564 / 806
14歳の助走。
再びのチョコバァン。
獣人領を後にして二日、森の縁を回り込むと、乾いた甘い香りが風に乗ってきた。焙煎したてのカカオの匂いだ。丘を一つ越えると、赤褐色の実をぶら下げた林と、天日に干された黒い豆の海が現れ、その手前に整えられた街路と新しい門があった。
「ようこそ、チョコバァンへ」
門前に立つ鹿角の女が微笑む。鹿族の町長、リィナ。以前より肩の線が逞しく見えた。僕が馬車を降りると、リィナは胸に手を当てて礼をし、視線を上げる。
「リョウエスト様、町は今日もよく動いています。どうぞ、見てやってください」
「案内をお願いするよ、リィナ町長」
隣でリディアがくんと鼻を鳴らす。
「うん。久しぶりじゃなここは。よい匂いじゃ。甘いのに、獣の森の気配がある」
最初に通されたのは栽培区画だった。畝の間に水竜人が開いた小さな用水が走り、段々畑の縁には風除けの植え込み。エルフのアウルミナが子どもたちに葉色の見方を教えている。
「今日は水やり控えめ。午後の雲を待ってからにしましょう」
若者トーホが手を挙げる。
「姐さん、こっちは実の割れが出てきた。収穫、いけそうだ」
「よく気づきました。切り替えます!」
次に乾燥場。小人族フェレットが等間隔に並んだ干し台を、分刻みの札で回していた。
「日向、日陰、風。三つのバランスが命だ。鹿族の兄弟、札を見て動かす。考える乾燥だぞ」
奥の棟に入ると、空気が一気に温かくなる。ドワーフのグラモルが焙煎釜の火を見ていた。
「温度の波、今日は小さめだ。豆の出来が良い。焦らずいくぞ」
木べらで練る音、石臼の唸り、金具の微かな鳴り。工房の中央では、鹿族の若者が汗を拭きながら木の樋に流れるチョコを見ていた。表面に艶が出て、室の冷気でゆっくり固まっていく。
「ここは第一工房。あちらに第二が新設されました」
リィナが指差す先には、同じ規模の棟が立ち上がり、入り口には「研修」と書かれた板。見学用の通路も整っている。ローランが静かに頷いた。
「受け入れの器がある。背伸びがないのが良いですね」
通路を抜けると、薄い甘い匂いに混じって、羊皮紙とインクの匂いがした。発送所だ。梱包台に整然と並ぶ箱には「チョコバァン産・純カカオ菓子」と焼印。帳場では新しい書記たちが口述を受け、出荷票を作っている。ミレイユが耳を澄ませ、素早く書き振りを追っていた。
「口で受けて、紙に起こす。獣人の窓口、書記は別種族……獣人領のやり方がここには先んじてあったんですね。この印は許可の印ですか?」
「ええ。許可の印は三種併記です。鹿印、三族連印、そして王都規格の印」
リディアが箱を一つ手に取り、くるりと返して目を細める。
「香りが逃げぬ工夫があるの。板の木目、よい。小人の仕事じゃな」
広場に出る。昼の鐘が鳴り、屋台に列ができる。温かい飲み物、薄板のチョコ、果実と合わせた菓子。子どもたちが歌いながら列を捌き、若者が人の流れをゆるやかに誘導していた。揉め事の気配はない。合図が短く、笑い声が長い。
「夜は夜警が市場を回ります。香具師とも話がついて、刃物は置き、棒で間合いを作る掟が根付きました」
「よく歩いたね。誇りが育ってる」
リィナが照れたように笑い、それから真顔に戻る。
「学びの場も見ていただけますか」
通りの奥の集会所では、鹿族と他種族が混じった初等の学びが開かれていた。読み書き、数、そして衛生。先生役はエルフと鹿族の二人組。僕は扉の外で邪魔にならないよう腰を落とし、子どもたちの声を聴く。胸の奥が軽くなる。
「町長、ここまで整えるのに苦しい時も多かったでしょう」
「ええ……でも、笑っている顔の方が、今は多いです」
リィナは深呼吸をして、報告書を一枚差し出した。簡素な要旨が添えられているが、数字は確かだ。月ごとの出荷、歩留まり、修理記録、見習いの合格率。カレルが横で目を走らせ、頷いた。
