65 / 131
8章 ~旧友~
その5
しおりを挟む
5年前 京都
「…はぁ」
公園で一人、ブランコにのっている少女がため息をつく。
ふと見てみると、たくさんの子供たちが仲良く遊んでいるのが見える。
「…いいなぁ…」
転勤してきた直後の少女には遊べる友達がいない。
「…帰ろ」
ここにいると自分自身が惨めに感じてくる。そう思って公園を出た。
(…お友達、欲しいなぁ…)
もし友達になったとしてあの中に入っていけるのだろうか。とか、余計な考えが入ってくる。
(きっと大丈夫なはずだよね…って、アレ?)
ふと回りを見渡す。
(…ここ…どこ…?)
考えながら歩くと大体こうなる。
(…えっと、こっち…かなぁ…?)
適当に歩いてみる。
──数分後
(…無理だよぉ…)
余計迷った。
大体こうなる。
(もうやだぁ…おうちに帰りたいよぉ…)
涙が出てくる。
「う…え…」
嗚咽が漏れる。
「…大丈夫ですか?」
「え…?」
見ると着物を着た子供が居た。
「どうかしたのですか?」
「…迷っちゃって…家…帰りたい…」
「…わかりました。ついてきてくださいな」
「…」コクンコクン
必死に首をたてに振る。
たどり着いた場所は、
「おっきい…」
めっちゃでかい家だった。
「おばあ様。ただいま戻りました」
「…ただいま戻りました…?」
その家の中からおばあさんが出てくる。
「何をいっているんですか!稽古の途中で抜け出すなんて!何を考えているんです!?貴方は江戸から続く老舗“和泉”の跡取りなんですからね!もうお父さんも先は長くないのですし!しっかりと覚えてもらいますよ!」
「あ…脱走中なの忘れてた…」
「まぁ…その事の説教はあとに回すとして…」
少女を見る。
「そっちの子はなんです?」
「道に迷っていたようなので連れてきました」
「…そうですか。お嬢さん。自分の家の場所は?」
「…」ブンブン
首を振る。
「うーん…そうですねぇ…お嬢さん、お名前は?」
「……………多です」
「…ごめんなさい。もう一度いってくださる?」
「…守手熊那由多です」
「守手熊さんねぇ…もしかしたら近くにその家があるかも知れないわね…すこし探してきます。それまでその子の面倒は貴方が見ておきなさい。いいですね?」
「はい。おばあ様」
おばあさんが出ていった。
「…行きましたか?」
「…」コクン
「…はぁ…あの人の相手は疲れます…」
「…大丈夫?」
「大丈夫ですよ。もうなれました。…さて、守手熊さん…でしたよね?」
「…うん」
「少しの間二人で遊びましょうか?おはじきならありますよ?」
「…ルール…わかんない…」
「私が教えて上げますよ。ゆっくりでもいいんです。やっていきましょう」
「…わかった…あと…名前…」
「名前?私のですか?」
「…」コクン
「私の名前は和泉菫と言います。よろしくお願いしますね」
「…よろしくね、和泉さん」
「って言うのが此方となゆちゃんの出会いっすね」
「ちょっと待って!堂出さんいつ出たの!?」
「え?でてたじゃないっすか」
「何処に!?」
「…はぁ」
公園で一人、ブランコにのっている少女がため息をつく。
ふと見てみると、たくさんの子供たちが仲良く遊んでいるのが見える。
「…いいなぁ…」
転勤してきた直後の少女には遊べる友達がいない。
「…帰ろ」
ここにいると自分自身が惨めに感じてくる。そう思って公園を出た。
(…お友達、欲しいなぁ…)
もし友達になったとしてあの中に入っていけるのだろうか。とか、余計な考えが入ってくる。
(きっと大丈夫なはずだよね…って、アレ?)
ふと回りを見渡す。
(…ここ…どこ…?)
考えながら歩くと大体こうなる。
(…えっと、こっち…かなぁ…?)
適当に歩いてみる。
──数分後
(…無理だよぉ…)
余計迷った。
大体こうなる。
(もうやだぁ…おうちに帰りたいよぉ…)
涙が出てくる。
「う…え…」
嗚咽が漏れる。
「…大丈夫ですか?」
「え…?」
見ると着物を着た子供が居た。
「どうかしたのですか?」
「…迷っちゃって…家…帰りたい…」
「…わかりました。ついてきてくださいな」
「…」コクンコクン
必死に首をたてに振る。
たどり着いた場所は、
「おっきい…」
めっちゃでかい家だった。
「おばあ様。ただいま戻りました」
「…ただいま戻りました…?」
その家の中からおばあさんが出てくる。
「何をいっているんですか!稽古の途中で抜け出すなんて!何を考えているんです!?貴方は江戸から続く老舗“和泉”の跡取りなんですからね!もうお父さんも先は長くないのですし!しっかりと覚えてもらいますよ!」
「あ…脱走中なの忘れてた…」
「まぁ…その事の説教はあとに回すとして…」
少女を見る。
「そっちの子はなんです?」
「道に迷っていたようなので連れてきました」
「…そうですか。お嬢さん。自分の家の場所は?」
「…」ブンブン
首を振る。
「うーん…そうですねぇ…お嬢さん、お名前は?」
「……………多です」
「…ごめんなさい。もう一度いってくださる?」
「…守手熊那由多です」
「守手熊さんねぇ…もしかしたら近くにその家があるかも知れないわね…すこし探してきます。それまでその子の面倒は貴方が見ておきなさい。いいですね?」
「はい。おばあ様」
おばあさんが出ていった。
「…行きましたか?」
「…」コクン
「…はぁ…あの人の相手は疲れます…」
「…大丈夫?」
「大丈夫ですよ。もうなれました。…さて、守手熊さん…でしたよね?」
「…うん」
「少しの間二人で遊びましょうか?おはじきならありますよ?」
「…ルール…わかんない…」
「私が教えて上げますよ。ゆっくりでもいいんです。やっていきましょう」
「…わかった…あと…名前…」
「名前?私のですか?」
「…」コクン
「私の名前は和泉菫と言います。よろしくお願いしますね」
「…よろしくね、和泉さん」
「って言うのが此方となゆちゃんの出会いっすね」
「ちょっと待って!堂出さんいつ出たの!?」
「え?でてたじゃないっすか」
「何処に!?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる