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十六
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十六
八月二十六日は、よく晴れた。朝は穏やかで、風もなく、静かだった。
ドームの観客席に、人はいない。無人のカメラだけが、数台、起動している。泰平のベンチにはマイトとマイスターの学生が座り、じっとコートを眺めていた。そして真利阿と狗彦のベンチには、月子と小李、そして二条幹子が控えている。
「優奈の奴、急に用事なんて、どうしたのかしらね」
ベンチのすぐ外に立っている真利阿に、月子が訊いた。真利阿は首をかしげている。
「今朝、急に電話があったみたいなんだよね。どこに行くかは、私にも教えてくれなかった」
「ふぅん、あんた、信頼されてないんじゃないの?」
真利阿が月子を振り返る。
「そんなわけないでしょ! 親友なんだから!」
「そうね、その調子よ。真利阿のバカには、緊張なんて似合わないわ」
真利阿はハッとして月子を見てから、ふぅっと肩の力を抜いた。
「そうね、ありがとう、月子」
「ふ、ふん! たまにはこういう事をしてやる気になっただけよ!」
「真利阿、時間だ」
幹子の冷静な声に、真利阿はコートの方を振り返る。
コートに、泰平と紫紺、紺碧が出てきていた。真利阿はゴムで、最近、やや長くなってきた髪の毛を一つにまとめた。
真利阿は狗彦を見る。狗彦はいつもと変わらぬ表情で、そこにいた。狗彦が手を出してくる。真利阿はパンッとその手に自分の手をぶつけ、強く握った。
「行くぞ」
「うん」
二人は戦場へと、一歩、踏み出した。
私は、一本の操糸を狗彦とつないでいた。それは泰平からも見えただろう。
アナウンスで、カウントダウンが始まり、試合が始まろうとする。
『五』
狗彦が深呼吸した。
(狗彦、黙って聞いて)
『四』
私は目を閉じ、意識を集中する。
『三』
(私がここに戻ってきたのは)
狗彦にマナを流す。狗彦の中でマナが膨れ上がる気配。
『二』
(どうしても、勝ちたいからなの)
私にマナが返ってくる。ゆっくりと、小さく。
『一』
(お願い、力を貸して)
目を開くと、心が昂揚しているのを、感じる。
『GO!』
私と狗彦の間で、マナが走る。
一瞬で一本の操糸がマナで焼きつくされ、私の十本の指と狗彦の間で、十本の虚糸が生まれる。しかし、前のような負担は感じない。あくまで滑らかに、私と狗彦の間で意思がリンクされる。
(……真利阿、大丈夫か?)
狗彦の意思が、私に届いた。ややノイズが多いが、確かに、通じた。
今まで出来なかったことだが、それが出来るようになっている。昨日、操糸を使って実験した時は不安定だったが、やはり操糸と違い、虚糸を使うとより強くなるようだった。
(大丈夫。行くよ!)
私は狗彦にマナを流し込みつつ、それを制御する。狗彦も、私の意識を奪うようなマナの吸入はしないし、私を焼き尽くすようなマナの逆流も起こさない。大丈夫だ、私たちはうまく機能している。
目の前から、泰平と紫紺、紺碧が迫ってくる。何かを感じたのだろうか。
いや、向こうからすれば、こちらをコートの隅に追い詰めた方が、戦いやすいのだろう。向こうも前回とは違う。やる気の、本気の戦い方だ。
狗彦が前進を始める。虚糸が伸び、私は虚糸を維持するように努めつつ、泰平たちの動きを注視する。
紫紺が、右腕を持ち上げる。そして鋭く振り抜かれる。
瞬きと同時に、泰平と紫紺たちをつなぐ、マナでコーティングされた操糸が、鋭い斬撃となって、一瞬でこちらに伸びる。
狗彦が回避する。そして、その奥にいる私に、斬撃が迫る。
私は腕を振ると、虚糸を操り、泰平の操糸と衝突させた。
虚糸は、切れなかった。
操糸が逸れて、明後日の方向で、地面を削る。泰平が目を細め、同時に自分の片腕を振りながら、紫紺にも両手を振らせる。
私も横に移動しながら、両手を振った。一本の操糸を回避しつつ、残り二本は私の虚糸が迎撃する。一瞬だけ瞬く弧の斬撃に、私の光の線が衝突し、双方が逸れる。
戦える! 私は確信しつつ、マナの操作に神経を集中させた。
