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作家の思惑
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流石に春の夕方とは言っても寒さがある。でも今はそんなことよりも謎が解けたことの方が嬉しい。早く報告しなければと、ペダルを漕ぐ足には力がこもる。
そのおかげでいつもの半分の時間で目的地に到着することができた。
「はぁ、はぁ……千春さん、わかりましたよ」
遂にこの事件の真相へたどり着いた。一番に報告しないとって思ったし、何より期限が明日までなのだ。悠長にしているわけにはいかない。
「望君、今日はお休みでは?」
「ゲホッ……解けたんですよ、きょ、脅迫文の謎が……」
自転車を使っていたとはいえ全力を出してくるとかなりの体力を持っていかれる。筋トレとかしたほうがいいかもしれないな。
「とりあえず落ち着いて、深呼吸して、ね」
「は、はい……」
ということで、深呼吸をする。
2、3回吸って吐いてを繰り返すとどうにか呼吸も落ち着いてきた。
「ふぅ、落ち着きました」
「それで、謎が解けたの?」
「えぇ、説明しますね」
そうして、脅迫文の謎についてわかったことを全部伝える。
「……なるほどね。傾きし文は1つずつずれる、確かにその通りになってるね、でも他にはなってない、たまたまってことはないの?」
「僕もそう思ったんですけど、ここですよ。最初のみ有効、傾いてる分の最初ってことはここしかないと思うんです」
「それはそうとしても、常葉坂に緑丘なんてところあったっけ?」
「三丁目に緑丘公園って公園があるんですよ」
なぜか逆に……いや、もしかしたら思い違いなのかもしれないが、少なくとも常葉坂三丁目に行けばいいのは確定であろう。
「なるほど、多分そこだね、にしてもよく気づいたね」
ここで胸を張って僕の実力ですって言えたらカッコイイんだけど、今回のMVPは桜ちゃんだ。
「まぁ、それは僕と言うか桜ちゃんのおかげなんですけどね」
本当、あの時桜ちゃんがクルクル回してたおかげでそして、たまたまだろうけど僕に向かって斜めにおいてくれたから気づけたのだ。
やっぱり持つべきものは良き隣人だね。
「……桜ちゃんって誰?」
ひぃっ、なんだろうこの異様な重圧は。ななななんだかよくないことでもしてしまったのだろうか。
「い、いや隣人ですよ。べちゅに怪しい人とかそんなんじゃ……」
盛大に噛んでしまった。いや、さっきのは本当に恐怖だ。軽く死ぬのかと思うくらいに。
「それは、女の子?」
「はははい、女の子です。小5の女の子です」
未だに僕へとのしかかる重しはさっきよりも重くなっている気がした。
「……まさか、望君。ロリコンだったの、それだと……」
なんでそうなった。
なんか凄い飛躍をしているような気がします。誹謗中傷はやめていただきたい。
「ロリコンなんてやめてください。確かに彼女は可愛いしお兄と呼ばれるのは嬉しいですけど、ロリコンではありません」
あれれ? 言っていて僕も僕自身が怪しくなってきた。少しロリコンがあるのではないだろうか。
「本当に?」
「はい、ほんとうです」
それはともあれ、これでこの事件の犯人がわかるわけだ。僕としては若干というか、ちょっと犯人が誰なのかという予測が付いているのだが、そうではないことを願おう。
「ね、望君。日曜日空いてる?」
それって明後日だよね。その日は……
「あ、その桜ちゃんと買い物に行くんですけど……」
千春さんの目にはみるみるうちに涙が溜まっていく。
「やっぱり、ロリコンじゃぁ~ん」
そう言って千春さんは走り去っていく。
「えぇー、千春さん誤解ですってばぁ~」
その後、千春さんの誤解を解くのに小一時間かかったのだった。
そのおかげでいつもの半分の時間で目的地に到着することができた。
「はぁ、はぁ……千春さん、わかりましたよ」
遂にこの事件の真相へたどり着いた。一番に報告しないとって思ったし、何より期限が明日までなのだ。悠長にしているわけにはいかない。
「望君、今日はお休みでは?」
「ゲホッ……解けたんですよ、きょ、脅迫文の謎が……」
自転車を使っていたとはいえ全力を出してくるとかなりの体力を持っていかれる。筋トレとかしたほうがいいかもしれないな。
「とりあえず落ち着いて、深呼吸して、ね」
「は、はい……」
ということで、深呼吸をする。
2、3回吸って吐いてを繰り返すとどうにか呼吸も落ち着いてきた。
「ふぅ、落ち着きました」
「それで、謎が解けたの?」
「えぇ、説明しますね」
そうして、脅迫文の謎についてわかったことを全部伝える。
「……なるほどね。傾きし文は1つずつずれる、確かにその通りになってるね、でも他にはなってない、たまたまってことはないの?」
「僕もそう思ったんですけど、ここですよ。最初のみ有効、傾いてる分の最初ってことはここしかないと思うんです」
「それはそうとしても、常葉坂に緑丘なんてところあったっけ?」
「三丁目に緑丘公園って公園があるんですよ」
なぜか逆に……いや、もしかしたら思い違いなのかもしれないが、少なくとも常葉坂三丁目に行けばいいのは確定であろう。
「なるほど、多分そこだね、にしてもよく気づいたね」
ここで胸を張って僕の実力ですって言えたらカッコイイんだけど、今回のMVPは桜ちゃんだ。
「まぁ、それは僕と言うか桜ちゃんのおかげなんですけどね」
本当、あの時桜ちゃんがクルクル回してたおかげでそして、たまたまだろうけど僕に向かって斜めにおいてくれたから気づけたのだ。
やっぱり持つべきものは良き隣人だね。
「……桜ちゃんって誰?」
ひぃっ、なんだろうこの異様な重圧は。ななななんだかよくないことでもしてしまったのだろうか。
「い、いや隣人ですよ。べちゅに怪しい人とかそんなんじゃ……」
盛大に噛んでしまった。いや、さっきのは本当に恐怖だ。軽く死ぬのかと思うくらいに。
「それは、女の子?」
「はははい、女の子です。小5の女の子です」
未だに僕へとのしかかる重しはさっきよりも重くなっている気がした。
「……まさか、望君。ロリコンだったの、それだと……」
なんでそうなった。
なんか凄い飛躍をしているような気がします。誹謗中傷はやめていただきたい。
「ロリコンなんてやめてください。確かに彼女は可愛いしお兄と呼ばれるのは嬉しいですけど、ロリコンではありません」
あれれ? 言っていて僕も僕自身が怪しくなってきた。少しロリコンがあるのではないだろうか。
「本当に?」
「はい、ほんとうです」
それはともあれ、これでこの事件の犯人がわかるわけだ。僕としては若干というか、ちょっと犯人が誰なのかという予測が付いているのだが、そうではないことを願おう。
「ね、望君。日曜日空いてる?」
それって明後日だよね。その日は……
「あ、その桜ちゃんと買い物に行くんですけど……」
千春さんの目にはみるみるうちに涙が溜まっていく。
「やっぱり、ロリコンじゃぁ~ん」
そう言って千春さんは走り去っていく。
「えぇー、千春さん誤解ですってばぁ~」
その後、千春さんの誤解を解くのに小一時間かかったのだった。
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