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8章 ~旧友~
その14
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「…」
ビルの屋上からサイレントキラーの人達を見ている人物が居た。
「姉御、見てるぐらいだったら助けに行ったらどうですか?」
スケ番グループの人達だ。
「…いや、無理や」
「なんでですか?」
「それは…」
「姉御にはサイレントキラーの人達に手を出せない理由があるのです」
突然横から声を挟んできた。
「菊地さん?」
「はい、どうも菊地舞です。スケ番グループのナンバー2になっています」
敬礼をしながらなぜか突然自己紹介をする。
「で、手を出せない理由ってなんです?」
「それはですね…」
「菊地、言うなや。言ったらただでは済まさんで…わかったな?」
「…姉御はサイレントキラーの初代総長の大ファンなのです」
「…は?」
一同唖然。
「ちょ!言うな言うたやろ!なんですぐに言うてしまうん!?」
「いや、だって、姉御って何だかんだで殴ったりしないじゃないですか」
「だからって言わんでええやろ!…っていうかなんでお前知ってるん!?」
「この間部屋覗いたら初代総長の写真見て『王子…』って呟いてたじゃないですか」
「な、なんで知ってるん!?」
「覗いたので」
「なんで覗いてるねん!なんか恥ずかしいやろ!ていうか同居してないのにどこか、覗いとったん!?」
「…と、言うわけで姉御はサイレントキラーの人達に手を出せないのです」
「無視!?なぁ!無視は止めてぇや!」
「姉御…」
手下たちの視線が一斉に刺さる。
「い、いや!確かにファンやけど…そんな…」
「ちなみに姉御はサイレントキラーの初代総長の写真だけが入ったアルバムを大切に保管してます。ちなみに全部盗撮です」
「まだ落とすん!?何でそんなことまで知ってるん!?」
「覗いたので」
「それもう覗いたのレベル越えてるやん!もうガッツリ見てるやん!」
「あ、あともう一つ」
「今度は何や!まさか自作の抱き枕持っとることか!?」
「え?そうなんですか?」
「アカン!墓穴掘った!」
「いや、そうじゃなくてですね、そこに『王子』が来てますよ。お姫様?」
「え?」
振り向くとそこに
「…よぉ」
「…」
「…おーい」
「…」
「…大丈夫か?」
「…ちょっと待っとれ」
「…あ、あぁ…」
「アカン…照れてもうてろくに顔を見れんわ…どないしよ…」
小声で舞に話しかける。
「だめですよ姉御、奥手になってはいけません。作戦はガンガンいこうぜでいきますよ」
「そんな…なぁ、通訳してくれへんか?」
「姉御は日本語話せるでしょう?」
「ううぅ…」
「姉御、ファイト☆」
「…うぅ…」
再び隼輝の方を見て、
「う、ウチはアイツらのリーダーの姫路彩や!ウチに何のようや!」
「姉御ナイスです、ただし面白くないので10点減点で」
「なんの採点しとんねん!」
「…いや…なんか上の方が騒がしいな…と思ったら…」
「…バレてしまっては仕方がないなぁ…」
そう言うと同時にグループの人物が一定に武器(鉄パイプとか)を構える。
「いや、戦う気はないんだ。っていうか無くなった」
「…なんでや?」
「…だってなんか王子とか…」
「…」
また小声で話しかける。
「バッチリ聞かれてるやんか!どないすればええねん!」
「玉子と聞き間違えたと言うことにしては?」
「それ漢字や無いと伝わらんやんか!」
「もう素直に戦ったらどうです?」
「無理や!だって戦ってる最中に…その…顔とか近くで見ちゃったら…見ちゃったら…その…」
「顔赤くなっちゃって~春ですねぇ~」
「う、うるさい!」
「…おーい、もういいか?」
「あ、もう少し待っててください、王子様」
「菊地お前!さっきから遠回しにウチの事バカにしてるやろ!」
「何を失礼な。私はただ純粋に遠回し等ではなくダイレクトにバカにしてます」