泰平が足を止め、コートの真ん中より私たちの陣地に近い地点で、狗彦と、紫紺、紺碧が衝突しようとしていた。
「あれは、虚糸の太さを操っているのか」
コートを睨みつけながらの幹子の言葉に、月子は頷いた。
「夏に、真利阿の実家に言った時、彼女、朝に森の中で、操糸を操る練習をしていました。あれは明らかに泰平を意識した、操糸を使っての攻撃の練習でしたが、同時に、真利阿は操糸に流すマナの量もコントロールして、練習しているようでした」
幹子が感心したように言う。
「つまり、泰平の操糸に切断されないように、一瞬だけ虚糸を太くし、斬撃に耐えているのか。虚糸に流すマナの量を制御する技術の応用か。考えたな。見たところ、そんな太くなっていないが、効果あるようだ」
「すごい技ですよ……」
月子はそわそわして言った。
月子にはとても出来る技術ではない。いや、マナの量を調節するくらいのことはできる。しかしそれを、虚糸の状態で行うなど、尋常ではない。真利阿は一人で虚糸を作れないと言っていたから、おそらく、狗彦との連携もあるのだろうが、それでも、虚糸を出すだけでもすごいのに、それを操るとは。
幹子が笑いを含んだ声で言う。
「まぁ、あの二人には、特別な訓練器具を渡しておいたからな」
「訓練器具? え? 真利阿のバカがおもちゃで遊んでいるのは知っていましたが、犬コロが使ってたのも、二条先生が渡した物ですが?」
「そうだ。あれはな、特別製なんだ。Aランクのマスター、Aランクのマリオネットが使うような、ピーキーな設定になっている。そう簡単にはできないよ。お前でも、無理なんじゃないか。まぁ、かなり巧妙に細工しておいたから、二人はそうと知らず、あれを一生懸命、やっていただろうが」
むっとして黙りこむ月子の肩を、幹子が軽く叩く。月子は小さな声で「その器具、今度、私にもください」と言った。
そんな月子を無視して、幹子がじっと狗彦を見て言った。
「で、小僧は、やはり虚界物質で戦うのか?」
「はい」
月子の言葉に、幹子が細く息を吐いた。
「まったく、無謀なところは治らんな。バカにつける薬はない、といったところか」
月子もコートの様子に注目した。
俺は紫紺が腕を振って飛ばしてきて操糸をギリギリで避けた。背後の真利阿は、今のところ、大丈夫そうだ。彼女の意識とのリンクがある程度確立され、彼女の気持ちも深いところまでは分からずとも、ある程度は分かる。
体の中のマナを、一時的に膨らませると、右手に集中させた。
弱く、弱く。
だけど、強く、強く。
時間をかけて、光が集まると、それはナイフの形になり、実際のナイフへと変化した。
紫紺が俺に急接近し、操糸を無数に繰り出す。全部で十本だ。俺は腕を縦横に走らせた。
虚界物質のナイフが、泰平と紫紺をつなぐ操糸を、切断していく。三本を切断し、一本を逸らし、一本を回避した。
紫紺が後ろに下がる。入れ替わりに、泰平が腕をふるって伸びた、紺碧と泰平を結ぶ操糸が、襲いかかってくる。不意打ちに対応できず、回避する。
俺と真利阿の虚糸が三本、切断され、一瞬で戻る。やはり、予測していなければ、断ち切られるか。
しかし、こちらは紫紺のほとんどの操糸を切断した。有利だ。
(狗彦、前!)
真利阿の声と同時に、真利阿によって首が操作され、首が向いた方向からは、紫紺と泰平の間の操糸が、弧を描いて、こちらに迫ってくるところだった。
地面を蹴って全力で後退し、相手の操糸と操糸の隙間に身を躍らせ、どうにか無傷でやり過ごす。
(どういうことだ! 操糸は切ったぞ!)
(あれは……)
真利阿がかすかに震える声で、俺の脳内に告げる。
(マナを流すことで、切れた操糸を繋いでいるんだ。あれは操糸だけど、操糸じゃない。もう、虚糸なのよ)
(……つまり、これでやっと五分五分ってことか)
俺は姿勢を整えながら、紫紺を見据え、斜め後方からこちらと真利阿の両方を見ている紺碧を意識した。どちらを先に攻めるべきか。真利阿がじりじりと移動していくのが分かる。コートの中を虚糸が無数に行き交い、光がチラチラと乱舞している。
紫紺と紺碧が、それぞれ、俺と真利阿に攻撃を放ってくる。
(狗彦は紫紺を! 私は紺碧を抑えるわ! トリックまではもう少し時間がかかる! 耐えて!)
(楽に言うなよな、そういうこと!)
