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幼少時代。
改装が始まったよ。
『スサンの天使』がオープンしてからしばらく経った。現在、かなりお店の客足は増え、従業員を1.5倍に増やして対応している。懸念である材料不足はロマの元同僚の優秀な目利きを定期契約で雇い、買い入れているそうで問題はないという事だった。店の警備は孤児院出身者の若い冒険者の何人かが冒険者を辞め『スサンの天使』の専属護衛となり、その紹介で毎日冒険者の若くてまだ食えない人達が『スサンの天使』のアルバイト護衛をしているそうだ。ロイック兄さんは今はほぼかかりっきりで『スサンの天使』をやっているが、ある程度したらムーヤさんに店の運営を、うちの商会員から一人に経営を任せるように考えているようでそちらの準備に追われている。
そしてスサン商会は店舗の売り場面積拡張の為改装工事を始めた。基本、営業しながらの工事をする事をお父さんが決めたが、これは非常に珍しい事だという。大体工事をする際には店舗を閉めるのが通例であるが、お父さんはそれではお客様の迷惑になると工事業者と交渉し、営業を続ける事に決めた。幸い、お客様はいつ何時でも開くスサン商会という事を理解してくれて客足が途絶えることなくいらっしゃってくれている。
ある日、店先に出ていたらヘルメットを被った一人の地精が近づいて来た。どうやら女の人みたいだ。横にいたカダスがその女性に悪態をつく。
「ふっ。『行かず後家』のヴェリーか。久しいな」
「なんだ『おひとり様』のカダスかい。良く生きてたもんだ。あんた、ここで働かせてもらってるのかい」
「ああ。商会員として働いている」
「よくあんたみたいな唐変木を雇ってくれたね?ここの商会長は本当にできた人だよ」
「なにを!?」
「なにさ!?」
「めー!仲良く!」
僕は二人に怒った。
「だってよ、この行かず後家が……」
「何様よ、このおひとり様が……」
「ダメ、喧嘩、他でやる」
「すまねえ」
「ごめんね、『天使』」
「なんのごようー?」
「ああ。商会長さんいるかい?」
「奥に、いる、案内する」
「じゃあね、おひとり様」
「ぐぐぐっ」
店で待ってもらって会長室にいるお父さんを呼んだ。
「おお、ヴェリー。順調にいってるかい?」
「ああ。さっき解体が終わったからその報告さ」
「悪いな急がせたようで」
「なんの。うちの職人達はあんた達を気に入ってる。私ら地精はちゃんとした支払いと私たちの好きな酒を飲ませてくれる方が大好きさ。しかもあんたは仕事も一流ときてる。そして私達を尊重してくれる。そんな施主さんに恵まれれば働く手が進むってことさ」
「そう言ってくれて助かる」
「ところでカダスはしっかり働いてるかい?」
「カダスと知り合いなんだな。うちの警備の大黒柱だ。傭兵を上手くまとめてくれるし、有事の際の立ち回りのうまさは絶品だ。雇って良かったよ」
「そうかい……それは良かったよ。もし首にすることがあればうちで雇うよって言ってくれるかい?」
なんかこの人さっきと違うなあ。
「ああ。そういう時はないと思うが覚えておく」
「さて、明日から搬入だ。うるさくしたらごめんよ」
「わかった。覚悟している」
「じゃあよろしくね」
ヴェリーさんは店を出て行った。
「リョウ、もう家に戻って良いぞ」
「うん!」
工事の搬入が始まった。
僕はミザーリを連れて見学していた。
材木を積んだ荷馬車が何台か並び地精達が荷下ろしをしている。見るからに重労働だがあまり辛そうに見えない。ヴェリーさんは建築工房の娘で熟練の大工らしい。ヴェリーさんの指示で地精達が動いている。
「ソゴ!そっちじゃないよ!こっちの角に使うんだから。あんたちゃんと図面見なよ!バヤ!あんたそれはゆっくり置きな。木目が見えるからね。ソゴ、ちゃんと図面チェックしな!」
おお。姉御って感じだ。
しばらくすると大きな材木が運ばれてきた。見るからに重そうだ。荷馬車をできるだけ現場に近づけようとしている。御者がゆっくりとゆっくりと馬を動かしている。
その横を違う馬車がすり抜け、馬が焦ったのか音に怯えて竿立ちになった。後ろに倒れ落ちる材木、その下には図面を見ているヴェリーさんがいた。危ない!
