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ひのま

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湊 真由華 Minato Mayuka とんだ勘違い

第1話

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 真由華に惚れない男はいない。
 真由華はずっとそう思ってきた。
 だけど

「ねぇねぇ、哲平くん、かーえろ?」
「無理」
「じゃ、じゃあ、敦くんかえろーよ?」
「暇じゃないから」

 な、なんで?なんでこんなにうまくいかないの??
 真由華は今まで、頑張って男ウケがいいような仕草とか口調とか研究してきたのに!
 最近なんだか周りの男子が釣れない。

「ねぇねぇ生徒会長ぉー、真由華と帰らない?」
「無理かな」

 ほらまた!

「か、かとうくん、いっ「みるくーーー!」」

 もう誘うところまでもいけないし!!

「真由華ちゃん、全員に断られてる」
「そりゃそうだよ、ぷぷ」
「毎日遊んでばっかで受験大丈夫なのかな?」
「たしかにーー!」

 周りの女子がコソコソと真由華のこと話してる。
 あーーもうっ!みんなムカつく!!!!
 もういいし!1人で帰るもん!!


 ぴーんぽーんぱーんぽーん

『化学の小テスト3割以下の人は化学室へ至急くるように』

 はあ?最悪!!!今回は国語の単語テストに力入れすぎたんだよねー・・・
 頑張って高宮先生と近づこうと思ったのに、福島さんに邪魔されちゃうし!!!
 ほんっっっとついてない!!!



 コンコン

「失礼しまーす・・・」

 中には1人の男子。髪は比較的長めで細形。オタクって感じ。真由華の眼中にはないかなあ。

「あれ、先生いないの?」
「これ、もっていけだって」

 そのオタクが答えてくれる。オタクが座っている机にプリントが乗っている。

「あ、ありがとう」
「君さ、受験大丈夫なの?」
「何よそれ!」
「これ、再テストでしょ?超簡単じゃん」
「よ、余計なお世話よ!そういうあんたもでしょ?」
「俺は進路決まってるから」
「は、早くない?」
「海外行くから。日本のスケジュールとは違う」

 何コイツーーー!オタクのくせに生意気なんですけど!!

「だ、第一、文系クラスなのに化学のテストがあるのがおかしいの!」
「試験で使うかもしれないだろ」
「真由華は使わないもんっ!」
「じゃあここに来なきゃいいじゃん」
「うー、うるさいっ!もう帰る!」
「君さ、どうして俺のことは誘わないわけ?」
「は?なんたみたいなオタクなんて無理よ」
「人を見かけで判断するの、どうかと思うけど?」

 そういってオタクは真由華に近づいてきた。

「ち、近い」

 よく見ると、オタクのくせに綺麗な目をしていて、な、なんか結構かっこいいかんじ、とか思ってしまった。

「ねえ、君が周りからコソコソ言われるのなんでかわかる?」

 こいつなんでそんなこと知ってるの?同じクラスにはいないよね?
 真由華人気は他クラスにも及んでるってこと?

「簡単に相手変えて、相手が乗ってくるからってモテてる気になってるかもしんないけど、君が愛想つかされてるの、わかんない?」
「えっ?」

 なんだかわかんないけど涙が出てきた。

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