俺は向かってくる極細の操糸の刃を、どう受けるべきか、意識を高めた。
幹子が感心して言った。
「真利阿は良くやるようになった。紺碧とほぼ対等に戦っている」
「はい、互角、ですね」
月子はハンカチで汗をぬぐいながら、言った。空調が効いているはずなのに、やけに暑い。幹子は平然としていた。彼女は服の上に長袖の白衣を着ている。
目の前では、真利阿が紺碧の斬撃を、自分の虚糸の操作によって、封じている。数は紺碧が糸を二つに折っているので同数だし、戦闘に特化しているマリオネットの戦闘術に人間が対抗するのは、かなり厳しいだろう。それに、真利阿は虚糸を操るのと同時に、マナの量も調整しなければいけないのだ。
今は拮抗しているが、長く続くわけがない。
「む?」
幹子が身を乗り出したので、月子はびくっとした。
「ど、どうしたんですか?」
「今……む、偶然、では、ないのか……?」
「どうしたんですか? 先生。分かるように言ってくださいよ」
見ろ、と幹子が紺碧を指差した。
何も変わらない、先ほどまでと同じ、マリオネット相手の真利阿の危うい綱渡りにしか見えない。
月子が気付いたのは、それが起こった時だった。
(良いわよ、狗彦! まずは紺碧をやるわよ!)
真利阿の声に、俺は紫紺から離れると、紺碧に襲いかかった。紫紺が困惑してから、俺の背中に操糸を飛ばす。それが弾かれたのは、真利阿が繰り出した虚糸によるものだ。
俺は紺碧に向かう。紺碧は何かに戸惑っているようだった。
その理由は分かる。
真利阿に操糸が当たらないのだ。真利阿は今、二本の虚糸で、幾重にも弧を描く五本の紺碧の操糸を無効化している。弾かれ、逸らされ、回避され、当たらない。
そして俺が紺碧の攻撃圏内に入る。紺碧が俺へと目標を変える。
俺の頭の中に、真利阿の思考と、別人の思考が三つ、入ってくる。
俺には相手の操糸の斬撃が、どこに来るか、よく分かった。ジグザグに踏み込み、そして虚界物質のナイフで糸を裂き、空間を作った。そこに飛び込む。紺碧の放った操糸の端々が、俺の体の表面を撫で、薄く切るが、構っていられない。
俺の踏み込みは、紺碧を、ナイフの圏内に捉えていた。
ナイフを一振り。絶対に回避不可能な速度と位置で、ナイフが紺碧を裂く――はずが、紺碧の腕が斬撃に割り込む。俺はそれさえも回避しようとするが、物理的な限界で、無理だ。
刃は、少女の腕を半ばで切断し、紺碧は跳んで離れて、操糸を縦横に繰り出し、間合いを取った。紺碧が跳ねて移動し、紫紺と並ぶ。その向こうに、顔を歪めた泰平が見えた。
(仕掛けるか? 真利阿)
俺が真利阿に訊くと、真利阿は否定の気配。
(ダメよ、たぶん、もうバレたわ。一回きりだったわね)
俺は、マジかよ、と思いながら、ナイフを握り直した。
「今の、どうやったんですか?」
そんな月子の疑問に、幹子が即座に答える。
「思考を読んだんだ」
「思考を? どうやって?」
幹子がコートを指差す。
「今回の戦闘は、虚糸を使う者同士の戦闘だ。そして真利阿は、それを利用する方法を思いついた。たぶん、最初は泰平が操糸の外をマナで覆っていることに着目したんだろうが、それは幸運な偶然だった。真利阿は、泰平の虚糸と自分の虚糸を繋いだんだろう」
「嘘、そんなの、どうやって……」
月子には信じられない。泰平と紫紺、紺碧を結ぶ操糸は高速で移動しているのだ。それを捉えるなど、恐ろしく繊細な技術が必要だ。それも、真利阿が訓練で体得したのだろうか。
彼女は、学校を去ってからの一、二ヶ月を、どう過ごしたのだろう?
「前に、真利阿から聞いたことがある」幹子が言った。「それは、オートマタの開発の中で応用することを前提とした、ルックイン・システムという、操糸に操糸を接続する技だったが、こんな形で完成させるとはな」
幹子が鼻を鳴らす。
月子は思いだしたことを、口に出した。
「先生、夏に真利阿の実家に言った時、彼女、髪の毛を、結わえていたんです……」
「? それがどうした?」
月子は、苦笑いしながら言った。
「あいつ、本気になると、髪の毛を結わえる癖があるんです。あの時は夏だったから、ただ暑くて髪の毛を結んでいるんだと思っていました。でもあいつ、本気で、そういうことを考えていたんですね」
幹子はにやりと笑いながら、「そうだな」と暖かい声で呟いた。「私も、小僧の詳細な情報を、あいつに送っておいた甲斐があったというものだ」
「そんなこと、したんですか? 学園にいられなくなりますよ」
月子が呆れた声で言うと、幹子は鼻を鳴らした。
「私がそんなへまをするか。どこかの間抜けじゃあるまいし」
月子が首をかしげる。
その時、ドームが激しく振動した。
泰平は、怒りに震えていた。
まさか、自分の虚糸に虚糸を接続され、思考を読まれるとは。そんなバカげたこと、許せるものか。
(紫紺、紺碧、これからは僕の意思伝達で動け。そこに自分の意思を織り交ぜるんだ。相互の意識共有はなしだ。思考を読まれる。思考を読まれることを前提に、動くぞ。出来るな?)
