ひさめんとこ

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8章 ~旧友~

その4

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話は少し戻って、
金曜日 放課後 
「せや!守手熊さん!あとで久しぶりにうちらとお話!いいやろ!」
グイッと手を引っ張られて顔が近づく。
「来ないと殺す」
小声で呟いた。
「…はい」

その後
「…」
公園まで来た。
「おっ、来たな。いやー、ここらは目印になるような公園が少なくて苦労したわー」
「Goo◯leマップ先生に感謝」
「愛美路さん…」
「あぁ、ちょいと待った!」
「…」ビクッ 
「ウチトイレしたいねん。ちょうどそこにトイレあるし一緒に行こ!」
「…はい」
「ほら!屋井も!はよ!」
「…ん」
公園 トイレ 
「それにしてもホンマ驚いたわぁー。いきなり引っ越してった守手熊さんがこないなとこにいるなんて…寂しかったんやで?」
「…すみません」
「だってさ…」
突然わき腹に蹴り。
「…っ!」
「サンドバッグが居なくなっちゃったからな~♪」
「…」
「ほらほら、屋井、ちょっとそいつ押さえてて!」
「…わかった」
屋井が那由多を押さえつける。
「…」
「そのちょーし♪」
今度は腹にパンチ。
「うぐ…」
「相変わらずいい顔するなぁ…日頃のストレスがいい感じに発散されて!凄く気持ちがいい!」
攻撃の手は止まない。
「…」
「あれ、表情がなくなった…あぁそっか。前からそうだったもんね。うちらと遊んでる時はそうやって感情をシャットアウトさせるんだもんね…」
「…」
「じゃあ…こんどはこっちで!」
カッターで服を切る。
「…いやっ!止めて!」
「ほらほら、その顔をずっと維持してればいいんだって!」
再び攻撃が始まる。
「…お願い…もう…止めて…」
ドサッ
那由多が地面に倒れた。
「…屋井、ちゃんと押さえとけって言ったやろ?しっかりやれや」
「…ごめん」
那由多の腕を引き無理矢理立たせて再び押さえる。
「…ごめんなさい」
屋井が那由多の耳元で呟く。
「私も何されるか分からないから…」
「…」
那由多は何も答えない。
「せーの!」
今度は蹴りを入れてきた。
「うぅ…」
「ふぅ…そろそろ疲れてきたなぁ…せや!久しぶりにアレやるか!」
「アレって…」
「えっと…掃除道具置き場は…あったあった!」
モップを手にした。
「まさか…」
「えっと…たしか前は一本だけだったよな…」
「…お願い…します…それだけは…止めて…」
「よしっ!それじゃあ今度は二本目に挑戦してみようか!少しは成長しただろうし、入るよな!」
「いやっ!止めて!」



「あー、スッキリした!あぁそうだ、守手熊さん!また明日もここに来てな!さっき住所も確認したし、もし来なかったらどうなるか…わかってるよな?…って、それじゃあしゃべれないか」
「…」
「じゃあまた明日!楽しみにしてるわ…」
誰もいない公園に笑い声が響いた。

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