23 / 26
アクアマリンの章
1. Ep-22.研究塔へ
しおりを挟む
離宮の入り口では南方騎士団の第九師団の騎士達が護衛の為に集まっていた。先に馬車に乗っていたルゼリアは馬車の窓から騎士達を見渡しながらレクターの姿を探す、レクターに会えればあの日の事を謝りたいと思ったからだ、シュネには気にしなくても良いとは言われているけれどレクターもガリオンもルゼリアが勝手に動かなければ罰を受けずにすんだのだ、キョロキョロとレクターを探すルゼリアに馬車に近づいてきた第九師団長のネス・ルティアーノがどうされたのですかと問いかける。
ルゼリアはレクターを探している事を告げれば、ネスは今居るのは第九師団の騎士達だけと言い今日は来ていないと答えていた、レクターは今日もまた王宮で荷物整理や書類整理に追われているという、謝れなかったとガッカリしたルゼリアだがふと辺りを見渡した、今はシュネの姿がない、どうやら用事でルゼリアの側を離れているようだ、レザリックの所には一緒にいってくれる為にすぐに戻ってくるだろう、ルゼリアはネスに頼み第九師団の騎士達を集めてもらった、そうして改めてあの日の事を謝罪した。
稽古を中断させる事をした事を詫びれば騎士達は慌てた様子で首を振っている、王族でもあるルゼリアが頭を下げる事に騎士達は恐縮しているようだ。シュネがいればそんなルゼリアを叱っていただろう、王族が臣下に頭を下げてはいけないと言うのは分かっていた、だからこそシュネが居ない今謝ったのだ。
心から謝ったルゼリアに騎士達は一礼して謝罪を受け取っている。
「姫君、我等は貴方をお守りする為に日々鍛錬しているので、今日は我等に貴方様をお守りさせてください」
ネスの言葉にルゼリアはお願いしますと微笑んだ、そうしてシュネが戻ってくると馬車に乗り込みルゼリアの隣に座る。周りには護衛の騎士達が馬に乗っているのが見える、そうしてルゼリアは叔父であるレザリックがいる王宮の東へと出発した。
ルゼリアがこれから向かうのは王宮の東に位置する、とある塔だ、皆から研究塔と呼ばれるそこは離宮の一つである『水陰の鏡』だ。レザリックが魔法の研究資料などを集め引きこもる為にいつしか研究塔と呼ばれるようになる、その為水陰の鏡と本来の名を呼ぶものは数を減らし研究塔で通じるようになってしまった。
しばらく進めば目の前には大きな建物が一つ姿を見せた。水陰の鏡は王宮と同じで一番高い場所から水が流れ落ちていてキラキラ光っている、ただ水陰の鏡は王宮とは違ってかなりの蔦で覆われている。以前見た時よりも更に蔦で覆われている様子、蔦が伸びてますねと言うルゼリアにシュネはレザリック様の魔法の影響を受けているのでしょうねと答えた、レザリックはあの場所で魔法の研究や魔道具を作る為、その時に使用した魔力が辺りに影響を与えてしまっているのだという、見る度に蔦で覆われる研究塔はその内蔦で全てが埋め尽くされてしまうかもしれない、水を豊富に含んだ研究塔はさぞかし蔦に取っては成長しやすい事だろう。
水陰の鏡へと到着すれば馬車の扉が開く、ネスが手を差し出しルゼリアはその手を取って馬車を降りた。そうしてありがとうと手を動かしながら視線を水陰の鏡へと向ける、ルゼリアの住む離宮とは大分違うがそれでも共通する部分は“かなり大きい”だろうか、違う点と言えば人の出入りが激しい事だろう。
ルゼリアの住む離宮『静寂の花』はルゼリアとシュネに必要最低限の使用人、そして南方と西方の騎士団が居る程度だ、だが今ルゼリアの目の前にある離宮『水陰の鏡』には多くの人が居るのが分かる、流石は王弟殿下が居る場所と言うことだろう、人に会う事が苦手なルゼリアは無意識に近くに居た騎士の後ろに隠れてしまう。
