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幼少時代。
ストラ兄さんの奮闘。
お料理の店の建設が始まりしばらく経った。ロイック兄さんとストラ兄さんは毎日のように一緒に店の経営について話し合ってる。それは朝ご飯や夕ご飯の間でも行われた。ミシェ姉さんが静かにしてと言うほどの熱量で、見ている僕もご飯の時はやめろよ、と思うくらいだった。
そんなある朝、ロイック兄さんとストラ兄さんは師匠の修行が終わった後その場で地べたに座って話をしていた。
「今日こそあのおばさんを口説き落としてやるぜ」
(ストラ兄さん、おばさん趣味なの?)
「僕はもう付き合えないからな。タイムリミットは近づいている。早くしろよ」
(ロイック兄さん、ストラ兄さんに付き合っておばさんと?確かに女性としてのタイムリミットはあるかな。早くしろよってプロポーズでもするのかな?)
「わかったよ。三日くれ。決めてみせる」
(ストラ兄さん、プロポーズがんばって!)
というような話をしていた。僕は知らないふりをしながら基礎練習をする。でも気になって気になって仕方なかった。
その日ストラ兄さんは意気揚々と出かけたのだが、意気消沈で帰ってきた。
(振られたのか!?)
僕はストラ兄さんに元気出して貰いたくて頭なでなでをする。ストラ兄さんは何事か考えている。心ここに在らずという感じだ。失恋は辛いよね。しばらくなでなでしているとストラ兄さんは再起動したらしく、僕の顔を見る。そして僕の肩に手を置くと目を見開いてぶつぶつ言い始めた。
「そっかあ。『スサンの天使』の名前出してなかったわ。なんのために看板立てたのか……スサンの天使ってどでかく書いてるのに」
(ええ?僕の名前が看板に書いてあるの?それは嫌だな。お父さん帰ってきたら言おう)
「料理作ってもらって食べてもらうのも手だな。あとはリョウにも付き合ってもらって行くか。そして口説き落とす」
(ええ?僕もおばさんの所行くの?横でプロポーズするの?)
「マスに料理頼むか。それからだな……ん?リョウどうした?」
「なんでも、ない。がんばって」
「おう。がんばるわ」
(お母さんに言おうかなあ。でもストラ兄さんの趣味に口出しするのもなあ。温情で三日間黙っておこう)
翌日、ストラ兄さんが店先にいる僕に声をかけてきた。
「リョウ、呼び込み終わってから一緒につきあってくれ」
「ストラ兄さん、おばさん、嫌」
「何言ってるんだ?それからミザーリ、つきあえ」
「ダメ、ミザーリ、ボクの(護衛)」
「ええ、あたいは主の(物)です」
「だから何言ってるんだ?行くとこがあるから付き合えって事だぞ」
「そうか。でも、おばさん、嫌」
「何を言ってるんだ。事情は説明する。終わったら俺の所へ来い」
「わかった。おかあさん、呼ぶ?」
「呼ばないよ。じゃあな」
それからしばらくは憂鬱だった。ストラ兄さんが好きなおばさんと会うのがとても嫌な気分になる。はぁ。
僕は呼び込みを早めに終えてストラ兄さんのところに行った。怖いのでミザーリも連れていった。
「よし来たな。それじゃあ事情を説明するぞ。王都に有名なレストラン、イングラと言う店がある」
「うん(そこでプロポーズするのかな?)」
「そこの前オーナーの奥さん、ムーヤ・イングラと言う人がいるんだ」
「うん(不倫?)」
「それでその人は前オーナーと死に別れて生まれ故郷のルステインで今住んでいる」
「うん(不倫じゃなくて良かった)」
「そして未亡人として悠々自適に暮らしているんだ」
「うん(それにストラ兄さんがひっかかったの?)」
「そしてな、ここからが重要なんだがムーヤさんな……」
(聞きたくなーい)
「S級の料理人なんだ」
「は?」
「は?どうした?」
「いや、なんでも、ない」
「ムーヤさんにうちの店で働いてもらいたいんだ。だけど断り続けられている。なんとか口説き落としたい、カードを持ってついてきてくれ。ミザーリは護衛だ」
