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幼少時代。
エメイラヒルデ。
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私はエメイラヒルデ。年は聞かないでほしい…私は常に孤独に苛まれて生きてきた風精の魔術師よ。
元々はエルフ、ハーフエルフの国であるシトルウェル大公国の田舎の娘なの。でも五歳の聖別式で魔術の素質を見いだされ女大公の元に連れてこられ、そして私は親元を離れて大公国の魔術師達の指導を受けることになったわ。初めは優しかった先生達は、次第に私に辛く当たるようになったの。私は自分自身の才能がそこまですごいと思っていなかったけど、私は才能に恵まれていたようなのよ。次々と術式呪文を覚え、想像力で魔術を成功させる私は先生達にとって異質で、受け入れ難い存在だったみたい。
大人だらけの社会にいる私には味方が二人いたの。一人は第一公女ローラ、もう一人は主席魔術師の一流魔術師のナフタユ師だった。ローラは何かと風当たりの強い私を見て、自分専属の魔術師としての地位を与えてくれたし、友人になってくれたわ。ナフタユ師は私に「一流魔術師になれば誰からも文句を言われる事がなくなる」と言って私に真摯に向き合ってくれて、持てる限りの秘術を教えてくれた。
30歳過ぎで私はシトルウェル大公国魔術院の満場一致の推挙で『一流魔術師』として認められた。今まで辛く当たってきた先生が手のひらを返すように擦り寄ってきたけど、私は歯牙にかけなかった。その時の先生達の憎々しげな顔を一生忘れないだろうな。いい気味よ。
それから100年ほどはローラの専属魔術師として働いて、良い友人関係を築いたわ。だけどその後シトルウェル大公国には暗雲がたちこめはじめたの…女大公陛下が病気で倒れられ、第一公女、第二公女の権力争いが激化したわ。私もローラも否応なくその渦中に放り込まれちゃった。
30年ほどその争いは続いたんだけどその間に色々とあって、私も、そしてローラの手も血で汚れた。私はローラを女大公にしようと必死でがんばった。結果、ローラは女大公になったけど、ハッピーエンドにはならなかった。政治的理由によってナフタユ師があらぬ罪状を着せられて処刑されたし、魔術院のほぼ半数のエルフは私の意思に反して放逐されたわ。私はそれに落胆してローラに暇乞いを願いでたの。もう権力闘争や暗殺や防諜が嫌になってた。ローラは私の意を汲んでくれて、私に軽い罪を着せて国外追放をしてくれた、これであなたは自由よって言ってね。
私はそれから100年以上各地を放浪したわ。途中で私の資金が底をつき、私は冒険者として働き始めたの。でも誰も組んでくれる人はいなかった…あの人と出会うまでは。
ルステインにたどり着いた時、私は本当に孤独で孤独でしかたなかった。誰も寄り付かず、話しかけてくる人もいない。そんな時よ。イザークに会ったのは。
「姉ちゃんどうした?そんなしょぼくれた顔をして」
が彼の第一声だった。それから私の話を聞いてくれて
「俺は恋人いるからそっちはダメだけど、パーティなら組めるぞ」
とおどけて誘ってくれた。嬉しかった。彼の近くにいると良い事が次々と起こったの。仲間もできたし、信じられる人もできたわ。時々イザークはいなくなるけどふらりと現れてまた一緒に冒険した。とても楽しかった。
イザークが確か30になるかならないかの頃だったかと思う。彼は彼の秘密を打ち明けてくれた。彼はこのルステイン領の次期当主だった。家を継ぐからこれ以上冒険はできないという話をされたの。お詫びとして私に外部顧問という肩書きをくれたわ。未来永劫決して権力闘争や政争に巻き込まないという但し書きをつけて。彼、私にこれで誰からも文句をつけられる事もなくこの地でのんびり過ごせ、と言ってくれた。
私は彼の恩義に報いる為、領の為に少し手を貸すようになったわ。それは彼が死んでからも続いた。『魔旋風』なんて二つ名が付いたのはその頃の話…あんまり由来は話したくないわね。
そんなある日私の元に冒険者ギルド経由で手紙が届いた。お世話になった商会だから一応目を通してみたら、重度の混乱状態になった幼児を見てもらいたいという話だった。
いつもならそんな件は教会に任せれば良いって返事を書くのだけど、この時はこの子が気になって気になって仕方なくなってた。気づいたらその商会に足を向けていたわ。
その商会に行った時ね、私の人生の中でもとびきり不思議な体験をしたの。店の前にいくとものすごい魔力を感じるのよ。最初は何かの神が降りてきたのかと思ったわ。でもね、その中心にいたのは幼児だった。白金の髪に、深い蒼色の澄んだ瞳の愛らしい男の子。私は彼から目が離せなくなったわ。横にいた知り合いのドワーフに声をかけられて、ようやく我に返った私は彼に了解をもらうとその子に『試しの指』の魔術を試したの。この魔術は『魔力視覚』と『魔法の素質』がないと見えない光を発する魔術よ。それを最小の出力で発したの。そしたら「きれい」って言ってね。
私はその瞬間私の魔術師としての力を受け継いでくれる人間にようやく会えたと気づいた。私が守ってあげなくちゃと思った。
彼と話をした時、私の心が高鳴るのを感じた。そして何より一緒に居たいと思ったのよ。
恥ずかしくて一旦その場から離れたのだけど、私はもう決めてた。彼を一人前の男に育てていこうと。そして彼を愛そうと。
だから彼の父に頼んだわ。彼が成人するまで居させて欲しいって。願いは叶えられ、今私は彼と一緒にいる。願わくばこの時が未来永劫続けば良いと本気でそう思っているわ。
