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神の修行。
聖別式。
聖別式の日が来た。聖別式の日の朝は最後の追い込みをみんなするらしい。聖別式を行なう子供は自主的に家のお手伝いや訓練をするのだ。それだけ聖別式で得るスキルは大事であり、今後の人生を左右するものだと小さいうちから教えられる。聖別式は全ての人間が行なう。奴隷であっても、王族であってもスキルを得る、得ないで雲泥の差があるからだ。この国では聖別式を子供に行わせない親や奴隷商、奴隷の雇い主、孤児院運営者などはもれなく処罰される。聖別式を受ける事ができない孤児を常習的に放っている街の顔役や領主もだ。その為、街の多くは孤児院を領主が運営して孤児が街にいないようにしている。
かくいう僕も朝からわざわざ来てくれたお爺様と徹夜あけの師匠に稽古をつけてもらい、ラクラ薬師の所で薬研をしてから店先で呼び込みを頑張った。
普通の子は地区の教会で聖別式を行なうのだけど僕だけ違った。ナミリアが同じ歳で同じ誕生月なので一緒にどうだ?とマックスさんが言ったからだ。会場は街の宗教区にあるリーリシア神の大聖堂でそんな所で聖別式を行えるのは大変な名誉だと言う。まあ、これはリーリシアさんが僕を呼んだからだろう。
お父さん、お母さん、お兄さん達、ミシェ姉さんと僕は馬車二台に分かれて店を出発する。まずは街の広場に向かい、それから宗教区に向かう大通りに入る。宗教区はリーリシア神の大聖堂を中心として、色々な神の大神殿がある。どの神殿も尖塔が付き、精緻な彫刻が彫られている建物で綺麗で僕は飽きる事なく見ていた。リーリシア神の大聖堂が見えてきた。正面から見ると二つの塔の間に建物があり、その間にバラ窓と言うのか、そんな窓とステンドグラスが印象的だ。建築様式で言うとゴシック様式のものが近いだろう。建物は平面的に見ると十字型をしていて、まっすぐ祭壇に向かう建物と左右に広がる建物が中央で交差している。その建物には確かフライングバットレスという名前の空中にアーチを備えた梁が立っていた。
神殿の警備兵が守る正面の大扉を抜けると中には何本も柱が立ち荘厳な雰囲気をしている。高い位置には採光用の窓が並び、低い位置にはステンドグラス。ステンドグラス越しの光は幻想的でより聖堂を荘厳に見せていた。
中に進んで並んでいる椅子に座る。ナミリア達はまだ来ていない。ふと横を見ると髭のお爺さんがやってきた。家族みんなが立ち上がる。お爺さんはジェスチャーで座るように促すと、僕の目線に合わすようにしゃがみ、僕をじっと見ると頭をなでて話し始めた。
「なるほど。君が『天使』だね。君はここに呼ばれてきたんだな。うん。君はこれから聖別の儀を受け、多くのスキルを得る事になるだろう……神よ。この子の未来に光を……君が正しい道を進む事を祈っておこう」
「アカウン司教様。ありがとうございます」
お父さんは、お爺さんに言った。へえ。この人偉い人なんだね。
「なんのなんの。こういう子を導くのも僕の仕事だからね」
「ありがと」
それからしばらくアカウン司教と話をする。普段の様子やこれからやりたい事を話した。
「うん。もう少し待ってなさい。すぐに聖別式が始まるよ」
「うん!」
しばらくしてナミリアがマックスさんとレイアムさん、レイさんと一緒に現れた。
「リョウー」
ナミリアが僕に抱きつく。無理に離すと怒るのでしばらくそのままにする。
「待たせたな。少しここの司祭と話していたから遅くなった」
「大丈夫です。司教が話し相手をしてくれました」
「おお。それは良かったな。ナミリア、離れなさい。そろそろ聖別式が始まるよ」
「はい!」
僕とナミリアは聖堂の僧侶みたいな人に前に連れてかれ、横に並んだ。見ていると祭壇の後ろに老若男女の人が並び歌を歌い始めた。
これはあれか。聖歌隊ってやつか。神の素晴らしさを歌っているようだ。美しいハーモニーが聴こえてくる。思わずうっとりとなった。
それが終わると先程とは違って装飾がついた服を着た司教が出てくる。司教は祭壇に立つと話し始めた。
「御子たちよ。本日はよく参られた。本日、聖別の儀によってあなた方は……」
これは説法ってやつかな。僕は前世校長先生と坊主の話が大嫌いだった。これに耐えられるか?
