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鮎川 菜々子 Ayukawa Nanako メガネなんて・・・

第2話

「今月超金欠なんだわっ！」
「はい？」

　な、何言ってるのこの人？そんなに計画性ないわけ？というか、なんでこんなくだらないことで作者も次の話に引っ張るかな、普通。とにかくなんなんですかっ！

「もう、いいです、自分で買いますから」
「だめ！それはだめ！頑張ってバイト増やすし、あともうちょいで給料日なんだよ！」

　なるほど、給料日まで伸ばすために私にしつこく聞きまわっていたのか。

「それなら・・・来週まで待ちます。それ以降になりそうだったら自分で買い「ありがとう！！！じゃ！バイトいってきまーす！！」」

　どこまでこの人自由人なの？




「で、その、来週になったわけですが・・・」
「こっこのとおり！」

　1人の女子高生の目の前に土下座をしているチャラ男。
　この光景誰が見てもおかしい。それに私、超目立ってます。チャラ男を手なづけている私＝いろいろな人に目をつけられる・・・

「すいません、移動しましょう」



「ここなら誰も来ません。思う存分言い訳を話してください」

　そういって私たちが来たのは体育館裏。
　チャラ男はお姫様の命令を聞く召使いのように膝をつける。

「はいっ！バイト代は入ったんだけど、どうしてもほしいものがあって・・・それで、つい・・・」
「買っちゃったんですね？はぁ、もう本当にいいです」
「待って！俺、ちゃんと払うから！お願い！」
「別に頼んだ覚えはないですから」

　別にショックなんて受けてない。ただ、少し期待してただけだから。
　そう言って私は大河原くんに背を向けて歩き始めた。

「お願い！本当に待って！」
「もう騙されません！」
「っ！」

　大河原くんが走って追いかけてくるのが砂利の音でわかる。私は腕を掴まれて、ぐいっと引き寄せられ、そのまま・・・

　ちゅっ

「えっ?」
「・・・・・・」

　なぜ黙ったままなのですか？こういう時こそいつものおちゃらけを披露してくださいよ！事故だったと言ってください！わりぃ、とかなんか言ってください！

「事故です。これは事故です」

　私は必死に自分に言い聞かせる。

「事故じゃ、ねぇよ」
「えっ？」
「俺がしたいから、した」
「そう言ってまた、メガネを買うための猶予が欲しいだけなんですよね？」
「ちげぇよ」
「冗談でもこういうことはやめてください。私も一応、女子なんです」
「知ってるよ、つーか冗談じゃねーし」
「冗談って言ってください！私、一応、これが初めての・・・」

　そこまで言って虚しくなってまた振り向いて歩き始める。

「俺、お前が好きだ！！」

　そんなこと言われたら、振り向かずにはいられないじゃないですか。