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ダメ人間、奮起する
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「だー!私はやっぱりダメ人間なんだー!」
ベッドにダイブして部屋に埃を立たせながら、ダメ人間――この私のことだ――は、親につけられた三田貴子という名前を恨んでいた。ぼすぼすとグーにした手を枕にぶつけると、余計に埃が立つが、そんなことを気にしている場合ではない。問題は親が私という人間に相応しいかどうかなど気にせずつけたこの『貴子』という名前のせいで自分の自尊心がダダ下がりなのが問題なのだ。
「今日も部長に叱られたー!江本先輩にも声かけられなかったー!なんか色々上手くいかないー!何となくだけど私ダメな奴だー!」
簡単な事務処理でさえ失敗して会社の上司には叱られたし、憧れの恋する先輩にはガチガチで声がかけられなかったし、卵焼きでさえ焦がすし、これがダメ人間でなくて何だというのか。こんな奴居ても居なくても問題はないだろうと私は思う。
「何が『貴い子』だよお母さんのバカー!私なんか全然貴いもんかー!こんな命貴ぶ必要ないわボケー!」
あれは小学校のとある授業のことだっただろうか。それは親に自分の名前の由来を聞いてくるというもので、私の無駄に高学歴の…でも優しい母はこう教えてくれた。
『貴子の“貴”には“尊い”という意味があるの。貴子にはね、自分の命、周りの人、自然や気持ちを大事にして尊いという感情を持つ人になってほしいのよ』
その由来を正直に授業で発表したところ、とんでもなく担任の先生に褒められた記憶がある。クラスメイトはよく分かっていない感じだったが、そうか、そんなに良い由来なのか、とまばらな拍手をしていたのも覚えている。『名前負け』という言葉が自分のためにあるように錯覚し始めたのは社会人になってからだった。学生時代はうっかりで済んでたポンコツぶりがよりくっきりとした輪郭を持って現れ始めたからである。ネガティブモード全開でしばらく私は母への暴言を1LDKの部屋に響かせながら唸っていたが。疲れ果ててぽすん、と手を止めた。
「……分かってるよ、こんなことしたって何にもならないこと」
私は目をつむりしばらく思案して、おもむろにスマホを取り出した。
「このままじゃダメだ!私ガチのダメ人間になってしまう!」
そう、気付いていた。私の失敗は大したものではないことくらい。書類整理で怒られることも、先輩に声掛けが出来ないことも、玉子焼きを焦がしたことも、ちっぽけなことだと。そんなことを気にするような器の小ささでは違う意味でダメな人間になってしまう、そう思った私はスマホの電話アプリを起動させて、その中にあるとある番号に電話をかけた。トゥルルル…と呼び出し音が響く。やがて「もしもし?」と少し不思議がった声で通話先の主が出た。
「もしもしお姉ちゃん?ちょっとお願いがあるんだけど!」
姉の幸恵は東京の郊外に住んでいる。私は千葉の柏市の方に住んでいるから、気軽には会えないが、度々チャットで連絡は取っていた。しかし、電話はあまりしない。そんな姉の元まで電車をえっちらおっちら乗り継いで向かったのには理由があった。
「いきなり家来たいって…なんかあったの?」
私の部屋とは比べ物にならない程片付いた部屋の中央、落ち着いた寒色系のソファに腰を掛ける私に、貰い物だというダージリンを出しながら、姉は問う。砂糖を1個入れてふうふうと覚まして一口飲むと、私はここに来た目的を単刀直入に切り出した。
「恥を承知で言います」
「何よかしこまって。おかしいの」
「私を!モテてデキる女にしてください!」
秋風吹く庭の草木がさらさらと揺れるのが聞こえた。その季節にふさわしく、ローテーブルに手をついて稲穂のようにこうべを垂らした私を見て、姉は目をぱちくりさせただろう。見なくても分かる。自分だったらそうなるだろうし。しかし沈黙が耳に痛い。時計の秒針がしばらく時を刻んだ後、姉の口から堰を切ったようにくつくつと笑い声が漏れ始め、やがて腹を抱えて爆笑し始めた。