「流石に殴るぞ!」
「…なぁ、一つだけいいか?」
「な、なんや?」
「やりたくないならやめたらどうだ?」
「それはどうゆう意味や…?」
「ただ、単純に、あんたがこんなことをするように見えなかったからな」
「…せ、せやろか?」
「ああ、お前は普通の優しい女の子に見えるぞ…いや、ちがうな」
「え…?」
「普通の優しい女の子だった…か」
「…!!」
「じゃあな。俺は帰る、邪魔したな」
「…待っ…」
バタン
ドアの閉まる音がした。
「…姉御最後のどういうことですか?」
「…」
姫路は大号泣していた。
「…覚えてて…くれはったん?」
「…姉御?」
「…菊地。メンバーを全員集めてくれ」
「はぁ、何でです?」
「…解散通告や」
「…堂出さん…有難うございます。あなたのお陰で…勇気を出すことが出来ました」
「…まさかあんたが止めるとは思ってなかったっすよ」
「…自分でも驚いていますよ。あんなことするなんて…いてて…」
殴られた腹が痛いようだ。
「大丈夫っすか?」
「は、はい…」
「…屋井さん。謝ったらどうっすか?」
「…」
「…あんた、いい人だし。謝ったらきっと…」
「…駄目ですよ…だって…」
「だって?」
「…きっと、許されてしまうから」
「…どういう意味っすか?」
「…私はずっと見ていただけだった。那由多さんが殴られているときも、止めもせずに、ずっと。でも那由多さんは優しいから…きっと謝ったら許されてしまうと思うんです。…だから、私は…自分自身の罪を償ってから、自分から謝りにいこうと思います。…ダメですか?」
「…屋井さん。あんたほんとに立派な人っすよ」
「おい、話は済んだか?」
「あ、隼輝さん、終わったっすよ」
「それじゃあ帰るぞ。あまりゆっくりしてると日付が変わる」
「はいっす」
「あ、あの!」
「ん?どうした屋井さん」
「…あの時、私を見つけてくれて…声をかけてくれて、ありがとうございました!」
そう言って、深々と頭を下げた。
「…あぁ、元気でな」
二人が歩き去って、見えなくなったあとも、しばらく頭を下げ続けていた。
ビルの屋上からサイレントキラーの人達を見ている人物が居た。
「姉御、見てるぐらいだったら助けに行ったらどうですか?」
スケ番グループの人達だ。
「…いや、無理や」
「なんでですか?」
「それは…」
「姉御にはサイレントキラーの人達に手を出せない理由があるのです」
突然横から声を挟んできた。
「菊地さん?」
「はい、どうも菊地舞です。スケ番グループのナンバー2になっています」
敬礼をしながらなぜか突然自己紹介をする。
「で、手を出せない理由ってなんです?」
「それはですね…」
「菊地、言うなや。言ったらただでは済まさんで…わかったな?」
「…姉御はサイレントキラーの初代総長の大ファンなのです」
「…は?」
一同唖然。
「ちょ!言うな言うたやろ!なんですぐに言うてしまうん!?」
「いや、だって、姉御って何だかんだで殴ったりしないじゃないですか」
「だからって言わんでええやろ!…っていうかなんでお前知ってるん!?」
「この間部屋覗いたら初代総長の写真見て『王子…』って呟いてたじゃないですか」
「な、なんで知ってるん!?」
「覗いたので」
「なんで覗いてるねん!なんか恥ずかしいやろ!ていうか同居してないのにどこか、覗いとったん!?」
「…と、言うわけで姉御はサイレントキラーの人達に手を出せないのです」
「無視!?なぁ!無視は止めてぇや!」
「姉御…」
手下たちの視線が一斉に刺さる。
「い、いや!確かにファンやけど…そんな…」
「ちなみに姉御はサイレントキラーの初代総長の写真だけが入ったアルバムを大切に保管してます。ちなみに全部盗撮です」
「まだ落とすん!?何でそんなことまで知ってるん!?」
「覗いたので」
「それもう覗いたのレベル越えてるやん!もうガッツリ見てるやん!」
「あ、あともう一つ」
「今度は何や!まさか自作の抱き枕持っとることか!?」
「え?そうなんですか?」
