【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

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13歳の沈着。

招請状。

招請状(写)

外部記録監(臨時掛) 嘱託の件
宛:王都記録庫 ローラン・ダローム殿
差:リョウエスト
旨:家の記録を国標準に接続する九十日試行をお願いしたく。

一、立場……記録庫よりの出向(籍は記録庫に留め置き)。
一、任期……九十日。以降三十日ごとに協議更新。
一、役目……①設計 ②試験 ③訓練(社交・政治の席に出る任は一切求めず)。
一、成果物……
 (ア)決裁日誌と印譜台帳の新仕様(改竄検知の仕掛けを含む)
 (イ)“名の一団”対策の手順書(机上演習記録を添付)
 (ウ)家内影写庫の図面と運用案(三地点分散の一角を担う)
一、運び……半刻の診療(八日毎)。案件三本を診る。
一、退出……政治的圧や不当な干渉が生じた場合、即時帰任可。
一、栄誉の残し方……公的称賛・肖像・挨拶の席は辞退可。奥付・印譜・台帳番号で功を記す。
一、対外の監……記録庫長・貴殿・当家の三者で監督線を共有。議事は毎回紙で残す。
一、報……委託料は記録庫あてに納め、貴殿には規程に従い手当。

付す……貴殿が受けぬ条件(拒否条件)を下段にお書き願う。その条件が守られる間だけ共に働きます。

 記:________________
 記:________________
 記:________________

右、まずは紙上にてお願い申し上げます。


  ◇


付録:九十日試行 計画抄
• 第1(1–30日):家政決裁の改竄に強い帳を設計
 ・日誌/印譜/副本の重ね置き。臨時印は通報線に自動で上がる仕掛け。
 ・失敗基準:試験改竄の検知率が95%未満なら改修。
• 第2(31–60日):“名の一団”対策の机上演習
 ・貴殿が赤(攻)、当家が青(守)。侵入→改竄→消去のシナリオを計時で回す。
 ・失敗基準:復旧平均が半刻超なら手順短縮。
• 第3(61–90日):影写庫ミニ(邸内)構築
 ・新素材箱+砂の寝床、湿温の揺れを抑える小室を設える。
 ・失敗基準:回収率が99%未満なら配置見直し。

記録の憲章(草)
改竄検知/副本分散/臨時印報告/重ね押し/公開の節(週・月)を十条で定め、奥付に
 著=実務担当連名/編=外部記録監・小印(R.D.)/献印=アトリエ
と明記する。



  ◇


 記録庫の閲覧室。石壁に音が吸われ、紙の擦れる音だけがよく響く。
 ローランは招請状を一読し、もう一度、今度は付録から読み直した。眉は動かない。ただ、句読のたびに右手の親指が紙の端を整える。

「……出向の扱い。籍は記録庫のまま。退出条項は明文化。口で褒めないで紙で残す。あなたの言葉にしては、よく抑えてある」

「あなたの当たり前を、家の当たり前にしたい。引き抜きではなく役目の橋を、こちらから架けます」

「任せるのではなく、任どころを設計したい、と」

 うなずくと、彼は招請状の下段……拒否条件欄に視線を落とす。羽根ペンが走った。

「公の席に出ぬこと。名指し称賛を受けぬこと。臨時印の運用は全件通報。議事は先に紙。政治の意図を帯びた文言は代案を付すまで保留」

 五つ書いて、止まる。僕は息を呑んだ。まっすぐで、曲がらない。

「それが守られる間だけ、私はあなたの“診療”に応じましょう。八日毎、半刻。案件は三本まで」

「……ありがとうございます」

「まだ嘱託ではありません。診療です」

 ローランは付録の「第2」を指先で叩いた。「机上演習を先にやるべきだ。赤と青で。あなたは甘い。借りた眼を重ねなさい」

「三人集めます。言ってくれる人を」

「合議は短く。紙を先に。あなたは声が速い。声の速度を落とす訓練を」

「承知」

 彼は最後に、小さな印を奥付案の「編」の欄に押した。丸い、淡い色の印影。R.D.の頭文字。

「これは賛意ではない。仕様の読了印です」

「それで十分です。印は、あとで効いてくるから」

 彼の口角がわずかに上がった。「——水曜に」


  ◇


返書(抜粋・彼の字)

件名:外部記録監(臨時掛) 九十日試行の件/診療参加の可否
記:八日毎半刻、案件三本。当面は紙往復を前提。
記:拒否条件を守れる限り参加可。
記:初回は机上演習(赤/青)を先行。
記:“あなたがいなくても回る日”を設計する条の追記を希望。
以上。ローラン・ダローム


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