「支払いの遅延、現状なし。原料の前払い、季節で波が出ますが、緩衝の基金で吸収できています」
「基金は三族と鹿族の共同出資。困った時は互いに貸し、笑った時は互いに分ける。紙にしてから喧嘩が減りました」
ローランが小声で言う。
「この書式、他の新興町にも展開できます。町長、後で写しを頂けますか」
「もちろん」
午後は町政の部屋に案内された。壁には「町の約束」が絵札で貼られている。刃物を工房に持ち込まない、夜警への苦情箱、行政への褒め札の箱、異種族の混成職班表。議場の長卓では、鹿族、エルフ、小人、ドワーフの代表が並び、配分と修繕計画を手短に討議していた。議論の切り上げも自然だ。僕はただ聴く。求められた時だけ短く訊く。
「水の配分、乾季は水竜人伯の指導が入ると聞きました。連絡経路は?」
「この路線で八日ごとに伝令が回ります。詰所はここに」
地図の角に小さな印。必要十分。僕は頷きだけで返した。
夕方、広場で小さな式があった。第二工房の完成祝いに合わせて、王都への新作の初出荷だ。板チョコに刻印された鹿の紋と、三族の印、そして小さく町の名。トーホが胸を張って並べると、グラモルが太鼓を鳴らし、フェレットが出荷票を手で扇いだ。アウルミナは列の最後で子らの手を取り、歌の合図を出す。
「町長、最後に一つ、お願いがある」
リィナが僕の方を見た。
「何なりと」
「僕の名は、商品にも町の石にも大きくは残さないでほしい。ここは皆さんの町だ。記録の奥に、いつもの通りで十分だよ」
「……はい」
リィナは少しだけ目を潤ませて、それでも笑った。
「では、あなたの言葉は、ここに」
彼女は掲示板の端に小さな板を打ち付け、黒い墨で短く書いた。
「収穫を誇りに、人の手で支え、町で笑う」
拍手が起きる。リディアが肘で僕の脇をつつく。
「名はなくとも、匂いは残る。甘い匂いは、誰のものでもない。よいことじゃ」
出発の刻、荷馬車の列が門を出る。夜群の若者が白布の棒を高く掲げ、列の隙間を風が抜ける。町の人々が手を振り、歌が短く重なって解けた。僕はリィナと向き合い、握手を交わす。
「町長、見事でした。次に来る時は、もう少しゆっくり菓子を味わいたい」
「いい店が増えました。あなたの席は、いつでも」
日が傾き、馬車の影が伸びる。門の上の木札に刻まれた名を見上げる。チョコバァン。甘い香りと、人の手の熱と、短い合図の重なりが、静かに背を押した。僕らは手綱を受け取り、次の約束の地へと向かう。風はまだ、ほんの少し、甘かった。
「ようこそ、チョコバァンへ」
門前に立つ鹿角の女が微笑む。鹿族の町長、リィナ。以前より肩の線が逞しく見えた。僕が馬車を降りると、リィナは胸に手を当てて礼をし、視線を上げる。
「リョウエスト様、町は今日もよく動いています。どうぞ、見てやってください」
「案内をお願いするよ、リィナ町長」
隣でリディアがくんと鼻を鳴らす。
「うん。久しぶりじゃなここは。よい匂いじゃ。甘いのに、獣の森の気配がある」
最初に通されたのは栽培区画だった。畝の間に水竜人が開いた小さな用水が走り、段々畑の縁には風除けの植え込み。エルフのアウルミナが子どもたちに葉色の見方を教えている。
「今日は水やり控えめ。午後の雲を待ってからにしましょう」
若者トーホが手を挙げる。
「姐さん、こっちは実の割れが出てきた。収穫、いけそうだ」
「よく気づきました。切り替えます!」
次に乾燥場。小人族フェレットが等間隔に並んだ干し台を、分刻みの札で回していた。
「日向、日陰、風。三つのバランスが命だ。鹿族の兄弟、札を見て動かす。考える乾燥だぞ」
奥の棟に入ると、空気が一気に温かくなる。ドワーフのグラモルが焙煎釜の火を見ていた。
「温度の波、今日は小さめだ。豆の出来が良い。焦らずいくぞ」
