16 / 20
第15章
しおりを挟む
十五
今度の悪魔の大攻勢は、僕たちには強烈すぎた。
悪魔たちは猛り狂うのでもなく、ひたひたと、という表現にがぴったりな、揺るがない前進を続けた。
人類軍では弓兵が射てる限りの矢を放ち、兵士たちも防御用の柵の間から槍を突き出して悪魔を刺殺した。
しかしそんなことは意にも介さず、悪魔たちは押し寄せた。
やがて柵は押し倒され、土塁が攻撃にさらされ、その土塁さえも突破された。空堀も意味をなさず、ここに至って、人類軍の防御陣地の防衛線は突破された。
僕は全体が破綻するより前に、兵士をまとめ、足止めを残して、後方に構築されていた、非常時のための防御陣地へ撤退した。
物資を全て運ぶ余裕はなく、武器も兵糧も大きく失われた。
殿の兵士の生還率は極めて低かった。
近年でも稀に見る、人類軍の大敗北、と言えた。
僕は顔にまで黒いシミに及んだので、面頬をかぶって戦場を駆け、そして撤退後は、素早く新しい陣地に人員を配置するように努力した。
このタイミングでの悪魔の進撃には備えてはいなかったが、しかし、同程度の悪魔の攻勢は想定していた。今の陣地は、そのための陣地である。
僕、シグナル、スカルス、シッラで軍議を開いた。
大勢は決まった議論になるのは想定できた。もはや、悪魔軍を止めるには、指揮している個体を狙う以外、無いのだ。
そのために必要なのは、正確な情報と、戦線を支える兵力だ。
兵力の点では、シグナルが即座に応じ、関係がある軍人に掛け合ってみる、と発言した。僕も首都の軍本部へ援軍の要請をすることにした。
スカルスが、今の兵力では悪魔の進軍を押しとどめられるか曖昧な上、物資が足りない、と発言する。
それには僕は、机の上に置いていた封書を彼に差し出した。中身を確認し、スカルスはこちらを見た。
「いつの間に根回ししたのです?」
「こちらが働きかける前に、向こうが動いてくれたんだ」
その書類は、連合王国商業協力会、という名前の、連合王国内の商人たちの集まりからのもので、彼らが我々に物資の援助を行いたい旨が記されていた。
「危険ではないですか?」スカルスが書類をシッラ、シグナルへと渡した。「これは越権行為に近い」
「緊急事態だ」
僕は強い口調で応じた。もはや、権限などに関わっている猶予はなかった。
これで問題は情報だけになる。
どこに特級悪魔がいるのか。上級悪魔でも、倒せば指揮を乱せる。
僕たちは話し合いの結果、煙幕を利用して合図することに決めた。
人類軍は、悪魔を押しとどめるのに主力を振り分け、少数ながら、悪魔陣に切り込む部隊を作ることになる。
切り込んだ部隊は悪魔の間をひたすら進み、特級悪魔を探索する。もし発見すれば、そこで煙幕を焚いて、合図を出す。
僕は全面的に賛成はできなかったが、他に良い案は浮かばなかった。
少数の部隊に切り込ませるのでは、無駄に死傷者が出る気がした。
ただ、悪魔を食い止める部隊の力が弱まっては、本末転倒。
我々が会議しているテントに、従卒が駆け込んできた。
悪魔が進軍を続け、数時間でここへ到達するという。
僕は決断した。
新しい防衛陣地の中は騒然としていたが、それが徐々に落ち着く。僕、シグナル、スカルス、シッラが指揮する、切り込み隊の人員も召集された。
「突撃隊を思い出しますね」
シグナルが声をかけてくる。時間は夕暮れ時で、見張り台に立っていた僕には真っ赤に染まる世界が見渡せた。
「今回は、帰る場所がないですが」
どこか晴れ晴れとした調子で、そう言うので、僕は彼の背中をポンと叩いた。
「生き残ろう」
そう言って、僕は思わず目を細めた。
滲み出すように、悪魔の軍勢が近づいてくるのが見えた。