「あーっはっはっは!何それ!モテてデキる女って何?あたしにそれを頼むの?スクールカースト底辺だったあたしに?あーおもしろ…」
「そう思ってるのお姉ちゃんだけだから!絶対人生勝ち組だから!だって見せてみなさいよこの薬指!」
ぐいっと姉の左手を掴むと、あてつけるように薬指のシルバーリングを指さす。
「年収はそこそこだけど優しくて育児や家事にも積極的な旦那に恵まれて!あとこれ!」
「人の旦那捕まえといて、年収そこそこって失礼ね」
スマホをせっせと操作する私に向けられる呆れとせわしない奴、という視線を跳ね返すように私は画面を姉の方に向ける。
「この都市開発プロジェクト、お姉ちゃんが主導してたんでしょ?このプロジェクト、すごい評判良いんだよ?めっちゃキャリアウーマンじゃん!身内にこんなこと言うの恥ずかしいけど、お姉ちゃんもっとプライド持っていいんだよ!」
だから、と乗り出していた身を元の位置に戻して、再び頭を下げる。
「このぐーたらダメ人間を、改造してください!」
お願いします!と続けた声に、姉は困惑しているんだろう。返事がないのがその証拠だ。私はチラッと片目を開けて姉の顔色をうかがう。すると、予想外に優しい顔をした姉の姿がそこにあった。
「……顔上げて貴子」
言われるがままに私は頭を起こす。何となく居心地が悪くてちんまりしていると、姉は朗々と話し始めた。
「あのね、確かにあたしは恵まれているのかもしれない。明人(あきと)は元気に今も小学校行ってるし、旦那は汗水流して働いてくれてる。今はもう一線を退いたけど、キャリアも手前味噌だけど結構あったと思う。でもね貴子」
姉のピンクのスマホがテーブルに差し出される。そこには誰のものなのか、散らかった部屋が写っていた。
「あたしだって、一人暮らしの時はこんなにだらしなかったんだよ?」
私はそれが大学時代、一人暮らしをしていた姉の部屋だと知った時、これでもかと目が丸くなったのを感じた。昔から片付けが得意だった姉が、こんな…正直言ってゴミ屋敷に住んでいたなんて信じられない。何かの間違いではないのか。
「それにね」
と、疑っている私を横目に、姉は黒いファイルから何枚かの紙を取り出した。
「大学は自主休講とか言ってサボりまくってほら、こんなに成績悪かったんだよ」
苦笑しながら姉はこれなんか単位落としてる、と教えてくれた。これも信じられない。小中高と成績優秀だったあの三田幸恵のものではないように見えた。しかし、成績表の名前は姉のものだ。
「そんな…お姉ちゃんにこんな時期があったなんて…」
「一人暮らしって結構大変でさ、実家暮らしみたいに掃除に時間かけてられなかったんだぁ…勉強もまともにしてなくって、とてもじゃないけど胸張れる人間じゃなかったよ」
でもね、と、すでに冷めたダージリンを一口すすってから姉は。
「社会に出て揉まれて叱られて、やっと自分がヤバい状態にあるって知ったの」
それって――と私ははっとした。
「…今の私と、一緒?」
「そうだよ」
嘘みたい、というか嘘だと思いたかった。
社会人になってから、姉は私にとって憧れだった。成績優秀、品行方正、冷静な判断力と決断力と、何より一本芯の通った自立心が、私には何一つないと思っていたからだ。その憧れが、幻想のように遠くへ行ってしまったような気がした。
しかし、姉は優しく…手荒れのある主婦の手で私の幼稚な手を包んで言った。
「誰だってだらしない部分…というか、ダメ人間な部分はあるよ。でもそれで終わらないで何かしようとした貴子は大丈夫。きっと大丈夫。完璧な人なんていないの。貴子は向上心があるから、人の視点に立てるから、自分をダメ人間だと思っちゃったんだと思うよ?だからさ、あたしなんかに教えを請わなくても、大丈夫だから、ね」
心から氷が、ぐちゃぐちゃだった糸の結び目が、溶けて、解けていくような気がした。姉の手は冷たく、でもなぜか私の手は内側からじんわりと温かくなっていくような気もして、先ほど幻想に代わった姉への憧れは、ゆっくりと、さなぎから蝶へ羽化するように、尊敬へと変わって私の元へと舞戻ってきた。
「…ありがとう、お姉ちゃん」
帰りの電車から見えた景色はいつもと変わらなかった。それでも、少し、ほんの少しだけ、明度が高くなっているように見えた。家に帰ったら片付けでもしようかな。小一時間かかる道すがら、私はそう思って浅い眠りについた。