(勘違いかよー)
それからストラ兄さんとミザーリと馬車に乗ってムーヤさん宅に行った。
兄さんが玄関の前でムーヤさんを呼ぶとムーヤさんが玄関越しに怒鳴った。
「あんた、また来たのかい!?もう六回目だよ!?断ったはずだよ、もうやんないって!帰りな!」
「話だけでも聞いてくれ」
「あたしゃ忙しいんだよ!出かけるからとっとと帰りな!」
「わかった。いつ帰ってくるんだ?」
「それはこっちの勝手だろ?良い加減におしよ!」
「頼む、話だけでも聞いてくれ」
「ダメだよ!」
「じゃあここに今度店で出す料理を置いておく。是非味わってくれ」
「大した物じゃなきゃ衛兵に突き出すよ!」
「自信はある。とにかく食べてみてくれ」
しばらく待っているとドアから手が出てくる。ストラ兄さんは収納から料理を取り出しメモを添え手に乗せた。
「そこでちょっとお待ち」
とムーヤさんが言う。しばらくして手が出てきた。空の皿がのっている。
「あんた達の気持ちはわかった。二時間後また来な。その時返事をする」
「わかった。出直す」
二時間お店で時間を潰してまた戻る。今度はロイック兄さんが一緒だ。
「ムーヤさん、来たよ」
「入っとくれ。空いてるよ」
僕達兄弟で家の中に入る。ミザーリはその場で待機だ。
玄関を入ると赤髪を短く切り、化粧っ気なしで清潔感がありそうな女性が出てきた。おばさんって程の年には見えない。
「良くきてくれた。待ってたよ」
「あれ、ムーヤさん、髪は?」
「ああ。あんなものもういらないのさ」
「結論は出していただきましたか?」
「ああ。その前にあんた達がスサン三兄弟だね」
「「はい」」
「うん!」
「良くきたね。『スサンの天使』」
「うん!」
「あんたのことは業界から足を洗ったあたしにも聞こえてきた。本当に小さいね、あんた」
「ごめんね」
「謝らなくても良い。あんたの料理、良いな。また腕を振るいたくなっちまったよ」
「それでは?」
「ああ。料理長、引き受けるよ。あの料理を一段昇華してやろう」
「「ありがとう(ございます)」」
「ところで『神童』、あんたまだあの料理あるのかい?」
「神童って俺の事か?まだ一人前あるぞ」
「こいつはおあつらえ向きだ。あんた達時間はあるかい?」
「ああ。かまわないよ」
「よし、副料理長を迎えに行くよ」
そんなある朝、ロイック兄さんとストラ兄さんは師匠の修行が終わった後その場で地べたに座って話をしていた。
「今日こそあのおばさんを口説き落としてやるぜ」
(ストラ兄さん、おばさん趣味なの?)
「僕はもう付き合えないからな。タイムリミットは近づいている。早くしろよ」
(ロイック兄さん、ストラ兄さんに付き合っておばさんと?確かに女性としてのタイムリミットはあるかな。早くしろよってプロポーズでもするのかな?)
「わかったよ。三日くれ。決めてみせる」
(ストラ兄さん、プロポーズがんばって!)
というような話をしていた。僕は知らないふりをしながら基礎練習をする。でも気になって気になって仕方なかった。
その日ストラ兄さんは意気揚々と出かけたのだが、意気消沈で帰ってきた。
(振られたのか!?)
僕はストラ兄さんに元気出して貰いたくて頭なでなでをする。ストラ兄さんは何事か考えている。心ここに在らずという感じだ。失恋は辛いよね。しばらくなでなでしているとストラ兄さんは再起動したらしく、僕の顔を見る。そして僕の肩に手を置くと目を見開いてぶつぶつ言い始めた。
「そっかあ。『スサンの天使』の名前出してなかったわ。なんのために看板立てたのか……スサンの天使ってどでかく書いてるのに」
(ええ?僕の名前が看板に書いてあるの?それは嫌だな。お父さん帰ってきたら言おう)
「料理作ってもらって食べてもらうのも手だな。あとはリョウにも付き合ってもらって行くか。そして口説き落とす」
(ええ?僕もおばさんの所行くの?横でプロポーズするの?)