「夜の間は攻撃してこないでしょうね」
「もしされたら、煙幕の計画は使えない。ひたすら守ることになる」
「ぞっとします」
僕たちは日が暮れるまで、視線を注いでいた。悪魔軍は、止まらなかった。
二人で嘆くこともできず、防衛戦が始まる。
かがり火を起こし、視界を確保する。悪魔に逆に目標にされそうだが、仕方ない。乱戦になるのは、陣地が機能しなくなってからにしたい。
結果、一晩中、デタラメな悪魔の攻勢を跳ね返し続けることになった。
これが成立したのは、人類軍の背水の陣であることもあったが、悪魔も、夜で動きが鈍いようだった。
しかしまさか疲労を感じないわけでもないのに、彼らは休むということがない。
我々はこんなことをされてはとてもじゃないが、耐えられない。
夜が明けると同時に、僕、シグナル、スカルス、シッラは、疲れ切った体を叱咤して、可能な限りの部下を集めて、悪魔軍の中に分け入っていった。
ひたすら悪魔を踏み倒し、轢き、切り捨てる。
周囲を確認するが、目当ての悪魔の姿は見えない。
おそらく馬のような悪魔に騎乗しているはずだ。
まさにその時、甲高い笛のような音が聞こえた。人間の発する音だ。
僕は音の方を見た。誰かが防衛陣地の方で、笛をつけた矢を射っている。僕が見ている間にも、また矢が音を立てて飛ぶ。
矢が落ちている地点に気づき、僕はやっと真実に気づいた。
誰かが見張り台から特級悪魔の位置を知り、知らせようとしているのだ。
矢が飛んでいる延長線上に、いるのではないか。
僕は部隊を移動させていく。矢はそれから数本、放たれたが、それきりになった。陣地の防御がいよいよ切羽詰まっているかもしれない。
先へ進むと、遠くに飾りのついた兜をつけた悪魔が見え始めた。突っ込もうとするが、前に進めない。悪魔の密度が濃すぎる!
それが急に楽になった、と思うと、僕たちの隊の前に、横手から突っ込んできた人間の兵士がいる。それはスカルスの隊だった。
スカルスは話す余裕などなく、剣を振って僕に先へ進むように促した。
僕も無言で、先へ進んだ。
部隊の仲間が僕の道を作った。
僕は発煙筒を焚き、投げ、そして馬の腹を蹴った。
悪魔を押しのけ、目の前にいる立派な鎧の悪魔に斬りかかる。
一瞬だった。
馬が下級悪魔に絡みつかれて倒れなければ、僕は切られていた。
地面に転がった僕は冷や汗をかきながら、剣を構えて、目の前の悪魔と対峙した。
「勇敢なるヒトもいるのだな」
その悪魔は、驚くほど正確なアクセントで人語を話した。
僕を複数の悪魔が取り囲む。下級悪魔ではなく、中級悪魔も多い。
しかし今まで通り、彼らは僕を押しつぶそうとはしない。周りを囲み、静観している。
上位の悪魔は、一対一を好むというのは決まりらしい。
僕の周りに人間の兵士が並び立とうとするが彼らは悪魔に遮られている。
一対一を打破するのは難しい。
「何をしている? 何を考えている?」
何をしている? 何を考えている?
その質問は、確かに、納得できる質問だった。
僕はただ剣を構えているだけ。そして、余計なことを考えている。
現状を打破するためには、そんなことは必要ない。
僕は全身が熱くなるのを感じた。身体中が張り、力がため込まれている気がした。
飛びかかった。
何も考えなかった。
自分が剣を振ったとも思わなかった。
ただ、何かが爆発した。
気づいた時には、僕は強烈な反動で吹っ飛ばされ、地面を転がっていた。
姿勢を整えた時、僕の面頬が二つに割れて落ちた。
「ふむ」
悪魔が頷く。彼の体には何の傷もない。その手に持っている剣が、キラキラと光を反射している。
僕はそれを無視して、相手の目を見た。真っ青な炎のような目だった。
「まるでヒトではない、悪魔か」
悪魔?