(仰せのままに、マスター)
(仰せのままに、マスター)
泰平は気分を切り替えた。まだ紺碧が片腕を失っただけだ。五本の腕があれば、いくらでも、ライトニング・ラインを放てる。
その時、重い音と共にドームが揺れた。視線を向けると、外壁の一部が内側に吹っ飛んだところだった。
「何だ?」
ドームの壁の崩落が収まると、連続して重い音が響き、地面が揺れた。
土煙と砂ぼこりの向こうから、金属で作られた巨体が姿を現した。
「マナ式多脚戦車、それも、虚界物質搭載型、だと?」
泰平は、呟いた。
現れた多脚戦車は、六本の足を固定すると、上部の砲塔をこちらへ向けた。大口径の砲が、轟音とともに砲撃する。泰平が身を伏せると、すぐ近くの地面が、体の芯から震えるような巨大な音とともに、抉られた。
「おいおい、どうなっているんだ!」
狗彦が怒鳴るのが聞こえた。
あの人はここまでやるのか。
僕の戦いに、これ以上、手を出されてたまるものか。
「虚木さん、聞こえるか!」
泰平は怒鳴っていた。戦車が近づいてくる。
◆
やはり薄暗い研究室で、初老の男は唇の端を吊りあげて、嬉しそうに笑っていた。
「ホホホ、良いぞ、良いぞ。面白くなってきた」
画面には、ドーム内の映像が映っていた。多脚戦車が次々と砲弾を発砲している。戦車は綺会学園に常備されている、表向きは防衛用の兵器だ。それが今、暴走を起こしている。しかも間が悪い事に、突入したドーム内では、生徒同士の戦闘の最中だ。
「ホホホ」
男が笑った時、研究室のドアが前触れもなく開いた。振り返ると、逆光の中、一人の少女が立っていた。
「何の用だね。ノックも出来ないのかね」
「たいそうな口ぶりですね、若紫先生」
少女が部屋に入ると、部屋の電気が灯った。
初老の男は、白髪交じりの髪の毛を撫でつけており、白衣を着ていた。白衣の下は背広だ。
男は、若紫玄次という名の、綺会学園所属のマイトにして、教師の一人だった。
少女が明るい光の元で言う。
「若紫先生、あまり首を突っ込むと、火傷しますよ」
「首を突っ込む? きみこそ、私がどういう立場の人間か、分かっているのかね」
少女はゆっくりと室内を歩き始めた。研究室に、革靴のかかとが立てる音が響く。
「若紫玄次。綺会学園マイト科の責任教授にして、最強の呼び声も高い、高性能マリオネット、紫紺と紺碧のマイト、でしたね。マイトとしては超一級、世界基準だと聞いています」
「それを知っていてき、み、は――」
「どうしました? 先生」
少女がソファにそっと腰を下ろした。そして背筋を伸ばして、若紫を見る。
「その制服……その記章は……」
「やっとお気づきですか?」
少女が着ているのは、綺会学園高等部の正装である制服だ。
ただ、その襟に光る記章は、綺会学園の学生がみなつけることになっている、各学科を示す記章とは、形が異なる。
若紫は、にやりと笑った。しかし、それはどこか引きつっている。
「まさか、私にも知らないことがあるとはね」
「別に良いじゃありませんか。今、こうして知ったのですから」
少女が記章に手を添える。しかし、それについて喋る気はなかった。話を本筋に戻す。
「若紫先生、あなたは、狗彦のデータを改ざんしましたね?」
「なんのことかな。分からないな」
少女が冷静な表情で続ける。
「狗彦は、本来、この学園でも手にあまる存在だった。それがすんなりと編入できたのは、一つに、柏原雨彦博士による、情報偽装の力があった。本来のままでも、狗彦はやや強力なマリオネットとして、綺会学園に編入出来ましたが、その時に上層部に通報があるはずだった。それをあなたは、さらに偽装し、都合のいいスペックで、彼を編入させた」
若紫が微笑み、あごを撫でる。
「記憶にないな。まったく」
「まぁ、それはそれで良いのですよ。ただ、あまりにも、手を出しすぎましたね。中間試験でのドームへの細工、そしてオートマタ展示会での出来事。不自然すぎますよ。まぁ、あなたの力なら、ちょっとした不自然など、余裕で揉み消せるのかもしれませんけど」
少女が微笑むと、若紫は反対に無表情になった。
「そして、若紫先生」少女が厳粛に言う。「今回の戦車も、度を越していますよ」
