あの約束を、もう一度

夕凪

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第一章

湘南乃嵐とD’z

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観音寺高校での新しい高校生活2日目。



ホームルームが始まる30分くらい前に教室に着いた。



少し早過ぎたかなと思ったが、意外と他の生徒も来ていた。



「龍ちゃん、おっはよー!」



ケバいギャル軍団が手を振って挨拶してくれる。



挨拶はいいけど龍ちゃんってなんだよ。



・・・ま、悪い気はしないけど。



「おはよー」



無難に挨拶を返し、席に着く。



「・・・ふぅ」



意識せずため息が出る。



まだ馴染めていないのだから当然っちゃ当然かもしれない。



「龍ちゃん、もう学校慣れたぁ?」



突然声をかけられる。



顔を上げるとさっきのギャル軍団の中の一人が立っていた。



「ううん、まだ慣れてないんだ」



「そりゃそうだよねー、まだ2日目だしぃ」



茶色の長い髪の毛を綺麗にネイルされた指でくるくるしながら言う。



「あ、アタシ矢野美奈子。ネイルに命かけてるギャルだよぉ☆」



どこに命かけてんだよ・・・。



「知ってると思うけど俺は久保田龍之介。よろしくな」



そう言うと、美奈子もよろしくねとニコニコしながら言った。



見た目はかなり派手だが、どこか憎めないキャラのようだ。



俺は前の学校でも女友達がかなりいたから難なく話せるが、そもそも女子というものに免疫がない男にとってはあまり関わりたくないタイプの女子だろう。



美奈子はまだ来ていない諒太の椅子に跨いで座った。



「龍ちゃんは好きなアーティストとかいないのぉ?」



「そうだな、安室美奈恵とか好きだよ」



「えーーーっ!アタシもミナエちゃん大好きだよぉ!!!」



このギャルとは気が合いそうだ。



「美奈子ちゃんは他に好きなのいるの?」



「アタシがよく聞くのは湘南乃嵐とかD’zとか、とにかくテンションブチ上げになるのよく聴くよぉ」



この女、ギャルのくせに音楽の嗜好は渋い。



「ていうかぁ、ここ誰の席?」



いやいや散々座っといて今更かよ。



「諒太の席だよ」



「え、やだぁ・・・アタシあいつ苦手なのぉ」



へぇ、諒太のこと苦手な女子もいるんだ。



「どうして?」



「なんて言うかぁ、”俺はかっこいいんだぜ”って気取った感じがして鼻につくのぉ」



・・・相当嫌いなのは理解できた。



「あ、そろそろ栗林くるから席戻るね。ばいばーい☆」



そう言って美奈子は自分の席に戻っていった。



その時、ちょうど諒太が教室に入ってきた。



いつもこんなギリギリに登校するのだろうか?



「お前さ、なんで昨日勝手に帰ったんだよ」



俺の顔を見て、席に座りながら開口一番諒太が言う。



「邪魔しちゃ悪いかなと思って」



「今度から勝手に帰るのはナシな」



「考えとく。それにしてもさすがに女子の扱い慣れてんだね」



「女だろうが男だろうが俺に好意を抱いてくれてるやつに優しくするのは男として当然だろ?」



さらっとそんなこっぱずかしいこと言う。



・・・ん?



「もしかして・・・両刀使い?」



「俺は好き嫌いしない男だぜ?」



朝からとんでもないことを言う。



「はいはいそうですか」



適当に流す。



「それよりお前、俺との約束をすっぽかした後はそのまま家に帰ったのか?」



なんかいかにも俺が悪いみたいな言い方だ。



「ううん、グラウンドのベンチに座って野球部の練習見てた」



「・・・あ?」



「いや、だから野球部の練習見てたんだって」



「・・・あっそ」



聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声でそう言うと、俺に向けていた体を前に向け黒板を睨むようにしてそのまま黙り込んでしまった。



どうしたんだよと声をかけようとした瞬間、栗林が教室に入ってきてそのままホームルームが始まってしまった。



・・・一体なんなんだよ。


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