【完結保証】僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

文字の大きさ
85 / 806
神の修行。

6神の考え。

 炎の神、ナーディルはひたむきで根性のある少年の事を考えていた。一見頼りなさそうに見えるがその実芯が強く、なおかつスポンジのような吸収力で自分の課題を乗り越えそうな少年。
 その少年をナーディルは武人として高みに望めるだろうと思っていた。だが、ただの武人にしておくにはもったいない逸材だとも思っている。特にリーリシアの横に並びたつならただの武人ではダメだ。
 だが自分には武の力しか与えられない、と焦燥感を感じていた。


 水の神、マデリエネも少年の事を考えていた。彼女は彼女が研鑽をつんだ知識を遥かに超える知識を与えてくれる少年の事をいつしか師のように思いはじめていた。
 そして少年が3年後地上に戻る事を考える。少年が彼の地であの科学や化学を用いて魔術、魔法を覚えたらどうなるのだろう?彼女の愛し子の風精エルフが教える事が決まっているから安心していたが、あの知識を知ってしまった今、あの愛し子を超えるだろうと予測する。
 そして彼女が役不足になるのでは、と危惧する一方で自分も新しい魔術、魔法に寄与したいと強く願うようになっていった。


 風の神、アネーシャも少年の事を考えていた。いつも美味しくて甘いものをくれる少年が最近ではお気に入りだった。お返しで薬草の事を教えたが、いささか貰いすぎだと思う。
 彼女はお礼とまだ見ぬお菓子の為何を教えようか考えているようになった。


 土の神、グンヴォルも少年の事がお気に入りだった。元々商業登録や料理登録で注目していた存在があれほどの知識を持っていることに喜びを感じている。彼との話は自分が持っている常識を打ち破り新たな考えを日々もたらしてくれた。それも対価もなしにだ。
 経済の神でもあるグンヴォルはその彼を危ういと思う。せめて契約コントラクトや駆け引きを学んでもらいたいと思うし、自分の価値を知ってもらいたいと思う。そうすれば長生きできるだろう。長生きできれば…グンヴォルはニヤリと笑う。
 技巧の神でもあるグンヴォルが大喜びできる技術や料理が世の中に広まるだろう。その為には物作りの基礎は学んでもらわないとならないなと思い彼はある物の製作を始めた。


 光の神ロスハーンは、少年の事を得体の知れないやつと思っていた。だが悪いやつではないと感じた。彼が3年後地上に戻るまでならお母さんが悲しむから不干渉をすれば良いかと思っていたが、彼が長生きしないとお母さんが悲しむと言われた事が心のどこかに引っかかった。
 悲しむなら嫌だとロスハーンは思い、彼が長生きするにはどうしたら良いか考えるようになった。


 闇の神イサリナは少年を太陽のようだと思った。彼女は魔を司るものとして一部の魔の亜人と狂信者を除いて彼女を崇めるものもなく、蔑まれる対象だった。
 唯一お母上様だけが自分を無条件で受け入れてくれる存在だったし、これからもそうだと思っていた。だからこそイサリナはお母上様に依存し、その世話をするメイドの格好をしてその後ろに付き従うようになった。これで良いと思っていた。
 だがある日からその生活が変わった。精神の神でもあるイサリナが記憶の整合を行った少年から常日頃感謝の念が飛んでくるようになったのだ。彼女は少年の感謝の念が心地良くて温かくて、少年を陰ながら見守るようになった。
 一度彼女の眷属が操られ少年の大事な場所を壊しそうになった時、散々悩んで謝りに言ったがすんなり許してくれ、イサリナは少年に恩も感じるようになった。
 待ちに待っていた少年がこちらに来た。少年は自分の正体を知っても態度を変えず、それどころかありがとうといつも言ってくれるし、感謝の贈り物もしてくれる。イサリナは胸がいっぱいになった。
 お母上様が少年を未来の夫に定めると知ってからイサリナは少年のために閉じこもった殻から飛び出た。積極的に各神に少年の様子を伝えたり、連絡を密にとったりするようになった。いつしか他の神からもお礼を言われるようになった。
 イサリナは今、少年を太陽のようだと思う。闇をも照らす光だと。その光をもっと明るい光にしたい。イサリナはそう思っている。