若紫は、視線をモニターに向けた。
戦車と、五つの影が交錯していた。
(続く)
八月二十六日は、よく晴れた。朝は穏やかで、風もなく、静かだった。
ドームの観客席に、人はいない。無人のカメラだけが、数台、起動している。泰平のベンチにはマイトとマイスターの学生が座り、じっとコートを眺めていた。そして真利阿と狗彦のベンチには、月子と小李、そして二条幹子が控えている。
「優奈の奴、急に用事なんて、どうしたのかしらね」
ベンチのすぐ外に立っている真利阿に、月子が訊いた。真利阿は首をかしげている。
「今朝、急に電話があったみたいなんだよね。どこに行くかは、私にも教えてくれなかった」
「ふぅん、あんた、信頼されてないんじゃないの?」
真利阿が月子を振り返る。
「そんなわけないでしょ! 親友なんだから!」
「そうね、その調子よ。真利阿のバカには、緊張なんて似合わないわ」
真利阿はハッとして月子を見てから、ふぅっと肩の力を抜いた。
「そうね、ありがとう、月子」
「ふ、ふん! たまにはこういう事をしてやる気になっただけよ!」
「真利阿、時間だ」
幹子の冷静な声に、真利阿はコートの方を振り返る。
コートに、泰平と紫紺、紺碧が出てきていた。真利阿はゴムで、最近、やや長くなってきた髪の毛を一つにまとめた。
真利阿は狗彦を見る。狗彦はいつもと変わらぬ表情で、そこにいた。狗彦が手を出してくる。真利阿はパンッとその手に自分の手をぶつけ、強く握った。
「行くぞ」
「うん」
二人は戦場へと、一歩、踏み出した。
私は、一本の操糸を狗彦とつないでいた。それは泰平からも見えただろう。
アナウンスで、カウントダウンが始まり、試合が始まろうとする。
『五』
狗彦が深呼吸した。
(狗彦、黙って聞いて)
『四』
私は目を閉じ、意識を集中する。
『三』
(私がここに戻ってきたのは)
狗彦にマナを流す。狗彦の中でマナが膨れ上がる気配。
『二』
(どうしても、勝ちたいからなの)
私にマナが返ってくる。ゆっくりと、小さく。
『一』
(お願い、力を貸して)
目を開くと、心が昂揚しているのを、感じる。
『GO!』
私と狗彦の間で、マナが走る。
一瞬で一本の操糸がマナで焼きつくされ、私の十本の指と狗彦の間で、十本の虚糸が生まれる。しかし、前のような負担は感じない。あくまで滑らかに、私と狗彦の間で意思がリンクされる。
(……真利阿、大丈夫か?)
狗彦の意思が、私に届いた。ややノイズが多いが、確かに、通じた。
今まで出来なかったことだが、それが出来るようになっている。昨日、操糸を使って実験した時は不安定だったが、やはり操糸と違い、虚糸を使うとより強くなるようだった。
(大丈夫。行くよ!)
私は狗彦にマナを流し込みつつ、それを制御する。狗彦も、私の意識を奪うようなマナの吸入はしないし、私を焼き尽くすようなマナの逆流も起こさない。大丈夫だ、私たちはうまく機能している。
目の前から、泰平と紫紺、紺碧が迫ってくる。何かを感じたのだろうか。
いや、向こうからすれば、こちらをコートの隅に追い詰めた方が、戦いやすいのだろう。向こうも前回とは違う。やる気の、本気の戦い方だ。
狗彦が前進を始める。虚糸が伸び、私は虚糸を維持するように努めつつ、泰平たちの動きを注視する。
紫紺が、右腕を持ち上げる。そして鋭く振り抜かれる。
瞬きと同時に、泰平と紫紺たちをつなぐ、マナでコーティングされた操糸が、鋭い斬撃となって、一瞬でこちらに伸びる。
狗彦が回避する。そして、その奥にいる私に、斬撃が迫る。
私は腕を振ると、虚糸を操り、泰平の操糸と衝突させた。
虚糸は、切れなかった。
操糸が逸れて、明後日の方向で、地面を削る。泰平が目を細め、同時に自分の片腕を振りながら、紫紺にも両手を振らせる。
私も横に移動しながら、両手を振った。一本の操糸を回避しつつ、残り二本は私の虚糸が迎撃する。一瞬だけ瞬く弧の斬撃に、私の光の線が衝突し、双方が逸れる。
戦える! 私は確信しつつ、マナの操作に神経を集中させた。
泰平が足を止め、コートの真ん中より私たちの陣地に近い地点で、狗彦と、紫紺、紺碧が衝突しようとしていた。
