ストロング村の子供の救出してくれるはずだ」
シルグレットはそのように話を締めくくった。
一瞬なぜシルグレットになぜそんなことまで知っているかと聞けば、今回の件で、この村にも他の都市からの連絡係がやってきたからとのことだ。
「あれ?つまり、他の村の連絡員がこの村に来たってことは……」
「ああ、そうだ、この村に続く街道の安全性がかなりの確率で証明されたってことだな。
だから、これからはようやくほかの村との交易も再開できそうでな。
俺も空いてる部屋の掃除をし直さなきゃならん」
その言葉に思わずこちらはガッツポーズをする。
これでようやく、村の中の物々交換と森の散策だけで、生活する原始時代みたいな生活も終わるのだ。
そのおかげで村人とは仲良くなれたが、それでもそんな冒険者や魔道士というよりは、地元の便利屋みたいな仕事を続けるのはちょっとね。
『う~~、さ、流石にそれはちょっと気が長すぎないっすか?
それに今この時間にも、あの子たちは……』
「まぁまぁ、そこは近々いい感じに、子供たちの様子だけでも見に行けるようにしてあげるから」
『さ、流石姐御!!
聞いたっすよ!!よ、よろしく頼むっす!』
なお、この一般浮遊霊を少しでも安心させるべく、簡単口約束をした。
浮遊霊はただでさえ闇堕ちしやすい死霊。
ましてやコイツは意志が強いから、下手に暴走すれば、めんどくさくなるのが眼に見えているからだ。
もっとも、危うくなったら強制成仏させる事もできる為、無視しても問題ないといえば問題もないのだが。
「が、それもこらも、あくまで私専用の工房があればすぐにできることなんだけどな~。
そこのところどう思う?シルグレットさん」
「まったく、いちいちわざとらしく言いやがって……」
シルグレットはやれやれという声とともに、こちらに1本の鍵束を投げ渡してきた。
「お前らにはたくさん世話になったからな。
とりあえずというやつだが、工房付きの一軒家。
きっちり用意してやったぜ」
こうして、私はようやく、自分専用の魔導工房を手に入れることができたのでした。
☆★☆★
なお、それから数刻後。
「おお~~!!なかなかに大きな部屋!
へ~、かまどと暖炉別にあるんだ!
かなり本格的じゃん」
「でもベットが2つしかないですね……
これはどうしましょうか?」
「あ、なら僕は自分のハンモックがあるから、ベットは君たちで使ってよ!
それとも、僕と一緒に寝てくれたりする?」
件の紹介された家は、別に新築ではない中古物件。
その上、一時的とはいえ、ヴァルターとベネちゃんと同居。
「と、いうわけで!
さっそく掃除させていただきますからね!
あと、洗濯物があったらこの籠に入れておいてください」
更には、クソめんどくさい子供メイド付きと言う条件であった。
「なんでここにいるの?」
「それは私が、あなた達の恩返しとこの村での冒険者活動をサポートするためです!
だから決して、決して死霊術を盗み見ておぼえようとか、そういう不純な理由じゃないですからね!」
かくして、先の弟子入り未遂の少女は非常に不本意ながら、この家に住み込み、これからしばらく顔を合わせることになるのでしたとさ。
「……めんどくさいから、お父さん霊強制成仏させようかなぁ」
「……!?!?」
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