『土の弾』
彼方から土魔法が飛んでくる。荷馬車に当たり倒れる方向がズレる。と同時に地精が一人駆け寄ってくる。そしてヴェリーさんを抱えると退避した。
地精はカダスだった。二人は抱き合いながら倒れ込む。
「あ、ありがとう」
「き、気をつけてな」
慌てて二人は離れる。それぞれ顔が赤い。現場は騒然となっている。良かった。誰も怪我してないようだ。
(それにしても、カダスとヴェリーさん、実はお互い気になってるんじゃ)
カダスがあんなに早く事故に対応してたのもヴェリーさんを見ていたからじゃないかな。慌てて離れたのだってお互い気になっているんじゃ。しょうがないなあ。
幸いその材木一本交換すれば仕事は続けていけそうだと聞いてお父さんも僕も安心する。お父さんはヴェリーさんと近隣の人に謝ってまわった。
周りの人も特に文句を言う人はいなかったので工事は続けられた。
そして僕はカダスにヴェリーさんの良さを、ヴェリーさんにカダスの良さを事あるごとに伝えるのであった。
そしてスサン商会は店舗の売り場面積拡張の為改装工事を始めた。基本、営業しながらの工事をする事をお父さんが決めたが、これは非常に珍しい事だという。大体工事をする際には店舗を閉めるのが通例であるが、お父さんはそれではお客様の迷惑になると工事業者と交渉し、営業を続ける事に決めた。幸い、お客様はいつ何時でも開くスサン商会という事を理解してくれて客足が途絶えることなくいらっしゃってくれている。
ある日、店先に出ていたらヘルメットを被った一人の地精が近づいて来た。どうやら女の人みたいだ。横にいたカダスがその女性に悪態をつく。
「ふっ。『行かず後家』のヴェリーか。久しいな」
「なんだ『おひとり様』のカダスかい。良く生きてたもんだ。あんた、ここで働かせてもらってるのかい」
「ああ。商会員として働いている」
「よくあんたみたいな唐変木を雇ってくれたね?ここの商会長は本当にできた人だよ」
「なにを!?」
「なにさ!?」
「めー!仲良く!」
僕は二人に怒った。
「だってよ、この行かず後家が……」
「何様よ、このおひとり様が……」
「ダメ、喧嘩、他でやる」
「すまねえ」
「ごめんね、『天使』」
「なんのごようー?」
「ああ。商会長さんいるかい?」
「奥に、いる、案内する」
「じゃあね、おひとり様」
「ぐぐぐっ」
店で待ってもらって会長室にいるお父さんを呼んだ。
「おお、ヴェリー。順調にいってるかい?」
「ああ。さっき解体が終わったからその報告さ」
「悪いな急がせたようで」
「なんの。うちの職人達はあんた達を気に入ってる。私ら地精はちゃんとした支払いと私たちの好きな酒を飲ませてくれる方が大好きさ。しかもあんたは仕事も一流ときてる。そして私達を尊重してくれる。そんな施主さんに恵まれれば働く手が進むってことさ」
「そう言ってくれて助かる」
「ところでカダスはしっかり働いてるかい?」
「カダスと知り合いなんだな。うちの警備の大黒柱だ。傭兵を上手くまとめてくれるし、有事の際の立ち回りのうまさは絶品だ。雇って良かったよ」
「そうかい……それは良かったよ。もし首にすることがあればうちで雇うよって言ってくれるかい?」
なんかこの人さっきと違うなあ。
「ああ。そういう時はないと思うが覚えておく」
「さて、明日から搬入だ。うるさくしたらごめんよ」
「わかった。覚悟している」
「じゃあよろしくね」
ヴェリーさんは店を出て行った。
「リョウ、もう家に戻って良いぞ」
「うん!」
工事の搬入が始まった。
僕はミザーリを連れて見学していた。
材木を積んだ荷馬車が何台か並び地精達が荷下ろしをしている。見るからに重労働だがあまり辛そうに見えない。ヴェリーさんは建築工房の娘で熟練の大工らしい。ヴェリーさんの指示で地精達が動いている。
「ソゴ!そっちじゃないよ!こっちの角に使うんだから。あんたちゃんと図面見なよ!バヤ!あんたそれはゆっくり置きな。木目が見えるからね。ソゴ、ちゃんと図面チェックしな!」
おお。姉御って感じだ。
しばらくすると大きな材木が運ばれてきた。見るからに重そうだ。荷馬車をできるだけ現場に近づけようとしている。御者がゆっくりとゆっくりと馬を動かしている。
その横を違う馬車がすり抜け、馬が焦ったのか音に怯えて竿立ちになった。後ろに倒れ落ちる材木、その下には図面を見ているヴェリーさんがいた。危ない!
『土の弾』
彼方から土魔法が飛んでくる。荷馬車に当たり倒れる方向がズレる。と同時に地精が一人駆け寄ってくる。そしてヴェリーさんを抱えると退避した。
地精はカダスだった。二人は抱き合いながら倒れ込む。
「あ、ありがとう」
「き、気をつけてな」
慌てて二人は離れる。それぞれ顔が赤い。現場は騒然となっている。良かった。誰も怪我してないようだ。
(それにしても、カダスとヴェリーさん、実はお互い気になってるんじゃ)
カダスがあんなに早く事故に対応してたのもヴェリーさんを見ていたからじゃないかな。慌てて離れたのだってお互い気になっているんじゃ。しょうがないなあ。
幸いその材木一本交換すれば仕事は続けていけそうだと聞いてお父さんも僕も安心する。お父さんはヴェリーさんと近隣の人に謝ってまわった。
周りの人も特に文句を言う人はいなかったので工事は続けられた。
そして僕はカダスにヴェリーさんの良さを、ヴェリーさんにカダスの良さを事あるごとに伝えるのであった。
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