「……これにより神と精霊の名の下に聖別の儀をはじめる事とする」
な、何とか耐えた。やっと儀式だ。
「二人とも一歩前へ」
一歩前へ出る。
「跪いて神に祈りを捧げなさい」
跪いてリーリシアさん来たよ、と心の中で言う。
「この御子らに神の祝福とスキルを与えたまえ。ささやきーえいしょうー祈りーねんじろ!『聖別』」
僕の視界がぼやけ、光に包まれた。
気がつくと白い空間にいた。自分の身体を見るとかなり大きくなっている。どんな姿なんだろう?と思うと目の前に鏡のような何かが現れた。前の鈴本遼太の15歳くらいの姿だ。これが魂の姿なの?しげしげと見ていると前方から人型の何かが近づいているのが見えた。
黒い肌に銀髪、頭に牛っぽい角。高身長で顔は整っているがうさんくさい。
俺の勘が言っている。こいつは敵だ。
「お前、消滅してなかったんだよな。ちっ。眷属共め。失敗しやがって。俺の手をわずらわせるとは。お前、リーリシアから離れろ。なら全ての権能とスキルを抜いて生きながらえさせてやる。じゃなかったら……」
「エルボーストライク!」
「おうふ」
肘を股間にヒットさせる。
「おま、ころして…」
「エルボーストライク!」
「ぐはっ」
さらに肘を股間にヒットさせる。
「エルボーストライク?」
もう一回当てようとしたらそこから忽然と消えた。
「もう許さねえ。お前は消滅させる!」
後ろのかなり向こうで股間を手で押さえながら男が立っていた。禍々しい何かが男の身体から出てくる。
ぐしゅ
そんな音が俺の左腕からする。見ると左腕が無かった。
「あははは。なぶり殺しだ」
ぐしゅ
俺の右腕が消滅する。なす術がない。男は急に冷めたように
「飽きた。消滅しろ」
と言い大きな弾を投げた。もう終わりか。と目を背けたら、キン!と何か打ち返す音がする。
「ぐふっ。ぐぐぐぐ」
男が呻く。前を向くと男の両肩から先がなかった。
「おい。私はお前にそんな事をしろと命じたか?」
「いくら兄でも今回ばかりは許さない。消滅してもらうわ」
聞いた事ある声だ。
顔を向けると創造神様とリーリシアさんだ。
何かよくわからないが俺は助かったらしいな。
かくいう僕も朝からわざわざ来てくれたお爺様と徹夜あけの師匠に稽古をつけてもらい、ラクラ薬師の所で薬研をしてから店先で呼び込みを頑張った。
普通の子は地区の教会で聖別式を行なうのだけど僕だけ違った。ナミリアが同じ歳で同じ誕生月なので一緒にどうだ?とマックスさんが言ったからだ。会場は街の宗教区にあるリーリシア神の大聖堂でそんな所で聖別式を行えるのは大変な名誉だと言う。まあ、これはリーリシアさんが僕を呼んだからだろう。
お父さん、お母さん、お兄さん達、ミシェ姉さんと僕は馬車二台に分かれて店を出発する。まずは街の広場に向かい、それから宗教区に向かう大通りに入る。宗教区はリーリシア神の大聖堂を中心として、色々な神の大神殿がある。どの神殿も尖塔が付き、精緻な彫刻が彫られている建物で綺麗で僕は飽きる事なく見ていた。リーリシア神の大聖堂が見えてきた。正面から見ると二つの塔の間に建物があり、その間にバラ窓と言うのか、そんな窓とステンドグラスが印象的だ。建築様式で言うとゴシック様式のものが近いだろう。建物は平面的に見ると十字型をしていて、まっすぐ祭壇に向かう建物と左右に広がる建物が中央で交差している。その建物には確かフライングバットレスという名前の空中にアーチを備えた梁が立っていた。
神殿の警備兵が守る正面の大扉を抜けると中には何本も柱が立ち荘厳な雰囲気をしている。高い位置には採光用の窓が並び、低い位置にはステンドグラス。ステンドグラス越しの光は幻想的でより聖堂を荘厳に見せていた。
中に進んで並んでいる椅子に座る。ナミリア達はまだ来ていない。ふと横を見ると髭のお爺さんがやってきた。家族みんなが立ち上がる。お爺さんはジェスチャーで座るように促すと、僕の目線に合わすようにしゃがみ、僕をじっと見ると頭をなでて話し始めた。
