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ブラッシュアップ開始。
王都へ到着。
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2日目の旅は特に何もなく終わった。今日の宿はその宿場町で一番の宿らしかった。宿でゆっくりしてたらデボンさんに呼ばれ、錬金術をやってみようという事になった。あちらでも最初におこなった蒸留水の抽出である。お兄さん達も見にきた。魔力を込めて二つのガラス器を握り、抽出を行う。
「水から、抽出、蒸留水」
イメージを持って魔力を操作する。空のガラス器に水が出てくる。身体に何かが一瞬通ってぶるっと震える。抽出が成功した。
「すげえなリョウ。一回で成功させちまいやがった。お前錬金術師なった方がいいぜ」
デボンさんが興奮して言う。
「そんなに、すごいの?」
「ああ。普通にやっても一か月はかかるだろう。1回目で成功するなんて聞いた事ないぜ」
「おお。すげえなリョウ」
「おめでとう、リョウ」
「この分なら後天性スキルもすぐに獲れるだろう。それ貸してやるから宿で続けてやってみろ」
「わかった」
さっきの違和感はなんだったんだろ?と思ってトイレに行くフリをしてステータスを開く。後天性スキルに錬金術がついていた。
(うぉ。ついてる。やっぱり向こうで修行したから覚えるの早かったな。このままやっていけば錬金術を使いこなすのも早くできるだろう)
ステータスを消して戻り再度抽出を行う。うん。成功。デボンさんも満足そうな顔だ。しばらく続けてたらご飯になった。
3日目は難所に差し掛かるのだそうだ。道幅が狭く登りの道で魔獣や亜人、盗賊が出没するのだという。お父さんもデボンさんも馬車の中に何があっても良いように武器を出している。僕もショートソードを出したら大丈夫と言われてしまった。所々で止まり斥候を出しているようだ。そうして進んでる最中の事だった。
前から戦いの音が聞こえてくる。お爺様が大声で指示を出している。わからないけど僕達を狙っているのだろう。お父さんが窓を開けて様子を見る。
「魔獣だ。ウルフ種だな」
「面倒な。ヤツら群れでくるだろ?」
「そうだな」
「出るか?」
「良いだろう。うちの者とご領主様の兵が応戦している」
「そうか」
窓に顔をつけて見ていたら一匹か抜けてきた。
「一匹、きたよ」
「なに!出るか?」
「もう少し待とう」
そんな話をしていたら光の槍と多分風の刃が飛んできた。お兄さんたちが馬車の横に来た。
「ロイック!ストラ!馬車に乗りなさい!」
お父さんが叫ぶ。お兄さん達はしぶしぶという感じで後ろの馬車に乗る。
「ははは。お前の息子は勇敢だな」
「全く。自分たちが護衛対象だと言う事を忘れてる」
「さっきのは、お兄さん達、魔法?」
「そうだ」
「お兄さん達、強いね!」
「ああ。強いが実戦が少ないな」
「お父さん、は多い?」
「隊商に出るとこういう機会は多いぞ」
「おおー」
「今後ロイックも外に出る機会が多くなるし、ストラは王立学園で実戦の機会もあるし経験が積めると思うんだが…ああ、お父さんが後ろの馬車に。ロイックとストラ。だまって怒られろ」
「かわいそー」
「良い薬になるだろう」
案の定、お爺様はお兄さん達を叱っていた。もう出ても良いぞと言われたので僕達は外に出る。騎兵さんと傭兵達は嬉々として解体をしていた。これは騎兵さんと傭兵達の臨時収入になるそうだ。
向こうでは解体を何回もやったけどこっちに来てからははじめて見る。気持ち悪いかなぁと思ったのだが、そうでもなかった。お兄さん達もそんなショックな感じではなく淡々としているので、この世界ではこういう事は当たり前のことなんだろう。
3日目はこの襲撃以外特になにも無かった。4日目も特に何もない。唯一あった事といえば錬金術で液体同士の合成に成功した事だけだ。宿も特に変わった事がなく、平和な一日になった。
5日目、とうとう王都に着く日だ。朝宿を出て街道に入る。街道は次第に広くなり、他の街道から馬車がどんどん合流してくる。スピードはゆっくりとなり、僕らはゆっくりと景色を楽しみながら進む。周りには木がほとんどない。切り拓かれた土地がひろがっている。何村か農村があり色々な畑があるみたいだ。農村部を抜けると街道は石畳となりバラック建ての建物が増えて来る。王都に近づくほどその数がふえる。お父さんに聞くとここが王都の貧民街だと言う。馬車の周りをうろつく人…多分物乞いだろう、が増えてくる。騎兵や傭兵は彼らを遠ざける。
フレドやジェンは馬車の左右に張り付き武器を構えている。治安悪いなここ。
後ろの馬車で貧民と馬車が衝突する。馬車はそのまま走る。貧民達も馬車の者たちも気にする様子が無い。ここではそんな事は日常茶飯事なんだろう。僕はスサン商会に生まれてよかった。こんな過酷な生活は僕にはできそうもない。
お父さんが窓の外を見ろと僕に言う。王都の門が見える。かなりの高さで彫刻があちこちに施された強固な門だ。たくさんの人や馬車が並んでいる。僕達はその波を避けるように街道を進む。また貴族用の門を通るようだ。お父さんに勲章を胸につけるよう言われる。
