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ひのま

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高峰 楓 Takamine Kaede 武士道極め隊二号

第1話

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「やっと道場ができるんだあ」

 うちは高峰楓!
 うちは柔道部なんだけど、練習場所がなくて困ってたんだ。
 というのも、この桜丘学院のOB田中猛(たなかたける)さんが世界選手権で優勝したのがきっかけで、一気に人気になっちゃったんだよね。
 そしたら学校の道場じゃ狭くて狭くて・・・。
 念願の柔道場!うれしいなあ・・・

「先輩っ!やりましたね!」

 この子は武井みらいちゃん。
 一年生で階級はうちよりも下の44キロ級。
 うちは48キロ級だから、戦うことはないけど、練習で組むと結構強い。
 ぱっと見、みらいちゃんは細くて、柔道なんてやってなさそうな女の子って感じなんだけど、インナーマッスルがしっかりしてるというか、体幹がしっかりしてるというか、こう、ブレない、強さがある。
 うちも見習わなきゃなあ。

「やったね!今日、道場の下見に行こうと思ってるんだけど、いかない?」
「あー・・・今日私、補習が・・・」
「そ、そっか!了解」

 頭が悪いっていうのは、まあ、考えないことにして。
 じゃあ1人で行ってみますか!



「ここかあ!大きいなあ!」

 1人なのに思わず声を上げてしまうほど立派な道場。
 こんなに広いなら剣道部も一緒にできそうだ。
 前までここはただの剣道場。
 だけど剣道をやる人が減っちゃって、ここを柔道場としてリニューアルしたみたい。
 リニューアルって言っても、ただ看板が桜丘剣道場から桜丘柔道場になっただけなんだけどね。あ、あとフローリングが畳になった、のかな?
 

「うわあ、広い!」

 うちは畳が一面に広がっているのに感動して、思わず走り回ってしまった。
 ごろん、と大の字に寝転ぶと新品の畳独特の匂いがする。
 これはいいい草を使ってるな、とか1人でつぶやく。

「少しくらいなら、練習してもいいかな」

 更衣室に入り道着に着替える。
 こんなに気持ちいいなら、少し強引にでもみらいちゃんを連れて来ればよかったかな、と思った。
 道着に着替えて、練習場へ出る。
 1人でストレッチや準備運動、受け身の練習をした。
 パーン、バタン、パーン、と畳に手を打ち付ける音が響く。

「ふう、疲れたー!」
「ずいぶん、練習熱心なんだな」


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