「アカン!墓穴掘った!」
「いや、そうじゃなくてですね、そこに『王子』が来てますよ。お姫様?」
「え?」
振り向くとそこに
「…よぉ」
「…」
「…おーい」
「…」
「…大丈夫か?」
「…ちょっと待っとれ」
「…あ、あぁ…」
「アカン…照れてもうてろくに顔を見れんわ…どないしよ…」
小声で舞に話しかける。
「だめですよ姉御、奥手になってはいけません。作戦はガンガンいこうぜでいきますよ」
「そんな…なぁ、通訳してくれへんか?」
「姉御は日本語話せるでしょう?」
「ううぅ…」
「姉御、ファイト☆」
「…うぅ…」
再び隼輝の方を見て、
「う、ウチはアイツらのリーダーの姫路彩や!ウチに何のようや!」
「姉御ナイスです、ただし面白くないので10点減点で」
「なんの採点しとんねん!」
「…いや…なんか上の方が騒がしいな…と思ったら…」
「…バレてしまっては仕方がないなぁ…」
そう言うと同時にグループの人物が一定に武器(鉄パイプとか)を構える。
「いや、戦う気はないんだ。っていうか無くなった」
「…なんでや?」
「…だってなんか王子とか…」
「…」
また小声で話しかける。
「バッチリ聞かれてるやんか!どないすればええねん!」
「玉子と聞き間違えたと言うことにしては?」
「それ漢字や無いと伝わらんやんか!」
「もう素直に戦ったらどうです?」
「無理や!だって戦ってる最中に…その…顔とか近くで見ちゃったら…見ちゃったら…その…」
「顔赤くなっちゃって~春ですねぇ~」
「う、うるさい!」
「…おーい、もういいか?」
「あ、もう少し待っててください、王子様」
「菊地お前!さっきから遠回しにウチの事バカにしてるやろ!」
「何を失礼な。私はただ純粋に遠回し等ではなくダイレクトにバカにしてます」
「流石に殴るぞ!」
「…なぁ、一つだけいいか?」
「な、なんや?」
「やりたくないならやめたらどうだ?」
「それはどうゆう意味や…?」
「ただ、単純に、あんたがこんなことをするように見えなかったからな」
「…せ、せやろか?」
「ああ、お前は普通の優しい女の子に見えるぞ…いや、ちがうな」
「え…?」
「普通の優しい女の子だった…か」
「…!!」
「じゃあな。俺は帰る、邪魔したな」
「…待っ…」
バタン
ドアの閉まる音がした。
「…姉御最後のどういうことですか?」
「…」
姫路は大号泣していた。
「…覚えてて…くれはったん?」
「…姉御?」
「…菊地。メンバーを全員集めてくれ」
「はぁ、何でです?」
「…解散通告や」
「…堂出さん…有難うございます。あなたのお陰で…勇気を出すことが出来ました」
「…まさかあんたが止めるとは思ってなかったっすよ」
「…自分でも驚いていますよ。あんなことするなんて…いてて…」
殴られた腹が痛いようだ。
「大丈夫っすか?」
「は、はい…」
「…屋井さん。謝ったらどうっすか?」
「…」
「…あんた、いい人だし。謝ったらきっと…」
「…駄目ですよ…だって…」
「だって?」
「…きっと、許されてしまうから」
「…どういう意味っすか?」
「…私はずっと見ていただけだった。那由多さんが殴られているときも、止めもせずに、ずっと。でも那由多さんは優しいから…きっと謝ったら許されてしまうと思うんです。…だから、私は…自分自身の罪を償ってから、自分から謝りにいこうと思います。…ダメですか?」
「…屋井さん。あんたほんとに立派な人っすよ」
「おい、話は済んだか?」
「あ、隼輝さん、終わったっすよ」
「それじゃあ帰るぞ。あまりゆっくりしてると日付が変わる」
「はいっす」
「あ、あの!」
「ん?どうした屋井さん」
「…あの時、私を見つけてくれて…声をかけてくれて、ありがとうございました!」
そう言って、深々と頭を下げた。
「…あぁ、元気でな」
二人が歩き去って、見えなくなったあとも、しばらく頭を下げ続けていた。
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