ひさめんとこ

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8章 ~旧友~

その5

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5年前 京都
「…はぁ」
公園で一人、ブランコにのっている少女がため息をつく。
ふと見てみると、たくさんの子供たちが仲良く遊んでいるのが見える。
「…いいなぁ…」
転勤してきた直後の少女には遊べる友達がいない。
「…帰ろ」
ここにいると自分自身が惨めに感じてくる。そう思って公園を出た。
(…お友達、欲しいなぁ…)
もし友達になったとしてあの中に入っていけるのだろうか。とか、余計な考えが入ってくる。
(きっと大丈夫なはずだよね…って、アレ?)
ふと回りを見渡す。
(…ここ…どこ…?)
考えながら歩くと大体こうなる。
(…えっと、こっち…かなぁ…?)
適当に歩いてみる。
──数分後
(…無理だよぉ…)
余計迷った。
大体こうなる。
(もうやだぁ…おうちに帰りたいよぉ…)
涙が出てくる。
「う…え…」
嗚咽が漏れる。
「…大丈夫ですか?」
「え…?」
見ると着物を着た子供が居た。
「どうかしたのですか?」
「…迷っちゃって…家…帰りたい…」
「…わかりました。ついてきてくださいな」
「…」コクンコクン 
必死に首をたてに振る。

たどり着いた場所は、
「おっきい…」
めっちゃでかい家だった。
「おばあ様。ただいま戻りました」
「…ただいま戻りました…?」
その家の中からおばあさんが出てくる。 
「何をいっているんですか!稽古の途中で抜け出すなんて!何を考えているんです!?貴方は江戸から続く老舗“和泉”の跡取りなんですからね!もうお父さんも先は長くないのですし!しっかりと覚えてもらいますよ!」
「あ…脱走中なの忘れてた…」
「まぁ…その事の説教はあとに回すとして…」
少女を見る。
「そっちの子はなんです?」
「道に迷っていたようなので連れてきました」
「…そうですか。お嬢さん。自分の家の場所は?」
「…」ブンブン
首を振る。
「うーん…そうですねぇ…お嬢さん、お名前は?」
「……………多です」
「…ごめんなさい。もう一度いってくださる?」
「…守手熊那由多です」
「守手熊さんねぇ…もしかしたら近くにその家があるかも知れないわね…すこし探してきます。それまでその子の面倒は貴方が見ておきなさい。いいですね?」
「はい。おばあ様」
おばあさんが出ていった。
「…行きましたか?」
「…」コクン 
「…はぁ…あの人の相手は疲れます…」
「…大丈夫?」
「大丈夫ですよ。もうなれました。…さて、守手熊さん…でしたよね?」
「…うん」
「少しの間二人で遊びましょうか?おはじきならありますよ?」
「…ルール…わかんない…」
「私が教えて上げますよ。ゆっくりでもいいんです。やっていきましょう」
「…わかった…あと…名前…」
「名前?私のですか?」
「…」コクン
「私の名前は和泉いずみすみれと言います。よろしくお願いしますね」
「…よろしくね、和泉さん」

「って言うのが此方となゆちゃんの出会いっすね」
「ちょっと待って!堂出さんいつ出たの!?」
「え?でてたじゃないっすか」
「何処に!?」
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