僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ

文字の大きさ
92 / 596
神の修行。

鬼コーチ誕生。

しおりを挟む
 マデリエネさんの講義が終了した頃ロスハーンさんが忽然と現れた。

「よ、よく逃げずにやってきたな」
「え?ここで講義を受けていたんですが」
「そ、そうか。まずお前に質問がある。裁判官か宗教関係者か王になる予定があるか?」
「ありません」
「そうかそうか。お前には回復魔法しか教えないで済むという事だよね」
「宗教関係者とか裁判官になるとしたらどうなるのですか?」
「し、神聖とか調和の面も教えなければならなくなる。それは嫌だ」
「わかりました。どっちにせよなるつもりはこれっぽっちもありませんので大丈夫です」
「あとで泣きを見ても知らないよ?」
「はい。大丈夫です」
「そ、そうか。なら回復魔法を教えよう。スパルタコースとスパルタコースとスパルタコースがあるがどれが良い?」
「えーと。スパルタコースしかないじゃないですか!?」
「そうか。スパルタコースだね」
「ええ?簡単なコースはないんですか?」
「だって理論より実践の方が良いでしょ」
「確かにそうですが」
「じ、じゃあスパルタコースいこうか」
「ええと、まだ了承していませんが」
「やる?やる?やる?どれにする?」
「やるしかないじゃないですか!?」
「な、なるほど、やるんだね」
「ふう。わかりました。やります」
「よ、よし。本来は魔力と神聖力を使って回復魔法を唱えるのだけど、今日は一時的に両方使えるように付与する。そしてとにかく『治癒|《ヒール》』をかけ、傷を癒していくの。わかった?」
「わかりました。やってみます」

 ロスハーンさんは短剣を僕の手元に放る。

「それで自分を傷つけて『治癒ヒールを唱えて」
「は?」
「だから自分を傷つけて『治癒《ヒール》』を唱えてってば」
「は、はい」

 僕は手のひらに傷をつけた。

治癒ヒール

 何も起こらない。

「あの、何も起こらないし、手が痛いのですが」
「当たり前でしょ?お前は何を考えてたの?」
「特に何も」
「治るイメージをしないとダメだよ」

 そう言う事は先に言ってもらいたかった。改めて傷が治るイメージをしてヒールをかける。

治癒ヒール

 傷が半分くらい治る。イメージ力が足りないのか。もう一回。

治癒ヒール

 おお、治った。

「治りました」
「つ、続けてやるんだよ」
「わかりました」

 ザシュ

治癒ヒール

 さっきよりは良い。でも治りきらない。痛いな。

治癒ヒール

 治った。もう一回。手のひらを切り裂く。

治癒ヒール

 ああ、もうちょっと。もう一回切り裂く。

治癒ヒール

 よし、治った。

「手のひらは治るようになったみたいです」
「よ、よし感覚が掴めてきたな。じゃあ目をつぶれ」

 ぴゅっ。
 何かが飛んでくる音がすると二の腕に鋭い痛みが走った。目を開けて見ると右腕に矢が刺さってる。血はほとんど出てないがかなり痛い。

「抜いてヒールだ」
「ええ?痛いですよ」
「だ、黙ってやるんだ。そのくらいで死なないからね」
「わ、わかりました」

 グッと力を入れて抜く。抜いてイメージをする。傷がもりあがって再生していくイメージ。集中が切れそう。

治癒ヒール

 治りきらない。もう一回ヒール。
治った。と次の瞬間、今度は左腕に矢が刺さった。くそお。痛え。我慢して抜く。さっきはイメージが足りなかった。なぜ足りないのか?もう一度集中し、イメージを高める。

治癒ヒール

 また全部治りきらない。もう一回ヒール。

「お、お前のイメージ力の少なさかイメージしているものの方向性の違いかはわからないが、傷を癒しきるには足りないぞ。それ!」

 また左腕に当たった。今度は傷が逆再生していくイメージをする。明確なイメージを持つんだ。

治癒ヒール

 また治りきらない。イメージが足りないのか。もっと医学的に考えてみよう。

「それ!」

 左腕の同じ所に当たる。あ、骨まで入ったな。これは不味い。とても痛い。絶対に治さねば。
 骨の細胞が骨の傷を埋めて、血小板が傷を塞ぎ、細胞分裂により新しい細胞が肉を作り出して、逆再生のように傷が治っていくイメージをする。

治癒ヒール

 痛みが引き、肉が盛り上がってくる。骨にも異常はないようだ。最後に傷が跡形もなく消える。

「ほう。ではこれはどうだろ。それ!」

 今度は太ももに矢が貫通した。多分骨もいってると思う。矢を力を入れて抜く。うぉ、すごい痛い。頭がズキズキする。やれるか?いや、やるしかない。

「ほ、骨は骨の細胞分裂で埋め、傷口は血小板、失った肉は細胞分裂で…逆再生のように治す。『治癒ヒール』」

 傷の痛みが鈍痛になり、傷口が塞がる。少し時間がかかったが肉が再生し、傷口が跡形もなく消えた。

「よ、よし。もう一度だ。いいか?」
「よし、来い!」
「お、おう。それ!」

 今度は左腕の上腕が貫通する。これめっちゃ抜きにくい。そうだ。

『収納!』

 矢が消える。イメージするものは同じだ。

「ほ、骨を再生し、傷を塞ぎ、傷を逆再生のように癒す。『治癒ヒール』」

 先程より早いスピードで癒えていく。プロセスは同じだ。傷跡も消える。

「ふう。治りました」
「よ、良し。これからしばらくはこれを続けてやっていく。それからこれを読んでおけよ」

 一冊の本が僕の手元に渡る。

「そ、それは解剖書だ。何がどこにあるのか覚えておけば治療に役にたつ。覚えないと今度内臓が傷ついた時に治療が困難になるぞ」
「わかりました」
「それじゃあ…そら!」

 右脚のふくらはぎを貫通する。油断してたからめちゃくちゃ痛い。矢を収納にしまい、治療する。あー痛かった。ロスハーンさんのイケズ。

「よ、よしこれで終わりだ。魔力と神聖力を抜いたから、練習するなよ」
「絶対に練習しません」
「ではな」

 ロスハーンさんは消えていった。




しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

Gランク冒険者のレベル無双〜好き勝手に生きていたら各方面から敵認定されました〜

2nd kanta
ファンタジー
 愛する可愛い奥様達の為、俺は理不尽と戦います。  人違いで刺された俺は死ぬ間際に、得体の知れない何者かに異世界に飛ばされた。 そこは、テンプレの勇者召喚の場だった。 しかし召喚された俺の腹にはドスが刺さったままだった。

社畜の異世界再出発

U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!? ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。 前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。 けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

処理中です...