木べらで練る音、石臼の唸り、金具の微かな鳴り。工房の中央では、鹿族の若者が汗を拭きながら木の樋に流れるチョコを見ていた。表面に艶が出て、室の冷気でゆっくり固まっていく。
「ここは第一工房。あちらに第二が新設されました」
リィナが指差す先には、同じ規模の棟が立ち上がり、入り口には「研修」と書かれた板。見学用の通路も整っている。ローランが静かに頷いた。
「受け入れの器がある。背伸びがないのが良いですね」
通路を抜けると、薄い甘い匂いに混じって、羊皮紙とインクの匂いがした。発送所だ。梱包台に整然と並ぶ箱には「チョコバァン産・純カカオ菓子」と焼印。帳場では新しい書記たちが口述を受け、出荷票を作っている。ミレイユが耳を澄ませ、素早く書き振りを追っていた。
「口で受けて、紙に起こす。獣人の窓口、書記は別種族……獣人領のやり方がここには先んじてあったんですね。この印は許可の印ですか?」
「ええ。許可の印は三種併記です。鹿印、三族連印、そして王都規格の印」
リディアが箱を一つ手に取り、くるりと返して目を細める。
「香りが逃げぬ工夫があるの。板の木目、よい。小人の仕事じゃな」
広場に出る。昼の鐘が鳴り、屋台に列ができる。温かい飲み物、薄板のチョコ、果実と合わせた菓子。子どもたちが歌いながら列を捌き、若者が人の流れをゆるやかに誘導していた。揉め事の気配はない。合図が短く、笑い声が長い。
「夜は夜警が市場を回ります。香具師とも話がついて、刃物は置き、棒で間合いを作る掟が根付きました」
「よく歩いたね。誇りが育ってる」
リィナが照れたように笑い、それから真顔に戻る。
「学びの場も見ていただけますか」
通りの奥の集会所では、鹿族と他種族が混じった初等の学びが開かれていた。読み書き、数、そして衛生。先生役はエルフと鹿族の二人組。僕は扉の外で邪魔にならないよう腰を落とし、子どもたちの声を聴く。胸の奥が軽くなる。
「町長、ここまで整えるのに苦しい時も多かったでしょう」
「ええ……でも、笑っている顔の方が、今は多いです」
リィナは深呼吸をして、報告書を一枚差し出した。簡素な要旨が添えられているが、数字は確かだ。月ごとの出荷、歩留まり、修理記録、見習いの合格率。カレルが横で目を走らせ、頷いた。
「支払いの遅延、現状なし。原料の前払い、季節で波が出ますが、緩衝の基金で吸収できています」
「基金は三族と鹿族の共同出資。困った時は互いに貸し、笑った時は互いに分ける。紙にしてから喧嘩が減りました」
ローランが小声で言う。
「この書式、他の新興町にも展開できます。町長、後で写しを頂けますか」
「もちろん」
午後は町政の部屋に案内された。壁には「町の約束」が絵札で貼られている。刃物を工房に持ち込まない、夜警への苦情箱、行政への褒め札の箱、異種族の混成職班表。議場の長卓では、鹿族、エルフ、小人、ドワーフの代表が並び、配分と修繕計画を手短に討議していた。議論の切り上げも自然だ。僕はただ聴く。求められた時だけ短く訊く。
「水の配分、乾季は水竜人伯の指導が入ると聞きました。連絡経路は?」
「この路線で八日ごとに伝令が回ります。詰所はここに」
地図の角に小さな印。必要十分。僕は頷きだけで返した。
夕方、広場で小さな式があった。第二工房の完成祝いに合わせて、王都への新作の初出荷だ。板チョコに刻印された鹿の紋と、三族の印、そして小さく町の名。トーホが胸を張って並べると、グラモルが太鼓を鳴らし、フェレットが出荷票を手で扇いだ。アウルミナは列の最後で子らの手を取り、歌の合図を出す。
「町長、最後に一つ、お願いがある」
リィナが僕の方を見た。
「何なりと」
「僕の名は、商品にも町の石にも大きくは残さないでほしい。ここは皆さんの町だ。記録の奥に、いつもの通りで十分だよ」
「……はい」
リィナは少しだけ目を潤ませて、それでも笑った。
「では、あなたの言葉は、ここに」
彼女は掲示板の端に小さな板を打ち付け、黒い墨で短く書いた。
「収穫を誇りに、人の手で支え、町で笑う」
拍手が起きる。リディアが肘で僕の脇をつつく。
「名はなくとも、匂いは残る。甘い匂いは、誰のものでもない。よいことじゃ」
出発の刻、荷馬車の列が門を出る。夜群の若者が白布の棒を高く掲げ、列の隙間を風が抜ける。町の人々が手を振り、歌が短く重なって解けた。僕はリィナと向き合い、握手を交わす。
「町長、見事でした。次に来る時は、もう少しゆっくり菓子を味わいたい」
「いい店が増えました。あなたの席は、いつでも」
日が傾き、馬車の影が伸びる。門の上の木札に刻まれた名を見上げる。チョコバァン。甘い香りと、人の手の熱と、短い合図の重なりが、静かに背を押した。僕らは手綱を受け取り、次の約束の地へと向かう。風はまだ、ほんの少し、甘かった。
あなたにおすすめの小説
異世界転生したので、文明レベルを21世紀まで引き上げてみた ~前世の膨大な知識を元手に、貧乏貴族から世界を変える“近代化の父”になります~
夏見ナイ
ファンタジー
過労死したプラントエンジニアの俺が転生したのは、剣と魔法の世界のド貧乏な貴族の三男、リオ。石鹸すらない不衛生な環境、飢える家族と領民……。こんな絶望的な状況、やってられるか! 前世の知識を総動員し、俺は快適な生活とスローライフを目指して領地改革を開始する!
農業革命で食料問題を解決し、衛生革命で疫病を撲滅。石鹸、ガラス、醤油もどきで次々と生活レベルを向上させると、寂れた領地はみるみる豊かになっていった。
逃げてきた伯爵令嬢や森のエルフ、ワケありの元騎士など、頼れる仲間も集まり、順風満帆かと思いきや……その成功が、強欲な隣領や王都の貴族たちの目に留まってしまう。
これは、ただ快適に暮らしたかっただけの男が、やがて“近代化の父”と呼ばれるようになるまでの物語。
最強魔法は生活魔法!? ~異世界ではモンスター退治も生活のうち~
gagaga
ファンタジー
神の気まぐれにより異世界へと転移した主人公田辺竜太(大学生)が生活魔法を駆使して冒険したり町の人と触れ合ったりする物語です。
なお、神が気まぐれすぎて一番最初に降り立つ地は、無人島です。
一人称視点、独り言多め、能天気となっております。
なお、作者が気ままに書くので誤字脱字は多いかもしれませんが、大目に見て頂けるとありがたいです。
ただ、敢えてそうしている部分もあり、ややこしくてすいません。(^^;A
ご指摘あればどんどん仰ってください。
※2017/8/29 連載再開しました!
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ひだまりのFランク冒険者
みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。
そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。
そんな中
冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。
その名は、リルド。
彼は、特に何もない感じに毎日
「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。
この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
[完]異世界銭湯
三園 七詩
ファンタジー
下町で昔ながらの薪で沸かす銭湯を経営する一家が住んでいた。
しかし近くにスーパー銭湯が出来てから客足が激減…このままでは店を畳むしかない、そう思っていた。
暗い気持ちで目覚め、いつもの習慣のように準備をしようと外に出ると…そこは見慣れた下町ではなく見たことも無い場所に銭湯は建っていた…