 ある日の事である。その日はリーリシア主導の定例会議を行なっていた。会議が終わるといつもリーリシアが先に出て、6神はそれぞれ好き勝手に黙って去るのがいつもの事だった。共通の話題はほぼ無く、利害が一致しない為お互い不干渉を貫いていたのだ。会議で机を並べていたが、あまり一緒に居たくないメンバーだった。
 それが今日は会議が終わってもみんな残っている。何か話したい事があるんだな、とそれぞれ感じ、誰が先に口火を切るのか緊張感が高まった。
 普段ほとんど会話しないメンバーである。なかなか最初の一言が言えない。シーンとした空気が流れる。やがて皆痺れを切らしたように口を開く。

「「「「「「あの…」」」」」」

 お互い顔を合わせて笑う。このメンバーで笑った事は初めてじゃないか、とそれぞれ思った。

「おう。先に言ってくれ」
「私は後でいいですわ」
「んー。私もー」
「話きくよー」
「僕も後でいい」
「お話をどうぞ」

 とみんなで譲り合いをする。どうぞどうぞの押し付け合いで土の神グンヴォルが耐えきれずに笑い出す。ついで炎の神ナーディルと風の神アネーシャが笑い出し、みんなで大笑いをする。

 ひとしきり笑ったあとグンヴォルが顔を引き締めて言った。

「なあ、みんなに提案があるんだけどなぁ」
 

感想 9

あなたにおすすめの小説

異世界転生したので、文明レベルを21世紀まで引き上げてみた ~前世の膨大な知識を元手に、貧乏貴族から世界を変える“近代化の父”になります~

夏見ナイ
ファンタジー
過労死したプラントエンジニアの俺が転生したのは、剣と魔法の世界のド貧乏な貴族の三男、リオ。石鹸すらない不衛生な環境、飢える家族と領民……。こんな絶望的な状況、やってられるか! 前世の知識を総動員し、俺は快適な生活とスローライフを目指して領地改革を開始する! 農業革命で食料問題を解決し、衛生革命で疫病を撲滅。石鹸、ガラス、醤油もどきで次々と生活レベルを向上させると、寂れた領地はみるみる豊かになっていった。 逃げてきた伯爵令嬢や森のエルフ、ワケありの元騎士など、頼れる仲間も集まり、順風満帆かと思いきや……その成功が、強欲な隣領や王都の貴族たちの目に留まってしまう。 これは、ただ快適に暮らしたかっただけの男が、やがて“近代化の父”と呼ばれるようになるまでの物語。

最強魔法は生活魔法!? ~異世界ではモンスター退治も生活のうち~

gagaga
ファンタジー
神の気まぐれにより異世界へと転移した主人公田辺竜太(大学生)が生活魔法を駆使して冒険したり町の人と触れ合ったりする物語です。 なお、神が気まぐれすぎて一番最初に降り立つ地は、無人島です。 一人称視点、独り言多め、能天気となっております。 なお、作者が気ままに書くので誤字脱字は多いかもしれませんが、大目に見て頂けるとありがたいです。 ただ、敢えてそうしている部分もあり、ややこしくてすいません。(^^;A ご指摘あればどんどん仰ってください。 ※2017/8/29 連載再開しました!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

ひだまりのFランク冒険者

みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。 そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。 そんな中 冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。 その名は、リルド。 彼は、特に何もない感じに毎日 「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。 この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

子ドラゴンとゆく、異世界スキル獲得記! ~転生幼女、最強スキルでバッドエンドを破壊する~

九條葉月
ファンタジー
第6回HJ小説大賞におきまして、こちらの作品が受賞・書籍化決定しました! ありがとうございます! 七歳の少女リーナは突如として前世の記憶を思い出した。 しかし、戸惑う暇もなく『銀髪が不気味』という理由で別邸に軟禁されてしまう。 食事の量も減らされたリーナは生き延びるために別邸を探索し――地下室で、ドラゴンの卵を発見したのだった。 孵化したドラゴンと共に地下ダンジョンに潜るリーナ。すべては、軟禁下でも生き延びるために……。 これは、前を向き続けた少女が聖女となり、邪竜を倒し、いずれは魔王となって平和に暮らす物語……。