僕は、悪魔か?
「しかし、やはりヒトか。まだ足りない」
勝手なことを。
僕は剣を構えて、再びぶつかっていく。
斬り結び、回避し、間合いができるのを嫌ってさらに切り結ぶ。
身体中に傷ができる。血が舞う。
それでも止まらなかった。
甲高い音ともに、僕の手から剣が離れていった。
その剣が一瞬で遠ざかっていく瞬間が、やけに長く感じた。
僕の首もとに、悪魔の剣が翻る。
避けることはできない。
死んだ。
死んだと思ったまま、僕はその光景を見た。
突然に横に現れた誰かが、持っていた剣で悪魔の剣を受けたのだ。
横を見る間がなかった。
視界の隅にその顔が短い時間、見えた。
アリスに見えた。
助けに来てくれたの?
でも僕がそこを見たとき、アリスはいなかった。
そこには一本の剣が、地面につき立っていた。
特級悪魔が剣を振りかぶる。
僕は横にある剣を手に取った、そしてそのまま悪魔の剣を受け、払い、反撃する。
何かが僕の体に宿ったように、体が軽かった。感覚が冴え、全てを感じ取れそうな気がした。
剣が、瞬くように動いた。
信じられなかった。
悪魔の手首を僕が切り落とす。悪魔は片手で剣を繰り出してくる。
まるで未来がわかったようだった。
剣をかいくぐり、僕の剣は特級悪魔のもう一本の手を切り飛ばした。
悪魔の剣が宙に舞う。
導かれたように、僕はそれを片手で受け止めると、両手の剣で悪魔を切り刻んだ。
悪魔の鎧を苦にせず、謎の剣と、悪魔の剣は、その巨体を引き裂いた。
特級悪魔が、倒れる。
しかしここで戦いが終わるわけではない。
僕は悪魔の群れの真ん中で、もう何を考える余裕もなく、ひたすら、それしかできないように、剣を振った。
今度の悪魔の大攻勢は、僕たちには強烈すぎた。
悪魔たちは猛り狂うのでもなく、ひたひたと、という表現にがぴったりな、揺るがない前進を続けた。
人類軍では弓兵が射てる限りの矢を放ち、兵士たちも防御用の柵の間から槍を突き出して悪魔を刺殺した。
しかしそんなことは意にも介さず、悪魔たちは押し寄せた。
やがて柵は押し倒され、土塁が攻撃にさらされ、その土塁さえも突破された。空堀も意味をなさず、ここに至って、人類軍の防御陣地の防衛線は突破された。
僕は全体が破綻するより前に、兵士をまとめ、足止めを残して、後方に構築されていた、非常時のための防御陣地へ撤退した。
物資を全て運ぶ余裕はなく、武器も兵糧も大きく失われた。
殿の兵士の生還率は極めて低かった。
近年でも稀に見る、人類軍の大敗北、と言えた。
僕は顔にまで黒いシミに及んだので、面頬をかぶって戦場を駆け、そして撤退後は、素早く新しい陣地に人員を配置するように努力した。
このタイミングでの悪魔の進撃には備えてはいなかったが、しかし、同程度の悪魔の攻勢は想定していた。今の陣地は、そのための陣地である。
僕、シグナル、スカルス、シッラで軍議を開いた。
大勢は決まった議論になるのは想定できた。もはや、悪魔軍を止めるには、指揮している個体を狙う以外、無いのだ。
そのために必要なのは、正確な情報と、戦線を支える兵力だ。
兵力の点では、シグナルが即座に応じ、関係がある軍人に掛け合ってみる、と発言した。僕も首都の軍本部へ援軍の要請をすることにした。
スカルスが、今の兵力では悪魔の進軍を押しとどめられるか曖昧な上、物資が足りない、と発言する。
それには僕は、机の上に置いていた封書を彼に差し出した。中身を確認し、スカルスはこちらを見た。
「いつの間に根回ししたのです?」
「こちらが働きかける前に、向こうが動いてくれたんだ」
