ひさめんとこ

zausu

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3章~ひさめんとこと転校生~

その4

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「一時間目が俺の授業で助かった…」
先生がぼやいている。
「センセー、どうするんすか?」
「とりあえず真面目に授業してたってことにしておこう」
「え?そんなんで良いわけ?」(モブ)
「…お前達に一つ教えてやろう。俺が大学時代に先生から教えてもらった言葉だ…“職権濫用”ってな」
何かどっかで聞いたことあるような気がする…(一章その8参照)

で、転校生が来た!ヤァヤァヤァ!(古っ)という事で恒例のアレがある。
「守手熊さん!京都ってどんな感じ?」
「どんな学校だった?」
「友達一杯いた?」
「堂出さんは前の学校ではどんな人だったの?」
「身長高いね!何cm?」
「乳酸菌とってる?」
そう、コレ。質問攻め。現実ではそこまでみないよねコレ。
「え、えっと…」
守手熊さんは行なりたくさんの人に話しかけられてかなり困惑している様子。
「あーあー、転校生をそんな質問攻めにしたらかわいそうじゃないっすか!」
「いや、アンタも転校生でしょ?」(モブ)
「と、言うわけで。わかる範囲なら熊っちの質問には此方こなたが答えるっす!」
「え?二人って知り合いなの?」(モブ)
「く、熊っち…ですか…?」
「いや、初対面っすけど」
「じゃあわかる範囲ってないじゃないの」(モブ)
「んー、言われてみればそうっすね」
「いや、言われるまえに気がつけよ」(モブ)
「あ、あの…質問するのは構いませんので出きれば1人ずつゆっくりと…」
「そうっすよ!此方達は“せいとくたこ”じゃないんすから!」
「聖徳太子ね」(モブ)
「じゃあ質問!趣味は?」(モブ)
「…何やらお見合いの席のような質問ですね…私はのんびりとお茶を飲むのが好きです」
「此方は…そっすね。音楽観賞が好きっす。じゃあ此方の趣味は何すか?」
その辺の人を指差して萌が言った。
「えっ?お、音楽観賞?」
「へぇ~、じゃあ此方は?」
別の人を指差してまた言う。
「いや…だから音楽観賞でしょ?」
「あらら、じゃあ此方は?」
また別の(ry
「お、音楽観賞…」
「へぇー、みんな音楽大好きなんすねー!」
(・_・)?(・_・)?(・_・)?
クラスメイトがみんなこんな顔になった。
「あ、此方ってわかるっすか?」
「いや…全然わからない…」(モブ)
「此方って言うのは…」
「に、日本で昔使われていた一人称の一つです。今ではほとんど何処でも使われていません。文脈によって二人称にも三人称にも使える珍しいものですね」
「うわー、守手熊さん物知りー!」(モブ)
「へぇー、そうだったんすか!」
「いや!アンタ知らなかったの!?」
「どんなときでも使える便利な一人称っぽいアレとしか思ってなかったっす!」
「ダメだコイツ…早く何とかしないと」(モブ)

「…Hey、紫園。転校生に興味はないのかい?」
襾栗鼠ありすが尋ねてきた。
「別に」
紫園は読んでいた本から顔を上げることすらせずに答える。
「まぁそれもそうだけどね。でもさ、今回の転校生の性格から考えたら…」
「挨拶に来たっす!」
「ほら来た」
「…」
ひとまず本を閉じる。そして、この転校生アホをどうやって追っ払うかを考え始めた。
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