あの約束を、もう一度

夕凪

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第三章

受動的行動と能動的行動

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浅い眠りから目が覚める。



暗い部屋の中に美しい月明かりが差し込んでいる。



その明かりを頼りに部屋を見渡してみる。



諒太は裸のまま逞しい腕を俺の腰に回し、気持ちよさそうに寝息を立てていた。



雄大はパンツだけ履いていびきをかきながら床で雑魚寝している。



───夢じゃ・・・なかったんだ。



昨日の出来事が夢であったとしたらどんなに良かっただろう。



あの後、諒太と雄大は媚薬で自由が無くなった俺を何度も犯した。



体中が痛い。



その痛みが、昨日の行為の激しさを物語っていた。



───智也は今どこにいて、何をしているのだろうか。



エナメルバックと通学用の鞄、それから昨日着ていたユニフォームはまだ部屋にあるから、帰ったわけではなさそうだ。



媚薬のせいだとは言え、その効能に自分の理性が勝てなかった。



そんな俺を智也はどう思って、どんな目で見ていたのだろう。



智也に会うのが怖い。



・・・とりあえず、風呂に入って体を綺麗にしよう。



今は、なにかをして考えるのを止めたかった。



諒太の締まった腕の中から静かに抜け出す。



クローゼットの中からタオルケットを3枚取り出し、うち2枚を諒太と雄大にそっとかける。



残りの1枚は、裸のままの自分の体を隠すように羽織った。



2人の汚れたユニフォームを抱えて、音を立てないように部屋を抜け出す。



階段を降り、真っ暗のリビングに入る。



テレビの前のソファに智也がいた。



大きな体を丸くして、横向きで寝ていた。



───智也、ごめんな。



心の中で謝る。



自分でもなにがごめんなのかわからなかったが、それ以外言葉が見つからなかった。



俺は羽織っていたタオルケットを智也の体にかけ、裸で浴室に向かう。



浴槽にお湯を張っている間に、汚れたユニフォームの汚れを落とすことにした。



洗濯洗剤とブラシを使い、ゴシゴシとグラウンドの土の汚れを落としていく。



昨日のことも、こんな風に記憶から削ぎ落せればいいのに。



そんなこと不可能なのはわかっていたが、バカな願いは大きく膨らんでいく。



───なんでこんなことに。



一番不愉快なのは媚薬のせいとは言え、2人に抗うことをせずに全て受け入れてしまったということだ。



それどころか俺は───、諒太と雄大を求めていた。



傍目から見れば俺は受動的だったが、本当は俺自身も俺を犯した2人と同じように能動的だったということだ。



それは紛れもない事実。



俺は、こんなにもふしだらで汚らわしい人間だったのか・・・?



「───はぁ」



浴室の方から、お湯が溜まったことを知らせるアラームが鳴った。



ユニフォームの汚れも、あらかた落ちたようだ。



洗濯機に洗剤と柔軟剤、汚れを落とした2組のユニフォームを入れ、スイッチを押す。



動き始めたことを確認して、何度目かわからないため息を吐いてから浴室に入った。



シャワーのハンドルを回すと、温かいお湯が出て浴室が白い湯気で満たされていく。



目の前の大きな鏡。



そこに映ったのは、首から鎖骨にかけてを中心に、体中に鬱血の跡がある自分の姿。



いつの間にこんなに・・・。



このままじゃ学校もいけねえじゃねえか!



「・・・ちょっとは考えてつけろよな」



俺は上を向いて頭からシャワーを思い切り浴びる。



少しだけ、頭がすっきりしたような気がした。


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