その書類は、連合王国商業協力会、という名前の、連合王国内の商人たちの集まりからのもので、彼らが我々に物資の援助を行いたい旨が記されていた。
「危険ではないですか?」スカルスが書類をシッラ、シグナルへと渡した。「これは越権行為に近い」
「緊急事態だ」
僕は強い口調で応じた。もはや、権限などに関わっている猶予はなかった。
これで問題は情報だけになる。
どこに特級悪魔がいるのか。上級悪魔でも、倒せば指揮を乱せる。
僕たちは話し合いの結果、煙幕を利用して合図することに決めた。
人類軍は、悪魔を押しとどめるのに主力を振り分け、少数ながら、悪魔陣に切り込む部隊を作ることになる。
切り込んだ部隊は悪魔の間をひたすら進み、特級悪魔を探索する。もし発見すれば、そこで煙幕を焚いて、合図を出す。
僕は全面的に賛成はできなかったが、他に良い案は浮かばなかった。
少数の部隊に切り込ませるのでは、無駄に死傷者が出る気がした。
ただ、悪魔を食い止める部隊の力が弱まっては、本末転倒。
我々が会議しているテントに、従卒が駆け込んできた。
悪魔が進軍を続け、数時間でここへ到達するという。
僕は決断した。
新しい防衛陣地の中は騒然としていたが、それが徐々に落ち着く。僕、シグナル、スカルス、シッラが指揮する、切り込み隊の人員も召集された。
「突撃隊を思い出しますね」
シグナルが声をかけてくる。時間は夕暮れ時で、見張り台に立っていた僕には真っ赤に染まる世界が見渡せた。
「今回は、帰る場所がないですが」
どこか晴れ晴れとした調子で、そう言うので、僕は彼の背中をポンと叩いた。
「生き残ろう」
そう言って、僕は思わず目を細めた。
滲み出すように、悪魔の軍勢が近づいてくるのが見えた。
「夜の間は攻撃してこないでしょうね」
「もしされたら、煙幕の計画は使えない。ひたすら守ることになる」
「ぞっとします」
僕たちは日が暮れるまで、視線を注いでいた。悪魔軍は、止まらなかった。
二人で嘆くこともできず、防衛戦が始まる。
かがり火を起こし、視界を確保する。悪魔に逆に目標にされそうだが、仕方ない。乱戦になるのは、陣地が機能しなくなってからにしたい。
結果、一晩中、デタラメな悪魔の攻勢を跳ね返し続けることになった。
これが成立したのは、人類軍の背水の陣であることもあったが、悪魔も、夜で動きが鈍いようだった。
しかしまさか疲労を感じないわけでもないのに、彼らは休むということがない。
我々はこんなことをされてはとてもじゃないが、耐えられない。
夜が明けると同時に、僕、シグナル、スカルス、シッラは、疲れ切った体を叱咤して、可能な限りの部下を集めて、悪魔軍の中に分け入っていった。
ひたすら悪魔を踏み倒し、轢き、切り捨てる。
周囲を確認するが、目当ての悪魔の姿は見えない。
おそらく馬のような悪魔に騎乗しているはずだ。
まさにその時、甲高い笛のような音が聞こえた。人間の発する音だ。
僕は音の方を見た。誰かが防衛陣地の方で、笛をつけた矢を射っている。僕が見ている間にも、また矢が音を立てて飛ぶ。
矢が落ちている地点に気づき、僕はやっと真実に気づいた。
誰かが見張り台から特級悪魔の位置を知り、知らせようとしているのだ。
矢が飛んでいる延長線上に、いるのではないか。
僕は部隊を移動させていく。矢はそれから数本、放たれたが、それきりになった。陣地の防御がいよいよ切羽詰まっているかもしれない。
先へ進むと、遠くに飾りのついた兜をつけた悪魔が見え始めた。突っ込もうとするが、前に進めない。悪魔の密度が濃すぎる!
