花と散る

ひのま

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1 プロローグ

散った花びら

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 その日は雨がふっていて、ぼくはでかけたくなかった。
でも、おかあさんがおでかけするっていったから、ぼくはじゅんびしていたんだ。

「おかあさん、いいよ」
「はあい、ちょっとまっててね、かあくん。
    ほらあおくーん、いくよー」

 あおいはのんびり屋さんなぼくのおとうと。このあいだ4才になったばっかりで、いつもぼくのまねっこをする。
 「かあくん、ごめんね。先に車にのっててね。
    おかあさんはあおくんといっしょにいくからね」
「はあい」

 そういわれてぼくは外にでた。もう雨はやんでいたから、かさはもたずにでた。車にのってどうろをみてみると、かえるがいた。ぼくはみとれていた。あおいとおかあさんがでてきた。おかあさんはおうちのかぎをかけてた。あおいはこっちにむかってはしってきた。

「あおくーん、・・・あおくん!」

 おかあさんがひっしにあおいをよぶ。

「あおくん!もどってきなさい!」
「やだ!」

 あおいはかえるにむちゅうだった。かえるをつかまえてぼくにみせた。にっこりわらっていた。そのうしろでおかあさんがはしってきた。でもころんでしまった。なかなかおきあがれなさそうだった。

「あおくん!!おねがい、もどってきて!!」

 ぼくはおかあさんをたすけようとおもってそとにでた。

「かあくんは車にいなさい!でてこないで!
   あおくんはおねがいだから・・・おねがい、だから・・・」

 そのとき一台の車があおいのいる道にきた。ぼくはこわくなって車のなかにはいった。

「あっ!かえるが!」

 あおいは車にきづいていない。ぼくはこわくてこわくて車のなかで耳をふさいでいた。




キキーーーーーーッドガッ





 大きな音がしてぼくはこっそり車のまどからのぞいた。まっしろな車がまっかっかになっていた。どうろにはまっかな水たまりができていた。
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