検問があった。お爺様が対応してお父さんの所に門兵が来る。門兵にお父さんが招待状を見せると門兵は敬礼した。馬車は走り出し門を抜ける。
こうして僕達は王都に入った。
「水から、抽出、蒸留水」
イメージを持って魔力を操作する。空のガラス器に水が出てくる。身体に何かが一瞬通ってぶるっと震える。抽出が成功した。
「すげえなリョウ。一回で成功させちまいやがった。お前錬金術師なった方がいいぜ」
デボンさんが興奮して言う。
「そんなに、すごいの?」
「ああ。普通にやっても一か月はかかるだろう。1回目で成功するなんて聞いた事ないぜ」
「おお。すげえなリョウ」
「おめでとう、リョウ」
「この分なら後天性スキルもすぐに獲れるだろう。それ貸してやるから宿で続けてやってみろ」
「わかった」
さっきの違和感はなんだったんだろ?と思ってトイレに行くフリをしてステータスを開く。後天性スキルに錬金術がついていた。
(うぉ。ついてる。やっぱり向こうで修行したから覚えるの早かったな。このままやっていけば錬金術を使いこなすのも早くできるだろう)
ステータスを消して戻り再度抽出を行う。うん。成功。デボンさんも満足そうな顔だ。しばらく続けてたらご飯になった。
3日目は難所に差し掛かるのだそうだ。道幅が狭く登りの道で魔獣や亜人、盗賊が出没するのだという。お父さんもデボンさんも馬車の中に何があっても良いように武器を出している。僕もショートソードを出したら大丈夫と言われてしまった。所々で止まり斥候を出しているようだ。そうして進んでる最中の事だった。
前から戦いの音が聞こえてくる。お爺様が大声で指示を出している。わからないけど僕達を狙っているのだろう。お父さんが窓を開けて様子を見る。
「魔獣だ。ウルフ種だな」
「面倒な。ヤツら群れでくるだろ?」
「そうだな」
「出るか?」
「良いだろう。うちの者とご領主様の兵が応戦している」
「そうか」
窓に顔をつけて見ていたら一匹か抜けてきた。
「一匹、きたよ」
「なに!出るか?」
「もう少し待とう」
そんな話をしていたら光の槍と多分風の刃が飛んできた。お兄さんたちが馬車の横に来た。
「ロイック!ストラ!馬車に乗りなさい!」
お父さんが叫ぶ。お兄さん達はしぶしぶという感じで後ろの馬車に乗る。
「ははは。お前の息子は勇敢だな」
「全く。自分たちが護衛対象だと言う事を忘れてる」
「さっきのは、お兄さん達、魔法?」
「そうだ」
「お兄さん達、強いね!」
「ああ。強いが実戦が少ないな」
「お父さん、は多い?」
「隊商に出るとこういう機会は多いぞ」
「おおー」
「今後ロイックも外に出る機会が多くなるし、ストラは王立学園で実戦の機会もあるし経験が積めると思うんだが…ああ、お父さんが後ろの馬車に。ロイックとストラ。だまって怒られろ」
「かわいそー」
「良い薬になるだろう」
案の定、お爺様はお兄さん達を叱っていた。もう出ても良いぞと言われたので僕達は外に出る。騎兵さんと傭兵達は嬉々として解体をしていた。これは騎兵さんと傭兵達の臨時収入になるそうだ。
向こうでは解体を何回もやったけどこっちに来てからははじめて見る。気持ち悪いかなぁと思ったのだが、そうでもなかった。お兄さん達もそんなショックな感じではなく淡々としているので、この世界ではこういう事は当たり前のことなんだろう。
3日目はこの襲撃以外特になにも無かった。4日目も特に何もない。唯一あった事といえば錬金術で液体同士の合成に成功した事だけだ。宿も特に変わった事がなく、平和な一日になった。
5日目、とうとう王都に着く日だ。朝宿を出て街道に入る。街道は次第に広くなり、他の街道から馬車がどんどん合流してくる。スピードはゆっくりとなり、僕らはゆっくりと景色を楽しみながら進む。周りには木がほとんどない。切り拓かれた土地がひろがっている。何村か農村があり色々な畑があるみたいだ。農村部を抜けると街道は石畳となりバラック建ての建物が増えて来る。王都に近づくほどその数がふえる。お父さんに聞くとここが王都の貧民街だと言う。馬車の周りをうろつく人…多分物乞いだろう、が増えてくる。騎兵や傭兵は彼らを遠ざける。
フレドやジェンは馬車の左右に張り付き武器を構えている。治安悪いなここ。
後ろの馬車で貧民と馬車が衝突する。馬車はそのまま走る。貧民達も馬車の者たちも気にする様子が無い。ここではそんな事は日常茶飯事なんだろう。僕はスサン商会に生まれてよかった。こんな過酷な生活は僕にはできそうもない。
お父さんが窓の外を見ろと僕に言う。王都の門が見える。かなりの高さで彫刻があちこちに施された強固な門だ。たくさんの人や馬車が並んでいる。僕達はその波を避けるように街道を進む。また貴族用の門を通るようだ。お父さんに勲章を胸につけるよう言われる。
検問があった。お爺様が対応してお父さんの所に門兵が来る。門兵にお父さんが招待状を見せると門兵は敬礼した。馬車は走り出し門を抜ける。
こうして僕達は王都に入った。
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