私の愛する彼を傷つける相手は誰であろうと許しはしない。だから
「邪術師よ、覚悟なさい。『踊る氷剣』」
元々はエルフ、ハーフエルフの国であるシトルウェル大公国の田舎の娘なの。でも五歳の聖別式で魔術の素質を見いだされ女大公の元に連れてこられ、そして私は親元を離れて大公国の魔術師達の指導を受けることになったわ。初めは優しかった先生達は、次第に私に辛く当たるようになったの。私は自分自身の才能がそこまですごいと思っていなかったけど、私は才能に恵まれていたようなのよ。次々と術式呪文を覚え、想像力で魔術を成功させる私は先生達にとって異質で、受け入れ難い存在だったみたい。
大人だらけの社会にいる私には味方が二人いたの。一人は第一公女ローラ、もう一人は主席魔術師の一流魔術師のナフタユ師だった。ローラは何かと風当たりの強い私を見て、自分専属の魔術師としての地位を与えてくれたし、友人になってくれたわ。ナフタユ師は私に「一流魔術師になれば誰からも文句を言われる事がなくなる」と言って私に真摯に向き合ってくれて、持てる限りの秘術を教えてくれた。
30歳過ぎで私はシトルウェル大公国魔術院の満場一致の推挙で『一流魔術師』として認められた。今まで辛く当たってきた先生が手のひらを返すように擦り寄ってきたけど、私は歯牙にかけなかった。その時の先生達の憎々しげな顔を一生忘れないだろうな。いい気味よ。
それから100年ほどはローラの専属魔術師として働いて、良い友人関係を築いたわ。だけどその後シトルウェル大公国には暗雲がたちこめはじめたの…女大公陛下が病気で倒れられ、第一公女、第二公女の権力争いが激化したわ。私もローラも否応なくその渦中に放り込まれちゃった。
30年ほどその争いは続いたんだけどその間に色々とあって、私も、そしてローラの手も血で汚れた。私はローラを女大公にしようと必死でがんばった。結果、ローラは女大公になったけど、ハッピーエンドにはならなかった。政治的理由によってナフタユ師があらぬ罪状を着せられて処刑されたし、魔術院のほぼ半数のエルフは私の意思に反して放逐されたわ。私はそれに落胆してローラに暇乞いを願いでたの。もう権力闘争や暗殺や防諜が嫌になってた。ローラは私の意を汲んでくれて、私に軽い罪を着せて国外追放をしてくれた、これであなたは自由よって言ってね。
私はそれから100年以上各地を放浪したわ。途中で私の資金が底をつき、私は冒険者として働き始めたの。でも誰も組んでくれる人はいなかった…あの人と出会うまでは。
ルステインにたどり着いた時、私は本当に孤独で孤独でしかたなかった。誰も寄り付かず、話しかけてくる人もいない。そんな時よ。イザークに会ったのは。
「姉ちゃんどうした?そんなしょぼくれた顔をして」
が彼の第一声だった。それから私の話を聞いてくれて
「俺は恋人いるからそっちはダメだけど、パーティなら組めるぞ」
とおどけて誘ってくれた。嬉しかった。彼の近くにいると良い事が次々と起こったの。仲間もできたし、信じられる人もできたわ。時々イザークはいなくなるけどふらりと現れてまた一緒に冒険した。とても楽しかった。
イザークが確か30になるかならないかの頃だったかと思う。彼は彼の秘密を打ち明けてくれた。彼はこのルステイン領の次期当主だった。家を継ぐからこれ以上冒険はできないという話をされたの。お詫びとして私に外部顧問という肩書きをくれたわ。未来永劫決して権力闘争や政争に巻き込まないという但し書きをつけて。彼、私にこれで誰からも文句をつけられる事もなくこの地でのんびり過ごせ、と言ってくれた。
私は彼の恩義に報いる為、領の為に少し手を貸すようになったわ。それは彼が死んでからも続いた。『魔旋風』なんて二つ名が付いたのはその頃の話…あんまり由来は話したくないわね。
そんなある日私の元に冒険者ギルド経由で手紙が届いた。お世話になった商会だから一応目を通してみたら、重度の混乱状態になった幼児を見てもらいたいという話だった。
いつもならそんな件は教会に任せれば良いって返事を書くのだけど、この時はこの子が気になって気になって仕方なくなってた。気づいたらその商会に足を向けていたわ。
その商会に行った時ね、私の人生の中でもとびきり不思議な体験をしたの。店の前にいくとものすごい魔力を感じるのよ。最初は何かの神が降りてきたのかと思ったわ。でもね、その中心にいたのは幼児だった。白金の髪に、深い蒼色の澄んだ瞳の愛らしい男の子。私は彼から目が離せなくなったわ。横にいた知り合いのドワーフに声をかけられて、ようやく我に返った私は彼に了解をもらうとその子に『試しの指』の魔術を試したの。この魔術は『魔力視覚』と『魔法の素質』がないと見えない光を発する魔術よ。それを最小の出力で発したの。そしたら「きれい」って言ってね。
私はその瞬間私の魔術師としての力を受け継いでくれる人間にようやく会えたと気づいた。私が守ってあげなくちゃと思った。
彼と話をした時、私の心が高鳴るのを感じた。そして何より一緒に居たいと思ったのよ。
恥ずかしくて一旦その場から離れたのだけど、私はもう決めてた。彼を一人前の男に育てていこうと。そして彼を愛そうと。
だから彼の父に頼んだわ。彼が成人するまで居させて欲しいって。願いは叶えられ、今私は彼と一緒にいる。願わくばこの時が未来永劫続けば良いと本気でそう思っているわ。
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