自分が隠れた事にさえ気付いていないルゼリアに、気付いたシュネが名を呼べば騎士の後ろに隠れていた事に気付いたルゼリアが慌てて出てくる。
「姫様、レザリック様が貴方をお呼びになったのですから隠れる必要はございませんでしょう、堂々となさいませ」
頷いてルゼリアは歩き出せば第九師団の騎士達が護衛に着く、そうして入り口まで行くと入り口に数人の大柄の騎士が立っているのが見えた。
白地に水でも、黒地に水でもない制服、それは東西南北を司る騎士団とは別の騎士である事を示している、彼等はレザリックの近衛騎士だ。ルゼリアの父であるラザードも直属の近衛騎士を有しているがレザリックもまた身分の高いもので近衛騎士が存在するのだ。壮年期と思われるがっしりとして落ち着きのある騎士達がルゼリアに礼を取っている。そのうちの一人がルゼリアに声をかける。
「ルゼリア姫、ようこそおいでくださいました、レザリック様からお話を伺いお迎えに上がりました」
騎士達は次にシュネにも頭を下げる、近衛騎士達は南方騎士達を見た。
「此処から先は我等の管轄する地域だ、貴公等はこの場所で待っていただけるか」
レザリックの騎士の言葉に真っ先に異を唱えたのは師団長でもあるネスだった。
「我等の役目はあらゆる危険から姫君をお守りする事です、例え管轄が違うといえども姫君をお守りするのは我々の役目、この場で待つ事など出来はしません」
ネスの言葉に第九師団の騎士達も頷いている、レザリックの騎士達はどうしたものかという表情を浮かべればルゼリアはレザリックの騎士達を見た。
『全員は無理でも数人共に連れて行く事は出来ませんか?』
ゆっくりとした口の動きと手の動きで言葉を理解した騎士は一瞬だけ眉をひそめた。
「……ルゼリア姫が、そう仰せになるのでしたら」
レザリックの騎士はそう言って三人なら共に連れてもいいと告げる。ルゼリアはネスを見て三人お願いしますと伝えれば何か言いたげではあったがネスはすぐにわかりましたと頷き自分を含めた三人を共にする事を選んだ。残った騎士達に帰りもお願いしますと言えば騎士達はルゼリア達を見送った。
そうして連れられるままにルゼリアはレザリックの待つ部屋に向かって歩き出した。
ルゼリアはレクターを探している事を告げれば、ネスは今居るのは第九師団の騎士達だけと言い今日は来ていないと答えていた、レクターは今日もまた王宮で荷物整理や書類整理に追われているという、謝れなかったとガッカリしたルゼリアだがふと辺りを見渡した、今はシュネの姿がない、どうやら用事でルゼリアの側を離れているようだ、レザリックの所には一緒にいってくれる為にすぐに戻ってくるだろう、ルゼリアはネスに頼み第九師団の騎士達を集めてもらった、そうして改めてあの日の事を謝罪した。
稽古を中断させる事をした事を詫びれば騎士達は慌てた様子で首を振っている、王族でもあるルゼリアが頭を下げる事に騎士達は恐縮しているようだ。シュネがいればそんなルゼリアを叱っていただろう、王族が臣下に頭を下げてはいけないと言うのは分かっていた、だからこそシュネが居ない今謝ったのだ。
心から謝ったルゼリアに騎士達は一礼して謝罪を受け取っている。
「姫君、我等は貴方をお守りする為に日々鍛錬しているので、今日は我等に貴方様をお守りさせてください」
ネスの言葉にルゼリアはお願いしますと微笑んだ、そうしてシュネが戻ってくると馬車に乗り込みルゼリアの隣に座る。周りには護衛の騎士達が馬に乗っているのが見える、そうしてルゼリアは叔父であるレザリックがいる王宮の東へと出発した。
ルゼリアがこれから向かうのは王宮の東に位置する、とある塔だ、皆から研究塔と呼ばれるそこは離宮の一つである『水陰の鏡』だ。レザリックが魔法の研究資料などを集め引きこもる為にいつしか研究塔と呼ばれるようになる、その為水陰の鏡と本来の名を呼ぶものは数を減らし研究塔で通じるようになってしまった。