「あれは、虚糸の太さを操っているのか」
コートを睨みつけながらの幹子の言葉に、月子は頷いた。
「夏に、真利阿の実家に言った時、彼女、朝に森の中で、操糸を操る練習をしていました。あれは明らかに泰平を意識した、操糸を使っての攻撃の練習でしたが、同時に、真利阿は操糸に流すマナの量もコントロールして、練習しているようでした」
幹子が感心したように言う。
「つまり、泰平の操糸に切断されないように、一瞬だけ虚糸を太くし、斬撃に耐えているのか。虚糸に流すマナの量を制御する技術の応用か。考えたな。見たところ、そんな太くなっていないが、効果あるようだ」
「すごい技ですよ……」
月子はそわそわして言った。
月子にはとても出来る技術ではない。いや、マナの量を調節するくらいのことはできる。しかしそれを、虚糸の状態で行うなど、尋常ではない。真利阿は一人で虚糸を作れないと言っていたから、おそらく、狗彦との連携もあるのだろうが、それでも、虚糸を出すだけでもすごいのに、それを操るとは。
幹子が笑いを含んだ声で言う。
「まぁ、あの二人には、特別な訓練器具を渡しておいたからな」
「訓練器具? え? 真利阿のバカがおもちゃで遊んでいるのは知っていましたが、犬コロが使ってたのも、二条先生が渡した物ですが?」
「そうだ。あれはな、特別製なんだ。Aランクのマスター、Aランクのマリオネットが使うような、ピーキーな設定になっている。そう簡単にはできないよ。お前でも、無理なんじゃないか。まぁ、かなり巧妙に細工しておいたから、二人はそうと知らず、あれを一生懸命、やっていただろうが」
むっとして黙りこむ月子の肩を、幹子が軽く叩く。月子は小さな声で「その器具、今度、私にもください」と言った。
そんな月子を無視して、幹子がじっと狗彦を見て言った。
「で、小僧は、やはり虚界物質で戦うのか?」
「はい」
月子の言葉に、幹子が細く息を吐いた。
「まったく、無謀なところは治らんな。バカにつける薬はない、といったところか」
月子もコートの様子に注目した。
俺は紫紺が腕を振って飛ばしてきて操糸をギリギリで避けた。背後の真利阿は、今のところ、大丈夫そうだ。彼女の意識とのリンクがある程度確立され、彼女の気持ちも深いところまでは分からずとも、ある程度は分かる。
体の中のマナを、一時的に膨らませると、右手に集中させた。
弱く、弱く。
だけど、強く、強く。
時間をかけて、光が集まると、それはナイフの形になり、実際のナイフへと変化した。
紫紺が俺に急接近し、操糸を無数に繰り出す。全部で十本だ。俺は腕を縦横に走らせた。
虚界物質のナイフが、泰平と紫紺をつなぐ操糸を、切断していく。三本を切断し、一本を逸らし、一本を回避した。
紫紺が後ろに下がる。入れ替わりに、泰平が腕をふるって伸びた、紺碧と泰平を結ぶ操糸が、襲いかかってくる。不意打ちに対応できず、回避する。
俺と真利阿の虚糸が三本、切断され、一瞬で戻る。やはり、予測していなければ、断ち切られるか。
しかし、こちらは紫紺のほとんどの操糸を切断した。有利だ。
(狗彦、前!)
真利阿の声と同時に、真利阿によって首が操作され、首が向いた方向からは、紫紺と泰平の間の操糸が、弧を描いて、こちらに迫ってくるところだった。
地面を蹴って全力で後退し、相手の操糸と操糸の隙間に身を躍らせ、どうにか無傷でやり過ごす。
(どういうことだ! 操糸は切ったぞ!)
(あれは……)
真利阿がかすかに震える声で、俺の脳内に告げる。
(マナを流すことで、切れた操糸を繋いでいるんだ。あれは操糸だけど、操糸じゃない。もう、虚糸なのよ)
(……つまり、これでやっと五分五分ってことか)
俺は姿勢を整えながら、紫紺を見据え、斜め後方からこちらと真利阿の両方を見ている紺碧を意識した。どちらを先に攻めるべきか。真利阿がじりじりと移動していくのが分かる。コートの中を虚糸が無数に行き交い、光がチラチラと乱舞している。
紫紺と紺碧が、それぞれ、俺と真利阿に攻撃を放ってくる。
(狗彦は紫紺を! 私は紺碧を抑えるわ! トリックまではもう少し時間がかかる! 耐えて!)
(楽に言うなよな、そういうこと!)
