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3章~ひさめんとこと転校生~
その5
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「いやー、静かな男の子っすねー!名前は何て言うんすか?」
「…」
「あー、この男の子は氷雨紫園って言うんだ」
「へぇー!ところで此方は?」
「え?」
「あ、あなたっす」
「あ、私は兼坂襾栗鼠」
「そうなんすか!それじゃあこれからよろしくっす!」
萌は襾栗鼠の手を握ってブンブンと振り回した。
「それじゃあシオちんも!お近づきの握手っす!」
「…」
「あれ?無視っすか?」
「…」
「おーい!」
「…五月蝿いな」
「へ?」
「五月蝿いって言ってるの。わかるよね?日本語」
「ちょ、ちょっと紫園ストップ…」
「仲良くなりたいんすけど…」
「生憎ね、五月蝿い人は苦手なの。…それに…」
「何すか?」
「ちょっと前にさ大阪の方で放火事件あったよね?ちょっとしたニュースになったから知ってるよ。こんな時期の転校生なんておかしいと思ったけど、逃げてきたんじゃないの?」
「あー…それはっすねー…。いや、放火なんてしてないっすよ。断じて」
「疑いがある限りはそこまで仲良くしたくない。じゃあ」
紫園は本を閉じてどこかへ行ってしまった。
「…」
「…あんまり気にしない方がいいと思うよ?たぶん素直になれてないだけだと思うか…」
「…いい…」
「は?」
「凄くかっこいいじゃないっすか!なんかこう…クールって言うか…ロンリーウルフっていうか…!」
「ま、まぁそうだけどね…」
「いやー、まさかこんなかっこいい人と出会えるとは思ってなかったっすよ!」
「そ、そう。それじゃぁ…」
もうついていけない。そう思った襾栗鼠は静かにそこを立ち去った。
「…」
「守手熊さん?」(モブ)
「…あ、はい、何でしょうか?」
「どうしたの?じっと紫園君の方をみてたけど」(モブ)
「い、いえ。何でもないんです…」
「…そう…」(モブ)
「ねぇ、それよりもさ!その腕に着けてるリストバント!それすごくかっこいいね!」(モブ)
「あ…これは祖母から貰ったもので…」
「へぇー!かっこいいなぁ…。ねぇ、それちょっと貸してよ!」(モブ)
「へ?」
「ちょっとだけでいいからさ!私にも着けさせてよ!」
「だ、駄目です!」
「いいじゃない!ほら!」
「…っ!」
「痛っ…」
那由多は腕を払った。その腕が女の顔に当たる。
「…なによ、なにも叩くことないじゃないの」
「…あ…すみません…」
「…もういいわ。じゃね」
女は自分の席へ戻っていった。
「…あんまり気にしない方がいいよ。あの子、自己中なところあるから…」
「あ、あの。すみません…ちょっとトイレに…」
「あ、うん。案内しようか?」
「いえ…大丈夫です…」
那由多はゆっくりと席をたった。
那由多はトイレにたどり着いた。
そして、1人で個室に入る。
ドンッ!
壁を殴る音が周囲に響く。
「…絶対に許さねぇ…あの糞野郎…!」
その壁を殴る音からも、その言葉からも、はっきりとした怒りが感じられた。
「…」
「あー、この男の子は氷雨紫園って言うんだ」
「へぇー!ところで此方は?」
「え?」
「あ、あなたっす」
「あ、私は兼坂襾栗鼠」
「そうなんすか!それじゃあこれからよろしくっす!」
萌は襾栗鼠の手を握ってブンブンと振り回した。
「それじゃあシオちんも!お近づきの握手っす!」
「…」
「あれ?無視っすか?」
「…」
「おーい!」
「…五月蝿いな」
「へ?」
「五月蝿いって言ってるの。わかるよね?日本語」
「ちょ、ちょっと紫園ストップ…」
「仲良くなりたいんすけど…」
「生憎ね、五月蝿い人は苦手なの。…それに…」
「何すか?」
「ちょっと前にさ大阪の方で放火事件あったよね?ちょっとしたニュースになったから知ってるよ。こんな時期の転校生なんておかしいと思ったけど、逃げてきたんじゃないの?」
「あー…それはっすねー…。いや、放火なんてしてないっすよ。断じて」
「疑いがある限りはそこまで仲良くしたくない。じゃあ」
紫園は本を閉じてどこかへ行ってしまった。
「…」
「…あんまり気にしない方がいいと思うよ?たぶん素直になれてないだけだと思うか…」
「…いい…」
「は?」
「凄くかっこいいじゃないっすか!なんかこう…クールって言うか…ロンリーウルフっていうか…!」
「ま、まぁそうだけどね…」
「いやー、まさかこんなかっこいい人と出会えるとは思ってなかったっすよ!」
「そ、そう。それじゃぁ…」
もうついていけない。そう思った襾栗鼠は静かにそこを立ち去った。
「…」
「守手熊さん?」(モブ)
「…あ、はい、何でしょうか?」
「どうしたの?じっと紫園君の方をみてたけど」(モブ)
「い、いえ。何でもないんです…」
「…そう…」(モブ)
「ねぇ、それよりもさ!その腕に着けてるリストバント!それすごくかっこいいね!」(モブ)
「あ…これは祖母から貰ったもので…」
「へぇー!かっこいいなぁ…。ねぇ、それちょっと貸してよ!」(モブ)
「へ?」
「ちょっとだけでいいからさ!私にも着けさせてよ!」
「だ、駄目です!」
「いいじゃない!ほら!」
「…っ!」
「痛っ…」
那由多は腕を払った。その腕が女の顔に当たる。
「…なによ、なにも叩くことないじゃないの」
「…あ…すみません…」
「…もういいわ。じゃね」
女は自分の席へ戻っていった。
「…あんまり気にしない方がいいよ。あの子、自己中なところあるから…」
「あ、あの。すみません…ちょっとトイレに…」
「あ、うん。案内しようか?」
「いえ…大丈夫です…」
那由多はゆっくりと席をたった。
那由多はトイレにたどり着いた。
そして、1人で個室に入る。
ドンッ!
壁を殴る音が周囲に響く。
「…絶対に許さねぇ…あの糞野郎…!」
その壁を殴る音からも、その言葉からも、はっきりとした怒りが感じられた。
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