ベッドにダイブして部屋に埃を立たせながら、ダメ人間――この私のことだ――は、親につけられた三田貴子という名前を恨んでいた。ぼすぼすとグーにした手を枕にぶつけると、余計に埃が立つが、そんなことを気にしている場合ではない。問題は親が私という人間に相応しいかどうかなど気にせずつけたこの『貴子』という名前のせいで自分の自尊心がダダ下がりなのが問題なのだ。
「今日も部長に叱られたー!江本先輩にも声かけられなかったー!なんか色々上手くいかないー!何となくだけど私ダメな奴だー!」
簡単な事務処理でさえ失敗して会社の上司には叱られたし、憧れの恋する先輩にはガチガチで声がかけられなかったし、卵焼きでさえ焦がすし、これがダメ人間でなくて何だというのか。こんな奴居ても居なくても問題はないだろうと私は思う。
「何が『貴い子』だよお母さんのバカー!私なんか全然貴いもんかー!こんな命貴ぶ必要ないわボケー!」
あれは小学校のとある授業のことだっただろうか。それは親に自分の名前の由来を聞いてくるというもので、私の無駄に高学歴の…でも優しい母はこう教えてくれた。
『貴子の“貴”には“尊い”という意味があるの。貴子にはね、自分の命、周りの人、自然や気持ちを大事にして尊いという感情を持つ人になってほしいのよ』
その由来を正直に授業で発表したところ、とんでもなく担任の先生に褒められた記憶がある。クラスメイトはよく分かっていない感じだったが、そうか、そんなに良い由来なのか、とまばらな拍手をしていたのも覚えている。『名前負け』という言葉が自分のためにあるように錯覚し始めたのは社会人になってからだった。学生時代はうっかりで済んでたポンコツぶりがよりくっきりとした輪郭を持って現れ始めたからである。ネガティブモード全開でしばらく私は母への暴言を1LDKの部屋に響かせながら唸っていたが。疲れ果ててぽすん、と手を止めた。
「……分かってるよ、こんなことしたって何にもならないこと」
私は目をつむりしばらく思案して、おもむろにスマホを取り出した。
「このままじゃダメだ!私ガチのダメ人間になってしまう!」
そう、気付いていた。私の失敗は大したものではないことくらい。書類整理で怒られることも、先輩に声掛けが出来ないことも、玉子焼きを焦がしたことも、ちっぽけなことだと。そんなことを気にするような器の小ささでは違う意味でダメな人間になってしまう、そう思った私はスマホの電話アプリを起動させて、その中にあるとある番号に電話をかけた。トゥルルル…と呼び出し音が響く。やがて「もしもし?」と少し不思議がった声で通話先の主が出た。
「もしもしお姉ちゃん?ちょっとお願いがあるんだけど!」
姉の幸恵は東京の郊外に住んでいる。私は千葉の柏市の方に住んでいるから、気軽には会えないが、度々チャットで連絡は取っていた。しかし、電話はあまりしない。そんな姉の元まで電車をえっちらおっちら乗り継いで向かったのには理由があった。
「いきなり家来たいって…なんかあったの?」
私の部屋とは比べ物にならない程片付いた部屋の中央、落ち着いた寒色系のソファに腰を掛ける私に、貰い物だというダージリンを出しながら、姉は問う。砂糖を1個入れてふうふうと覚まして一口飲むと、私はここに来た目的を単刀直入に切り出した。
「恥を承知で言います」
「何よかしこまって。おかしいの」
「私を!モテてデキる女にしてください!」
秋風吹く庭の草木がさらさらと揺れるのが聞こえた。その季節にふさわしく、ローテーブルに手をついて稲穂のようにこうべを垂らした私を見て、姉は目をぱちくりさせただろう。見なくても分かる。自分だったらそうなるだろうし。しかし沈黙が耳に痛い。時計の秒針がしばらく時を刻んだ後、姉の口から堰を切ったようにくつくつと笑い声が漏れ始め、やがて腹を抱えて爆笑し始めた。
「あーっはっはっは!何それ!モテてデキる女って何?あたしにそれを頼むの?スクールカースト底辺だったあたしに?あーおもしろ…」
「そう思ってるのお姉ちゃんだけだから!絶対人生勝ち組だから!だって見せてみなさいよこの薬指!」
