ひさめんとこ

zausu

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2章~ひさめんとことお隣さん~

その3

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「あ、閑柯お姉ちゃん。おはよう。あと盈虧君」
「おはよう。遅くなってごめんね」
「私はおまけか」
校門の前では紫園が立って待っている。いつもの光景だ。
「ところで何で盈虧って呼んでるの?」
閑柯はたかしに聞こえないように耳打ちする。
「本名で呼ぶとめんどくさいから」
「あぁ、確かに」
「なんの話だ?」
「アンタに関係ない話」
「お、そうか」
(こいつ絶対将来騙されるな…)
(最近の子供は素直で困る)
 
「…で~…であって~…であるから~」
先生が喋りながら黒板に字を書いていく。その様子をあくびしながら閑柯は眺める。とりあえず黒板をノートに写して寝てしまおうか。そう思っていたとき… 
「おい!たかし!なぜ黒板を一切写していないんだ!」
またこいつか。
「ふっ、先生。名にも書いていないように見えるのか?」
「なにも書いていないだろう!」
「バカめ!こいつを見ろ!」バッ 
上げた右腕に握られているのは小さなライト。
「このライトで照らせば邪悪パワーによって文字が浮かび上がるのだ!」
あれだ。ブラックライトを当てると文字が浮かび上がるペンだ。小学生かお前は。
この様子を見ていた先生。
「おぉ!それはすごいな!」
(怒れよ!)
思わず立ち上がりそうになる衝動を押さえる。
「名付けて!邪王邪悪暗黒邪光邪力邪筆邪王ペン!」
(邪が多すぎる上に漢字の効率悪すぎるだろ)
「格好いいなぁ!」
(このアホ教師!)
突っ込み役は居ないのか、本格的に閑柯は頭を抱えた。
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