「なるほど。君が『天使』だね。君はここに呼ばれてきたんだな。うん。君はこれから聖別の儀を受け、多くのスキルを得る事になるだろう……神よ。この子の未来に光を……君が正しい道を進む事を祈っておこう」
「アカウン司教様。ありがとうございます」
お父さんは、お爺さんに言った。へえ。この人偉い人なんだね。
「なんのなんの。こういう子を導くのも僕の仕事だからね」
「ありがと」
それからしばらくアカウン司教と話をする。普段の様子やこれからやりたい事を話した。
「うん。もう少し待ってなさい。すぐに聖別式が始まるよ」
「うん!」
しばらくしてナミリアがマックスさんとレイアムさん、レイさんと一緒に現れた。
「リョウー」
ナミリアが僕に抱きつく。無理に離すと怒るのでしばらくそのままにする。
「待たせたな。少しここの司祭と話していたから遅くなった」
「大丈夫です。司教が話し相手をしてくれました」
「おお。それは良かったな。ナミリア、離れなさい。そろそろ聖別式が始まるよ」
「はい!」
僕とナミリアは聖堂の僧侶みたいな人に前に連れてかれ、横に並んだ。見ていると祭壇の後ろに老若男女の人が並び歌を歌い始めた。
これはあれか。聖歌隊ってやつか。神の素晴らしさを歌っているようだ。美しいハーモニーが聴こえてくる。思わずうっとりとなった。
それが終わると先程とは違って装飾がついた服を着た司教が出てくる。司教は祭壇に立つと話し始めた。
「御子たちよ。本日はよく参られた。本日、聖別の儀によってあなた方は……」
これは説法ってやつかな。僕は前世校長先生と坊主の話が大嫌いだった。これに耐えられるか?
「……これにより神と精霊の名の下に聖別の儀をはじめる事とする」
な、何とか耐えた。やっと儀式だ。
「二人とも一歩前へ」
一歩前へ出る。
「跪いて神に祈りを捧げなさい」
跪いてリーリシアさん来たよ、と心の中で言う。
「この御子らに神の祝福とスキルを与えたまえ。ささやきーえいしょうー祈りーねんじろ!『聖別』」
僕の視界がぼやけ、光に包まれた。
気がつくと白い空間にいた。自分の身体を見るとかなり大きくなっている。どんな姿なんだろう?と思うと目の前に鏡のような何かが現れた。前の鈴本遼太の15歳くらいの姿だ。これが魂の姿なの?しげしげと見ていると前方から人型の何かが近づいているのが見えた。
黒い肌に銀髪、頭に牛っぽい角。高身長で顔は整っているがうさんくさい。
俺の勘が言っている。こいつは敵だ。
「お前、消滅してなかったんだよな。ちっ。眷属共め。失敗しやがって。俺の手をわずらわせるとは。お前、リーリシアから離れろ。なら全ての権能とスキルを抜いて生きながらえさせてやる。じゃなかったら……」
「エルボーストライク!」
「おうふ」
肘を股間にヒットさせる。
「おま、ころして…」
「エルボーストライク!」
「ぐはっ」
さらに肘を股間にヒットさせる。
「エルボーストライク?」
もう一回当てようとしたらそこから忽然と消えた。
「もう許さねえ。お前は消滅させる!」
後ろのかなり向こうで股間を手で押さえながら男が立っていた。禍々しい何かが男の身体から出てくる。
ぐしゅ
そんな音が俺の左腕からする。見ると左腕が無かった。
「あははは。なぶり殺しだ」
ぐしゅ
俺の右腕が消滅する。なす術がない。男は急に冷めたように
「飽きた。消滅しろ」
と言い大きな弾を投げた。もう終わりか。と目を背けたら、キン!と何か打ち返す音がする。
「ぐふっ。ぐぐぐぐ」
男が呻く。前を向くと男の両肩から先がなかった。
「おい。私はお前にそんな事をしろと命じたか?」
「いくら兄でも今回ばかりは許さない。消滅してもらうわ」
聞いた事ある声だ。
顔を向けると創造神様とリーリシアさんだ。
何かよくわからないが俺は助かったらしいな。
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