しばらく進めば目の前には大きな建物が一つ姿を見せた。水陰の鏡は王宮と同じで一番高い場所から水が流れ落ちていてキラキラ光っている、ただ水陰の鏡は王宮とは違ってかなりの蔦で覆われている。以前見た時よりも更に蔦で覆われている様子、蔦が伸びてますねと言うルゼリアにシュネはレザリック様の魔法の影響を受けているのでしょうねと答えた、レザリックはあの場所で魔法の研究や魔道具を作る為、その時に使用した魔力が辺りに影響を与えてしまっているのだという、見る度に蔦で覆われる研究塔はその内蔦で全てが埋め尽くされてしまうかもしれない、水を豊富に含んだ研究塔はさぞかし蔦に取っては成長しやすい事だろう。
水陰の鏡へと到着すれば馬車の扉が開く、ネスが手を差し出しルゼリアはその手を取って馬車を降りた。そうしてありがとうと手を動かしながら視線を水陰の鏡へと向ける、ルゼリアの住む離宮とは大分違うがそれでも共通する部分は“かなり大きい”だろうか、違う点と言えば人の出入りが激しい事だろう。
ルゼリアの住む離宮『静寂の花』はルゼリアとシュネに必要最低限の使用人、そして南方と西方の騎士団が居る程度だ、だが今ルゼリアの目の前にある離宮『水陰の鏡』には多くの人が居るのが分かる、流石は王弟殿下が居る場所と言うことだろう、人に会う事が苦手なルゼリアは無意識に近くに居た騎士の後ろに隠れてしまう。
自分が隠れた事にさえ気付いていないルゼリアに、気付いたシュネが名を呼べば騎士の後ろに隠れていた事に気付いたルゼリアが慌てて出てくる。
「姫様、レザリック様が貴方をお呼びになったのですから隠れる必要はございませんでしょう、堂々となさいませ」
頷いてルゼリアは歩き出せば第九師団の騎士達が護衛に着く、そうして入り口まで行くと入り口に数人の大柄の騎士が立っているのが見えた。
白地に水でも、黒地に水でもない制服、それは東西南北を司る騎士団とは別の騎士である事を示している、彼等はレザリックの近衛騎士だ。ルゼリアの父であるラザードも直属の近衛騎士を有しているがレザリックもまた身分の高いもので近衛騎士が存在するのだ。壮年期と思われるがっしりとして落ち着きのある騎士達がルゼリアに礼を取っている。そのうちの一人がルゼリアに声をかける。
「ルゼリア姫、ようこそおいでくださいました、レザリック様からお話を伺いお迎えに上がりました」
騎士達は次にシュネにも頭を下げる、近衛騎士達は南方騎士達を見た。
「此処から先は我等の管轄する地域だ、貴公等はこの場所で待っていただけるか」
レザリックの騎士の言葉に真っ先に異を唱えたのは師団長でもあるネスだった。
「我等の役目はあらゆる危険から姫君をお守りする事です、例え管轄が違うといえども姫君をお守りするのは我々の役目、この場で待つ事など出来はしません」
ネスの言葉に第九師団の騎士達も頷いている、レザリックの騎士達はどうしたものかという表情を浮かべればルゼリアはレザリックの騎士達を見た。
『全員は無理でも数人共に連れて行く事は出来ませんか?』
ゆっくりとした口の動きと手の動きで言葉を理解した騎士は一瞬だけ眉をひそめた。
「……ルゼリア姫が、そう仰せになるのでしたら」
レザリックの騎士はそう言って三人なら共に連れてもいいと告げる。ルゼリアはネスを見て三人お願いしますと伝えれば何か言いたげではあったがネスはすぐにわかりましたと頷き自分を含めた三人を共にする事を選んだ。残った騎士達に帰りもお願いしますと言えば騎士達はルゼリア達を見送った。
そうして連れられるままにルゼリアはレザリックの待つ部屋に向かって歩き出した。
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる