【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

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14歳の助走。

穏やかな丁々発止。

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 最初に扉を開けたのは商業ギルド本部。ターニャ本部長は書記に目配せして帳面を閉じると、にっこり笑った。

「新街、うちは賛成よ。流通は血流。道と港が開けば店も増える。出店規約は早めに叩き台を出してね。耳箱は市場門の左右に二つ、低い掲示も忘れずに」

「当然、二つの高さで掲示します。運上は既存比率を守り、移行期は三月ごとに見直しを」

「話が早いわ」

 次に料理ギルド。本部長イタヌさんはいつもの調子だ。

「ほな新街の屋台筋は任せとき。水と火の抜け道だけ間違えたらあかんで。ご祝儀に三献、わてが責任持つさかい」

「排煙は共用塔で。低い軒には煙を落とさないよう、火床の位置を下げます」

「よう分かっとるやないの」

 ここまでは順風。だが本番はこれからだ。大工ギルドの長・オルベールは腕を組んで、初手から矢を放ってきた。

「棟梁が異種族ばかりとは何ごとか。人の街だろうが」

「“みんな”の街だ。棟梁は二つ置く。構法の棟梁と、意匠・寸法の棟梁。棟札には両名の名を並べる。工区も人の棟梁が主の区画を取れる余地を残す。徒弟の交換枠を設け、六種族標準と王国標準の二重目盛りは大工ギルドの台帳に準拠。それからひとつ忠告する。差別が見つかれば王都規に沿って即時是正する。互いに顔の立つ運びにしたい」

 黙った彼は、やがて咳払いをひとつ。

「……棟札に名が立つなら、責任も立つ。」

 石工ギルド。長のグラッツは眉間に皺を寄せる。

「勝手に採石場を動かされたら困る。石は生き物だ」

「切っていない。今やっているのは片付けと仕分け、道と広場の整備だけ。切り出しは拝領の後、石工ギルド立会いで。規格は『一尺立方』『半尺二段』など型ごとに二重検印。単価はあなた方の査定表を採用、上振れはあっても下げない。週一で『石目会議』を現場丁場で、議事はあなた方の書式に合わせる。採石場の放置分の扱いは経緯書にまとめ、精算はあなた方の書式で。異論があれば現場で協議しよう」

 グラッツの皺がほどける。

「……現場の声が先に立つなら、文句はねえ。石目会議の初日は俺が出ます」

 錬金術ギルド。白衣の総頭は冷ややかだ。

「分工房など玩具だ。季節労働者を先に受け入れるなど聞いたことがない」

「玩具?母工房の籍はルステインに置いたまま。現地は『分工房』として帳面を開示する。危険物の出納はギルド庫からの出庫のみ。季節労働者はギルド推薦に限定。季節労働から短期逗留、それから移住、という決まりは我らとルステインの領の協定だ。異論があれば王都会所での三者協議に付す。現場は止めない」

 白衣はわずかに頷いた。

「……帳面が見られるなら、意味はある。推薦枠の定数は追って示します」

 魔術ギルドでは、灰色の外套がため息を吐く。

「何かあればすぐギルドを動かせと言う。そのたびに現場は止まる」

「それは我が領に関係あるか?月に一度の定例だけ。緊急は『王都規の三条件』に限る。依頼票は可視化する。あなた方の術理に口は出さない。」

「……三条件の範囲なら飲もう」

 魔法師ギルド、つまり魔法道具の製作側はもっと露骨だ。

「君はこれまで作法を変えてきた。現場はついていくのに骨が折れる。もう振り回されたくない」

「魔法瘤の標準口金部材を製作する。新方式はギルド審査を通り、公開試験を経たものだけ年に一回採用。新街には『器具公庫』を置き、ギルド向けの優先枠を確保。印紙の収入は公庫とギルドで按分、比率は既存協定に合わせる。不採否は公開し、異論は王都審査に付す。標準口金(ハブ)部材は公庫で供給する」

「……優先枠と年一の改定なら、職人も腹が決まる」

 彫刻ギルド。館主の女主人は涼しい顔で針を刺す。

「ドワーフに工事を任せると、彼らは仕上げまでやってしまうのよ。彫刻師の居場所は」

「腕によるのではないか?構造材と意匠材を分ける。意匠材は彫刻ギルドの監理区にしか入れない。ドワーフは荒取りまで、仕上げは彫刻師。公共彫像と親柱の飾りは公開入札、審査はあなたとヂョウギの共同。この方式でまずはやる。仕上げ基準は公開する。誰の手でも基準を越える」

 女主人はわずかに口角を上げた。

「腕利きを入れるわ。あなたの街に線は生きる」

 鍛治ギルドは実務的だった。

「石と木が動けば鉄も動く。炭はどこで焼く。鉱滓はどうする」

「炭窯指定区を外縁に三カ所。伐り過ぎ防止の輪伐札を回す。鉱滓は回収場で選別、再溶融の枠をギルドに。鍛治場は共用排煙塔に接続、火の番は昼夜交代で名札を掛けろ」

「よし、図を出せ。うちの若いのに見せる」

「わかった。ドワーフ伯グラドに出させよう」

「す、すまん。我がギルドで現地調査して図を起こす」

 最後は港湾ギルド。年季の入った長は苦い顔を崩さない。

「新しい港を勝手に動かしたな。順序というものがある」

「耳が痛い。だからこそ、港の運営は三者の手に置く。伯爵家、港湾ギルド、水竜人代表。この三者で開港規程を共同で起草する。荷役の順番は抽選と予約の両建て。冷凍箱は一台を役所預かりとし、共同運用。港の税は現行比率、ただし新設分は三者協議の基金に繰り入れる」

 長の眉がわずかに動く。

「……水竜人も入れるのか」

「当たり前だ。彼らの基礎図で港は立つ。現場に口を出せる者が、机にも座るべきだと思う」

「ふん。言うだけかと思えば、椅子も用意してきたか。なら、座ってやらんでもない」

「口は荒いが、互いの面目を保とう。議事は公開し、記録にも残す」

「ぐっ……申しわけない」



 こうして一巡。表は穏やかに、内ではそれぞれの計算が回るがぴしゃりと抑えられるところは抑える。こちらはただ、短く要点を差し出し、約束は守れる約束だけ守ると伝えるだけだ。

 タウンハウスに戻ると、ストークがスケジュール帳を開いた。

「あと二日で中小の顔を一気に。樽職、紙工、染織、革、灯、楽、弓弦……縁の糸を張っておきました」

 キースが段取りを重ねる。

「筋は三本。物資を握るところ、技を束ねるところ、声を持つところ。支配人級にはアールの文案、親方衆にはイタヌ殿の屋台で飯を出す。短く会って短く約す。これで回ります」

 ローランは会議録を二行要旨で積み上げ、ミレイユは各ギルドとの取り決めを公式の書式に起こし調印の準備をする。カレルは支払い線の再確認、マチルダは写しを束ねて封蝋を落とす。エメイラは粉と火の手当ての箱を積み、ミザーリは翌日の護衛割をすでに貼り出していた。

 窓の外で、夕焼けが街の屋根を赤く染める。明日はまた別の扉を叩き、別の思惑に会う。それでもやることは同じだ。耳を持ち、短く約し、必ず返す。

「さあ、もう二日。顔をつなごう」

 僕が立ち上がると、皆が頷いた。新街はまだ図の上にしかない。けれど、その図面の線は
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