俺は向かってくる極細の操糸の刃を、どう受けるべきか、意識を高めた。
幹子が感心して言った。
「真利阿は良くやるようになった。紺碧とほぼ対等に戦っている」
「はい、互角、ですね」
月子はハンカチで汗をぬぐいながら、言った。空調が効いているはずなのに、やけに暑い。幹子は平然としていた。彼女は服の上に長袖の白衣を着ている。
目の前では、真利阿が紺碧の斬撃を、自分の虚糸の操作によって、封じている。数は紺碧が糸を二つに折っているので同数だし、戦闘に特化しているマリオネットの戦闘術に人間が対抗するのは、かなり厳しいだろう。それに、真利阿は虚糸を操るのと同時に、マナの量も調整しなければいけないのだ。
今は拮抗しているが、長く続くわけがない。
「む?」
幹子が身を乗り出したので、月子はびくっとした。
「ど、どうしたんですか?」
「今……む、偶然、では、ないのか……?」
「どうしたんですか? 先生。分かるように言ってくださいよ」
見ろ、と幹子が紺碧を指差した。
何も変わらない、先ほどまでと同じ、マリオネット相手の真利阿の危うい綱渡りにしか見えない。
月子が気付いたのは、それが起こった時だった。
(良いわよ、狗彦! まずは紺碧をやるわよ!)
真利阿の声に、俺は紫紺から離れると、紺碧に襲いかかった。紫紺が困惑してから、俺の背中に操糸を飛ばす。それが弾かれたのは、真利阿が繰り出した虚糸によるものだ。
俺は紺碧に向かう。紺碧は何かに戸惑っているようだった。
その理由は分かる。
真利阿に操糸が当たらないのだ。真利阿は今、二本の虚糸で、幾重にも弧を描く五本の紺碧の操糸を無効化している。弾かれ、逸らされ、回避され、当たらない。
そして俺が紺碧の攻撃圏内に入る。紺碧が俺へと目標を変える。
俺の頭の中に、真利阿の思考と、別人の思考が三つ、入ってくる。
俺には相手の操糸の斬撃が、どこに来るか、よく分かった。ジグザグに踏み込み、そして虚界物質のナイフで糸を裂き、空間を作った。そこに飛び込む。紺碧の放った操糸の端々が、俺の体の表面を撫で、薄く切るが、構っていられない。
俺の踏み込みは、紺碧を、ナイフの圏内に捉えていた。
ナイフを一振り。絶対に回避不可能な速度と位置で、ナイフが紺碧を裂く――はずが、紺碧の腕が斬撃に割り込む。俺はそれさえも回避しようとするが、物理的な限界で、無理だ。
刃は、少女の腕を半ばで切断し、紺碧は跳んで離れて、操糸を縦横に繰り出し、間合いを取った。紺碧が跳ねて移動し、紫紺と並ぶ。その向こうに、顔を歪めた泰平が見えた。
(仕掛けるか? 真利阿)
俺が真利阿に訊くと、真利阿は否定の気配。
(ダメよ、たぶん、もうバレたわ。一回きりだったわね)
俺は、マジかよ、と思いながら、ナイフを握り直した。
「今の、どうやったんですか?」
そんな月子の疑問に、幹子が即座に答える。
「思考を読んだんだ」
「思考を? どうやって?」
幹子がコートを指差す。
「今回の戦闘は、虚糸を使う者同士の戦闘だ。そして真利阿は、それを利用する方法を思いついた。たぶん、最初は泰平が操糸の外をマナで覆っていることに着目したんだろうが、それは幸運な偶然だった。真利阿は、泰平の虚糸と自分の虚糸を繋いだんだろう」
「嘘、そんなの、どうやって……」
月子には信じられない。泰平と紫紺、紺碧を結ぶ操糸は高速で移動しているのだ。それを捉えるなど、恐ろしく繊細な技術が必要だ。それも、真利阿が訓練で体得したのだろうか。
彼女は、学校を去ってからの一、二ヶ月を、どう過ごしたのだろう?
「前に、真利阿から聞いたことがある」幹子が言った。「それは、オートマタの開発の中で応用することを前提とした、ルックイン・システムという、操糸に操糸を接続する技だったが、こんな形で完成させるとはな」
幹子が鼻を鳴らす。
月子は思いだしたことを、口に出した。
「先生、夏に真利阿の実家に言った時、彼女、髪の毛を、結わえていたんです……」
「? それがどうした?」
月子は、苦笑いしながら言った。
「あいつ、本気になると、髪の毛を結わえる癖があるんです。あの時は夏だったから、ただ暑くて髪の毛を結んでいるんだと思っていました。でもあいつ、本気で、そういうことを考えていたんですね」
幹子はにやりと笑いながら、「そうだな」と暖かい声で呟いた。「私も、小僧の詳細な情報を、あいつに送っておいた甲斐があったというものだ」
「そんなこと、したんですか? 学園にいられなくなりますよ」
月子が呆れた声で言うと、幹子は鼻を鳴らした。
「私がそんなへまをするか。どこかの間抜けじゃあるまいし」
月子が首をかしげる。
その時、ドームが激しく振動した。
泰平は、怒りに震えていた。
まさか、自分の虚糸に虚糸を接続され、思考を読まれるとは。そんなバカげたこと、許せるものか。
(紫紺、紺碧、これからは僕の意思伝達で動け。そこに自分の意思を織り交ぜるんだ。相互の意識共有はなしだ。思考を読まれる。思考を読まれることを前提に、動くぞ。出来るな?)