ぐいっと姉の左手を掴むと、あてつけるように薬指のシルバーリングを指さす。
「年収はそこそこだけど優しくて育児や家事にも積極的な旦那に恵まれて!あとこれ!」
「人の旦那捕まえといて、年収そこそこって失礼ね」
スマホをせっせと操作する私に向けられる呆れとせわしない奴、という視線を跳ね返すように私は画面を姉の方に向ける。
「この都市開発プロジェクト、お姉ちゃんが主導してたんでしょ?このプロジェクト、すごい評判良いんだよ?めっちゃキャリアウーマンじゃん!身内にこんなこと言うの恥ずかしいけど、お姉ちゃんもっとプライド持っていいんだよ!」
だから、と乗り出していた身を元の位置に戻して、再び頭を下げる。
「このぐーたらダメ人間を、改造してください!」
お願いします!と続けた声に、姉は困惑しているんだろう。返事がないのがその証拠だ。私はチラッと片目を開けて姉の顔色をうかがう。すると、予想外に優しい顔をした姉の姿がそこにあった。
「……顔上げて貴子」
言われるがままに私は頭を起こす。何となく居心地が悪くてちんまりしていると、姉は朗々と話し始めた。
「あのね、確かにあたしは恵まれているのかもしれない。明人(あきと)は元気に今も小学校行ってるし、旦那は汗水流して働いてくれてる。今はもう一線を退いたけど、キャリアも手前味噌だけど結構あったと思う。でもね貴子」
姉のピンクのスマホがテーブルに差し出される。そこには誰のものなのか、散らかった部屋が写っていた。
「あたしだって、一人暮らしの時はこんなにだらしなかったんだよ?」
私はそれが大学時代、一人暮らしをしていた姉の部屋だと知った時、これでもかと目が丸くなったのを感じた。昔から片付けが得意だった姉が、こんな…正直言ってゴミ屋敷に住んでいたなんて信じられない。何かの間違いではないのか。
「それにね」
と、疑っている私を横目に、姉は黒いファイルから何枚かの紙を取り出した。
「大学は自主休講とか言ってサボりまくってほら、こんなに成績悪かったんだよ」
苦笑しながら姉はこれなんか単位落としてる、と教えてくれた。これも信じられない。小中高と成績優秀だったあの三田幸恵のものではないように見えた。しかし、成績表の名前は姉のものだ。
「そんな…お姉ちゃんにこんな時期があったなんて…」
「一人暮らしって結構大変でさ、実家暮らしみたいに掃除に時間かけてられなかったんだぁ…勉強もまともにしてなくって、とてもじゃないけど胸張れる人間じゃなかったよ」
でもね、と、すでに冷めたダージリンを一口すすってから姉は。
「社会に出て揉まれて叱られて、やっと自分がヤバい状態にあるって知ったの」
それって――と私ははっとした。
「…今の私と、一緒?」
「そうだよ」
嘘みたい、というか嘘だと思いたかった。
社会人になってから、姉は私にとって憧れだった。成績優秀、品行方正、冷静な判断力と決断力と、何より一本芯の通った自立心が、私には何一つないと思っていたからだ。その憧れが、幻想のように遠くへ行ってしまったような気がした。
しかし、姉は優しく…手荒れのある主婦の手で私の幼稚な手を包んで言った。
「誰だってだらしない部分…というか、ダメ人間な部分はあるよ。でもそれで終わらないで何かしようとした貴子は大丈夫。きっと大丈夫。完璧な人なんていないの。貴子は向上心があるから、人の視点に立てるから、自分をダメ人間だと思っちゃったんだと思うよ?だからさ、あたしなんかに教えを請わなくても、大丈夫だから、ね」
心から氷が、ぐちゃぐちゃだった糸の結び目が、溶けて、解けていくような気がした。姉の手は冷たく、でもなぜか私の手は内側からじんわりと温かくなっていくような気もして、先ほど幻想に代わった姉への憧れは、ゆっくりと、さなぎから蝶へ羽化するように、尊敬へと変わって私の元へと舞戻ってきた。
「…ありがとう、お姉ちゃん」
帰りの電車から見えた景色はいつもと変わらなかった。それでも、少し、ほんの少しだけ、明度が高くなっているように見えた。家に帰ったら片付けでもしようかな。小一時間かかる道すがら、私はそう思って浅い眠りについた。
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