「マスに料理頼むか。それからだな……ん?リョウどうした?」
「なんでも、ない。がんばって」
「おう。がんばるわ」
(お母さんに言おうかなあ。でもストラ兄さんの趣味に口出しするのもなあ。温情で三日間黙っておこう)
翌日、ストラ兄さんが店先にいる僕に声をかけてきた。
「リョウ、呼び込み終わってから一緒につきあってくれ」
「ストラ兄さん、おばさん、嫌」
「何言ってるんだ?それからミザーリ、つきあえ」
「ダメ、ミザーリ、ボクの(護衛)」
「ええ、あたいは主の(物)です」
「だから何言ってるんだ?行くとこがあるから付き合えって事だぞ」
「そうか。でも、おばさん、嫌」
「何を言ってるんだ。事情は説明する。終わったら俺の所へ来い」
「わかった。おかあさん、呼ぶ?」
「呼ばないよ。じゃあな」
それからしばらくは憂鬱だった。ストラ兄さんが好きなおばさんと会うのがとても嫌な気分になる。はぁ。
僕は呼び込みを早めに終えてストラ兄さんのところに行った。怖いのでミザーリも連れていった。
「よし来たな。それじゃあ事情を説明するぞ。王都に有名なレストラン、イングラと言う店がある」
「うん(そこでプロポーズするのかな?)」
「そこの前オーナーの奥さん、ムーヤ・イングラと言う人がいるんだ」
「うん(不倫?)」
「それでその人は前オーナーと死に別れて生まれ故郷のルステインで今住んでいる」
「うん(不倫じゃなくて良かった)」
「そして未亡人として悠々自適に暮らしているんだ」
「うん(それにストラ兄さんがひっかかったの?)」
「そしてな、ここからが重要なんだがムーヤさんな……」
(聞きたくなーい)
「S級の料理人なんだ」
「は?」
「は?どうした?」
「いや、なんでも、ない」
「ムーヤさんにうちの店で働いてもらいたいんだ。だけど断り続けられている。なんとか口説き落としたい、カードを持ってついてきてくれ。ミザーリは護衛だ」
(勘違いかよー)
それからストラ兄さんとミザーリと馬車に乗ってムーヤさん宅に行った。
兄さんが玄関の前でムーヤさんを呼ぶとムーヤさんが玄関越しに怒鳴った。
「あんた、また来たのかい!?もう六回目だよ!?断ったはずだよ、もうやんないって!帰りな!」
「話だけでも聞いてくれ」
「あたしゃ忙しいんだよ!出かけるからとっとと帰りな!」
「わかった。いつ帰ってくるんだ?」
「それはこっちの勝手だろ?良い加減におしよ!」
「頼む、話だけでも聞いてくれ」
「ダメだよ!」
「じゃあここに今度店で出す料理を置いておく。是非味わってくれ」
「大した物じゃなきゃ衛兵に突き出すよ!」
「自信はある。とにかく食べてみてくれ」
しばらく待っているとドアから手が出てくる。ストラ兄さんは収納から料理を取り出しメモを添え手に乗せた。
「そこでちょっとお待ち」
とムーヤさんが言う。しばらくして手が出てきた。空の皿がのっている。
「あんた達の気持ちはわかった。二時間後また来な。その時返事をする」
「わかった。出直す」
二時間お店で時間を潰してまた戻る。今度はロイック兄さんが一緒だ。
「ムーヤさん、来たよ」
「入っとくれ。空いてるよ」
僕達兄弟で家の中に入る。ミザーリはその場で待機だ。
玄関を入ると赤髪を短く切り、化粧っ気なしで清潔感がありそうな女性が出てきた。おばさんって程の年には見えない。
「良くきてくれた。待ってたよ」
「あれ、ムーヤさん、髪は?」
「ああ。あんなものもういらないのさ」
「結論は出していただきましたか?」
「ああ。その前にあんた達がスサン三兄弟だね」
「「はい」」
「うん!」
「良くきたね。『スサンの天使』」
「うん!」
「あんたのことは業界から足を洗ったあたしにも聞こえてきた。本当に小さいね、あんた」
「ごめんね」
「謝らなくても良い。あんたの料理、良いな。また腕を振るいたくなっちまったよ」
「それでは?」
「ああ。料理長、引き受けるよ。あの料理を一段昇華してやろう」
「「ありがとう(ございます)」」
「ところで『神童』、あんたまだあの料理あるのかい?」
「神童って俺の事か?まだ一人前あるぞ」
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「ああ。かまわないよ」
「よし、副料理長を迎えに行くよ」
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