それが急に楽になった、と思うと、僕たちの隊の前に、横手から突っ込んできた人間の兵士がいる。それはスカルスの隊だった。
スカルスは話す余裕などなく、剣を振って僕に先へ進むように促した。
僕も無言で、先へ進んだ。
部隊の仲間が僕の道を作った。
僕は発煙筒を焚き、投げ、そして馬の腹を蹴った。
悪魔を押しのけ、目の前にいる立派な鎧の悪魔に斬りかかる。
一瞬だった。
馬が下級悪魔に絡みつかれて倒れなければ、僕は切られていた。
地面に転がった僕は冷や汗をかきながら、剣を構えて、目の前の悪魔と対峙した。
「勇敢なるヒトもいるのだな」
その悪魔は、驚くほど正確なアクセントで人語を話した。
僕を複数の悪魔が取り囲む。下級悪魔ではなく、中級悪魔も多い。
しかし今まで通り、彼らは僕を押しつぶそうとはしない。周りを囲み、静観している。
上位の悪魔は、一対一を好むというのは決まりらしい。
僕の周りに人間の兵士が並び立とうとするが彼らは悪魔に遮られている。
一対一を打破するのは難しい。
「何をしている? 何を考えている?」
何をしている? 何を考えている?
その質問は、確かに、納得できる質問だった。
僕はただ剣を構えているだけ。そして、余計なことを考えている。
現状を打破するためには、そんなことは必要ない。
僕は全身が熱くなるのを感じた。身体中が張り、力がため込まれている気がした。
飛びかかった。
何も考えなかった。
自分が剣を振ったとも思わなかった。
ただ、何かが爆発した。
気づいた時には、僕は強烈な反動で吹っ飛ばされ、地面を転がっていた。
姿勢を整えた時、僕の面頬が二つに割れて落ちた。
「ふむ」
悪魔が頷く。彼の体には何の傷もない。その手に持っている剣が、キラキラと光を反射している。
僕はそれを無視して、相手の目を見た。真っ青な炎のような目だった。
「まるでヒトではない、悪魔か」
悪魔?
僕は、悪魔か?
「しかし、やはりヒトか。まだ足りない」
勝手なことを。
僕は剣を構えて、再びぶつかっていく。
斬り結び、回避し、間合いができるのを嫌ってさらに切り結ぶ。
身体中に傷ができる。血が舞う。
それでも止まらなかった。
甲高い音ともに、僕の手から剣が離れていった。
その剣が一瞬で遠ざかっていく瞬間が、やけに長く感じた。
僕の首もとに、悪魔の剣が翻る。
避けることはできない。
死んだ。
死んだと思ったまま、僕はその光景を見た。
突然に横に現れた誰かが、持っていた剣で悪魔の剣を受けたのだ。
横を見る間がなかった。
視界の隅にその顔が短い時間、見えた。
アリスに見えた。
助けに来てくれたの?
でも僕がそこを見たとき、アリスはいなかった。
そこには一本の剣が、地面につき立っていた。
特級悪魔が剣を振りかぶる。
僕は横にある剣を手に取った、そしてそのまま悪魔の剣を受け、払い、反撃する。
何かが僕の体に宿ったように、体が軽かった。感覚が冴え、全てを感じ取れそうな気がした。
剣が、瞬くように動いた。
信じられなかった。
悪魔の手首を僕が切り落とす。悪魔は片手で剣を繰り出してくる。
まるで未来がわかったようだった。
剣をかいくぐり、僕の剣は特級悪魔のもう一本の手を切り飛ばした。
悪魔の剣が宙に舞う。
導かれたように、僕はそれを片手で受け止めると、両手の剣で悪魔を切り刻んだ。
悪魔の鎧を苦にせず、謎の剣と、悪魔の剣は、その巨体を引き裂いた。
特級悪魔が、倒れる。
しかしここで戦いが終わるわけではない。
僕は悪魔の群れの真ん中で、もう何を考える余裕もなく、ひたすら、それしかできないように、剣を振った。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
『お前を愛する事はない』なんて言ってないでしょうね?
あんど もあ
ファンタジー
政略結婚で妻を娶った息子に、母親は穏やかに、だが厳しく訊ねる。
「『お前を愛する事は無い』なんて言ってないでしょうね?」
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる