魔導戦士ドミネーター

テトラポット

文字の大きさ
1 / 8
第一章「異世界転移編」

第1話「転移とベルト」

しおりを挟む
「ここをこうして、こう」

 基盤に慎重にはんだずけを行う。煙が立ちこみ独特な匂いがする。


「先輩。またこんな研究して。子供らしいことはもうやめません? 今日で10日ですよ。徹夜」

 ショートボブの女性がコーヒーをそっと机に置く。

「うるさい。私なるんだ正義の味方に。ライダーに」

 子供の頃から憧れているモノがあった。それは特撮ヒーローだ。光の巨人やバッタヒーロー、レンジャーなどなど。毎週の土曜と日曜はテレビの前に居座り、目を輝かせながらその勇姿を脳内に焼き付けていた。

 テレビの中のヒーローは圧倒的な力で悪を倒し、賞賛される。負けてもどんなに追い詰められても諦めずに立ち向かう姿は輝いて見えた。なりたかった。かっこいいヒーローに。私の進路希望書はいつもヒーローだったし、合気道、剣道などを極め、そこそこ強くなった。

 しかし現実は非情だった。私はいい大学に入りいい仕事につくようにと耳にタコができるくらい昔から言われてきた。ヒーローは俳優さんが演じていて、スーツを着たスーツアクターさんがいる。私が見ていたのは虚像だったのだろうか。

 卓上に置かれたコーヒーではなく、冷蔵庫で冷やしていた缶ビールをプシュッと開け、喉に流す。

 「あ~。頭がクラクラする。酒の飲み過ぎか? 仕事中にする飲酒が一番気持ちがいい」

 今は大学の後輩のヒモだ。後輩は私の機械いじりに可能性を見出し、とある会社の研究員に推薦した。なんてやつだ。

「呑んでると全てを忘れられてキエテカレカレータだ」

 あ。今のは怪獣語ですごくいい気分だって意味ね。

 タイムカードを機械に差し込む。さて帰るか。

 歩道をふらふらと彷徨う。

「あ~気持ち悪い。死ぬ」

 頭ん中がポワポワする。もう寝よう。

 私は大通りでうつ伏せになる。地面は熱った体を冷やしてくれる。セケンテーなんかどうでもいい。今は寝させてくれ。

 私は気絶するように眠りについた。

    ......ん? あー。寝てたのか。

「あー起きた起きた。沖田総一」

「大丈夫? キミ? こんな場所で横になって。騎士団に怒られるよ。怖いんだぞー騎士団長」

 スチームパンクなゴーグルをかけた少年が不思議そうに私の顔を覗き込んでいる。

「お姉さん大丈夫? 具合悪いの?」

 少年はなんとも言えない顔をする

「ぼちぼちかな」

 そっけない返事を返す。てか誰だこの少年。まぁ。いっか。

 足音が聞こえる。大勢の。スクランブル交差点だからしかたな......ん? スクランブル交差点って地面コンクリじゃなかったっけ。なんかすごいレンガ。

 重い体を起こす。

「は???」

 私がいるのはスクランブル交差点ではなかった。何処だここ。

「見渡す限り、出店? のようなものがたくさんある。市場かな? 賑わってていいなこれ」

 少年は鼻高々に

「だってここは王都レイメールだよ」

 日本にそんな地域あったっけ?

「レイメール? レイメール......レイメール。海外にも聞き覚えないな」

 立ち上がって周りを見回してみると猫耳が生えてる人や耳のとんがった人がいる。?

 夢にしてはリアルだなぁ。明晰夢ってやつ? 

 それにしても腹が減った。何か食べよう。

 幸い出店は沢山ある。りんご飴あるかな?

 私は出店に向かって歩き、お店のお姉さんに話しかける。この人も耳が長い。

「お姉さん綺麗ですね。あ。りんご飴ひとつください。いくらですか?」

「はいひとつですね。ひとつで100レイです」

「すみません。値段がよく聞こえなくて」

 耳の長いお姉さんはニコッと笑って

「100レイです」

 レイ?なにそれ日本円じゃないの?

「つかぬことをお聞きしてもいいですか?」

 耳の長いお姉さんは首を傾げて

「はい。なんでしょう」

 私はポケットからスマホを取り出して位置情報を確認する。お姉さんにスマホを見せて

「圏外なんですけど、電波ある場所教えてくれませんか?」

 お姉さんはスマホを物珍しそうに見ている。

「なんですかその板」

「スマホですけど」

 お姉さんは少し困った様子だ。

「あの、さっきから言ってることがわからないんですけど。何処の国から来ました? 旅人様ですか?」

「日本っす」

「にほん? そんな国ありませんよ」

「は?」

 日本がないってどゆこと?意味がわからないんだけど日本語喋ってる?

 頭に悪い考えがよぎる。これアレだ。

「魔法って使えます?」

 お姉さんは少し困った様子で

「なんで当たり前のことを聞くのですか?」

 あ。確定した。異世界だわ。ここ。

 お姉さんは追い討ちをかけるように

「通貨がないのならギルドに行くといいですよ。そこで依頼を受けて達成すると報酬がもらえます」

 とりあえず行ってみるかギルド。

 そんなこんなでギルドまで歩いてきた。冒険者になるのか。

そう言えばさ今思ったんだけどリュックの中身って何入ってたっけ。

リュックを下ろし、ファスナーを開ける。中には未完成の変身ベルトが入っていた。

「おぅ。嬢ちゃん。なんだそのアーティファクト。見たことねぇな」

 コワモテのお兄さんがはなしかけてきた。こわい

 お兄さんは遠くにある店を指さして

「アーティファクトならあの店で鑑定してくれるぞ。壊れてたら修理もできるからな。頑張れよ冒険者さん」

 なんだ。いい人だった。アーティファクトってなんだっけ? 最近のヒーローに出てきたな。魔法が込められている道具的な?

 あ。天才的なこと思いついた。

「この世界なら変身できるのでは?」

 小説で読んだことあるぞ。道具にこう。魔力を流して。いいかんじに。


 体の中を何かが駆け巡る感覚がする。コレが魔力か。その魔力はベルトに貯まっていく。

『ライズドミネーター』

 え?喋ったんだけどベルト。電池入れてないのに。

 お前ライズドミネーターっていうのか。

『そうだよ』

「ふあっ!? 話しかけてきた!? ベルトさんかよ」

『ボクは完成したんだ』

 ライズドミネーターは眩い光を放ち、徐々にその形を変えていく。

「うおっ!? まぶし」

 次に目を開けたときにはぱっつん前髪の黒髪にオレンジ色のインナーカラーの綺麗な髪の少年が佇んでいた。

「ぼくはドミ。よろしくね。ご主人。
正式名称は魔力伝導式強化外装甲初期型ライズドミネーターだよ」

「長い名前すき。イイね!! イェーイ!!」

 私はドミとハイタッチをする。

 ドミは少し申し訳なさそうに

「ごめんね。ご主人の魔力全部もらっちゃった。ご主人はもう魔法つかえないよ。そのかわり変身してヒーローになれる。ボクを使って」

 最高じゃんそれ。

「烈火龍が出たぞー!!城に逃げろー!!」

 1人の男が叫ぶように呼びかける。

「烈火龍?なにそれ」

 ドミは手を差し出して

「棚からドラゴンだね。チカラを試す刻がきたよご主人」

 戦うの? ドラゴンと? 無理無理。

 あ。でも市民が逃げ惑うなか1人だけ立ち向かう私!! 最高にヒーローしてる!!

「よしわかった!!やろう」

 ドミはニヤリと笑う

「そうこなくっちゃ。さすがご主人」

 ドミは続けて

「なんか鍵もってない? 家の鍵でもなんでもいいから。ボクのエンジンを動かす鍵だ」

 ポケットにバイクのキーが入ってた気がする。ん? あっ、あった。

「あったよ」

「使い方はわかるよね」

「もちろん!!」

 私はサムズアップをする。

 ドミの手を取るとドミは再びベルトへと姿を変える。

 腹部にベルトを押し当てると自動的にベルトが腰に巻き付く。

『ライズドミネーター』

 ベルトにキーを深く差し込む。

『デュアル!! イグニッション!!』

 警告音と共に粒子がベルトから放出されバイクを形成し自分の周りを駆け回り始める

「始動!!」

 キーを回し、エンジンをかけ、ベルトが横に展開する。マフラーから噴き出された蒼炎は身体を包みスーツが形成されていく。

 自分の周りを周回するバイクは空中で分解され身体に装甲のように装着されていく。

 全ての装甲が装着されバイザーについているマフラーが轟き炎を吹く。


改造完了リモデリングコンプリートドミネーター」

「さぁ。試走だ」


 



 

 



















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...