(仰せのままに、マスター)
(仰せのままに、マスター)
泰平は気分を切り替えた。まだ紺碧が片腕を失っただけだ。五本の腕があれば、いくらでも、ライトニング・ラインを放てる。
その時、重い音と共にドームが揺れた。視線を向けると、外壁の一部が内側に吹っ飛んだところだった。
「何だ?」
ドームの壁の崩落が収まると、連続して重い音が響き、地面が揺れた。
土煙と砂ぼこりの向こうから、金属で作られた巨体が姿を現した。
「マナ式多脚戦車、それも、虚界物質搭載型、だと?」
泰平は、呟いた。
現れた多脚戦車は、六本の足を固定すると、上部の砲塔をこちらへ向けた。大口径の砲が、轟音とともに砲撃する。泰平が身を伏せると、すぐ近くの地面が、体の芯から震えるような巨大な音とともに、抉られた。
「おいおい、どうなっているんだ!」
狗彦が怒鳴るのが聞こえた。
あの人はここまでやるのか。
僕の戦いに、これ以上、手を出されてたまるものか。
「虚木さん、聞こえるか!」
泰平は怒鳴っていた。戦車が近づいてくる。
◆
やはり薄暗い研究室で、初老の男は唇の端を吊りあげて、嬉しそうに笑っていた。
「ホホホ、良いぞ、良いぞ。面白くなってきた」
画面には、ドーム内の映像が映っていた。多脚戦車が次々と砲弾を発砲している。戦車は綺会学園に常備されている、表向きは防衛用の兵器だ。それが今、暴走を起こしている。しかも間が悪い事に、突入したドーム内では、生徒同士の戦闘の最中だ。
「ホホホ」
男が笑った時、研究室のドアが前触れもなく開いた。振り返ると、逆光の中、一人の少女が立っていた。
「何の用だね。ノックも出来ないのかね」
「たいそうな口ぶりですね、若紫先生」
少女が部屋に入ると、部屋の電気が灯った。
初老の男は、白髪交じりの髪の毛を撫でつけており、白衣を着ていた。白衣の下は背広だ。
男は、若紫玄次という名の、綺会学園所属のマイトにして、教師の一人だった。
少女が明るい光の元で言う。
「若紫先生、あまり首を突っ込むと、火傷しますよ」
「首を突っ込む? きみこそ、私がどういう立場の人間か、分かっているのかね」
少女はゆっくりと室内を歩き始めた。研究室に、革靴のかかとが立てる音が響く。
「若紫玄次。綺会学園マイト科の責任教授にして、最強の呼び声も高い、高性能マリオネット、紫紺と紺碧のマイト、でしたね。マイトとしては超一級、世界基準だと聞いています」
「それを知っていてき、み、は――」
「どうしました? 先生」
少女がソファにそっと腰を下ろした。そして背筋を伸ばして、若紫を見る。
「その制服……その記章は……」
「やっとお気づきですか?」
少女が着ているのは、綺会学園高等部の正装である制服だ。
ただ、その襟に光る記章は、綺会学園の学生がみなつけることになっている、各学科を示す記章とは、形が異なる。
若紫は、にやりと笑った。しかし、それはどこか引きつっている。
「まさか、私にも知らないことがあるとはね」
「別に良いじゃありませんか。今、こうして知ったのですから」
少女が記章に手を添える。しかし、それについて喋る気はなかった。話を本筋に戻す。
「若紫先生、あなたは、狗彦のデータを改ざんしましたね?」
「なんのことかな。分からないな」
少女が冷静な表情で続ける。
「狗彦は、本来、この学園でも手にあまる存在だった。それがすんなりと編入できたのは、一つに、柏原雨彦博士による、情報偽装の力があった。本来のままでも、狗彦はやや強力なマリオネットとして、綺会学園に編入出来ましたが、その時に上層部に通報があるはずだった。それをあなたは、さらに偽装し、都合のいいスペックで、彼を編入させた」
若紫が微笑み、あごを撫でる。
「記憶にないな。まったく」
「まぁ、それはそれで良いのですよ。ただ、あまりにも、手を出しすぎましたね。中間試験でのドームへの細工、そしてオートマタ展示会での出来事。不自然すぎますよ。まぁ、あなたの力なら、ちょっとした不自然など、余裕で揉み消せるのかもしれませんけど」
少女が微笑むと、若紫は反対に無表情になった。
「そして、若紫先生」少女が厳粛に言う。「今回の戦車も、度を越していますよ」
若紫は、視線をモニターに向けた。
戦車と、五つの影が交錯していた。
(続く)
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